歴史作家 智本光隆「雪欠片―ユキノカケラ―」

歴史作家 智本光隆のブログです。

祈念―がんばろう東北―

桜の花に癒され、地震の爪あとに涙し・・・しかしながら確実に仙台の街は復興しております。1歩づつではございますが、前進していきたいと思っております―8年前、被災地からこの言葉をいただきました。今年もまた、春がめぐって来ました。今も苦しい生活を送られている方々に、お見舞いを申し上げます。本当に1日も早い復旧、復興がなされますよう、尽力して行きたいと思っております。

本能寺将星録秘話第6回―明智光秀1―

2011-05-28 01:56:30 | 本能寺将星録
本日5月28日・・・
本能寺将星録秘話も3人目に突入。
今回は忠興の義父で珠子の父、明智日向守光秀。
さて、本作は元々が「本能寺の変の明智側」ということでスタートしております。
従いまして、本来であるならば「光秀を勝たせる!」という物語であるはずのような気がします。


実際、当初構想の中には忠興を「源氏の武者」の立場に立たせて、
光秀と共に戦わせるというものありました。
作中にも多少、そんな空気残っているかも知れませんが・・・
執筆を進めるにつれ、忠興が勝手にどんどん信長サイドに行ってしまった結果(w
『本能寺将星録』は「明智物」というより「本能寺物」になりました。
結末は読者のみなさまには御存知の通り・・・
明智光秀は史実そのまま、次の時代の主役になることはありませんでした。


本作の舞台は言わずと知れた本能寺の変。
ここの所、テレビの歴史バラエティーなんかでも本能寺の変を取り上げるの目立つ気がします。
今年のNHK大河ドラマ「江」でも2年前の「天地人」でも取り上げられましたね、本能寺の変。
その主役は御存知、明智光秀。
では、その光秀は何が理由で本能寺に信長を討ったのか?


それは今日に至るまではっきりと示されてはいません。
世上、言われているものとしても信長に対する怨恨、武田征伐で辱めを受けた、家康接待の不手際、
西国への左遷、精神を病んでいた、天下への野望があった・・・・・多分、もっとあったかと思います。
『信長公記』『太閤記』など当時の史料は暗に怨恨を匂わせているようですが、
本能寺の変当時生存し、江戸時代も存続した家々の者達の多くが、この事変に対して語ることをしてはいません。
それは徳川幕府始め、細川家も含めて。


本作では羽柴秀吉、高山右近サイドの動きは全く別にすれば、「朝廷黒幕説」を採りました。
作中、近衛前久、吉田兼見らの作成した「密勅」が明智光秀に下されています。
光秀は朝家の命があったからこそ、大恩ある信長を裏切った・・・
それが『本能寺将星録』の光秀像の基本になっています。


本能寺の変は朝廷が主導、関与した・・・・・少なくとも光秀の行動は容認していたという説です。
1990年代くらいから多く用いられるようになりました。
信長死後に光秀は征夷大将軍に任じられていた・・・とするものもあります。
本作でも光秀の征夷大将軍就任を巡る動きは書いて見ました。
案外あれが近いんじゃないかなと、内心思っていたりもします。


光秀決起の真相が完全に明らかにされることは、今後も難しいと思います。
何れにしても光秀は今日5月28日、愛宕山において連歌の会を催します。
「時は今、雨が下しる皐月かな」
そして、本能寺の変の幕が開きました。
次回へ続け!!(w

ヤマツツジ

2011-05-22 23:48:59 | 日記
本日5月22日は鎌倉陥落の日!!
・・・とは何の関係もないですが、赤城神社参道のヤマツツジの写真を。





ピンクと緑のコントラスト。



我が横浜ベイは5連勝のあとが6連敗で1勝1分・・・
いや、昨日はよく追いついたというべきか。
勝つと必ず連敗が止まっている!!って状況はお願いだから止めてね。

Ciel(シエル)

2011-05-20 21:36:37 | 日記
私に限らずでしょうがこの稼業、
よく図書館やファミレスで草稿チェックしたり、校正したりします。
あと、地元のショッピングモールのスタバやフードコートなんかですね。


前橋のけやきウォーク、紀伊国屋も入っているのでよく使います。
で、去年『本能寺将星録』の入稿の頃、活字とにらめっこしてたら何やら楽しそうな音楽が。
Ciel(シエル)さんというバイオリンとキーボードの2人組がライブしてました。
智本光隆に音楽の素養はなにひとつないですが、上手い!!ということはよく分かります。
そして、何よりも楽しそう!!



演奏風景。
バイオリンの浅沼杏花さんとキーボードの石川陽亮さん。


ポップス、映画音楽、クラッシックなどに独自のアレンジを加えて演奏されています。
もちろん、オリジナル曲も多数。


ちなみに、子供にすごい人気です。
幼稚園や小学校からかけつける「シエルキッズ」がたくさんいました。
隣で聞いてた女子高生さんも大絶賛でしたね。




あと、会場を動き回って演奏します。
目の前に来てくれたので撮って見ました。




3月にCD「CIEL①」を発売したそうです。
おめでとうございます!!
仕事のバックミュージックに今夜から聞きます。
サインもらいました。このブログで紹介したいので、わざわざ「智本」で(w
6月18日には桐生市市民文化会館でライブあるそうです。


「これからもよろしくお願いします!」と握手してもらいました。
けやきウォークでは毎月20日に演奏しているそうな。
その頃、上のフロアで原稿直してますね。
とにかく、元気出るステージですね。
今後とも応援させて頂きます!!


智本光隆

桜の花に癒されて8―赤城千本桜―

2011-05-19 21:33:56 | 日記
先日、閲覧数は1万を超えましたが、
昨日めでたく訪問者数も1万に!!
ありがとうございます。今後とも、よろしくお願い致します。


さて、意外と長々やってる桜の花に~
今回は赤城山南面の千本桜。
地元では一番有名ですね。








芝桜も綺麗です。
例年は各種イベントを行ってますが、今年は中止。
それでもかなりの人出でした。








2キロの道に樹齢50年の染井吉野がトンネルを作ってます。
2年前にも一度行ったのですが、あの時はすでに葉桜でした。
今年は2年越しに満開の花を観覧!!



智本光隆

本能寺将星録秘話第5回―細川ガラシャ2―

2011-05-15 08:17:25 | 本能寺将星録
さて、それでは実際の忠興と珠子の夫婦仲はどうだったのかという点。
作中の時期は円満だった・・・そう考えられるのですが、ここで本能寺の変が起きます。
良く知られている通り、史実では細川家は明智方への加担を完全拒否、宮津から動いていません。
忠興が天王山に出陣、羽柴方として山崎の合戦に加わっている可能性は前に書いた通りです。


そして珠子さんは光秀の娘であるとして丹後味土野に幽閉されます。
味土野は宮津から直線距離で約15キロ、丹後半島の真中あたり。
実はここでの暮らしぶりは珠子の残した和歌以外、確かなものは伝わっていません。
この間に忠興、藤孝の方は家名を守るために奔走し、細川家は豊臣政権で存続を見ました。
本能寺の変から2年後、忠興は珠子を宮津へと呼び戻します。
この間、正室の座は空けたままでした。


さて、この期間の描写。
多くの創作では失意に打ちひしがれた珠子がキリスト教に傾斜して、
忠興嫉妬に狂う・・・てのが多いですね。
しかし、この描写は果たしてどうなのか?
本能寺の変に際しての細川家の措置、これ以上はどうにもしようがなかったというべき。
離縁しない、明智に送り返さない、そして殺さない・・・
本能寺の変後の情勢下で、かなり危ない橋を渡ったと思います、忠興も藤孝も。
これで珠子が世を儚むような人間ならば、それは戦国武将の妻としては失格なのではないか?
本作のキャラ創りはそんな思いもあってああなってます。
「右府様に謀反した方々が、お揃いで」というセリフを光秀に対して、珠子の口から言わせて見ました。


忠興との夫婦仲、晩年は冷えていたというのが通説です。
しかし、それならば果たして関ヶ原の合戦で死ななければならない意味は何処になったのか?
東軍有利の流れを作る、忠興に愛想をつかしていた・・・など解釈はありますが、
あれは「忠興と細川家の負担に、これ以上なりたくなかった」という見方が一番近いような気がします。
正しいと言い切れるものではないにしろ。


「鬼蛇夫婦」のエピソードからはこの2人、何処かで通じあっていたんだと思います。
そして、珠子の辞世である「散りぬべき時知りてこそ世の中も 花も花なれ人も人なれ」
これは死を前にすべてを達観した境地を感じます。
正直、信仰にみに傾斜した人間ではないな、と。
でも、忠興は珠子に生き残って欲しかった・・・それは間違いなことなんんだろうとも思います。


珠子は実はもう少し考えたエピソードありました。
特に高山右近はもうちょい絡ませたかったかな?
そして、ラストの案は当初は色々ありました。
両者の感情すれ違うとか、光秀の死に発狂する(おい、待て)とか。


『本能寺将星録』ではあの細川ガラシャに最後、
キリスト教と一定の訣別をさせるというある意味、とんでもないことをやってしまいました(w
実際に決定されたあのラスト、庭師のエピソードをやろうと言う流れでまず考え、
あとは筆のままに書いています(諸般の事情で、制作期間2日です)
その中で珠子が自然に口にした言葉でした。私にはキリスト教は必要ない・・・と。


忠興は信長の復仇を遂げ、天下を差配するために多くのものを失い、そして捨てました。
珠子もひとつ、心の拠り所を捨てたのだと思います。
従う、寄り添うというよりも、向かい合って立つのが本作における忠興と珠子の作者のイメージです。
彼女はこの後も忠興のすべてに向かい合い、笑って受け入れると思います。
忠興が天下布武を成し遂げるその日まで。
そして、それからも。

やっぱり、ただのバカップルか(w



「細川家の至宝」展マスコットの黒猫。作中の珠子の猫のモデル。