まき子の酒

日本酒が好き。純米酒が好き。そんな飲兵衛が「母親」になってしまいました。今はムスコを飲兵衛へと英才教育中?!

The American と 玉川を飲む会

2009-10-06 07:27:09 | 日本酒を飲む @ 関東

“突然だけど”  と飲み友達から、何やら楽しそうなお酒の会のお誘いがあった・・
・・のだけど、なにやらワケありな様子。
お誘いというより “お助け求む~” の声?!

何でも、
友達が同僚のアメリカ人を連れてくるので、話し相手になって欲しい、と。

あの・・・私なんて、せいぜい世間話とかNFLが語れるくらい。
“日本酒について、英語で語れるかどうか”・・という不安な気持ちも入り混じりつつ、
未だかつて無い、初めて日本酒の会で英語を喋る機会。


会が行われるお店は、鴨居の 鳥みき さん。

鳥みきさんでは、日本酒の会がよく行われるみたい。鴨居にこんなお店があったんだなぁ。


さて。
どんなお酒の会かというと、
以前、お燗の美味しい吉祥寺の カイ燗でも飲んだことのある 玉川 というお酒を醸している
京都は  木下酒造 の杜氏さんの、関東発の単独会。

その杜氏さんが、これまたおもしろい!
イギリス人の フィリップ・ハーパー さんなのだ。

関西では、もうすっかり有名らしいのだけど、関東にも、もっと広めようということで、
今回、関西の酒屋さん主催で来てくれたんだとか。

ハーパーさんは、もともとは、大阪で英会話教室の先生をやっていたそう。
そして、生徒から悪友?!(笑)となった日本人に日本酒の世界を教えられ、
田植えに、利き酒会、蔵訪問、地酒専門居酒屋のバイト・・・どんどん日本酒にハマっていったそう。

なんか・・・日本人が日本酒の世界にハマっていくのと、同じような通り道だったんだなぁ。

でも、ただの日本酒好きで終わらず、初めて梅乃宿酒造の蔵人として働く傍ら、日本酒を勉強して、
とうとう杜氏に。


そんな英語も喋れる杜氏さんが来てくれたから、アメリカからのお友達も誘ったのかな?
「アナタの席はココ!」 と、ばっちり目の前が指定席。

Nice to meet you!彼の名前は通称 ジェリー 。
とっても分かりやすい英語を喋ってくれて、話しやすそう♪


最初の乾杯酒、大吟醸 雫 を飲みつつ、
 日本酒は好きですか?
 なぜ好きになったの?
 アメリカでの日本酒は?
なんて、色々お話。

もう今は来日3年目らしいのだけど、
その前から、何度かの日本出張で、日本酒を飲んで好きになっていったんだとか。

ジェリー曰く 「知ってるかもしれないけど、アメリカの日本酒は terrible!!」 
え?ジェリーもそう思ってるんですか。
terribe を使う場合は “そーとー、ひどい!ひどすぎる!” なんて意味合い。
そして 「仮に美味しいのを飲もうと思ったら so expensive !!」
うんうん・・・チビ・・・っとショットグラスくらいで10ドル以上ですもんね。。。

面白いなぁ・・・私がアメリカで感じたことと同じ事を思ってるんだ、、と会話してて思う。

しかも、ジェリーはNYマンハッタンでの生活が一番長かったと言うけど、
私は 「まだマンハッタンは日本酒事情もマシだろう」 と思っていた・・・。甘かった。
ニューヨーカーが誰でもそう感じるワケではないんだなぁ。


「みんなは、どんな所で日本酒を買うんだい?」 という話をしていた時には、
ジェリーの、日本に住むようになってから日本酒を買った時のエピソードに笑ってしまった。
最初に買いに向かったのは、なんとまぁ・・ 新宿ISETAN らしい。
 「めん玉飛び出るくらい、高かったよ!!!(脚色訳)」 だって。

で、その後、仕事仲間に、四谷鈴傳 に連れていってもらって、ショックだったとか(笑)。
「さ・・・3000円で買えるの?! しかも・・・旨い。なんで?」 と。

カルチャーショックを受けたようで。
そうっすよ、“高けりゃ美味しい” ワケじゃないのだ。
そんな事すら知らない日本人だって、まだまだいっぱい居るんだよなぁ。。


続いて 純米大吟醸 玉龍 生 。

しかし・・・乾杯の雫を飲んだ時も思ったけど、
いわゆる世間で思われてる大吟醸とは、ずいぶん味わいが違って、旨みが凝縮されてる感じ。

純米吟醸 祝 無濾過生 は、ジェリーが 「お!これは好き!」 と、好反応。

ここで、「生原酒」や「無濾過」に「火入れ」あたりを説明しようとしたけれど、
同僚の方ともども、やっぱりうまく英語で伝えられない~~(>_<)。

困った。

って。
そんなときこそ、フィリップ・ハーパーさんが居るでわないか。
来て来て~、ジェリーに説明してください!

私も、英語でどういう表現してるのか聞こうと思ったけど、2人とも超早い会話、難しい単語も出てきて、
うまく理解できず・・・(ダメジャン)。

でも、びっくりしたのは、ジェリーの興味の深さ。
ただハーパーさんの説明を聞くだけじゃなくて、どんどん質問を投げかける。
2人の会話は、ぽんぽんキャッチボールのように飛びかい、ジェリーも真剣。

なんでだろう・・・
きっと日本酒というより、お酒が出来上がる背景とか造り方に興味があるのかな? と思っていたら。。。

なんと、NYの自宅には、ワインが何百本と寝かされてるらしい。

な っ と く 。
日本酒とワインと両方好きな人って、なんとなく共通点があるなぁ、、と感じているんだけど、
ジェリーも、ただ“好き嫌い”だけじゃなくて、もっと深いところを知りたがってる感じ。


さて。
そうこうしてると、あれこれお燗もつけて持ってきてくれる、別の友達が。(spiral君、ありがとー!)
お燗にして面白そうな コウノトリ の 速醸 と 生もと を、冷たいのとお燗とで飲み比べ♪


でも、ジェリーは
「アメリカで飲んできた燗酒は、それこそ awful!! ホントに大丈夫なんですか?」 と。
awful は、これまた terrible と似て、“サイアク!!すさまじくサイアク!!” なんて意味合い。

こりゃ、過去の経験上、少々、燗酒を飲むのを躊躇っている様子。

でも、信じて飲んでみてください。
私の下手な英語で百聞より、とにかく一口にしかず!Tasting is believing!

まずは、最初に冷たいのを飲んでもらう。
「さっき(純米大吟醸あたり)のと、香りもタイプも違うね。」 と、何か違いを一発で感じ取ったよう。

そして、温めたものを飲んでみれば、やっぱり♪

「これは美味しいデス・・・。なぜ?アメリカの燗酒と何がどう違うの?」 
と、お猪口に入れられたお燗を、くいっくいっ・・・と飲んでいく。

よかった~~~。
でも、そんなウィスキーのショットグラスみたいに一気に飲んでたら、すぐ酔っ払っちゃいますよ(笑)。
もっと、こう・・・お猪口はちょびちょびっと愉しんでみてください~。


なんて笑いながら会話してると。

実は、麹とか酵母とか造り方とか、大吟醸と純米酒の香りの違いの単語や表現について、
ちょびっと、にわか勉強してカンペ作ってきたのだけど、まったく要らないや~。

やっぱり、自分が感じたことを、カタコトだけど、気持ちを込めて語るのが一番。
頭からより、ココロから、なんだなぁ・・・と思ったり。



さてさて、鳥みきのお料理でも。
 
お刺身が盛りっっと。ボニートぉ(鰹)だ♪    牡蠣も美味しそう~。ジェリーもKUMAMOTO知ってた。

写真を撮り忘れたけど、焼鳥は正肉とつくねもあり。
あと、鳥みきさんでは カレイの揚げ物 が名物のよう。

ここで、ジェリーに、どうやら、初体験らしい カレイの骨せんべい を食べさせてみる。

「え”?! 骨? 魚の?? 食べるの・・・?!(汗)」 と、すんご~~い怪訝そうな顔。
あはは、こういう反応が楽しい~♪ (←いぢわる)

同僚の方と2人して 「大丈夫ー!スナックみたいなもんだよー!」 と薦めてみたら・・・

ほらね、大丈夫だ♪怪訝な顔も、どこへやら。
でも、アメリカ人の中でも、こんなに日本食が何でもOKな人も、そうそう居ない。
「ずっと日本に居たいよ!」 なんて言ってくれてるくらいなんだもの。
そんな事言ってたら、そのうち、ワインバーのオーナーか、杜氏になっちゃうんじゃ・・・(笑)。


と、こんな調子で、ずーっと会話が楽しくて止まらない。
自分も仮にも一年、日本酒に不自由した身・・・ものすごーく共感できる部分もあったり、
逆に「日本人ではない人が、日本で日本酒をどう見る?」みたいなのを知る事が、とっても面白くて。

なにより嬉しかった言葉は 「こういう勉強会は、どうやったら参加できるの?」 と、
興味を示してくれたこと!
そう言ってくれるだけでも、今日、この場に来て本当に良かった、と思える。

“それなら、今度は、もっと小さなお店で、こぢんまりと我々だけで勉強会でもやりましょうよ!”
なんて、次にも機会を持つ話をしつつ、楽しい時間は終わりが来てしまい。

ハーパーさんは、50名以上のお客さんのテーブルに周り、なかなか喋れなかったけど、
でも、同僚さんやジェリーとの飲み会状態になって、とっても楽しかったです!
このつながりは、また・・・大事にしたいなぁ。。。

コメント (28)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 牡蠣牡蠣 @ 日本酒と干物と牡... | トップ | 会社でスポーツBBQ大会! »
最新の画像もっと見る

28 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
拠り所 (燗酒おやぢ)
2009-10-06 08:03:46
資格を振り翳さなくても酒は語れますものね。
そして、酒に目が向いてきた人たちが気軽に頼れる所が少ないことも。

NPOでも立ち上げて、迷える子羊に救いの手を差しのべますか? (笑)
返信する
ヨカッタ♪ (葛飾のオヤジ)
2009-10-06 08:24:03
ジェリーは、まきっコと逢えて良かったなぁ。
また一人、世界の中でお燗好きが増えたようだ。

カンペあまり役にたたなかったようで(笑)
だって、字が小さくて見えないしっ(笑)
返信する
海外での普及 (こじこじ)
2009-10-06 09:40:40
ラベルのデザインと値付けをどうするかに頭を悩ませることに終始し、肝心の味わいをないがしろにしているのが、米国での日本酒マーケティングの実情の様な気がしています。
なぜ日本で酒が売れなくなったのか。それを真剣に考えずに、日本で売れないから海外に市場を求めるという姿勢では、日本市場と同じ運命をたどることでしょう。
アメリカ人の味覚を馬鹿にしていると、手痛いしっぺ返しを食らうこと間違いなし。
返信する
■燗酒おやぢさま (まき子)
2009-10-06 09:43:11
確かに、せっかくお酒に目が向いてきても、
「じゃあ利き酒師を取ったほうが良いの?」なんて方向へ・・・
でも確かに、お酒にせっかく目が向いてきても、デパートの日本酒売り場に行ってしまったり(笑)、
入口が狭いような気はしますね・・・。
NPOかぁ・・・そいえば、ワッショイはそれを目指してたっけ(笑)。
返信する
■葛飾のオヤジさん (まき子)
2009-10-06 09:49:19
カンペは見るものではなく、
「作ることに意味がある」のです=「記憶に残る」(はっ、そんな事いったら、かつて作った事がるのがバレてしまう)
でも、rice malt とか ラクティック(乳酸菌、覚えてます?)なんて
使いませんでした~(笑)。
返信する
■こじこじさん (まき子)
2009-10-06 09:58:24
>なぜ日本で売れなくなったかを考えずに、海外に市場を求める

とーっても同感です!
まだ日本酒がアメリカに入り始めて新しいから一部NYなどで話題に上っているかもしれませんが、
それでもジェリーみたいな人たちがほとんどだと。。。

ワシントンDCの友達も、たとえば高いレストランで日本酒を飲んでいても、
本当に美味しいと思ってる人は少なかったような。
(というより、むしろ日本人の我々がいたから、そのお店を選んでくれたとしか思えない)

よく「アメリカ人なんて、日本の繊細な味なんてわからないだろう」なんて言いますが、
確かに食文化の違いはあれど、
バカにしてたら、本当にいつか出し抜かれる気がします。

ビールのマイクロブリュワリーみたいな感じで、現地で本格的に日本酒を造り出しちゃったら・・・なんて考えちゃいます。

返信する
不思議 (あつし)
2009-10-06 11:04:02
外国人が、日本人と同じような道をたどって日本酒にハマっていくって、納得できるけど、なんだか不思議な気分。

まき子さんは、これからこういう外国人を増やしそうな気がする。
返信する
■あつしさん (まき子)
2009-10-06 12:25:29
気分的には不思議だけど、
日本人だって、フランスやイタリアでワインを勉強して、日本に持ち帰ってきて、
いまや日本国産ワインもとっても美味しくなってますもんね。
やっぱり「気持ち」なんだと思います。

とはいっても、文化は文化。
日本は自分とこの文化を大事にして欲しいもんです。
そうしないと、アメリカでアメリカ文化として定着する日本酒の方が、
美味しくなっちゃう日が来ちゃうかもしれませんよ~。
返信する
Unknown (酒恋倭人)
2009-10-06 16:50:20
毎度!
うらやましいな~!
私も一度ゲージンさんと飲んでみたいです。
いろんなもの食わせてみたい!!
返信する
蔵人 (KURO)
2009-10-06 18:17:51
クロードを連想しちゃいました。
第10巻買わなねば。

お酒へのハマり方は五感経由で、人間の探究心をくすぐる為でしょうか?万国共通と思います。

行き着く先は造り!なんですね~
鴨居は良く行くのですが、知りませんでした。次回チャレンジしなきゃ。
返信する

コメントを投稿

日本酒を飲む @ 関東」カテゴリの最新記事