2月10日は「左利きグッズの日」
●記念日の由来●
左利きグッズで左利き生活を向上させよう、ということわけですが、その裏にはもちろん左利きを社会的に認めてもらわなければならないのです。
今では多くの人が容認する傾向にありますが、本当のところはどうなのか、単なる無視ではないのか、といった疑問があります。
「私は左利きじゃないから」というだけの理由で、なにも考えていない人も多いのではないでしょうか。
でも、そういう考え方は今の時代には問題があります。
なにしろ多様性の時代ですから。
●天性のものを活かす
中国の戦国時代の思想家・荀子の著作とされる『荀子』の「性悪篇」にこう書かれています。
例として、見たり聞いたりする力が天性で、学んで得られるものではない、といいます。
左利きという利き手や利き側という性質も、天性のものです。
天性のものを活かす生き方が大事なのです。
かつて左利き友の会を主宰し、左利きの人の悩みに寄り添い、社会における左利きの地位向上のために活動をされた、精神科医・箱崎総一さんの著書『左利きの秘密』の中で、
先生は「教育とはその人の持つ才能を引き出すこと」だと書かれています。
だから右利きの人は右利きで、左利きの人は左利きで。
中間の人は中間で。
男性は男性として女性は女性として、LGBTはLGBTで――と同じなのです。
そこで問題となるのは、左利きの問題に置いても、ハード面のバリアフリーをつくるためには、まず心のバリアフリーが大切なのです。
ノーマライゼーション【normalization】
(通常化の意)障害者などが地域で普通の生活を営むことを当然とする福祉の基本的考え。また、それに基づく運動や施策。1960年代に北欧から始まる。
(『広辞苑』第六版 より)
とも言えるでしょう。
●教育における左右平等としての書写教科書における左手書字例の掲示
左利き問題に置いて私がいつも訴えていることは、教育における左右平等であり、まずは書写教科書における左手書事例の掲載です。
コンピューターの時代になっても、以前、学問の現場における基礎は手書き文字です。
福澤諭吉は『学問のすゝめ』の中で《文字は学問をするための道具にて、たとへば家を建つるに槌・鋸の入用なるがごとし。》(第二編)と書いています。
それほどに重要なものなのです。
今、小学校一年生の書写の教科書は、色の見え方が異なる人に対応してカラー・ユニバーサルデザインが適応されています。
また、男女性差別問題に配慮してか、イラストや写真では男児と女児、両方の画像がモデルとして使われています。
全身像が男児(もしくは女児)なら、上半身像は女児(もしくは男児)というように。
ところが、鉛筆を持つ画像は右手のみ。
手は二つしかないのに、左手で字を書く人の姿は見られません。
それではまるで、左手で書く人は存在しないかのようです。
あるいは、存在してはいけないかのよう……。
これでは左利きの子をもつ親御さんが不安になるのもいたしかたないでしょう。
他のことは左利きで良いとしつつも、字は右手で、という考えを持つのも当然かもしれません。
なにしろ“教科書では認められていない”のですから。
なんとしてもこの点を改善して欲しいものです。
現場の先生が奮闘して工夫しているのが現実です。
日本の教育を統括する人たちは、現場の先生任せでいいと考えているのでしょうか。
この機会に、ぜひとも検討していただきたいものです。
*『レフティやすおのお茶でっせ』過去の2月10日「左利きグッズの日」の記事:
・2008.12.28
2月10日は左利きグッズの日、日本記念日協会で認定される
・2009.2.10
今日2月10日は“左利きグッズの日”
・2011.2.8
左手書字考(1)左手で字を書くこと―再考:週刊ヒッキイhikkii249
・2011.2.9
「左利きグッズの日」記念「第5回<LYグランプリ>2011」読者大賞アンケート
・2012.2.9
2月10日は「左利きグッズの日」ですが…メルマガ「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」298号告知
・2012.2.10
2月10日「左利きグッズの日」記念<LYGP>第6回2012:メルマガ「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」299号予告
・2013.2.10
今年もまた<左利きグッズの日>でした
・2015.2.10
2月10日は改称7年目の〈左利きグッズの日〉
・2016.2.9
2月10日は左利きグッズの日
・2016.2.10
2月10日は左利きグッズの日―普及の前提
・2017.2.9
・2017.2.10
左手左利き専用グッズ開発「レフティー21プロジェクト」菊屋浦上商事呼びかけ
・2018.2.10
ブログ更新⇒2月10日は「左利きグッズの日」―どこまで進む「左利き」容認―産経新聞投書から
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
2月10日は「左利きグッズの日」―に思うこと
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●記念日の由来●
《社会生活で左利きの人が感じているさまざまな道具の使いづらさ。それを解消するための左利き用グッズの普及を目指し、左利きグッズを扱う神奈川県相模原市の菊屋浦上商事株式会社が制定。日付は2月10日を0210として「0(レ)2(フ)10(ト)」と読み、レフト=左の発想から。》
左利きグッズで左利き生活を向上させよう、ということわけですが、その裏にはもちろん左利きを社会的に認めてもらわなければならないのです。
今では多くの人が容認する傾向にありますが、本当のところはどうなのか、単なる無視ではないのか、といった疑問があります。
「私は左利きじゃないから」というだけの理由で、なにも考えていない人も多いのではないでしょうか。
でも、そういう考え方は今の時代には問題があります。
なにしろ多様性の時代ですから。
●天性のものを活かす
中国の戦国時代の思想家・荀子の著作とされる『荀子』の「性悪篇」にこう書かれています。
《天性とは、生れつきできあがっているものであって、学んで得られるものでもなければ、つくろうと励んでつくれるものでもない。(略)学んでも身につかず、つくろうにもつくれないものなのに、人間が生まれつき身につけているもの、それが天性である。生まれたときにはないのに、学べば身につくし、励めばつくれるもの、それが「人為」である。》『荀子』杉本達夫/訳 徳間書店・中国の思想IV 1996.6
例として、見たり聞いたりする力が天性で、学んで得られるものではない、といいます。
左利きという利き手や利き側という性質も、天性のものです。
《(人の)生れつきがそうであるもの、これを性と呼ぶ。生気の調和によって生じ、精妙に一致し感応しあい、努力しなくても自ずとそうなるもの、これを性と呼ぶ。(正名篇)》『荀子』内山俊彦/著 講談社学術文庫 1999/9/10
天性のものを活かす生き方が大事なのです。
かつて左利き友の会を主宰し、左利きの人の悩みに寄り添い、社会における左利きの地位向上のために活動をされた、精神科医・箱崎総一さんの著書『左利きの秘密』の中で、
先生は「教育とはその人の持つ才能を引き出すこと」だと書かれています。
《「教育」という言葉を英語ではEDUCATIONという。これは〝EDUCE=引き出す〟という動詞からきた言葉なのだ。
つまり、教育というのは無限にある子どもの能力や個性を無理にねじ曲げることではけっしてないのだ。
私が、左利きはひとつの〝個性〟であって〝異常〟なのではないと強調してきたのも、そういった教育の本来の意義に即してのことである。
左利きの子どもを持つ親としては、子どもの健全な心の発達、個性の開花といったことをじゅうぶんに考えて、子どもに対応していただきたい。》箱崎総一著『左利きの秘密』立風書房 1979
だから右利きの人は右利きで、左利きの人は左利きで。
中間の人は中間で。
男性は男性として女性は女性として、LGBTはLGBTで――と同じなのです。
そこで問題となるのは、左利きの問題に置いても、ハード面のバリアフリーをつくるためには、まず心のバリアフリーが大切なのです。
ノーマライゼーション【normalization】
(通常化の意)障害者などが地域で普通の生活を営むことを当然とする福祉の基本的考え。また、それに基づく運動や施策。1960年代に北欧から始まる。
(『広辞苑』第六版 より)
とも言えるでしょう。
●教育における左右平等としての書写教科書における左手書字例の掲示
左利き問題に置いて私がいつも訴えていることは、教育における左右平等であり、まずは書写教科書における左手書事例の掲載です。
コンピューターの時代になっても、以前、学問の現場における基礎は手書き文字です。
福澤諭吉は『学問のすゝめ』の中で《文字は学問をするための道具にて、たとへば家を建つるに槌・鋸の入用なるがごとし。》(第二編)と書いています。
それほどに重要なものなのです。
今、小学校一年生の書写の教科書は、色の見え方が異なる人に対応してカラー・ユニバーサルデザインが適応されています。
また、男女性差別問題に配慮してか、イラストや写真では男児と女児、両方の画像がモデルとして使われています。
全身像が男児(もしくは女児)なら、上半身像は女児(もしくは男児)というように。
ところが、鉛筆を持つ画像は右手のみ。
手は二つしかないのに、左手で字を書く人の姿は見られません。
それではまるで、左手で書く人は存在しないかのようです。
あるいは、存在してはいけないかのよう……。
これでは左利きの子をもつ親御さんが不安になるのもいたしかたないでしょう。
他のことは左利きで良いとしつつも、字は右手で、という考えを持つのも当然かもしれません。
なにしろ“教科書では認められていない”のですから。
なんとしてもこの点を改善して欲しいものです。
現場の先生が奮闘して工夫しているのが現実です。
日本の教育を統括する人たちは、現場の先生任せでいいと考えているのでしょうか。
この機会に、ぜひとも検討していただきたいものです。
*『レフティやすおのお茶でっせ』過去の2月10日「左利きグッズの日」の記事:
・2008.12.28
2月10日は左利きグッズの日、日本記念日協会で認定される
・2009.2.10
今日2月10日は“左利きグッズの日”
・2011.2.8
左手書字考(1)左手で字を書くこと―再考:週刊ヒッキイhikkii249
・2011.2.9
「左利きグッズの日」記念「第5回<LYグランプリ>2011」読者大賞アンケート
・2012.2.9
2月10日は「左利きグッズの日」ですが…メルマガ「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」298号告知
・2012.2.10
2月10日「左利きグッズの日」記念<LYGP>第6回2012:メルマガ「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」299号予告
・2013.2.10
今年もまた<左利きグッズの日>でした
・2015.2.10
2月10日は改称7年目の〈左利きグッズの日〉
・2016.2.9
2月10日は左利きグッズの日
・2016.2.10
2月10日は左利きグッズの日―普及の前提
・2017.2.9
・2017.2.10
左手左利き専用グッズ開発「レフティー21プロジェクト」菊屋浦上商事呼びかけ
・2018.2.10
ブログ更新⇒2月10日は「左利きグッズの日」―どこまで進む「左利き」容認―産経新聞投書から
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
2月10日は「左利きグッズの日」―に思うこと
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