★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇バックハウスとカンテルリ指揮ニューヨーク・フィルのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番(ライヴ録音)

2022-12-15 10:06:29 | 協奏曲(ピアノ)


ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番

ピアノ:ヴィルヘルム・バックハウス

指揮:グィード・カンテルリ

管弦楽:ニューヨーク・フィルハーモニック

録音:1956年3月18日、ニューヨーク(ライヴ録音)

発売:1980年

LP:キングレコード(Cetra) SLM5012

 ヴィルヘルム・バックハウス(1884年―1969年)は、ドイツ生まれの大ピアニスト。ニックネームは“鍵盤の獅子王”。この名の通り卓越した演奏技法と堂々としたスケールの大きなピアノ演奏は、当時一世を風靡した。ベートーヴェンなどドイツ・オーストリア系の作曲家の作品では、圧倒的名演を聴かせる反面、武骨ともいえるその演奏スタイルが功を奏しない曲もあった。指揮のグィード・カンテルリ(1920年―1956年)は、36歳で飛行機事故で亡くなったイタリア出身の天才指揮者。あのトスカニーニをして「自分と同じような指揮をする」と評さしめたことは有名な話。その類まれなる才気活発な指揮ぶりは、このLPレコードからも聴き取れる。これは、そんな2人が共演したベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番をライヴ録音したLPレコードである。この曲は、ベートーヴェンの協奏曲には珍しく、優雅で、内省的な曲想が特徴で、逆にそれがために根強い人気を誇る作品。バックハウスは、この曲の特徴を最大限に発揮させており、内面から滲み出るような力強いピアノ演奏を聴かせてくれる。宇野功芳氏はこのLPレコードのライナーノートに「彼(ヴィルヘルム・バックハウス)は、ステレオとモノーラルに、それぞれハンス・シュミット=イッセルシュテット、クレメンス・クラウスと組んで同曲をスタジオ録音しているが、今回はライヴだけに、力強い緊迫感や覇気、大ぶりな感情表現や雄々しい羽ばたきといったものが聴かれ、やはり実演は良いなと思う。少なくともぼくはスタジオ録音の2枚よりも、この方を好む」と書いている。ピアノのヴィルヘルム・バックハウスは、ドイツ、ライプツィヒの出身。ライプツィヒ音楽院で学ぶ。1905年「ルビンシュタイン音楽コンクール」ピアノ部門で優勝。1930年スイスのルガーノに移住する。第二次世界大戦後の1954年にアメリカそして日本での演奏会を開催した。一方、指揮者のグィード・カンテルリは、イタリア、ミラノ近郊の街ノヴァラの出身。ミラノ音楽院で学び、23歳で地元ノヴァラの歌劇場の芸術監督に任命される。第二次世界大戦後の1945年、スカラ座で指揮するなど活躍し、当時の指揮界の長老トスカニーニの後継者と目されていた。しかし、1956年11月24日、パリのオルリー空港からニューヨーク行きの航空機が離陸に失敗、カンテルリは帰らぬ人となった。そのカンテルリは、「グィード・カンテルリ国際指揮者コンクール」として今にその名を残す。(LPC)


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