2018.11.15(木)
11月3日、奇祭「狐の嫁入り」の1シーン
最近読んだ本。記載するのは今回で15回目、評価を付けるのも気が引けるが、最も面白く読んだものは☆5つである。
『火星に住むつもりかい?』 伊坂幸太郎著 光文社文庫 評価☆☆☆☆ ’18年9月7日読了
寸評:この小説の起承転結の起の100頁程度は不快感で嘔吐が出そうだった。尤も、サディスティックで猟奇趣味の方なら面白いかも知れないが、私には合わない。そこがまた著者の狙いだが、私などはまんまと嵌められた口かも知れない。物語は、警察庁の平和警察と呼ばれる他部署より一段上の組織が、安全地帯に指定された都市に潜む危険な人間を取り締まる。テロ行為などに関係するという理由で、一般人を危険人物にでっち上げ、公開処刑(広場でギロチン)するのだ。ディストピアへと変わった日本、まるで魔女狩りである。魔女は拷問の末殺される運命にあるが、この平和警察も全く同じ手法を取る。しかしそこへ正義の味方が現れる。後は著者特有の緻密に張り巡らされた伏線を鮮やかに回収していくという展開だ。
『憧れのまほうつかい』 さくらももこ著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’18年9月7日読了
寸評:先日著者が亡くなったが、私はTVまんがの「ちびまる子ちゃん」しか知らなかった。世間並には知っておこうと著書を読むことにしたが、さくらももこを読むのなら最初は「もものかんずめ」だとこれもTVで言っていた。しかし寄った本屋さんにその本が無かったので、違う本を買った次第である。ル・カインに憧れて、彼の死後にイギリスに彼の足跡を辿ったエッセイである。この本でも著者を知るには充分だと思った。3時間程度で一気読み。
『消えた江戸300藩の謎』 八幡和朗著 イースト新書Q 評価☆☆☆☆ ’18年9月14日読了
寸評:関ケ原の戦い直前から幕末明治維新までの270年間を通じて、大名家の興亡を記載している。その間、何と600家もの大名が居たが、明治維新の時点で残った大名家は261家だった。関ケ原の戦いで負けて取り潰された大名、徳川幕府になってから、築城、城の移転で消えた大名、反乱の疑いで取り潰された大名、松平・徳川一族のお家の事情で消えた大名、お家騒動、大人の事情で消えた大名、セクハラ、パワハラ、スキャンダルで消えた大名、後継者が確保できずに消えた大名など様々である。幕末に藩主自ら脱藩して消えた大名もいるのには驚いた。
10月28日、徳山港祭り会場
『星々の舟』 村山由佳著 文春文庫 評価☆☆☆ ’18年9月24日読了
寸評:短編連作小説で第129回直木賞受賞作である。著者の作品は純文学のようにも思えるが、近年の作品はジャンル分けが難しいものが多い。本作はある6人家族とその孫の計7人がそれぞれの短篇の主人公となり、それぞれが見えない線で繋がり絡み合う。先妻の子、後妻の連れ子、後妻の子などと兄弟も色々であるが、禁断の恋に悩む兄弟、他人の恋人ばかりを好きになってしまう末妹、居場所を探す団塊世代の長兄、そして戦争の傷跡を抱える父、愛とは、家族とは何かを問う。しかし正直言って、著者の文章は吐き気を催すものや、気分が悪くなるものが多い。途中で投げ出したくなるが、それでもついつい読み進めてしまう。それは最終的には一筋の光明も見えて来るからであろう。あまりお勧めできない。
『東洋ごろごろ膝栗毛』 群ようこ著 新潮文庫 評価☆☆☆☆ ’18年9月26日読了
寸評:新潮文庫の編集者等との旅行記。アジア紀行第3弾で今回は台湾編、北京編の2編である。まあ、食事と買い物が主なテーマになっており、著者は全く役に立たない旅行記と言うが、そんなことはない、多分。経費は出版社持ちだろうから、飛行機はビジネスクラス、ホテルも一流、結構贅沢三昧の旅行記のようだ。羨ましいかぎりである。
『山口県謎解き散歩』 古川薫編著 新人物文庫 評価☆☆☆☆ ’18年9月28日読了
寸評:知れば知るほど興味深い"長州・周防”の歴史と風土。下関在住の直木賞作家古川薫の編著である。第1章は山口県のエリート連鎖型の県民性、有名人、9人の歴代総理、グルメ、ランキング、第2章は源平合戦、幕末・明治維新編、第3章は古代・中世の歴史編、第4章は近世・近代の歴史編、第5章は人物編、第6章は産業・自然・地理編、第7章は文学・民族・その他の謎・ふしぎ編で構成されている。地元でありながら初めて知ったことも多かった。
何時かはカレイ釣行してみたい防府市佐波川河口
『トイレで笑える雑学の本』 プランニングOM(オム)編 講談社+α文庫 評価☆☆☆☆ ’18年10月4日読了
寸評:人間はトイレを持つサルである。人類誕生とともにスタートしたトイレ。食べるから出る。当然トイレが必要となるが、そのトイレ、トイレの歴史は人類の歴史である。クレオパトラもモーツアルトも、西欧諸国の王族も宮殿も、お姫様も将軍もお城も、はたまた江戸の街も、トイレの歴史や凄まじい。トイレの蘊蓄が100話満載。これは笑える!
『太閤のレガリア』 川村隆一郎著 文芸社文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年10月10日読了
寸評:豊臣秀吉の立志伝については枚挙にいとまないが、秀吉の幼年期については殆ど語られない。また母親である大政所については沢山の情報があるが、実父については殆ど語られない。その訳がこの本で明らかにされる。小田原遠征が終わって大坂への帰路、秀吉は生まれ故郷の尾張の中村郷に立ち寄る。語り部、中村の邑長星野十郎太郎佐(秀吉の従兄弟)によって、秀吉の実父中村弥右衛門や母親なか、養父竹阿弥についての、秀吉も知らない驚愕の事実が語られる。決して他言無用の事実である。
『日本の血脈』 石井妙子著 文春文庫 評価☆☆☆☆ ’18年10月17日読了
寸評:月刊「文芸春秋」に2011年2月号から2012年12月号まで「現代の家系」のタイトルで隔月連載した原稿に若干筆を加えたものの文庫化である。当時の話題の人が題材になったようで、小泉進次郎、香川照之、中島みゆき、堤康次郎、小沢一郎、谷垣禎一、オノ・ヨーコ、小澤征爾、秋篠宮紀子妃、美智子皇后の10家についてである。取り上げられた本人よりもその先祖や家族である無名の人々の人生に深い感銘を受けるものが多い。先祖が立派だからと言って、立派な人物が生まれるとは限らない。しかし、人の思いの集大成が人を作る。人は1代で作られるものではないとの思いを強くした。親子代々の連続性を無視することはできないのである。
投稿写真、生憎の天候だったようだが、一生の内に一度は行っておきたい観光名所の上位にランクする豊北町の角島
『片思い』 東野圭吾著 文春文庫 評価☆☆☆☆☆ ’18年10月23日読了
寸評:戸籍も女性で外見も誰が見ても女性にしか見えず、本人の意識も女性なのにセックスチェック(PCR法) によって女性では無いと判断される例がある。検査の基本はY染色体を持っているかどうかを調べるが、現実にはY染色体を持つ女性が存在する。精巣性女性化症と性腺形成異常症という2つのタイプがある。染色体はXYだが体型的には完全に女性となる。また外見は女性だが心は男、或いはその逆(グラデーション、メビウスの帯)、所謂性同一性障害の問題を取り上げる。殺人事件をきっかけに性同一性障害者と更に秘密組織による戸籍交換に迫る。そしてそれは過ぎ去った青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描くミステリーである。
『考証 武家奇談』 稲垣史生著 時事通信社 評価☆☆☆☆☆ ’18年10月31日読了
寸評:約40年前の著書、偶然か必然か手にした。雑誌「武道」に連載し、武士道の伝統美と磨かれた国民性の美しさを描こうとしたもの。一切ノンフィクションで史実を主軸にしてある。間違いだらけのTVドラマ(特に公共局のNHK)により武家の実像が歪められていることを指摘。時代考証の第一人者が、将軍綱吉の側近牧野備後守の妻女と娘の悲劇、服部半蔵の家康嫡男信康隠し、御用屋敷と御土居下同心の役割、笠森お仙の実像、暴君足利義教暗殺秘話、日本版王昭君の哀話等々、武家社会に起こった様々な事件の謎について俗説、巷説を質し、資料を渉猟し真相に肉薄する興趣溢れる歴史書である。
【11月15日過去の釣行記録】
・1997年笠戸島周辺、06:30~11:00、船釣り、大潮、釣果=アジ・メバル・メイボ・アコウ・マダイ・クロ等
・2006年華西・居守・大原防波堤、19:00~21:10、長潮、釣果=ボウズ
・2008年徳山築港、06:15~11:30、中潮、釣果=カレイ4・ハゼ3・キス3
・2008年晴海埠頭、18:00~20:00、中潮、釣果=メバル2・アジ10
・2014年徳山築港、06:30~11:00、小潮、釣果=カレイ2・キス5・ハゼ3・キビレ1R
【この日の釣り情報】
・2004年新日鉄波止場、釣果=11月中旬から12月中旬まで30~40cmカレイ
・2013年徳山築港入口、16時~、中潮、釣果=25cm級アジ入れ食い
・2015年徳山築港、05:50~10:00、中潮、釣果=カレイ5・キス1・アナゴ1・キビレ1
【旧暦10月8日釣行記録】
・2002年11月12日、福川港波止、14:00~15:00、小潮、釣果=30cmサヨリ10
・2004年11月19日、上関港防波堤、昼間、小潮、釣果=35cmカレイ1
・2008年11月05日、大島大原、18:30~20:00、小潮、釣果=
・2014年11月29日、洲鼻港防波堤、06:20~11:20、小潮、釣果=キス3・チダイ1・アナゴ1R
・2014年11月29日、新日鉄波止場、06:00~17:00、小潮、釣果=キス35・小ダイ6
・2017年11月25日、徳山築港、06:20~12:20、小潮、釣果=カレイ4・ハゼ2・イイダコ1・小ダイ1・メゴチ2R
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