歴史作家 智本光隆「雪欠片―ユキノカケラ―」

歴史作家 智本光隆のブログです。

祈念―がんばろう東北―

桜の花に癒され、地震の爪あとに涙し・・・しかしながら確実に仙台の街は復興しております。1歩づつではございますが、前進していきたいと思っております―8年前、被災地からこの言葉をいただきました。今年もまた、春がめぐって来ました。今も苦しい生活を送られている方々に、お見舞いを申し上げます。本当に1日も早い復旧、復興がなされますよう、尽力して行きたいと思っております。

谷性寺様より

2021-02-07 18:49:06 | 本能寺将星録

これ、紹介しようと思って先延ばしに・・・

一昨年、取材でお邪魔した京都の「谷性寺」さんより年賀をいただきました。

 

鶴屋吉信「京の手づくり最中 明智光秀」

 

 

 

そしてこちらが境内の「明智光秀公 首塚」です。

 

 

 

桔梗の花も咲き終わる季節・・・

 

 

 

智本光隆

 


『細川忠興戦記 本能寺将星録』 電子書籍版

2012-10-26 22:32:21 | 本能寺将星録
はい、宣伝です(w
2010年~2011年に発売されました、
『細川忠興戦記 本能寺将星録』上下巻の電子書籍版が発売となりました。
主人公は細川忠興、そしてその妻の珠子(ガラシャ)が登場します。
「本能寺の変の際、細川が明智の側に着いたら?」というのは、
よく聞かれるかもですが、これまであまり歴群で取り上げられてなかったかも知れません。
・・・着いたらっていうか、なんていうかの話になってますが(w


                        
                        第1巻表紙。
                        歴代のなかでも、けっこうお気に入りです。



個人的に結構、思い入れの強い作品でもありますので、
未読の方は是非!
そして、一度読まれた方も新たな発見があるかも・・・知れません。
「天下布武」の果てにある、忠興と珠子の未来は!?


SonyReaderStore(ソニーの本屋) http://ebookstore.sony.jp/
紀伊國屋書店BookWeb  http://bookweb.kinokuniya.co.jp/

などで購入できます。



智本光隆

本能寺将星録秘話第11回―高山右近2―

2011-08-19 04:22:17 | 本能寺将星録
さて、『本能寺将星録』ではなんだかピエロっぽくなってしまった高山右近重友。
各創作などでは「信仰の男」として描かれてますね。
上巻発売直前にNHK歴史秘話ヒストリアでも、
「私は愛を信じます 絶対に裏切らない武将」というタイトルで放送がありました。
生涯、キリスト教への信仰に生きた・・・と。
(なお、その時点で上巻は校正終了、下巻も入稿直前だったので本作に直接、影響はありませんが)


それは確かにそうなのかも知れない。しかし、その「裏切らない」は一体、誰に対してのものなのか。
右近は確かに信仰的には裏切らなかったかも知れませんが、領主として領民を裏切ったのではないのか?
それは大名家の主として、果たして称賛されるべきことなのだろうか?
細川忠興はその逆を生きた武将・・・そういえば少し言い過ぎでしょうか?


ちなみに忠興、珠子、右近は各種小説なんかでよく三角関係になってますね(w
そういう意味でもう少し、右近と珠子を絡ませたかったような気も。
下巻の京都細川邸を襲撃したの、あれは右近本人でも良かった気がと、今更。
ああ、どっかで忠興が右近と如水殺してのは、
セミナリオでガラシャ口説いてた?からだろうって、突っ込まれた気がする・・・


さて、最後に細川忠興と高山右近の関係について。
『本能寺将星録』では本能寺の変の直前、安土のセミナリオで初対面ですが、まあそれはないか(w
この両者、共に千利休の高弟である「利休七哲」に名を連ねています(蒲生氏郷もそうですね)
かなり親しい間柄であった様子。小田原征伐時の「焼肉論争」もありましたしね(w


この両者の最後の関わり合いを示すのが、高山右近が伴天連追放令の日本を去り、
マニラへと旅立つ際に忠興に宛てて認めた所謂「日本訣別の書」です。
さて、これはどう読むか?
普通に読めば友人の忠興に対する感謝を示しているわけですが。
慶長18年(1613)に徳川秀忠が伴天連追放令を発布し翌年、右近はマニラへと旅立ちます。
彼は彼の地で没する訳ですが、日本を発つに際して最後に書を差し向けたのが細川忠興でした。
当時、忠興はまだ九州におけるキリシタンの保護者です。


妙な深読みをしてみる。
書の中で右近は自らの行動を湊川の合戦に楠木正成に例えています。
正成が湊川で戦死したのは今更、何の説明もいりません。
あの合戦、宮方(新田、楠木ら)の敗北の最大の原因は、細川水軍による宮方の後方遮断作戦でした。
この作戦で細川水軍そのものは新田義貞に敗れますが、その間に楠木正成は戦死します。
書状を差し出す忠興は足利一門、そして細川家の子孫。


穿ち過ぎなのは百も承知ですが(w
右近は忠興にキリシタンに対する、もっと大々的の保護を期待していたのか?
忠興は日本における「キリシタンにもっとも理解のある異教徒」であり、
保護政策を取った最大の大名となっていました(他のキリシタン大名の大半は既に死去、あるいは改宗)
感謝も友情もあったかもしれませんが、やはり失望と皮肉が込められているような気もします。
あくまで、捻くれた見方ですが。
あと、焼肉の恨み(w


そして、忠興の方も右近ひとりには執着できない。
彼は細川家の統領として、家臣と領民を守る責務を負っています。
故に父の藤孝、弟の興元、妹の伊也、そして舅の明智光秀とも不仲となり、
或いは袂を分かって来た過去あります。
最愛の妻である珠子とて、細川家のために死なせたざるを得なかった忠興は、
右近の「訣別の書」をどう読んだのか。
仮に返書が存在するとしたなら、どんな思いを綴ったのか?
「お前はマニラに逃げられていいな。俺には出来ない」とでも思ったような・・・そんな気がします。


何れにせよ、細川忠興と高山右近。友人関係にあったかも知れない両者は、
決して交わることのない道を歩み続ける運命にあった。自分にはそう思えます。
共通しているのは唯一、己が信じた信念を生涯曲げなかった。その一点。
「絶対に裏切らない武将」の名は、両者ともに相応しいと思います。



季節は巡る。今年も薄暮に百合の花が咲く。



「本能寺将星録秘話」は今回で最終回です。
御愛読いただけた皆様、感謝します。
次回作『豊臣蒼天録』に関する企画があったら、そちらもよろしく!!

本能寺将星録秘話第10回―高山右近1―

2011-08-13 00:53:26 | 本能寺将星録
え~まずは、日本全国の高山右近ファンの皆様。

ほんとにごめんなさい!!

はい、あれは明らかにやり過ぎですね。すみませんでした。
本作における本能寺の変を策したのは羽柴秀吉、黒田孝高ですが、
実行犯は高山右近になっております。
これはですね・・・まずプロット作成時点で「羽柴サイドから差し向けられた刺客」が未定だったことです。
(信忠側の刺客は毛利新介です)
実は執筆直前まで決まらず。。。
担当・A田氏との相談の中では、妥当な線で蜂須賀や雑賀なんか候補に上がりましたね。
後は黒田長政とか大谷吉継!?とかも。本能寺から脱出するに際して顔に大火傷負ったとかで!!!
・・・まあ、ざっくり没でしたが。


かなり困ったのですが、高山右近は甲賀出身説があるという情報が入り、そこで決めました。
そのせいで作品のキリシタン色が一気に強くなりましたけど。
それはそれでまあ、方向性の決定になったような気も・・・
で、あの山崎の合戦の場面。「ユダは不義の金で買った土地で転落死した」って話から発案されてます。
黄色い母衣をまとって死んだ如水もそうなんですけどね。
ああ、もうラストだし、やっちゃえ!!みたいなノリでした。
右近ファンのみなさん、この場にて再度の謝罪を!!


ただ、作中の右近の行動が強引、良く分からんって指摘もありましたね。
信長殺害は「それが俺のジャスティス!!」って某所で突っ込まれた・・・
上下巻の関係もあったのですが、もう少し長さあればイエズス会陰謀説なんかも絡ませられたかも。
(若干、匂わせては見ましたが・・・)
今から思えばですが、珠子襲撃は右近本人にしても良かったかも・・・
ちょっと後悔ですかね。


ちなみに、一部で話題のイラストの件。
いや、下巻の秀吉でなくて山崎の合戦の右近のほう。

A田氏「どんなイメージですか?南蛮鎧ですよね」
智本 「そ~ですね。兜かぶってないようなイメージなんですよねぇ。
    それで某映画で剣が降りてくる感じみたく、全身に光り浴びてるような・・・
    まずいっすかね、ノーヘル?」
A田氏「いや、ノーヘルで行きましょう!!」

・・・A田さんが担当で、ホントに良かったと思いますよ(w


長いのでまた2回に。なお、次回でこの「本能寺将星録秘話」はラストになります。多分(w