大変長らくお休みしていました、【左利きライフ研究家レフティやすおのできるまで】第4回です。
この文章は、第一回でも書いていますように、私の発行する無料メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(第39号 2006/7/15 ~ 第112号 2007/12/15)での連載記事「レフティやすおの左利き活動万歳/私にとっての左利き活動」(全19回)を基に、ホームページ『左利きを考える レフティやすおの左組通信』「レフティやすおの左利き人生 少年時代」等の記事を交えたり、新たな情報等を付け加えたり、加筆修正したものです。
なぜ左利きの活動を始めたのか、という左利きライフ研究家としての私の原点となる部分と言えます。
できれば週一ぐらいで書き綴り、今年中に終了させるつもりでした。
ところが、情報をプラスアルファするなど新味を出したいと思いから、付け加える文章に手こずり、三日坊主ならぬ“三回坊主”になっていました。
今回やっとこ集中してまとめ上げました。
今後も、どう展開するかわかりませんが、精一杯努力いたしますので、よろしく!
・・・
【左利きライフ研究家レフティやすおのできるまで】第4回
第3回では、幼稚園時代の左腕骨折事故にもかかわらず、“左利き一筋”だった思い出を書きました。
今回は、小学校低学年時代だろう?ハサミの思い出を中心に―。
●左利きの意識
私自身は「自分が左利きである」ということを特に意識することもなく育ってゆきました。
なにしろ、私の左利きは小学校の担任先生によって“公認”され、以来何かにつけて「左手を(主として)使う」ということは、当然のことだったからです。
「自分が左利きである」という認識について、少し補足説明しておきましょう。
別に私が「自分自身が左利きである」ということを意識していなかった、とは言い切れません。
なぜなら、何かにつけて「この子ぎっちょやな!」的な会話は、始終身の回りで行われていたでしょうから。
ただ、それを正確に「右利きと左利きとの性質の違い」として認識していたかどうか、という意味においての話です。
単に、まわりの人が自分ことを話しているのを聞いて、「(他の人たちとは違う人間として)自分のことを左利きと呼ぶんだな」と理解した程度のことだったのでしょう。
すなわち、右利きと左利きの違いを正確に知って「大半の人たちとは異なる性質を持つ存在としての自分」を認識していたというわけではない、ということです。
言葉としての「右利き」「左利き」というものは知っていても、具体的にそれがどういうことなのか、何を意味するのかはよく理解していなかった、というわけです。
他の人たちは、右手で箸を使い、右手で字を書くのに対して、自分は左手で箸を使い、左手で字を書く、といった事実は認識していたかもしれません。
それは、他人が目ざとく一番に指摘することだったからです。
親戚やら級友たちが、大人も子供も同様に。
左利きの意識という意味で、右利きとの違いを認識していなかった例として一つあげてみましょう。
たとえば、ハサミです。
これは当時としては、ごく普通のことだったのかもしれません。
一般に普及している、世間で売っている、誰もが日常的に使っているハサミが、実は右手用のものであったという事実です。
いまでこそ、ハサミには右手用と左手用の二種類あるということは、大抵の人が知っていることでしょう。
しかし当時は、まったくそういう違いに気付いていませんでした。
●ハサミは右手用・左手用の二種類
ここで少し脱線しますが、「左手用ハサミ」について書きておきます。
ハサミの話題は今までにも数々書いてきました。
【私のハサミ体験談】
・2004.2.26 ハサミで困った思い出
(8年ほど昔に書いた文章ですので、一部訂正しておきます。
それは、ハサミの価格に関してです。
確かに、プロ用等の特殊用途のハサミは、割高ですし、どこでも買えるわけではありません。
しかし子供用は、右左同じ価格でスーパー等で手に入ります。
一般用もデザイン等は選べませんが、比較的安価に手に入ります。
大抵の100円ショップでも手に入ります。
その点は大いに改善されています。 )
【左手用ハサミの構造や呼称に関する紹介記事の例】
・2004.10.27 右利き用と左利き用のはさみ、どこがどう違うの?
・2004.5.28 左利き用ハサミって?―『とんちんかん道具館』より
【ハサミの商品紹介記事の例】
・2011.2.10 Raymayレイメイ藤井ペンカット:右手左手両対応携帯ハサミ
・2004.2.22 百円ショップの左手用ハサミ
・2011.12.23 左手・左利きに優しくない!?学童用はさみ「スコッチ キッズシザーズ」住友スリーエム
・2004.9.29 サンスター文具の幼児向け左手用ハサミ
『レフティやすおの左組通信』
・〈HPG3〉左手用/左利き(左きき)用 はさみ・ハサミ・鋏(SCISSORS FOR LEFTHADERS)コレクション
・表記について―「左手用」か「左利き用」か
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
レフティ・グッズ・プロジェクト<左手・左利き用品を考える>
◆「左手でも切りやすいハサミ」とは?<1>-<7>
・第1回第298号(No.298) 2012/2/4
・第2回第302号(No.302) 2012/3/3
・第3回第307号(No.307) 2012/4/7
・第4回第311号(No.311) 2012/5/5
・第5回第315号(No.315) 2012/6/2
・第6回第320号(No.320) 2012/7/7
・第7回第324号(No.324) 2012/8/4
etc...
それらにも書いてきましたが、改めて簡単に触れておきます。
●右手用と左手用のハサミの構造
ハサミには、右手用と左手用の二種類があります。
これは「右手用」「左手用」ではなく、「右利き用」「左利き用」だろうと思っている人もいらっしゃるかも知れません。
しかし、ハサミの業界では「右手用」「左手用」という呼び方が正しいようです。
一番よくわかるのは、子供用のハサミです。
必ず「右手用」「左手用」と明記されています。
もちろん何事にも例外と言うものはあるもので、一部には便宜的な呼び方として、「このほうが一般の人にはより分かりやすいだろう」という理由で、「右利き用」「左利き用」としているメーカーさんもあります。
しかし、大抵は「右手用」「左手用」です。
それは、「右/左手に持って使うことを前提に設計したもの」、という意味合いがあるのでしょう。
ですから、それぞれのハサミは、それぞれに指定された通りに、それぞれの手に持って使うべきものなのです。
では、実際にどの点が違うのか、と言いますと―
(1)刃の噛み合わせ
(2)持ち手の形状
です。
最大のポイントが、この「(1)刃の噛み合わせ」です。
ハサミの構造は、それぞれ片刃になった二枚の刃を切断面を重ね合わせ、支点を中心に刃をすり合わせるようにスライドさせて切ります。
自然にハサミを手に持って構えたとき、ハサミは垂直方向に刃が並びます。
そして、上から見たとき、上から下りる刃が右側にあるものが、右手用です。
その逆に、上の刃が左側にあるのが左手用です。
(左手用を自分の手元から見た断面)
┃ (上の刃が左側にある)
――――(紙)
┃ (下の刃は右側にある)
ハサミを持つ手の力のかかり方は、本来ならこの刃と刃を合わせる方向に働きます。
しかし、逆の手でハサミを使いますと、刃に伝わる力の掛かり方も逆になります。
刃と刃を引き離す方向に働き、刃と刃の隙間が大きくなります。
すり合わされる上の刃と下の刃の隙間が大きく開くと、その隙間に紙を挟んでしまって切れません。
┃⇔┃(上の刃と下の刃の隙間が大きく開く)
┃ / (上の刃が左側にある)
/ ┃(下の刃は右側にある)
┃| (上の刃が左側にある)
|┃(下の刃は右側にある)
↑
(刃と刃の間に紙が挟まる)
刃と刃の間がしっかり密着していると、紙はきれいに切れます。
↓ ―(紙)
┃┃(下の刃)
― ↑
今のハサミはこの刃と刃の合わせがしっかりしているので、逆の手で使った場合でもある程度“切れる”のです。
しかし、ガタつきの大きなものでは、逆の手で使おうとしますと、開きが大きくなってしまい、切れません。
当時の私は、右手用と左手用と構造の違いも知らず、自分の使っているハサミが右手で使うことを前提として設計された右手用ハサミであることも知らず、その右手用ハサミを左手で使っているからうまく使えないのだと気付かず、ただただ自分は単に不器用で(普通の=右手用の)ハサミがうまく使えないのだ、と考えていました。
・・・
そんな日々のなかで左利きを意識させられるのは、何かの時に他人(大半は大人)から左利きであることを指摘されるときでした。
ただ、左利きであることを意識せず、と書きましたが、これは日常生活の表面で、という意味で、心の奥―深層心理的には、左利きであることはマイナスの要素として、引け目を感じていました。
この辺の感覚は、今の若い人の中には理解しにくい人もいるかもしれません。
とにかく、「左利き=マイナス」、「左利き=良くないこと」、「左利き=できれば隠しておいた方がいいこと」といった意識は刷り込まれていました。
【左利きライフ研究家レフティやすおのできるまで】過去の記事
*2012.6.11 第1回
*2012.6.19 第2回 幼少時の記憶から
*2012.7.5 第3回 利腕を骨折しても…
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※本稿は、ココログ版『レフティやすおのお茶でっせ』より
「左利きの意識とハサミの話【左利きライフ研究家のできるまで】第4回」を転載したものです。
(この記事へのコメント・トラックバックは、転載元『お茶でっせ』のほうにお願い致します。ただし承認制になっていますので、ただちに反映されません。ご了承ください。)
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この文章は、第一回でも書いていますように、私の発行する無料メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(第39号 2006/7/15 ~ 第112号 2007/12/15)での連載記事「レフティやすおの左利き活動万歳/私にとっての左利き活動」(全19回)を基に、ホームページ『左利きを考える レフティやすおの左組通信』「レフティやすおの左利き人生 少年時代」等の記事を交えたり、新たな情報等を付け加えたり、加筆修正したものです。
なぜ左利きの活動を始めたのか、という左利きライフ研究家としての私の原点となる部分と言えます。
できれば週一ぐらいで書き綴り、今年中に終了させるつもりでした。
ところが、情報をプラスアルファするなど新味を出したいと思いから、付け加える文章に手こずり、三日坊主ならぬ“三回坊主”になっていました。
今回やっとこ集中してまとめ上げました。
今後も、どう展開するかわかりませんが、精一杯努力いたしますので、よろしく!
・・・
【左利きライフ研究家レフティやすおのできるまで】第4回
第3回では、幼稚園時代の左腕骨折事故にもかかわらず、“左利き一筋”だった思い出を書きました。
今回は、小学校低学年時代だろう?ハサミの思い出を中心に―。
●左利きの意識
私自身は「自分が左利きである」ということを特に意識することもなく育ってゆきました。
なにしろ、私の左利きは小学校の担任先生によって“公認”され、以来何かにつけて「左手を(主として)使う」ということは、当然のことだったからです。
「自分が左利きである」という認識について、少し補足説明しておきましょう。
別に私が「自分自身が左利きである」ということを意識していなかった、とは言い切れません。
なぜなら、何かにつけて「この子ぎっちょやな!」的な会話は、始終身の回りで行われていたでしょうから。
ただ、それを正確に「右利きと左利きとの性質の違い」として認識していたかどうか、という意味においての話です。
単に、まわりの人が自分ことを話しているのを聞いて、「(他の人たちとは違う人間として)自分のことを左利きと呼ぶんだな」と理解した程度のことだったのでしょう。
すなわち、右利きと左利きの違いを正確に知って「大半の人たちとは異なる性質を持つ存在としての自分」を認識していたというわけではない、ということです。
言葉としての「右利き」「左利き」というものは知っていても、具体的にそれがどういうことなのか、何を意味するのかはよく理解していなかった、というわけです。
他の人たちは、右手で箸を使い、右手で字を書くのに対して、自分は左手で箸を使い、左手で字を書く、といった事実は認識していたかもしれません。
それは、他人が目ざとく一番に指摘することだったからです。
親戚やら級友たちが、大人も子供も同様に。
左利きの意識という意味で、右利きとの違いを認識していなかった例として一つあげてみましょう。
たとえば、ハサミです。
これは当時としては、ごく普通のことだったのかもしれません。
一般に普及している、世間で売っている、誰もが日常的に使っているハサミが、実は右手用のものであったという事実です。
いまでこそ、ハサミには右手用と左手用の二種類あるということは、大抵の人が知っていることでしょう。
しかし当時は、まったくそういう違いに気付いていませんでした。
●ハサミは右手用・左手用の二種類
ここで少し脱線しますが、「左手用ハサミ」について書きておきます。
ハサミの話題は今までにも数々書いてきました。
【私のハサミ体験談】
・2004.2.26 ハサミで困った思い出
(8年ほど昔に書いた文章ですので、一部訂正しておきます。
それは、ハサミの価格に関してです。
確かに、プロ用等の特殊用途のハサミは、割高ですし、どこでも買えるわけではありません。
しかし子供用は、右左同じ価格でスーパー等で手に入ります。
一般用もデザイン等は選べませんが、比較的安価に手に入ります。
大抵の100円ショップでも手に入ります。
その点は大いに改善されています。 )
【左手用ハサミの構造や呼称に関する紹介記事の例】
・2004.10.27 右利き用と左利き用のはさみ、どこがどう違うの?
・2004.5.28 左利き用ハサミって?―『とんちんかん道具館』より
【ハサミの商品紹介記事の例】
・2011.2.10 Raymayレイメイ藤井ペンカット:右手左手両対応携帯ハサミ
・2004.2.22 百円ショップの左手用ハサミ
・2011.12.23 左手・左利きに優しくない!?学童用はさみ「スコッチ キッズシザーズ」住友スリーエム
・2004.9.29 サンスター文具の幼児向け左手用ハサミ
『レフティやすおの左組通信』
・〈HPG3〉左手用/左利き(左きき)用 はさみ・ハサミ・鋏(SCISSORS FOR LEFTHADERS)コレクション
・表記について―「左手用」か「左利き用」か
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
レフティ・グッズ・プロジェクト<左手・左利き用品を考える>
◆「左手でも切りやすいハサミ」とは?<1>-<7>
・第1回第298号(No.298) 2012/2/4
・第2回第302号(No.302) 2012/3/3
・第3回第307号(No.307) 2012/4/7
・第4回第311号(No.311) 2012/5/5
・第5回第315号(No.315) 2012/6/2
・第6回第320号(No.320) 2012/7/7
・第7回第324号(No.324) 2012/8/4
etc...
それらにも書いてきましたが、改めて簡単に触れておきます。
●右手用と左手用のハサミの構造
ハサミには、右手用と左手用の二種類があります。
これは「右手用」「左手用」ではなく、「右利き用」「左利き用」だろうと思っている人もいらっしゃるかも知れません。
しかし、ハサミの業界では「右手用」「左手用」という呼び方が正しいようです。
一番よくわかるのは、子供用のハサミです。
必ず「右手用」「左手用」と明記されています。
もちろん何事にも例外と言うものはあるもので、一部には便宜的な呼び方として、「このほうが一般の人にはより分かりやすいだろう」という理由で、「右利き用」「左利き用」としているメーカーさんもあります。
しかし、大抵は「右手用」「左手用」です。
それは、「右/左手に持って使うことを前提に設計したもの」、という意味合いがあるのでしょう。
ですから、それぞれのハサミは、それぞれに指定された通りに、それぞれの手に持って使うべきものなのです。
では、実際にどの点が違うのか、と言いますと―
(1)刃の噛み合わせ
(2)持ち手の形状
です。
最大のポイントが、この「(1)刃の噛み合わせ」です。
ハサミの構造は、それぞれ片刃になった二枚の刃を切断面を重ね合わせ、支点を中心に刃をすり合わせるようにスライドさせて切ります。
自然にハサミを手に持って構えたとき、ハサミは垂直方向に刃が並びます。
そして、上から見たとき、上から下りる刃が右側にあるものが、右手用です。
その逆に、上の刃が左側にあるのが左手用です。
(左手用を自分の手元から見た断面)
┃ (上の刃が左側にある)
――――(紙)
┃ (下の刃は右側にある)
ハサミを持つ手の力のかかり方は、本来ならこの刃と刃を合わせる方向に働きます。
しかし、逆の手でハサミを使いますと、刃に伝わる力の掛かり方も逆になります。
刃と刃を引き離す方向に働き、刃と刃の隙間が大きくなります。
すり合わされる上の刃と下の刃の隙間が大きく開くと、その隙間に紙を挟んでしまって切れません。
┃⇔┃(上の刃と下の刃の隙間が大きく開く)
┃ / (上の刃が左側にある)
/ ┃(下の刃は右側にある)
┃| (上の刃が左側にある)
|┃(下の刃は右側にある)
↑
(刃と刃の間に紙が挟まる)
刃と刃の間がしっかり密着していると、紙はきれいに切れます。
↓ ―(紙)
┃┃(下の刃)
― ↑
今のハサミはこの刃と刃の合わせがしっかりしているので、逆の手で使った場合でもある程度“切れる”のです。
しかし、ガタつきの大きなものでは、逆の手で使おうとしますと、開きが大きくなってしまい、切れません。
当時の私は、右手用と左手用と構造の違いも知らず、自分の使っているハサミが右手で使うことを前提として設計された右手用ハサミであることも知らず、その右手用ハサミを左手で使っているからうまく使えないのだと気付かず、ただただ自分は単に不器用で(普通の=右手用の)ハサミがうまく使えないのだ、と考えていました。
・・・
そんな日々のなかで左利きを意識させられるのは、何かの時に他人(大半は大人)から左利きであることを指摘されるときでした。
ただ、左利きであることを意識せず、と書きましたが、これは日常生活の表面で、という意味で、心の奥―深層心理的には、左利きであることはマイナスの要素として、引け目を感じていました。
この辺の感覚は、今の若い人の中には理解しにくい人もいるかもしれません。
とにかく、「左利き=マイナス」、「左利き=良くないこと」、「左利き=できれば隠しておいた方がいいこと」といった意識は刷り込まれていました。
【左利きライフ研究家レフティやすおのできるまで】過去の記事
*2012.6.11 第1回
*2012.6.19 第2回 幼少時の記憶から
*2012.7.5 第3回 利腕を骨折しても…
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※本稿は、ココログ版『レフティやすおのお茶でっせ』より
「左利きの意識とハサミの話【左利きライフ研究家のできるまで】第4回」を転載したものです。
(この記事へのコメント・トラックバックは、転載元『お茶でっせ』のほうにお願い致します。ただし承認制になっていますので、ただちに反映されません。ご了承ください。)
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