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中国の古典編―漢詩を読んでみよう(22)西晋時代の文学者-楽しい読書343号

2023-06-01 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

2023(令和5)年5月31日号(No.343)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(23)西晋時代の文学者」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2023(令和5)年5月31日号(No.343)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(23)西晋時代の文学者」
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 「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」23回目です。

 今回は、西晋の時代を代表する文学者・政治家を取り上げます。


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◆ 西晋時代の文学者・政治家たち ◆

 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(23)

  ~ 張華「情詩五首」其の二――男性から女性へ愛情を述べる詩 ~
  ~ 左思「嬌女の詩一首」――子供の本来の姿を示す詩 ~

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今回の参考文献――

『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
「七、それぞれの個性――西晋の詩人」より


 ●張華(ちょうか)

魏末から西晋の始めにかけて、
詩人で政治家だった張華(ちょうか 232-300)は、
筋の通った生き方をした。

これまでの知識人の生き方としては、
「竹林の七賢」のように、体制を避けて言論を続けた人たち、
権力の内部に入って人生を全うした人たちの二通りでした。

張華は、その度血あらでもなく、最もむずかしい道を歩いた。
混乱する王朝を正しい満ちに引き戻し、保とうと行動したのです。
貧しい家の出身ながら、勉強熱心で郷里の人たちに推薦され中央に出、
阮籍に認められ、名声を上げました。

西晋王朝(51年)となり、
初代司馬炎が亡くなると、混乱が起き、勢力を伸ばした外戚同士が争い、
他の王族も加わり、「八王の乱」に発展。

二大恵帝の大叔父、司馬倫が王朝を簒奪する計画を立て、
宰相となった張華を味方に引き入れようとするが、
拒絶した彼は司馬倫のクーデター決行後、一族もろとも殺されました。


 ●張華「情詩五首」其の二

情詩五首   情詩五首   張華

 其二     其の二

明月曜清影  明月(めいげつ) 清景(せいけい)を曜(かがや)かし
曨光照玄墀  曨光(ろうこう) 玄墀(げんち)を照(て)らす
幽人守静夜  幽人(ゆうじん) 静夜(せいや)を守(まも)り
廻身入空帷  身(み)を廻(めぐ)らして空帷(くうい)に入(い)る

 明るい月がさわやかな光を輝かせ
 その月のおぼろな光が玄墀をぼんやりと照らし出している
 ひっそりと寂しく暮らす私はこの静かな夜をじっと過ごし
 やがて身を翻し、誰もいないとばりの中に入った


束帯俟将朝  束帯(そくたい)して
        将(まさ)に朝(ちよう)せんとするを俟(ま)ち
廓落晨星稀  廓落(かくらく)として晨星(しんせい)稀(まれ)なり
寐仮交精爽  寐仮(びか) 精爽(せいそう)交(まじ)はり
覿我佳人姿  我(わ)が佳人(かじん)の姿(すがた)に覿(あ)ふ

 私は身なりを整えて朝廷に行く時間が来るのを待っている
 広がる夜空に明け方の星がまばらに見える
 私はふとうつらうつらしてしまい、魂が交流して、妻の姿を目にした 
 

巧笑媚権靨  巧笑(こうしよう) 権靨(けんよう)媚(みめよ)く
聯娟眸与眉  聯娟(れんけん)たり 眸(ひとみ)と眉(まゆ)と
寤言増長歎  寤言(ごげん) 長歎(ちようたん)を増(ま)し
悽然心独悲  悽然(せいぜん)として
        心(こころ) 独(ひと)り悲(かな)しむ  

 美しい微笑み、頬のえくぼもうるわしく、
 形よく並んでいる瞳と眉
 はっと目覚めてつい妻に話しかけてしまい、深い歎きはますます募る
 私の痛んだ心はひとえに悲しみに沈むばかりであった

 ・・・

「情詩五首」は五首の連作で、設定は、
ある作品は旅をしている夫から、別の作品では留守を守る妻から、
というふうに、単身赴任か何かで生き別れの夫婦の往復書簡のような形。
「其の二」は、夫が主語になっていて、奥さんを思いやる詩です。

第一段では、秋の夜、眠れぬまま外の景色を眺めていると、
明け方になります。

「玄墀(げんち)」とは、「玄」は“黒く塗った”の意で
「黒く塗った(階段の)たたき」、もしくは「暗く貸すんだたたき」。
夜明けのぼんやりした風景を指すといいます。

「幽人(ゆうじん)」は、隠者を指すことが多いのですが、ここでは
“ひっそりと暮らす私”。
都で官職に就いている設定で、奥さんと離れている心境をいいます。

第二段では、出勤の支度をします。
中国では朝が早く、星が見えるうちから出勤したそうです。
「寐仮(びか)」は、うたた寝、仮眠。「精爽(せいそう)」は、魂。

第三段は、夢に現れた妻を再現、目覚めたあとの悲しみで結びます。
「巧笑(こうしよう)」は、
「巧」は日本語では作り笑いのような感じですが、
美しい微笑み、“魅力的な微笑み”のこと。
「権靨(けんよう)」は、「権」が頬、えくぼのこと。
「寤言(ごげん)」は、目が覚めて話しかけること。

張華(ちょうか)の詩風は、このように

 《「女性や子どものような、繊細でやわらかい感情表現が多く、
  天下国家を論ずる豪快な気分は少ない」(『詩品』)
  と評せられています。》p.270

彼は大勢の配下を持つ結社のリーダーで、
そのような立場で天下国家について論じる詩を発表して睨まれれば、
グループのメンバーもころされる可能性がある。
そのため、こういう方向に進まざるをえなかったのではないか。

あるいは、権力争いの醜さを見てきており、
詩の世界に持ち込む気になれなかったのかもしれない、
という宇野さんの解説。

《ますらおぶりではなく、たおやめぶりの詩》で、

 《張華が開拓したこの“男性から女性へ愛情を述べる詩”は、
  以後、脈々と受け継がれて近代まで作られ続けます。
  愛の大切さを目覚めさせた、そういう点では画期的です。》
   pp.270-271

怪談話が好きで、巷に伝わる話を集め、『博物誌』という書物を編集し、
それがきっかけに西晋から東晋にかけて、怪奇小説が流行したといい、
そういう面でも影響を与えた人だったそうです。


 ●左思(250?-305)――寒士(かんし)の一分
 
「寒士(かんし)」とは、“身分や境遇に恵まれない男”の意味。
左思はまさにそういう人で、西晋時代、張華に抜擢され、洛陽に上る。
出身は山東省で、孔子の故郷で、代々儒教をおさめる家柄でした。

当時、知識人が社会的名誉を得ようとすると、才知だけではなく、
血筋、財産、そして容貌が重要でした。
左思にはそれらが欠けていました。
自分にあるのは才知だけ、それで勝負しよう、と決意します。

しかし、官職に恵まれることはありませんでした。
最後には隠居し、政治の場から距離を置いたため、
他の人のように殺されることもなく、亡くなりました。

そういう立場ですので、政治的な配慮をすることもなく、
興味あるものを素直に詩に作ることができた、といいます。

本来の詩人の眼でものを見て、詩を作って生きられたのです。

 ・・・

次に紹介します「嬌女の詩一首」は、
自分の二人の娘を主人公にした長い詩で、
他の詩人たちとは違う左思の特異な位置がわかる詩だ、といいます。

中国では伝統的な社会通念として、子供は未完成の存在で、
早く成長して一人前になるべきものとされ、
正面から子供を詩に取り上げることはないのだ、というのです。

一方で、貴族社会では神童を重んじた、といいます。
そういう神童の噂も聞いていたのだろう左思は、
そういう風潮への反発から、
 《“子どもは本来そういうものじゃない、
  もっと本質をよく見るべきだ”という皮肉な視点で、
  自分の娘を主人公にこの詩を作ったのかもしれません。》p.295

 《三段落に分かれ、まずは妹のあどけない発言や動作を描写し、
  途中から姉のようすに移り、最後は二人のやんちゃで
  元気いっぱいの振る舞いを描いて結びます。》同


 ●左思「嬌女(きょうじょ)の詩一首」――妹娘

嬌女詩一首  嬌女(きょうじょ)の詩一首  左思  

吾家有嬌女  吾(わ)が家(いへ)に嬌女(きようじよ)有(あ)り
皎皎頗白晳  皎皎(きようきよう)として頗(すこぶ)る白晳(はくせき)  
小字為紈素  小字(しようじ)を紈素(がんそ)と為(な)し
口歯自清歴  口歯(こうし) 自(おのづか)ら清歴(せいれき)

 私の家には可愛い娘がいる
 つやつや光るように瑞々しい、まことに白い肌をしている
 愛称は“お絹ちゃん”という
 彼女の口元も歯もすっきりしている


鬢髮覆広額  鬢髮(びんぱつ) 広額(こうがく)覆(おお)い
双耳似連璧  双耳(そうじ) 連璧(れんぺき)に似(に)たり    
明朝弄梳台  明朝(みようちよう) 梳台(そだい)を弄(ろう)し
黛眉類掃跡  黛眉(たいび) 掃跡(そうせき)を類(るい)す

 この娘の髪は広い額をおおっている
 左右の耳は二つの璧(へき)をつけたようである
 明るい朝はお化粧台をいじくる
 黛を塗った眉は、なんだか箒で払ったように見える


濃朱衍丹脣  濃朱(のうしゆ) 丹脣(たんしん)に衍(えん)し
黄吻瀾漫赤  黄吻(こうふん) 瀾漫(らんまん)として赤(あか)し    
嬌語若連瑣  嬌語(きようご) 連瑣(れんさ)の若(ごと)く
忿速乃明㦎  忿速(ふんそく) 乃(すなは)ち明㦎(めいかく)なり

 濃い口紅が赤い唇からはみ出すように塗られ、
 おかげで小さなお口はべったりと赤くなってしまった
 可愛い舌足らずのお喋りは次から次へと止まらない
 怒って早口でまくし立てることがあるが、
  その時もなかなかどうしてきっぱりと歯切れがいいではないか


握筆利彤管  筆(ふで)を握(にぎ)つて彤管(とうかん)を利(り)とするも
篆刻未期益  篆刻(てんこく)は未(いま)だ益(えき)を期(き)せず   
執書愛綈素  書(しよ)を執(と)りて綈素(ていそ)を愛(あい)し
誦習矜所獲  誦習(しようしゆう) 獲(う)る所(ところ)を矜(ほこ)る

 彼女は筆を手にする時、赤いのがいいわと言う
 しかし篆刻にはまだ面白みは期待できないらしい
 本を手に取ると、綈素が気に入ってしまう
 朗読、諳誦のお稽古をすると、できたことを大喜びする

 ・・・

ここまでが妹娘の描写――「嬌女」の「嬌」は中国では、
“艶めかしい、色っぽい”の意味はなく、可愛らしく、愛くるしいこと。
化粧のまねごとをしたり、習字と読書のまねごとをする幼女を描きます。

後世、杜甫が長編詩「北征」で、
娘がお化粧などするようすを描いている、といいます。
左思のこの詩を読んだのではないか、と宇野さんの解説。


 ●左思「嬌女(きょうじょ)の詩一首」――姉娘

其姉字恵芳  其(そ)の姉(あね) 字(あざな)は恵芳(けいほう)
面目燦如画  面目(めんもく) 燦(さん)として画(ゑが)く如(ごと)し
軽妝喜楼辺  軽妝(けいしよう) 楼辺(ろうへん)を喜(この)み
臨鏡忘紡績  鏡(かがみ)に臨(のぞ)んで紡績(ぼうせき)を忘(わす)る

 さてお姉さんは、字を恵芳という
 目鼻立ちは華やかで、絵に描いたようである
 軽いお化粧をして、二回の窓辺にいるのを好む
 鏡にじっと見入ったまま、糸を紡ぐお手伝いのことも忘れるほどである


挙觶擬京兆  觶(し)を挙(あ)げて京兆(けいちよう)を擬(ぎ)し
立的成復易  的(まと)を立(た)つるに 成(な)りて復(ま)た易(か)ふ
玩弄眉頰間  玩弄(がんろう)す 眉頰(びきよう)の間(かん)
劇兼機杼役  劇(はげ)しきこと 機杼(きちよ)の役(えき)を兼(か)ぬ

 彼女は杯を挙げ、将来の優しい旦那様との乾杯を心に描く
 つけぼくろをするのに、つけたと思うとまた移し変える
 眉や頬の辺りでしきりにつけかえ、
 手がせわしなく動くようすは
  機織りをしているのかと見間違えるほどである


従容好趙舞  従容(しようよう)として趙舞(ちようぶ)を好(この)み
延袖象飛翮  袖(そで)を延(の)べて飛翮(ひかく)に象(かた)どる
上下絃柱際  絃柱(げんちゆう)を上下(じようげ)するの際(さい)
文史輒巻襞  文史(ぶんし) 輒(すなは)ち巻襞(けんぺき)す

 ゆったりと構えて趙の国の踊りを好んでお稽古する
 服の袖を広げてばたばたさせ、飛ぶ鳥の真似をする
 ことじをあちこち動かして琴を弾いていると、
 前に置いてある譜面に袖が振れ、そのたびに丸まったり捲れたりする


顧眄屏風画  顧眄(こべん)す 屏風(びようぶ)の画(ゑ)
如見已指擿  如(も)し見(み)なば已(すで)に指擿(してき)す
丹青日塵闇  丹青(たんせい) 日(ひ)に塵闇(じんあん)
明義為隠頤  明義(めいぎ) 為(ため)に隠頤(いんさく)す

 彼女は絵屏風を見渡し、
 お気に入りの図案が目に入るとすぐに指でなぞる
 そのため、きれいな色使いで描いてある絵も日毎に汚れてしまう
 絵のはっきりとした図柄が、そのために隠れてわからなくなる

 ・・・

姉娘もお化粧が好きで、お手伝いも忘れるほどといいながらも、
踊りや琴の稽古もしています。
絵も好きで触りまくるので、汚れてしまうというほど。

「京兆」には有名な故事があって、
前漢の長官(京兆尹(けいちょういん))だった張敞(ちょうしょう)は
大変な愛妻家で、奥さんの眉を描いてあげたという。
「京兆」というだけで夫婦や男女の仲のいいたとえになる、といいます。
下の娘が4つか5つで、故知あらは7つか8つだろう、と。


 ●左思「嬌女(きょうじょ)の詩一首」――姉妹

馳騖翔園林  馳騖(ちぶ) 園林(えんりん)に翔(かけ)り
菓下皆生摘 菓下(かか) 皆(みな) 生摘(せいてき)す    
紅葩掇紫蔕  紅葩(こうは) 紫蔕(してい)を掇(と)り
萍実驟抵擲  萍実(ひようじつ) 驟(には)かに抵擲(ていてき)す

 二人は外へ出て走り出し、庭の木立の間を飛ぶように駈け抜けて行く
 果樹の下ではいつも青いまま実をつみとってしまう
 赤い花びら、木の実の赤茶色のへたをつみとったり、
 林檎の実を放り投げたりして遊ぶ


貪走風雨中  貪(むさぼ)り走(はし)る 風雨(ふうう)の中(うち)
眒忽数百適  眒忽(しんこつ) 数百(すうひやく)適(せき)  
務躡霜雪戯  務(つと)めて霜雪(そうせつ)を躡(ふ)んで戯(たはむ)れ
重綦常累積  重綦(ちようき) 常(つね)に累積(るいせき)す

 風雨の中でも飽きずに走り回り、
 あっという間に何百回も行き来したかと思うほど
 霜柱や雪を見つけると、ここぞと踏んで遊ぶ
 二人の重なった足跡が、そういう冬の日にはあちこちに残される


并心注肴饌  并心(へいしん) 肴饌(こうせん)に注(そそ)ぎ
端坐理盤槅  端坐(たんざ) 盤槅(ばんかく)を理(をさ)む
翰墨戢函按  翰墨(かんぼく) 函(はこ)に戢(をさ)めて按(あん)じ
相与数離逖  相与(あいとも)に 数々(しばしば)離逖(りてき)す

 二人は心を合わせてご馳走に向かい、
 お行儀よく席について大皿の果物をきれいに並べ直す
 炭や筆を箱に入れて、撫でたり触ったりする
 ところが二人一緒にときどき逃げていったりする


動為罏鉦屈  動(やや)もすれば罏鉦(ろしよう)の為(ため)に屈(くつ)し
屣履任之適  屣履(しり) 之(これ)が適(ゆ)くに任(まか)す
止為茶 菽拠  止(ただ) 荼せんの為(ため)に拠(きよ)し
吹噓対鼎䥶  吹噓(すいきよ) 鼎䥶(ていれき)対(たい)す

 しばしば法事には我慢できなくなり、
 靴をひきずって気儘にどこかへ行ってしまう
 ただしお茶をたてる時はじっとかしこまって
 息をふうふう吹いて茶釜に向かう


脂膩漫白袖  脂膩(しじ) 白袖(はくしゆう)に漫(まん)たり
煙薫染阿錫  煙薫(えんくん) 阿錫(あせき)を染(そ)む
衣被皆重地  衣被(いひ) 皆(みな) 重地(ちようち)
難与次水碧  与(とも)に水碧(すいへき)を次(なら)べ難(がた)し

 油のしみが白い袖に広がり、
 煤が上等な絹の服について取れない
 彼女たちの着物はみんな、縁取りがついている
 水晶玉も一緒に飾りたいなあと言うけれど、それはちょっと難しいぞ


任其孺子意  其(そ)の孺子(じゆし)の意(い)を任(ほしいまま)にするも
羞受長者責  長者(ちようじや)の責(せき)を受(う)くるを羞(は)づ
瞥聞当与杖  当(まさ)に杖(つえ)を与(あた)へらるべしと
        瞥聞(べつぶん)すれば
掩涙俱向壁  涙(なみだ)を掩(おほ)うて
        俱(とも)に壁(かべ)に向(むか)ふ

 二人はそういう子どもらしい心を縦横に発揮する
 目上の人に叱られるのは恥ずかしい
 “お尻ぱちんだぞ”と耳にすると、
 涙を浮かべ、揃って壁の方を向いてしゅんとしてしまう

 ・・・

最後は、二人して遊び回るようすを描いています。

江原正士さんの問いかけ――《いやあ、可愛いですねえ。
  左思さんは娘たちを愛していたんでしょうねえ。》

宇野さんの答え――《愛情の賜物といった感じがします。
  決して神童ではないですね。少し後に、陶淵明が
  “我が子らはみんな出来が悪い”といった詩(「子を責(せ)む」)
  を作っていて、それも愛情の裏返しに思えます。》

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(23)西晋時代の文学者」と題して、今回も全文転載紹介です。

西晋時代の文学者・政治家から、張華「情詩五首」其の二――男性から女性へ愛情を述べる詩と、左思「嬌女の詩一首」――子供の本来の姿を示す詩、という二つの気になった人とその詩を紹介しています。

張華「情詩五首」其の二は、夫から妻への詩です。
左思の「嬌女の詩一首」は、子供本来の可愛い姿を描く内容でした。
どちらも、いつの時代の人であっても変わらぬ思いであり、その姿かもしれません。

 ・・・

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