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バルトの楽園(がくえん)
1914年、第一次世界大戦で日本軍は、ドイツの極東根拠地・中国の青島(チンタオ)を攻略した。ドイツ兵4700人は捕虜として送還され、日本各地にある収容所に収められる事となる。
厳しい待遇が当然な収容所の中で、奇跡の様な収容所が徳島にあった。
板東俘虜収容所の所長を務める会津人の松江豊寿(まつえとよひさ)は、陸軍の上層部の意志に背いてまでも、捕虜達の人権を遵守し、寛容な待遇をさせた。捕虜達は、パンを焼く事も、新聞を印刷する事も、楽器を演奏する事も、さらにはビールを飲む事さえ許された。また、言語・習慣・文化の異なる地域住民の暖かさに触れ、収容所生活の中で、生きる喜びをみいだして行く。
そして、休戦条約調印、大ドイツ帝国は崩壊する。自由を宣告された捕虜達は、松江豊寿や所員、そして地域住民に感謝を込めて、日本で初めてベートーベン作曲『交響曲第九番 歓喜の歌』を演奏する事に挑戦したのであった。
映画のクライマックスに、世界最高峰と謳われたヘルベルト・フォン・カラヤン指揮の『第九』を使用。完璧なまでに美しく、迫力に満ちた旋律が、万人を深い感動へと誘う。
母から「今上映している『
バルトの楽園』っていう映画、知ってる?」と電話。
藪から棒になんだぁ…と思ったら、松平 健さん演ずるところの主人公である
松江豊寿氏が、知人のご先祖様だという。
お孫さんである幼馴染のお母さまは美しく凛とした雰囲気の方で、おじいさまと一緒に過ごされたことがおありかどうか分からないものの、軍人の家系でいらしたことも関係あるのかも…などと思ったり。
人道的見地に立つ振る舞い、グローバルな環境は受け継がれるのか、脈々と続く血のなせる業とでも言うのでしょうか。海外生活、捕虜…詳しくは書けないですが、『不思議な巡りあわせ』を感じざるを得ないのでした。
彼らに纏わる記憶は色々あって、幼稚園や小学校にあがった頃のカルチャー・ショックはもとより、大人になってからも衝撃的な出来事が。
Tさんご一家の皆様、今もお元気でしょうか?
母が見たいと言うし、私も興味があるので(ブルーノ・ガンツ氏の演技も見てみたい)調べてみたところ、『日本におけるドイツ年2005/2006』の一環としても上映館が意外と少なく、我が家からだと下記のいずれかですね。
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109シネマズMM横浜
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チネチッタ
上映館はヨシとしても、上映が朝一番、1回目しかない!
2回目以降は若者向けのプログラムになってしまいます。
アクションや特殊映像効果などはないだろう地味な作品ではあります。(派手なドンパチの裏側を見ることも必要だし、もちろんそういうことにならないようにすることが重要だと思いますが…。)
「対象年齢は我々世代ってことなの?高齢者は早起きだから、朝一番な訳?それでも、この時間までに映画館に行くのは大変よね」と電話口の母と一緒に苦笑してしまいました。(^_^;)
(高齢者が全て早起きではないと思うし、朝のラッシュのしっぽに紛れて映画館へ…なんてイヤだなぁ。それに、私などようやく起きて眠い目をこすりながら出かけ、映画館の闇に入ったら、再び心地良く夢の世界に連れて行かれそうです。^^ゞ)
なお、『バルトの楽園』のバルトとは何だろう?バルト海と関係があるのだろうか?プロットとしては関係なさそうだし…と思っていたところ、
ドイツ語でヒゲのことなのだそうです。
松江氏の立派なヒゲのことを指しているのでしょうね。