モーツァルト:アリア集
歌劇「ルチオ・ルッラ」(K.165)より
モテット「エクスルターテ・イゥビラーテ」
アリア「だれにわかるの」(K.582)
アリア「私は行く、でも、どこへ?」(K.583)
歌劇「フィガロの結婚」(K.492)より
アリア「自分で自分が分らない」
アリア「恋とはどんなものかしら」
レチタティーヴォとアリア「とうとうその時が来た―早くきてあなた」
歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(K.527)より
アリア「ぶってよ、マゼット」
アリア「恋人よ、さあこの薬で」
歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」(K.588)より
レチタティーヴォとアリア
「恥知らずな人たちよ、ここを出て下さい―岩のように」
モーツァルト:歌曲集
にこやかに、心の静けさが
鳥たちよ、おまえたちは毎年
淋しい暗い森の中を
小さな糸紡ぎ娘
ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いた時
ラウラに寄せる夕べの想い
子供の遊び
老婆
内緒ごと
すみれ
魔法使い
春
満足
夢の姿
別れの歌
クローエに
春への憧れ
ソプラノ:エリー・アーメリング
指揮:レイモンド・レパード
エド・デ・ワールト
管弦楽:イギリス室内管弦楽団
ピアノ:ダルトン・ボールドウィン
LP:日本フォノグラフ(フィリップスレコード) PC‐5623~24
エリー・アーメリング(1933年生まれ)は、オランダ出身のリリック・ソプラノ歌手。主にリート歌手として国際的な演奏活動を続けたが、1996年に引退した。通常、多くの歌手はオペラ歌手が本業で、その合間でリート歌手を務めるという活動形態をとる。ところがエリー・アーメリングだけはその逆で、本業がリート歌手であり、その実績が認められ、オペラにも登場したという珍しいケースに当る。その歌声は可憐そのもので、“これぞソプラノ”といった趣の歌唱ぶりであった。そんな透明感溢れるエリー・アーメリングの歌声が、モーツァルトのオペラのアリアとリートが1枚づつの2枚組のLPレコードに収められた、エリー・アーメリングファンにとってはこの上ない贈り物のLPレコードだ。アーメリングの音質は、ヴィブラートの少ない透明なことが特徴で、その愛らしい歌声で幅広い聴衆を獲得した。レパートリーは幅広く、ドイツ・リート以外に、フランスの歌曲、アメリカの歌曲のほか、山田耕筰や中田喜直などの歌を日本語で歌ったほど。しかし、やはり得意としたのは、バッハのカンタータやモーツァルトやシューマンのリートであり、これらの録音を多く遺している。現在は、世界各地で公開講座は開催しているものの、既に引退しており、遺された録音でしかエリー・アーメリングの歌声は聴けない。その意味でも、モーツァルトのアリアとリートを網羅した、このLPレコードは貴重な存在だ。1枚目には、オーケストラ伴奏でモーツァルトのアリア集が収められている。モーツァルトにとって生涯思い描いていたのは、オペラのヒット作をつくることであった。オペラの名作を書いたモーツァルトであったが、彼の生前にはかなえられたとは言えなかった。そんなモーツァルトのオペラのアリアを歌うエリー・アーメリングであるが、これがまた聴き応えある録音となっている。リート専門のソプラノが、ここまでアリアを歌い切るとは驚きだ。オペラ専門のソプラノと少しも遜色がないばかりか、澄んだ歌声がモーツァルトのアリアに何と似合うものかと感心しながら聴き込むことになる。モーツァルトのリート集は、“本業”だけあって、曲の本質を突いた可憐な歌声に酔わされる。ソプラノのエリー・アーメリングは、オランダ、ロッテルダム出身。オペラにも出演したが、主にリート歌手として国際的な演奏活動を続けた。1996年に引退。(LPC)