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50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

私の読書論177-個性的な本屋の作り方を学ぶ―『美しい本屋さんの間取り』-楽しい読書356号

2023-12-17 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

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2023(令和5)年12月15日号(No.356)
「私の読書論177-個性的な本屋の作り方を学ぶ
―『美しい本屋さんの間取り』から」


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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2023(令和5)年12月15日号(No.356)
「私の読書論177-個性的な本屋の作り方を学ぶ
―『美しい本屋さんの間取り』から」
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 例年では、この12月・1月は、
 その年(または前年)に私が読んだ本の中から、
 リアル系とフィクション系のオススメを紹介する「私のベスト3」を
 お届けしてきましたが、コロナ禍以来読書量が減り、
 今年はリアル系の本をほとんど読んでこなかったので、
 リアル系は一回で済ませそうです。

 そこで今回は、
 リアル系の本の中で二、三冊読んだ本屋さんに関する本から、
 個性的な本屋の作り方を取り上げている本を紹介しながら、
 本屋さんの魅力について考えてみましょう。

 ここ何回か本屋さんに関して書いてきました。
 その総決算という形になればいいのですが……。

2023(令和5)年9月15日号(No.350)
「私の読書論174-消えゆく書店と紙の本」
2023.9.15
私の読書論174-消えゆく書店と紙の本-楽しい読書350号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-f7ab5e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/a65f07da56cc868147fbd49d01c3c4bf

2023(令和5)年10月15日号(No.352)
「私の読書論175-出版業界―または本と本屋のこと」
2023.10.15
私の読書論175-出版業界―または本と本屋のこと-楽しい読書352号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-d8d8ec.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/7b9a38985fcfd574650e4c54eba355c1

2023(令和5)年11月15日号(No.354)
「私の読書論176-読書週間に関する新聞記事から思ったこと」
2023.11.15
私の読書論176-読書週間に関する新聞記事から思ったこと-楽しい読書354号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/11/post-7462e0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d498bde194e54d8e97a5d018d683f607


 (今回の参考書)
『美しい本屋さんの間取り』エクスナレッジ X-Knowledge 2022/12/29



――編集部を辞めて、本屋さんになる! と決めたワニ田さんのために、
 本屋さんの作り方を教えてくれる本。
 実際に営業中の全国の書店の中から個性的な本屋さんを、
 その間取りの平面図も含めて、それぞれの特徴を紹介するとともに、
 本屋さんを開業するために必要なあれやこれやの基礎知識も含めて、
 教えてくれる本。
 Amazonのレヴューにもありますように、
 《開業するかどうかはともかく、自分だったらどんな本屋を作るか
  想像するだけでも楽しいと思います。》
 私も同じように色々考えてみました。そういう本です。

出版社サイトでの紹介情報:内容・概要
https://www.xknowledge.co.jp/book/9784767830957

《この本では、/店内の間取りや本のジャンルの分け方や並べ方、/
 什器や内装に関することから立地の選定、/開業予算の目安、
 クラウドファンディングや/SNSの活用など運営に関することまで、/
 本屋さんにまつわることをまるっと紹介します。/
 また、書店でよく使われる用語解説もイラスト付きで紹介!!/
 これを読めば、本屋さんの全体像がなんとなく分かります。/
 本屋さんに興味のある方や、これから本屋さんをはじめたい
 と考えている方、/「本屋さんってどういうところ?」という方にも/
 目からウロコ満載の、本屋さんワールドを楽しんでいただけましたら
 幸いです。/この本は、「建築知識2020年1月号」の[本屋さん特集]
 を大幅に加筆、再編集したものです。》

 掲載店40店

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 - 私の読書論177 -

  ~ 個性的な本屋の作り方を学ぶ ~

  『美しい本屋さんの間取り』(エクスナレッジ)から
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 ●現物の魅力

本屋さんの魅力といいますと、なによりも、
<思いがけない本との出会いがある>という点でしょう。

欲しい本を買うだけなら、ネットで十分です。
在庫があれば、Amazonなどではホントにすぐに送ってきてくれます。

でも、自分が欲しい本が必ずしも、選んだ本だった、とは限りません。
色々な情報を手にしたうえで吟味して選んだつもりでも、
ホントに自分に合ったものかどうかは、
実際に手に取って読んでみなければ分からないものです。

その点、本屋さんではある程度立ち読みで現物を確認する事もできます。
内容だけではなく、実際の“もの”としての魅力という側面もあり、
自分で納得のいくものに出会えるという点では、
リアルの世界の持つ力は、捨てがたいものがあります。

本屋さんで本を探していると、予定していた本以外にも、
もっと適切な本が見つかることがあります。

さらに、考えてもいなかった本と出会うこともあります。
自分の中にそんな欲望があったのか、と思うような、
異なるジャンルの本との出会いも。


 ●本屋さん開業の夢

最近結構、私は本屋さんに関する本を読んだり見たりしています。
図書館で借りたものですが(本書もそうです)、
『世界の美しい本屋さん』清水玲奈(エクスナレッジ 2015/4/18)とか。

機能的な本屋さんも魅力的ですが、
本の美術館みたいな本屋さんを作ってみたい、という気持ちがあります。
入館料を取るようなですね。で、もちろん本も買える。
見て楽しく、買って嬉しい――そういう本屋さん。

若い頃はホントに色々間取りや選書なども考えたものでした。
実際には何もできませんでしたが。

実際にあるとき、本屋さんが儲かるらしいと聞いた、
他業種のある社長さんからいい出物があるので、
本当にやる気があるのならやってみないか、
と誘われたこともあったのです。

その後、実際に勤めていた本屋さんを辞め、
自分でやってみたいと思ったこともありました。
資金がないので先の社長さんに話すと、
もう遅い! といわれましたが……。


 ●『美しい本屋さんの間取り』主な目次

本書でもワニ田くんが本屋さんをやりたい、というのですが……。

簡単に、目次を見ておきましょう。



序章 本屋さんになりたい(本屋に必要なもの、他)
1章 設え方 来店者を増やす(小さく維持しやすい本屋、安定経営には
 複合型を、特定分野を共有する場に、移動本屋は一期一会、ときめく
 本棚をつくる、立地に合ったファサードを、本屋は内装で勝負する、他
 Qレジの位置はどこに? Qどうする? 万引き対策 他)  
2章 見せ方 美しく本を見せる(本の回転率を上げる書籍の陳列、
 来店者を誘引する並べ方、棚は「本屋の顔」と心得る、独自の企画を
 本屋の強みに、ある本屋さんの一日、他 Qどんなスタイルにするか?
 Q場所はどう選ぶ? Q開業資金に必要なのは? Q経営持続に必要な
 ことは? QSNSの上手な活用法は? 他
3章 基本 知っておきたい基礎知識(本の大きさと重さを知ろう、
 飲食物提供には条件あり 本と流通の仕組み Qどこから仕入れるか?
 Qコロナ禍で変わったことは?) 
用語集 書店の全体像がおおよそわかる(新刊書店、古書店 QSNSの
 使い分けは?)

これが主なところです。

本屋さんに関して、初めての人にも分かる内容という感じです。

本屋のあれこれの知識がどうかということより、この本の醍醐味、
読みどころはなんと言っても、各お店の間取りとその棚構成について、
といった具体的な店内の通路やレジ位置、棚のサイズを含めて、
カラーの図版と写真で説明されている点が光っています。

さすが、建築雑誌の特集記事をもとにした本らしさ満載ですね。

以前、私自身が本屋さん時代に実戦したことも含めて、
私自身の考える売れる本屋へ変える方法を書いてみました。

ここでも当然のごとく、
売れる、人の集まる、そういう本屋の実践例を紹介しています。
目次をご覧になっても分かりますよね。


 ●間取りの図版が楽しい

結論的に言いますと、
タイトルになっている間取りの図版が気に入っています。

各お店の間取りの図版は、
通路や棚のサイズまではきっちりと計測されていて、
さすがに建築雑誌らしく、非常に詳しくて楽しめます。

思わず自分ならどうする? と考えてしまいますね。

小さくても本専門の書店もあれば、複合店もあり、それぞれの立地と
店主さんの目指すものとによって、異なっているのでしょう。

私もジャンルを限って、例えば一つは、
翻訳ミステリとSF、ファンタジーの専門店をやってみたいものです。

美術館的な美しい本屋さんが理想ですね。
ギャラリー的な部分と本が買える本屋さん的な部分がある、
というような。

昔は、東京にミステリ専門店などというものもありましたし、
アニメ関連グッズのお店と併設しているところもありました。

本書では、基本的に小さな本屋さんで、自分のやりたい本屋さんを!
 というものですね。


 ●1章 設え方 来店者を増やす

本書について気になる部分を見ておきましょう。

「1章 設え方 来店者を増やす」では、
まずは「レジの位置」から始まっています。
基本的に一人でやるような小さなお店では、万引き対策も込めて、
全体を見渡せて、かつ個々のお客様とやりとりできる位置が重要です。

安定経営には、やはり複合型を提案しています。
本のみを売るだけでも、新刊のみの店や古本も扱う店があります。
あるいは、専門書店という行き方もあります。
ここでは建築書専門店を例に上げていますが、
児童書や絵本の専門店もあります。

本だけで無く、粗利の高い雑貨も扱うという方法もあります。
粗利でいいますと、やはり飲食店がいいでしょうね。
本屋さんとマッチするものとしては、カフェがよく活用されます。

ファサード、店の表まわりですね、これや内装を工夫する、
ということを書いています。
通りかかるお客様にどれだけお店をアピールできるか、
入店したお客様に居心地良く感じてもらえるか、といった意味合いです。

移動本屋についても書いています。
クルマの後ろに本をのせて売りに行くという、
キッチンカーの本屋さん版ですね。
出店先のテーマと客層で本を選んで持っていく、
ということがポイントになります。

「ときめく本棚をつくる」というのは、選書ではなく、
本棚そのものの体裁――木箱を重ねるとか本箱型ではなく平板だけとか、
平積みや面陳(表紙を見せて立てかけて飾る)等の
平台や棚での本の飾り付け方やポップなどなどのことですね。

お客様の目を惹くようなハード面の魅力の演出の仕方を工夫しよう、
ということです。


 ●2章 見せ方 美しく本を見せる

「棚は「本屋の顔」と心得る」とあります。
これは非常に大事なことだと思っています。
私が本屋さん時代は、とにかく、毎日「顔」――
店頭の一番目立つ部分――に変化を持たせるように心掛けていました。
雑誌は毎日のように新しい号が出て来るものです。
その日に出たものを中心に店頭を飾っていくようにしました。
もちろん、雑誌にも序列があります。
昨日出た雑誌の方が序列が上位(より売れているもの)であれば、
動かせません。
しかし、そうでなければ、常に同じ顔ではなく、
「今日はこれだ!」というものを全面に打ち出していくことが重要です。

「来店者を誘引する並べ方」、これは正味本の並べ方です。
お客様の探している本がすぐに見つけられる陳列法ですね。

出版社別とか、文芸書や人文書や実用書といったジャンル別、
生き方だと愛だとかそれぞれのテーマ別とか。

「独自の企画を本屋の強みに」では、
出版社の用意したフェアをやるとか、
書店のオリジナル・フェアをやるとか、
イベントをやるとか――よくあるのは作家さんのサイン会とかです。
雑貨を取り扱っている場合は、
新商品と連動でテーマにあった本を並べるとか。

「ある本屋さんの一日」とか、Qどんなスタイルにするか?
 Q場所はどう選ぶ? Q開業資金に必要なのは?
 Q経営持続に必要なことは? QSNSの上手な活用法は? 
といったクエスチョンとその答えは、開業の参考になるでしょう。


 ●3章 基本 知っておきたい基礎知識

「本と流通の仕組み」 Qどこから仕入れるか? 「用語集」などは、
<書店の全体像がおおよそわかる>とある通り、
2章の後半の部分ともども、
本屋さんのだいたいのイメージが理解できるようになっています。

「Qコロナ禍で変わったことは?」「SNSの使い分け方は?」などは、
私のころにはなかったことでもあり、いかにも今風な部分です。
ネットを使った販売も増えている昨今を反映しています。

SNSに関しては、今日、お店の宣伝には不可欠の要素であり、
これをいかに駆使できるかどうかが、新規のお客様を開拓する、
店のリピーターを増やす、店を支持してくださる固定客をつかむ、
集客の面で商売の生命線を握っている、ともいえそうです。


 ●本書が見せてくれる自分の本屋さんの夢

総合的にみて本書は、とにかく本屋さんをやりたい、という人に
勇気を与えてくれるような本になっている、ということです。

もちろんこれだけで即本屋さんがやれるというわけではありませんが、
大いに参考になるし、事前に準備するべきことを、
かなり現実に沿って考察できる本になっていると感じました。

また、自分だけの本屋さんを妄想する、
という楽しみ方ができる本でもあります。

この点だけは、絶対的に実現できます。

私も自分なりに図面を引いて、本を並べてみたいものです。

みなさんも、自分なりのこうありたいというお店の図面を描いて、
自分の売りたい本の選書とその飾り方を空想するのも一興でしょう。

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本誌では、「私の読書論177-個性的な本屋の作り方を学ぶ―『美しい本屋さんの間取り』から」と題して、今回も全文転載紹介です。

本文でも書いていますが、ここ3回続けて、ホント本屋さんについて書いてきました。
そのまとめというほどではないのですが、<私の本屋さん>の夢を描くことができる本を見つけましたので、それについて書いてみました。

実際に、本屋さんをやりたい人はもちろん役に立ちますが、現実の本屋さんの経営はむずかしい時代になっていますので、実際にやるのは大変ですが「夢を見たい」という人には、絶対オススメの本です。

私もたっぷり楽しんでみたいと思っています。

 ・・・

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『レフティやすおのお茶でっせ』
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
私の読書論177-個性的な本屋の作り方を学ぶ―『美しい本屋さんの間取り』-楽しい読書356号
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