まっかちゃんのブログ

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鬼ー忘れまじ 守護と予祝の神を-

2015-06-28 17:12:56 | 文化・文学・アート
26日、立命館大阪プロムナードセミナー「木津川計ゆきしものへのバラード」の第2回「鬼ー忘れまじ 守護と予祝の神を-」を受講しました。講義の概要は以下の通りです。

もともと日本の鬼は決して恐ろしいものではなかったのです。おどおどろしいものではありましたが、人間に危害を加えたりするものではありませんでした。6世紀前半日本に仏教が伝来し、やがて平安中期に僧源信によって『往生要集』が著わされて日本の地獄思想が定まりました。
昔から日本には伝来の鬼がいました。それは地獄の鬼などではなく、生命や暮らしをおびやかす悪疫や厄難から人々を守る強い性格を持っていました。山内登喜夫『民族の仮面』、山田宗睦「節分の鬼とは」、柳田国男『山人考』、折口信夫『鬼の話』、狂言『節分』の鬼、芥川龍之介「桃太郎」の鬼、民族芸能や祭りの鬼、絵本『花さき山』などが紹介されました。

誤解と汚辱にまみれた実像の鬼の名誉回復を図らなければなりません。まれびととしての鬼を守ってきた民衆的願望を受け継ぎながら、民衆のしあわせを願った実像の鬼をこそ復権させたいのです。日本の鬼観、その変転を明らかにすることは、日本の民族史や仏教の歴史と軸にしています。過去をふり返りながら、未来への展望を導きだしたいのです。
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幽霊-恨みつらみを晴らさでは-

2015-04-18 16:41:06 | 文化・文学・アート
 17日午後、立命館大阪プロムナードセミナー 木津川 計「ゆきしものへのバラード」の第1回「幽霊-恨みつらみを晴らさでは-」を受講しました。会場は満員でした。講義の概要は以下の通りです。

 幽霊は二種類ある。1、非業、不慮の死 2、恨みつらみの死(嫉妬の恨み、虐待の恨み)。
 東北大震災の被災地で幽霊の話が多い。あの突然の災難さえなければ死ぬことはなかった。死者に霊魂があるとするなら無念の思いは大きい。無念を察する人の目には、「その口惜しさが現世への執着となり、幽霊の形をとって出現している」と映る。
 幽霊は非業の死だけで生み出されるのではない。恨みつらみを抱けばこそ出てくる幽霊がいる。怪談劇に現れる幽霊はみなこの恨みつらみを根底に、「この恨み晴らさでおこうか」の執念で幽霊になるのだ。幽霊-ことに恨みつらみの幽霊は女がほとんどである。その恨みを辿ると、一つは嫉妬の恨みであり、もう一つは虐待への恨みである。

 裏切られたた女たちの怒りは、能の「道成寺」「安達原」「葵上」で見られる。家や立身出世の犠牲になる女たちは、新派の「不如帰」「滝の白糸」「婦系図」で見られる。なぜ、恨みつらみの幽霊は女ばかりなのか。女は男に比べ体力的、権力的に男に及ばなかった。加えて経済力で劣位に立たされ、男に従属して生きなければならななかった女のありさまが女の幽霊を生み出した主因だった。
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「男はつらいよ」と寅さんの純情と献身

2015-02-27 19:13:46 | 文化・文学・アート
 立命館大阪プロムナードセミナー 木津川 計「名作映画のロマンティシズムー純愛と母性ー」の第6回「男はつらいよ」と寅さんの純情と献身、を受講しました。会場は満席でした。講義の内容は以下の通りです。

 幼い時に、母と別れた男の子が成長して作家になると少なくない割合で母を恋い、思慕の情を強める。長谷川伸は3歳で母と生き別れた。谷崎潤一郎は31歳の時に母親が亡くなった。母への思慕を主題とした作品(春琴抄や吉野葛)に描かれているのは実在の母でなく、虚構の母である。山田洋次監督の母は大人になってから亡くなった。寅さんは優しく、虚構の母が描かれている。

 「続・男はつらいよ(2作・昭和44)」で、寅さんが生みの母・お菊(ミヤコ蝶々)に会いに行くシーンからビデオ放映した。「男はつらいよ(48作・平成7)」で、寅さんが奄美大島の加計呂麻島からリリー(浅丘ルリ子・4回目の登場)を連れて柴又へ帰る。しかし、ふとしたことで喧嘩してリリーが島へ帰ろうとするシーンからビデオ放映した。48作目の渥美清はすでに肝臓ガン、しかも肺に転移していた。医者は「出演はもう不可能」と診断したのを押しての出演だった。そのために48作の寅さんは座っているシーンが多かった。渥美清は平成8年(1996)8月4日死去、68歳だった。

 「男はつらいよ」がなぜ国民的人気映画になっていったのか。シリーズ全体を通じて「優しさ」で貫かれていることだった。少々柄は悪いが寅さんは周りの人々に対して優しさと気配りを見せる。殺人や傷害を描かなかった。欲情やセックスとも無縁で、寅さんのマドンナに寄せる純愛と献身の慕情は全48作の26年間、変わることがなかった。

 渥美清の死の5年前に藤山寛美が肝硬変で亡くなっている。そして、笑いたいが笑わせる喜劇人がいなくなった。藤山寛美の死後、中座が売却され道頓堀も衰退した。宗右衛門町は風俗の街になってしまった。人間が住まいしていない地域は衰退する。天神橋筋は天満天神繁昌亭ができたこともあるが、職住一体の街で、繁栄している。 
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「幸福の黄色いハンカチ」と山田洋次の切愛

2014-12-12 23:36:52 | 文化・文学・アート
木津川計「名作映画のロマンティシズムー純愛と母性ー」の第5回「幸福の黄色いハンカチ」と山田洋次の切愛、を受講しました。会場は満席でした。講義の内容は以下の通りです。

映画上映の前に、木津川さんは11月10日に亡くなった高倉健さんと山田洋次監督について語りました。高倉健さんは寡黙で控えめな人で、山田洋次監督も寡黙な人です。太宰治の言葉に「優しさとは人を憂える」がありますが、健さんは優しさの本質を理解していた人でした。

アメリカ映画「シェーン」、続いて山田監督作品の「遥かなる山の呼び声」と「幸福の黄色いハンカチ」の順に、それぞれの内容を説明後に映画の最終部分を上映しました。制作年が逆になっていますが、ストーリーは「遥かなる山の呼び声」から「幸福の黄色いハンカチ」へとつながっていきます。そして、どちらもストーリー展開は「シェーン」から得ています。
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「離れ瞽女おりん」と水上勉の永遠の女性

2014-10-25 13:01:39 | 文化・文学・アート
10月24日、立命館大阪プロムナードセミナー 木津川計「名作映画のロマンティシズムー純愛と母性ー」の第4回「離れ瞽女おりん」と水上勉の永遠の女性、を受講しました。会場は満席でした。講義の内容は以下の通りです。

幼い時に、母と別れた男の子が成長して作家になると少なくない割合で母を恋い、思慕の情を強める。
谷崎潤一郎は裕福な家に育ち、16歳まで母と一緒に育った。16歳で住み込みの家庭教師になった。谷崎は31歳の時に母と死別した。谷崎潤一郎の描く女性像には母への思慕が大きな要素としてある。母への思慕を主題とした作品は、「吉野葛」、「母を恋うる記」、「少将滋幹の母」、その他がある。
水上勉は、福井県の貧しい宮大工の家に四男一女の次男として生まれた。貧困から10歳の時に相国寺へもらわれ12歳の時に飛び出した。それから放浪生活が始まった。30を余る職業を転々としながら小説を書いた。「五番町の夕霧楼」と「離れ瞽女おりん」を上映(一部)した。浮かばれない、貧しい、しいたげられた男女の助け合いが描かれていた。詳細は[こちら]をご覧ください。
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