殴り書くことば

ロープが垂れていても、掴みたくない時が
誰にも縋らないで、泣きたい夜が
へらへら笑ってる僕にさえ、そんなのがある。

復活の呪文

2018年05月17日 14時49分06秒 | 気まぐれ日記
頭が痛い。
肩が強張って頭頂部まで筋が張ったみたいだ。
今日も夕方まで寝たきりかな。ほんと腐ってるな。

そんなことを夢うつつに思っていた朝、時間も知りたくないし誰かから連絡が来るはずもなく、携帯は伏せたままだった。
が、鳴った。父だ。

休職中の私を気にかけ、あんまり悩みすぎるなと電話をくれた。
「そうだ。読書がいい。おまえに合うかはわからんが、現実から抜け出して色んなフィクションに触れるのも時には大事だ」と。


現実逃避など、気分転換など許されないと思っていた。
人員に穴を開け、そもそも復職するイメージすら湧かない今、職場への罪悪感しかない。

私を評価してくれていた同僚たちは、今どんな思いを私に向けているのだろう。どれだけさげずんでいることだろう。そんなことばかり考えては深いため息をつき、着替える手が止まった。出かける気になどなれない。蒸かした芋や豆腐、まともな食事は申し訳なかった。元々それがすきなのだけど。
一日が長く、最低限の家事だけはすませるような、気分は囚人だった。

とても勝手な人間だ。わかってる。
気がついたら私はいつも自分のことだけ。自意識過剰。
巡らせなくていい他人の心情を想像し、今のがきっかけで嫌われたのではないかと臆病になる。
しまった、相槌のタイミングを間違えた!声のトーンもちょっと高すぎたかな…などと翌日に思い返して落ち込むほど。

バカだ。知ってる。わかってる。
勝手に加害者面しているかと思えば、罪悪感が募っていつの間にか体よく被害者になるのだ。
ずるい。誰にも何のメリットもないのに本当に、本当に、うーん。ずる賢いの反対ってなに?ずるバカ?


昔から変わらないが、直視しなくていい現実をいつまでも引きずるタイプだ。
「悩んでも仕方がない」と大抵の人はうまく意識から逸らしていくが、私にはそれができない。
できない、ことを選んでいるのだから、正しくは、やらない、か。
自分にとってネガティブな情報ばかり目に付き、いいニュースも都合悪く捉えてしまう。

典型的な、「コップの水はもうこれしか残ってない」と思う人間だ。



意識的に、辛いと感じることから目を背けることが大事なのだと痛感している。
味わい尽くせば抜け出せるかもなんてものは私には幻想だった。
しんどいことはいつまで経ってもしんどいままだ。
芸人がどっと会場を沸かし、それにつられて茶の間の私も大笑いできる。でもその瞬間が過ぎれば、またしんどいお化けが背後からぬっと顔を出す。「楽しい時間おわった?じゃあそろそろ」ってにたにたして、常に視界の中にいて待ち構えている。
楽しい時間であればあるほど重くのしかかるしんどいお化けを、一体どうやって払いのければいいのかが私にはわからない。

「あんたの性格じゃあね」と口々に言われる。
人が5落ち込むところを、あんたは10まで落ち込んで戻ってこられない、と。
人より閾値が低いのだろうか。
豆腐メンタルという言葉が流行った時、自分はもっとやわい綿菓子か何かじゃないかなとなぜか誇らしげに考えていたのを思い出す。阿呆だ。

ああ…
私はこの自分の脆さを、一種のアイデンティティと勘違いしているのかもしれない。
この年にもなると周りの人間は固定されてくるけど、「それがあなただから」と認めてくれている。
というかそういう人間しか残らなかったというほうが正しいのか。
でもありがたいことに、私は孤独ではない。見放されてもいない。
そういう甘えがどんどん私を脆くする。心から感謝しているけれど、それ以上に申し訳ない。




父に
「そんなんじゃおまえ、この先やっていけないぞ」と言われた。
本当にその通りだと思う。

それまでは両親だけが私の居場所だったけれど、こういう私を受け入れ一緒になってくれた人がいる。
今度はその人の優しさに甘え、ネガティブ爆弾をいくつも砲撃し一人勝手に落ち込む日々。
しんどくさせていることも、きっと息抜きしたいのに言えないのだろうことも、本当はこんな家帰ってきたくないんじゃないかとかも、なんかもうその辺もネガティブすぎて最早文章にもできない。

そんな彼に、職場との電話連絡すら担わせてしまった。
伝えなきゃいけないこと、伝えたいこと、今は伝えなくていいこと、その全部がごちゃまぜになり一気に放出させてしまった私。取り乱し、上司と話せないほどになってしまったのだ。思い出しただけで、罪悪感で吐きそうになる。
「やっていけない」と思い続けている。



楽観的で行き当たりばったりの主人は、「なんとかなる」が口癖でそんな人生を送ってきている人だ。
何ともならないような困難にぶち当たることもなく、順風満帆に生きてきたという言い方もできるけれど、それでもきっと辛いこともしんどいこともあったはずだ。それらの現実を、そうと捉えてこなかった彼がただただ眩しい。

彼は考えるよりも先に口が出てしまうタイプで、それを理由によく喧嘩する。
女性特有の「解決策なんて求めてない!ただ話を聞いてくれよ!」的な相談をすると、間髪要れずに解決策を突きつけてくるタイプ。
最近は「あーここで、答え出てるのに何で悩むの?とか言うと怒られるやつだよね!」と目を輝かせて、俺は学んでるぞアピールをしてくる。
夫よ、学んでるのかなそれ。

そんな彼が昨日、未だに思い悩む私にどう声をかけていいかわからず、珍しくしばらく考えて言ったこと。
「なんでも適材適所なんだよ。俺がこういうことが得意だっただけ。できないことはきみにしてもらってるよ」

百点満点の言葉がけだった。なんて、上から目線のことは言えないけれど。
自分には何の取り柄もない、人並みに働くことすらできない、と卑屈がっていた私には救われる言葉だった。
まあ、私の適材適所は見つけ出せず「えーあ、お金の管理とか?俺できないもん」と宙を見上げて言うだけだったけれど。



それでも、この人の隣で、まだ生きていて良いのだと思えた。

自分の適材適所は、28になった今もわからない。
恩返しと思って得た看護師の仕事もこなせず潰れてしまってこの有様だ。
まだ誰にも何一つ恩を返せていない。むしろ迷惑かけてばかりの人生だ。

でも、もしかしたらこれから先、一つくらい見つかるかもと思ったりもする。
しんどいお化けはきっと消せない。
でも隠すことはできるかもしれない。
まだその方法はわからないけど、手を変え品を変え試していくしかないのかな。
それまでもつかな…

「この先やっていけ」たらの話。






「なんとかなるでしょ」

彼の声が聞こえる。

















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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
すごく、すごーくお久しぶりです。 (イサラ)
2019-01-27 16:19:14
まだ、来てたのかと思ったかしら?笑
実はちょくちょく来てました。もしかしたら、私がここに来ることでLUNAちゃんをここに繋ぎ止めてしまってるんじゃないか、そんな思いからコメントを控えてたの。
 
LUNAちゃんと初めて会ったのは、LUNAちゃんが中学生の頃だったよねー。キラキラした素敵なサイトで。
誰かの立場だったり、誰かの気持ちになってみたり、そんな詩が上手だったからなんだか危ういなと思ったことを覚えてる。

人の気持ちばかり考えてたら、自分の気持ちは言えなくなるでしょー。言葉のみこんでばかりで消化不良。そんな経験、私はよくしてたから、LUNAちゃんもそうかなーって。
 

少し前に、メンタリストDaigoの動画を観てたの。人間の性格は生まれ持ったものが50%、あとの50%は育った環境と周りの人間関係で決まるらしい。
生まれ持った性格は変えられないんだって。
変えられないけれど、自分を知ることで行動を変えることはできる。そう言ってた。
 
そうそう、
私、実は今、入院中なんだー。
二人目を妊娠中なんだけど、切迫早産の診断が下って、入院して安静にしてる。
助産婦さんに色々助けてもらいながら、入院生活おくってるよー。

色々な出産があって、おめでたいことばかりじゃなくて残酷なこともあるけれど、命が生まれるこの場所は、もしかしたらLUNAちゃんに合ってるかもしれないなーなんて、そんなことを思った。

今更だけど、
結婚おめでとうー。 
返信する
Unknown (luna0430)
2019-02-17 23:24:50
イサラさん!!!
とてもとてもとーってもお久しぶりです!
ほとんど更新できなくなってしまって、ふと覗いてみたらコメントが…前のめりになって読んでいる自分がいました。笑 それくらい嬉しかったです。本当にお久しぶりです。

入院中!!
切迫早産とは心配ですね泣 でも病院ならすぐに誰かがかけつけてくれますし家よりは心配事も少ないかな?
ご家族に会えないのは寂しいかもしれませんが。。
安心してゆっくり過ごしてくださいね♪
そんな時間の中でここにまたきてもらえたことが本当に嬉しくて嬉しくて仕方ないです。ありがとうございます(*^^*)

お二人目!…賑やかになりそう笑
お母さんとして毎日お疲れさまです。

赤ちゃん、同じ空の下で、あなたがこの世界に出て来るのを楽しみにしてますね。楽しいことばかりじゃないけど、あなたのお母さんはどんな心の変化も包み込んでくれるような人です。だから大丈夫。私みたいにはグレないはず!笑



そんな風に感じていてくれたんですね。
少し当たっているかもしれません…さすがですね。何でもお見通しだー。笑
でも、むしろ繋ぎ止められていたかった気持ちの方が強いです、この場所と。この頃の自分と。
もう、イサラさんが私から感じ取っていたもの今の私にはないのだと思います。
あの頃の私は、思春期独特の危うさや儚さ、自己中心的な考え方や社会への反発心など、周りの友人よりも強いものを持っていたんだろうなって、情けなさと恥ずかしさと、へんな優越感みたいなものも感じます。笑
ただ、そのありのままをもう思い出すことができなくなってしまいました。それがとてつもなく寂しくて切なくて、少しホッとしている自分もいます。

大人になるってどういうことなんだろう
それぞれみんな答えは違うのでしょう。自分の中で、やっとというか、ついにというか、その答えが出てしまったような空虚感みたいなものに時折悩まされます。
あの、非力で今にも消え入りそうで、ただ誰かに守られていれば良かった頃には戻れないのだと、制服を着た少女を見ると心臓がずきんと痛くなることすらあります。
大人になりきれてない…笑

半分は決まってるけど、もう半分は生き方でどうとでも変わる…。捉え方次第で希望にも皮肉にも聞こえてきますね。
私は変わりたいと思うくせに、周りの環境を変えたがらない面倒くさがりです。そのくせ周りのせいにしてしまいがち。自分以外を羨む心ばかり育って、行動は伴わない。。生き方から変えていかなくちゃいけません。笑
自分と嫌という程向き合ってきたつもりですが、知ってしまった自分に半ば諦めどうでもよくなってるところもあります。でも本当は変わりたい。最近また自分のことがあんまり好きじゃないのはこれが原因に違いないなぁ。笑


心も体も穏やかに過ごさなきゃいけないのに、こんなに弱虫で惰性な長文送ってしまってごめんなさい。。
産婦人科の実習は、確かに感動的でした。幸せなお母さんしか受け持たないので当然幸せなお産ばかりで。でも、本当は全くそんなことないんですよね。心のケアが必要なケースがたくさんあるんだろうなと複雑な気持ちになったのを覚えています。
いつか携われる機会があったらいいなと思えた領域です。

今は病棟を辞め、デイサービスで働いています。パートですが^^;
勉強になることが多いです。人として、生や死や病と向き合うこと、悲しみに沈んでも生き続けること、学ぶことが多すぎて、同時にご高齢の方のたくさんの笑顔で癒してもらっています。
それについてはまた今度記事に書けたらいいな。


イサラさん、繋ぎ止めてしまいそうで…なんて言わないで。私とここで繋がっていてください。お願いします。笑
本当にたまらなく嬉しかったです。
ありがとうございます。



イサラさん、どうかお身体たいせつにしてくださいね。
元気いっぱいに生まれてくる赤ちゃんとのこれからの日々が幸せいっぱいでありますように。
返信する
Unknown (イサラ)
2019-04-14 10:59:41
んふふ。文字から、LUNAちゃんのどーん!!とした勢いを感じました笑。
 
歳をとると痛みに鈍感になるよねー。
私も昔は持っていたはずの危うさだったり、痛みも喜びも、澄んだ青色みたいな鋭さも、全部鈍くなってしまったよ。それこそ、そういう感覚が自分から剥がれていきそうだと感じていた当時は、あの頃を呼び起こす痛みに触れていたくて。
忘れたくなくて、、、だったなー。
 
今ではそういう感情にさえ遠ざかってしまった。
 
それが良い事なのかよく分からないけどね(苦笑)
 
 
そっかー。LUNAちゃんはディサービスにいるのねー。
看護婦さんは重宝されると聞いたよー。ハードな仕事ではあるけれど。
ディサービスも人の生死があるもんね。それこそ、色んな人生がそこにはあって、赤ちゃんが持つキラキラが希望の光なら、ディサービスにいる方たちのキラキラは人生(経験)なんだろうなー。
キラキラばかりではないだろうけど。
 
また、話にくるねー。
むふふ。
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