新年早々左利きの記事を書こうと思いつつ、そのままになっていました。
(画像:7日朝、産経新聞で見た記事)
そこに飛び込んできたニュースがこれ。
これ幸いと、飛びついた、という次第。
魚に「右利き左利き」 人間の脳解明に期待 - MSN産経ニュース
(動画ニュース)
魚に「右利き左利き」 名古屋大研究員らが撮影
記事の冒頭まとめの言葉には、《人間の利き手》とありますが、
記事内の竹内研究員の言葉では、
この辺のニュアンスは、私は重要なポイントだと考えています。
「利き手」と言い切ってしまうと、一般の人にはわかりやすいかもしれませんが、
範囲が絞られていまします。
利き手以外にも、利き足や利き目・利き耳などがあります。
あくまでも“利き”というのは、身体全体にわたる偏りの傾向を示すものだと思います。
実際にどちらの側(の手)を使うかというより、どういう傾向があるか、ということです。
人間の場合、意識的に使う場合と無意識に使う場合、また意識していなくても、習慣的に使う場合があります。
学習により習慣化する行動というものがあるわけです。
そういうものを除外して、あくまでも真に“非”意識的な傾向を“利き”と呼ぶのだ、と私は理解しています。
・・・
閑話休題―。
昔は、人間にだけ「利き手」がある、と考えられてきました。
「手」を持つのが、人間だけ、という考え方もありますから。
たぶんに、これはキリスト教文明の影響ではないか、と思うのですが、
キリスト教では人間と他の動物とはまったく別格の扱いですから。
理由の一つに、
「ヨーロッパにはサルがいなかったからではないか」という説があります。
人間と他の動物が一つながりのもの、という考えを導き出す
「進化論」をダーウィンが発表するのを何年も押さえていたのは、
一つにはこのキリスト教会からの弾圧を恐れたから、といわれています。
話を戻しまして―。
「左右の非対称性」という考え方をすると、
様々な動物に「利き手」に相当するものが見つかるようになりました。
テレビでも犬や猫の利き手、
シロクマの利き手調査をやっている番組も見たことがあります。
今では人間特有の現象という考え方はないようです。
・・・
昨今では、オリンピックの代表選手などが、右利きでも左手で箸を使う訓練をしたり、
『右脳革命』(T.R.ブレークスリー/著 大前研一/訳 プレジデント社 1981、新潮文庫 1993)以来、
左脳に偏った思考に柔軟性を持たせるために右脳を鍛える、
といった理由で、左手を使え、という話があります。
身体の左右のバランスを取るのは、理解できますが、
思考や発想がどうこうというのは、考え過ぎのような気がします。
ちゃんとした脳科学の本
『脳科学の教科書 神経編』理化学研究所脳科学総合研究センター 編
岩波ジュニア新書680 2011.4
など読んでみますと、ほとんど否定的です。
人間の脳は、通常左右の脳が総合的に働いているので、
右脳がどうとか左脳がどうということは、一概に言えないそうです。
巷に溢れる“エセ”脳科学の本といわれているものには
色々と出ていますが…。
なにはともあれ、
“利き”の解明に近づく第一歩として、大いに期待しています。
*利き手と左利きの研究に関する本:
(日本)
『左対右 きき手大研究』八田武志 化学同人(DOJIN選書 18) 2008.7.20
―1996年11月刊『左ききの神経心理学』以降、世界で研究された成果を一般向けに読み物とした本。
(イギリス)
『非対称の起源 偶然か、必然か』クリス・マクマナス/著 大貫昌子/訳 講談社ブルーバックス 2006.10
―20年にわたる利き手・左利き研究の成果をまとめた本。
(世界)
『「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎』デイヴィッド ウォルマン/著 梶山 あゆみ/訳 日本経済新聞社 2006.7
―自身左利きの科学ジャーナリストが、左利きの謎に挑み世界を駆けるサイエンス・ノンフィクション。
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※本稿は、ココログ版『レフティやすおのお茶でっせ』より
「魚に「右利き左利き」 人間の脳解明に期待-MSN産経ニュースから」を転載したものです。
(この記事へのコメント・トラックバックは、転載元『お茶でっせ』のほうにお願い致します。ただし承認制になっていますので、ただちに反映されません。ご了承ください。)
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(画像:7日朝、産経新聞で見た記事)
そこに飛び込んできたニュースがこれ。
これ幸いと、飛びついた、という次第。
魚に「右利き左利き」 人間の脳解明に期待 - MSN産経ニュース
(動画ニュース)
魚に「右利き左利き」 名古屋大研究員らが撮影
《名古屋大の竹内勇一研究員らの研究チームが》、《餌を捕る時に左右性(右利き、左利き)があるとされる魚の捕食行動を明確に撮影、分析することに成功した》と、《6日付の米科学誌プロスワン電子版に発表した》―というものです。
《人間の利き手と脳構造の関係解明への応用も期待できそうだ。》―とあります。
記事の冒頭まとめの言葉には、《人間の利き手》とありますが、
記事内の竹内研究員の言葉では、
「今後、魚の左右性に関係する神経系を特定し、人間の“利き”と脳のメカニズム解明につなげたい」》―と“利き”という表現になっています。
この辺のニュアンスは、私は重要なポイントだと考えています。
「利き手」と言い切ってしまうと、一般の人にはわかりやすいかもしれませんが、
範囲が絞られていまします。
利き手以外にも、利き足や利き目・利き耳などがあります。
あくまでも“利き”というのは、身体全体にわたる偏りの傾向を示すものだと思います。
実際にどちらの側(の手)を使うかというより、どういう傾向があるか、ということです。
人間の場合、意識的に使う場合と無意識に使う場合、また意識していなくても、習慣的に使う場合があります。
学習により習慣化する行動というものがあるわけです。
そういうものを除外して、あくまでも真に“非”意識的な傾向を“利き”と呼ぶのだ、と私は理解しています。
・・・
閑話休題―。
昔は、人間にだけ「利き手」がある、と考えられてきました。
「手」を持つのが、人間だけ、という考え方もありますから。
たぶんに、これはキリスト教文明の影響ではないか、と思うのですが、
キリスト教では人間と他の動物とはまったく別格の扱いですから。
理由の一つに、
「ヨーロッパにはサルがいなかったからではないか」という説があります。
人間と他の動物が一つながりのもの、という考えを導き出す
「進化論」をダーウィンが発表するのを何年も押さえていたのは、
一つにはこのキリスト教会からの弾圧を恐れたから、といわれています。
話を戻しまして―。
「左右の非対称性」という考え方をすると、
様々な動物に「利き手」に相当するものが見つかるようになりました。
テレビでも犬や猫の利き手、
シロクマの利き手調査をやっている番組も見たことがあります。
今では人間特有の現象という考え方はないようです。
・・・
昨今では、オリンピックの代表選手などが、右利きでも左手で箸を使う訓練をしたり、
『右脳革命』(T.R.ブレークスリー/著 大前研一/訳 プレジデント社 1981、新潮文庫 1993)以来、
左脳に偏った思考に柔軟性を持たせるために右脳を鍛える、
といった理由で、左手を使え、という話があります。
身体の左右のバランスを取るのは、理解できますが、
思考や発想がどうこうというのは、考え過ぎのような気がします。
ちゃんとした脳科学の本
『脳科学の教科書 神経編』理化学研究所脳科学総合研究センター 編
岩波ジュニア新書680 2011.4
など読んでみますと、ほとんど否定的です。
人間の脳は、通常左右の脳が総合的に働いているので、
右脳がどうとか左脳がどうということは、一概に言えないそうです。
巷に溢れる“エセ”脳科学の本といわれているものには
色々と出ていますが…。
なにはともあれ、
“利き”の解明に近づく第一歩として、大いに期待しています。
*利き手と左利きの研究に関する本:
(日本)
『左対右 きき手大研究』八田武志 化学同人(DOJIN選書 18) 2008.7.20
―1996年11月刊『左ききの神経心理学』以降、世界で研究された成果を一般向けに読み物とした本。
(イギリス)
『非対称の起源 偶然か、必然か』クリス・マクマナス/著 大貫昌子/訳 講談社ブルーバックス 2006.10
―20年にわたる利き手・左利き研究の成果をまとめた本。
(世界)
『「左利き」は天才?―利き手をめぐる脳と進化の謎』デイヴィッド ウォルマン/著 梶山 あゆみ/訳 日本経済新聞社 2006.7
―自身左利きの科学ジャーナリストが、左利きの謎に挑み世界を駆けるサイエンス・ノンフィクション。
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※本稿は、ココログ版『レフティやすおのお茶でっせ』より
「魚に「右利き左利き」 人間の脳解明に期待-MSN産経ニュースから」を転載したものです。
(この記事へのコメント・トラックバックは、転載元『お茶でっせ』のほうにお願い致します。ただし承認制になっていますので、ただちに反映されません。ご了承ください。)
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