さて、前回が何時だったんだと、自分で突っ込む気もないほど前ですが。
そのあたり、諸般の事情とご理解頂きたく、人物秘話第3回目は、
表紙イラストを飾る3人目・・・木下もとい
「中村藤吉郎」です。
はい、まあぶっちゃけ後の羽柴秀吉→関白豊臣秀吉殿下です。
大河「軍師官兵衛」では今週の放送で、お亡くなりになりましたが・・・
1、藤吉郎の「奇妙」な行動
さて、実はこの『神剣の守護者』の藤吉郎・・・
とにかく紆余曲折をたどりにたどりに、たどっていますww
まず、、、
「どうしてこの物語に秀吉が?」
という所から始めますと、
本作の下地のひとつとなっている、
『絵本太閤記』『眞書太閤記』における秀吉の
「ちょっと妙な行動」からです。
『太閤記』はそもそも、秀吉の活躍を描いてなんぼのお話ですが、
その中でこの伊勢のくだりは「伊勢を力攻めしようとする他の織田諸将」に対して、
「楠木正具の脅威を説き、それを止めようとする秀吉」が特に強調されています。
(そして、その間を「まあまあまあ」と、取り持とうとする信長w
これを最初に読んで思ったことは、
「秀吉と楠木正具は何かしらの関係があるのか?」ということでした。
かくして、本作の
「もうひとりの主人公」は、
藤吉郎に決定したわけですが。
2、実は「幻の主人公」
これ、書いたか忘れてしまいましたが、
実は「藤吉郎主人公案」も初期段階ではありました。
あったどころか、それで5パターンくらい執筆していて、
あわせると多分本書より長いww
細部は大分違うんですが、
大体若いころの藤吉郎が楠郷(もしくは八田)で暮していたが、
やがてその地から旅立ち、時を経て信長の伊勢攻め直前に、織田家臣として戻って来る・・・
という感じのものです。
ただ、いずれも筆が途中で止まるか、
もしくは作品を商業レベルまで引き上げることが出来ず・・・・つ
いには完全に「停止」状態に陥り・・・
悩みに悩んで三重県に取材に行き、そして「正具主人公案」が爆誕した次第ですw
担当氏には「相談が遅い!」と怒られたとか、
何とか・・・(いや、半分まで書いてみて、相談するつもりでいたのでね。
何せ、一行も書けない状態からの再スタートだったので)
この藤吉郎案の名残ですが、、、
実は完成した『神剣の守護者』にはほとんど残されていません(待
文章も一ヶ所も使用せず、一から書いていますね。ヒロインも別人でした。
ひとつだけ継承したことは、物語の「鍵」が草薙剣であるということだけか・・・
藤吉郎の性格ですが、
これはもう
「絵に描いたような木下藤吉郎」を心がけました。
最近では大河とかでも壮年期以降の登場が多いので。
なので、実際には30代ですが20代半ばくらいのイメージで描いたかも?
「白過ぎる」との声もチラホラ入り・・・
それは私もそうかなと思うのですが、この秀吉は実は何回かお受けした取材で、
ほとんど同じことを聞かれました。
正具の時にかなり書きましたが、これが作者がまったく想定外のことで。
曰く
「どうして、正具は藤吉郎に草薙剣を渡したんですか?」
以下、次回で。
愛知県津島市 津島湊跡。
藤吉郎はこの湊で、楠木正具と出会うが・・・