今や葬式をめぐってはひとつの大きな流れが生まれています。
葬式は不要のものになり、それは墓にまで及んできました。
葬式は徹底して簡略化され、墓を造らないことが常識になりつつあります。
それは葬式も墓もすっかり時代遅れのものになってしまったからです。
また、もう一つ重要なこととしては、死のあり方が大きく変わってしまったことがあげられます。死は以前に比べて重要なものではなくなりました。
死によって、その人の人生が決定的に断ち切られるということではなくなりました。
人は、年を重ねるとともに、次第に死の世界へ近づき、徐々にそこに溶け込んでいくようになったのです。フェイドアウトしていくととらえてもいいでしょう。死が重要性を失えば、死の後に執り行われる葬式はさほど意味を持ちません。個人と一緒に暮らしてきた家族にとっては、それなりに重い出来事であっても、家族以外の他者にとっては、さほど重要な意味を持たないのです。
そこに「葬式消滅」という事態が生まれているのです。
高齢者が亡くなっていくその様子をフェイドアウトというのはわかりやすい表現だ。若い人たちとは葬式の在り方が全く異るのも自然なことだ。
紹介した文だけ切り取ると、冷たい言いように感じる人もいるだろうが、今の時代を考えれば著者の説明はよく理解出来る。
この本を読んで、改めて自分の死生観についても考えを固めることが出来た。
是非多くの人に読んでほしい一冊だ。