これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

文書通信費100万円の問題について

2021-12-04 11:02:31 | 政治
【はじめに】
 今回の衆議院選挙で新たに当選したり、返り咲いた議員に文書通信費として100万円支給された件を問題視する記事が目立ちます。(公設秘書費も1ヶ月分支給されました。) 該当する議員は69名の様です。 私は、『国民からの当選祝い金』だと思って受け取ってもらうべきだ!と思います。 議員が「有難い!」と感謝してくれて、勉強して、国を良くしてくれたら、安い金額です

  2009年の衆議院選挙は8月30日が投票日でしたから、2日間の在職で文書通信費が1ヶ月分支給されて問題になり、マスコミは「問題だ」と報道しましたが、有耶無耶になってしまいました。今回も有耶無耶になるでしょう! 報道機関が今頃になって問題視するのが可笑しいです。 投票日(10月31日)を決めた前総理大臣の菅氏は、1日だけの在籍で100万円支給される事を承知していたでしょう。(記者達も知っていたはずです!)

 法律は国会議員達が作る物ですから、他にも沢山・自分達に都合が良いような法律が有ります。問題点を追及し続け無かったら、改善されません。

【問題の本質】
 日本には「国民は善良である」と言う前提に立った法律が沢山あります。 国会と地方公共団体の議員の仕事には、綺麗事では済まないケースが多々有ります。然し、議員に関する法律は「議員は全て善良である」と言う前提に立っています。 「国民全体の善良な人の割合より、議員の割合は少ないと考えるべきだ」と私は思っています。

 議員や政党・会派に支給される金の使い道や金額の妥当性については、マスコミが調査/勉強して、「こんな状態を放置して良いのか?」と国民に問いかけるべきです。 で無かったら議員達に都合の良い法律を作ったり、そんな法律を死守しようとします。

 以下に述べる様に国会議員が国からもらう『金』は決して多くは有りません。 有力議員は自費で私設秘書を雇う必要があり、選挙ではウグイス嬢を雇ったり多額の金が必要です。文書通信費を流用したくらいでは足りないのは明らかです。 口利き等をして、表に出せない金を集めたりする事になるのだと思います。 『政治家の周りで黒い金が飛び回らなくても、政治活動が出来る様にするには如何したら良いのか?』を国民とマスコミは考える必要が有ります。

 然し、公設秘書の数を増やしたり、文書通信費の様な金を増額すると、選挙で現職議員が有利になってしまいます。選挙の公平さを確保する為には次の2点が不可欠です。❶公設秘書は選挙に係われなくする、❷文書通信費の様に議員個人に支給する金は、領収書の提示を義務化して、選挙には使えなくする。

(余談 :アメリカの公設秘書) 上院議員は公設秘書を無制限で雇える事になっています。2019年は議員一人当たり、41.2人の公設秘書を雇ったそうです。下院議員には22人の上限が有り、2019年は平均16.6人だったそうです。公設秘書は選挙活動に参加出来なくなっています。

【国会議員の収入】
 国会議員の歳費(給料)とボーナスは、現在の民間企業と比較すると決して多いいとは言えません。後述のように大臣や議長になると退職金がもらえますが、大企業の重役と比較すると微々たる金額です。国会議員は何年在職しても退職金が貰えません。

 私が出向した社員40名弱の小企業のオーナー社長の年収は2,000万円以上有りました。 社長はベンツに乗っていましたが、車の購入費、ガソリン代、車検代など全て会社の経費で落としていました。別の小企業では、社長だけで無く・勤務実績の無い(幽霊社員の)息子と娘の車の費用も会社が支払っていました。毎年一、二回家族でヨーロッパ旅行をしていましたが、その費用も会社持ちでした。他にも家族の飲食費等々を経費で落としていました。 国会議員には遣り手の方が多いいですが、他の仕事についた方が『金』儲けは出来ると思います。

① 歳費(給料) :月=129.4万円 (年=1552.8万円)・・・21年は20%カットされています。
② ボーナス :317.5万円✕2=635万円
③ 文書通信交通滞在費 :100万円/月 (年=1,200万円)・・・無税、領収書不要
④ 公設秘書費 :3名分、直接秘書本人の口座に振り込まれる。

【公設秘書】
 国会議員は公費で、❶政策担当秘書、❷第1公設秘書、➌第2公設秘書の3名の秘書が付く事になっています。人選は各議員がします。級と号級によって給与が違います。同じ級と号級だと❶と❷の給与は同じで、➌の秘書は低く設定されています。 最も低いケースでは268,900円(年額≒323万円)、最高は534,000円(年額≒641万円)ですから決して高給では有りません。 国から直接本人に振り込まれます。

 公設秘書には、国家公務員と同様にボーナス、通勤手当、住居手当、勤勉手当が支給され、退職金も支払われます。(詳細は、『国会議員の秘書の給与等に関する法律』を参照願います。)

(余談 :私設秘書) 私は複数の与野党の国会議員の地元事務所にお邪魔した事が有りますが、与党の有力議員の事務所には公設秘書の他に私設秘書がいました。色々お願いに来る人がいて、結構・皆さん忙しそうでした。 野党の事務所には陳情の来客は殆ど無い様で、暇そうな事務所が多かったです。 私設秘書の給料は議員が工面する必要が有り、パーティーを開いたりして金を集める必要が有るのです。 文書通信交通滞在費を私設秘書の給料に当てている与党議員は多いいと想像します。

 現在は無くなっていると信じたいのですが、昔は裏金を集める(極秘の)地元事務所を持った有力議員もいました。町工場や工務店が裏事務所の役割をしていました。 有力議員の場合は、億円単位の金を扱っていた様でした。

 公設秘書の数は、与野党に関係なく3名まで認められます。 日本は、地元出身の国会議員を介した『陳情/請願』で地元の要望を各大臣/各省に伝える慣習が続いてきました。 この慣習を無くさない限り、与党議員は私設秘書を雇わざるを得ないのです。 詳細は、2021年10月16日に投稿した『世襲議員を減らす特効薬』に述べました。

【国会議員の優遇】
 地方選出議員用の議員宿舎が有ります。衆議院用は2007年に建て替えら、港区赤坂の一等地に有る300戸の高層マンションです。家賃は15.4万円、3LDK(82m2)です。参議院用は千代田区の麹町と紀尾井町に有ります。

① 議員宿舎 :有料
② 議員会館 :東京事務所として利用(約100m2/室)

【政党に支給される金】
 企業や労働組合からの献金を制限した見返りに、1995年から政党交付金(政党助成金)が支給される様になりました。1995年≒302億円、2020年≒318億円でした。 衆議院の定数=465人、参議院の定数=248人ですから、2020年には議員一人当たり、4,450万円支給された事になります。(共産党は何故か?受け取っていません。)

 立法事務費は、法律を作る為の調査/検討を行う為に必要な『金』として、1953年から政党/会派に支給されています。 アメリカ等では議員が法律案を作成して議会に提出する例が多いい様ですが、残念ながら日本の議員達は問題意識が乏しく、勉強不足などで議員立法を成立させた例は非常に少ないです。

 立法事務費の支給が、政党交付金より先に始まりました。どちらも政党(又は会派)に支給されます。 実質を伴わない立法事務費は廃止して、その分・政党交付金を増額すべきだと考えます。

❶ 政党交付金(政党助成金) :1995年から始まった。
❷ 立法事務費 :議員一人当たり65万円/月 (年=780万円)・・・1953年から政党/会派に支給される。

【役職議員の年俸】
 民間企業の役員の様に、国会議員も大臣などに就任している間だけ歳費(月給)とボーナスが増加します。 役職に就くと議員の給料ではなく、役職によって定められた給料が支給されます。

 2021年は、コロナで日本経済が低迷した為に、役職給与をカットしています。 法律で定められた本来の給与を下に書きます。(大手民間企業の役員給与と比べると、決して多いいとは言えません。)

・・・ 役職議員の月給 ・・・
★ 総理大臣 :241万円 (加算額111.6=2,410,000―1,294,000)・・・21年は30%カット
★ 国務大臣 :176万円 (加算額46.6=1,760,000―1,294,000)・・・21年は20%カット
★ 副大臣  :169万円 (加算額39.6=1,690,000―1,294,000)・・・21年は20%カット
★ 大臣政務官 :144万円 (加算額14.6=1,440,000―1,294,000)・・・21年は10%カット
★ 衆参の議長 :217万円 (加算額87.6万円=2,170,000―1,294,000)
★ 衆参の副議長 :158.4万円 (加算額29万円=1,584,000―1,294,000)
△ 議会雑費 :6,000円/日・・・国会の委員会の役員や委員長への日当

・・・ 役職議員の年俸 ・・・ (21年のカットされる前の年俸)
★ 総理大臣 :4,049万円
★ 国務大臣 :2,953万円
★ 副大臣  :2,416万円
★ 大臣政務官 :2,416万円

【退職金】
 国会議員には退職金は支給されません。 役職についた議員には、在職期間による退職金が支払われます。在職期間を1年とした場合の退職金を下に整理しておきました。

 大手企業の重役の退職金と比較したら、微々たる金額です。最高裁判所長官を10年務めたら退職金は4,944万ですが、総理大臣を10年続けても1,320万円(?)程にしかなりません。

 衆参両院の議長と副議長も立派な役職だと私は思いますが、(昔からの慣例なのか?)何年勤めても退職金は貰え無いようです。

★ 総理大臣 :132万円
★ 国務大臣 :96万円
★ 副大臣  :92万円
★ 大臣政務官 :79万円

総理大臣の退職金の計算式 :基本額(俸給月額×在職年数に応じた支給率)+調整額(基本額×6/100)

【JRの無料パスと飛行機代】
 国会議員には以下に示す①、②、③の中から一つだけ選択する権利が与えられます。 JRではグリーン車に乗れます。 JR各社と航空各社に国から費用が支払われています。 その総額は年間13億円ほどの様です。

 東京に近い県から選出された議員には、航空券引換証は与えられません。

①JRパスのみ
②JRパスと1カ月当たり東京・選挙区間3往復分の航空券引換証
③1カ月当たり東京・選挙区間4往復分の航空券引換証

(余談) 私の故郷は和歌山県の田辺市で、1980年頃・横浜に住んでいました。 お盆休みには必ず、私の両親、義理の母と姉が孫を待っていたので、羽田から南紀白浜空港に飛行機で帰省しました。 ある年、飛行機が1時間程離陸しませんでした。 地元選出のH代議士が遅れたので、待っていたのです。 H代議士とは子供の頃毎年、一、二度雑談して顔見知りでした。 私の直ぐ近くの席に座りましたが、頭に来ていたので挨拶しませんでした。 国会議員は飛行機の無料引換証を支給されるだけでなく、離陸を遅らせる事も出来たのです!

 当時・正月、ゴールデンウイークとお盆んに、羽田/南紀白浜空港間の航空券を入手するのは極めて難しかったのです。私は極秘の入手ルートを二つ持っていたので、毎年帰る事が出来ました。飛行機や新幹線には予備の席が確保されていて、国会議員達は何時でも予備の席が利用できる様になっていました。この慣例は、多分・今でも続いています。

【私鉄やバスの無料パス】
 国会議員には私鉄やバスの無料パスも支給されますが、その費用は国からは出ていません。 企業側が負担しています。

 秘書には無料パスが支給されないので、秘書の移動/宿泊には文書通信費の一部が使われていると想像します。

【国会法第38条の全文】 1947年
 議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、別に定めるところにより手当を受ける。

【国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律第9条の全文】
第9条第1項 :各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、文書通信交通滞在費として、月額百万円を受ける。

第9条第2項 :前項の文書通信交通滞在費については、その支給を受ける金額を標準として、租税その他の公課を課することができない。(無税なのです。)

【文書通信交通費の支給金額の変遷】
 国会議員達が如何にも仕事をしている様な振りをして、領収書の要らない金を国費からチョロまかしてきました。 最初(1947年)は『通信費』だけでしたが、63年には『交通費』を追加、74年には『文書費』、93年には『滞在費』を追加したのです。

 多くの国会議員は本来の用途には殆ど使用せず、流用していると推察します。 従って、文書通信交通費の支給は、「公序良俗に反する行為」を議員達に助長している様に思えます。

 胡散臭い人間が多いい議員達に、給料やボーナス以外に領収書の要らない『金』を支給するのは止めるべきです。

★ 1947年 :通信費=125円/月
★ 1963年 :通信交通費=10万円/月
★ 1974年 :文書通信交通費=35万円/月→→その後・75万円/月
★ 1993年 :文書通信交通滞在費=100万円/月

(余談 :共産党の噂) 共産党の国会議員は文書通信交通費を党本部に上納していると言う噂が有ります。 真実だったら、法律違反で、犯罪だと思います。 この金は、議員本人が文書を作成したり、電話したり、視察旅行する費用として税金から支給されているのです。


憲法第九条の改正議論を始める前に

2021-11-27 09:33:39 | 政治
【はじめに】
 先日の衆議院選挙で憲法改正に賛同する政党が、衆参両院で憲法改正の発議が出来る2/3以上の議席を獲得しました。 11月19日に、岸田首相は「憲法改正実現本部」を立ち上げました。

 第九条の改正議論が近々始まると予想されるので、私の考え方を公表することにしました。

【立憲民主党と憲法改正議論】
 現在・立憲民主党は代表選挙中ですが、来年の参議院選挙と同時に憲法改正の国民投票が実施される事を予想して、代表を選ぶべきだと私は思います。 枝野幸男氏が進めた「共産党と社民党との連携」で国民投票に臨んだら大敗してしまうのでは?と私は予想しています。

 憲法改正議論が活発化したら、各テレビ局は討論会を放映するでしょうが、立憲民主党からの出席者が真面(まとも)な議論が出来るでしょうか? 共産党と社民党は、第九条を宗教の聖典の一節の様に語ります。この2党と同じ論法では、立憲民主党は埋没してしまいそうです。

【日本国憲法】
 敗戦後に日本の保守派政治家達は、「GHQが天皇の戦争責任を追及するのでは?」と恐れていたと想像しますが、46年2月にGHQが提示した英文の憲法草案では『象徴天皇』として認められる事になっていました。 私見ですが、吉田茂は「天皇制さえ認めてもら得れば、日本の共産化を防ぎ、内政を安定化出来る、この際はGHQ案を丸呑みしておこう、将来改正すれば良い!」と判断したと思います。

 GHQは、旧日本軍を取り敢えず解体するために『第九条』を盛り込んだのだと思われます。有史以来、数千万人の人口を抱える大国が、軍隊を持たなかった例は有りません。GHQも「日本人は将来、第九条を改正して、軍隊を持つだろう」と考えていたでしょう。

 国家予算の乏しい日本にとっては、第九条は有難い規定になりました。 朝鮮戦争やベトナム戦争への参戦を避ける口実に出来、自衛隊を設立した後は軍事予算を増やさない口実にも出来たのです。 戦後の経済発展と科学技術の発展は、『第九条』のお蔭だ!と言っても過言では有りません。

 米ロ冷戦が始まって、日米は『奇妙奇天烈』な関係になりました。第九条を押し付けたアメリカが、「日本は軍隊を持て!」、「軍事予算を増やせ!」、「国際紛争に軍隊を派遣しろ!」、「アメリカからもっと兵器を買え!」・・・と要求してきたのです。

 米ロ冷戦は終わりましたが、ロシアは今でも覇権主義国家で、21世紀になって中国が台頭してきて→軍備を急速に拡充しています。そして、米中冷戦時代に入ろうとしています。日本は何時までも、『九条の傘』で雨を凌ぐ事は出来ません。

★ 45年8月 :敗戦(ポツダム宣言を受諾)
★ 46年2月 :GHQが英文の憲法草案を提示
★ 46年5月~48年11月 :極東国際軍事裁判(東京裁判)
★ 46年5月 :第一次吉田内閣
★ 46年11月 :日本国憲法を公布
★ 47年4月 :新憲法下での最初の衆議院選挙(社会党・片山哲内閣)
★ 47年5月 :日本国憲法の施行

(余談 :大日本) 韓国は『日帝』と問題にしますが、『大日本帝国』とは通称の国名で、旧憲法や法律で規定されていません。正式な国名は『大日本国』です。旧憲法は『大日本帝国憲法』ですが、「大日本の帝国憲法」の意味で、「大日本帝国の憲法」と言う意味では有りません。

 『大日本』は死語の様になっていますが、現在でも天皇が公式文書に押す印鑑『国璽(こくじ)』は『大日本国璽』となっています。 (因みに、日本の国璽は金印です。)

【憲法第九条の原文】
第二章 戦争の放棄 :戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

(解説) 第九条の文字を追っ掛けても「何を制限/禁止しているのか?」分からないと思われます。多くの憲法学者の見解は、「❶武力で他国を侵略したり、❷武力を背景に他国を脅してはならない」、「❶と❷の為の軍隊は持ってはいけない」と九条は規定しているのだ!

 「2 前項の目的を達するため」と態々(わざわざ)記載したのは、自衛権は国際的に認められている権利だから、九条は自衛権を行使する為の軍隊を禁止していない・・・これが歴代政府の見解で、一部の憲法学者も支持しています。

 各国の軍隊は『〇〇国軍』や『✕✕国防軍』が正式名称です。例えば、アメリカは『合衆国軍( United States Armed Forces)』です。 日本は、自衛権を強調するために『自衛隊( Japan Self-Defense Forces)』と『防衛省(Ministry of Defense)』を正式名称にしています。

(私見) 第二次世界大戦後の兵器の進歩は目覚ましいです。 防衛出来ない兵器がドンドン開発されています。 防衛省は口を濁しますが、最新の攻撃ミサイルは迎撃ミサイルでは撃ち落とせません。 北朝鮮は、日本が保有する迎撃ミサイル・システムでは対応出来ないミサイル開発に注力しているのです。

 攻撃兵器が進化したために、専守防衛と言う考え方が成り立たなくなっているのです。 その為に、近年「日本を狙ってミサイルが発射される兆候が有ったら敵基地を先制攻撃する能力を、自衛隊は持つべきだ!」と主張する人達が増えてきたのです。

【国際連合憲章の第51条】 自衛権
 「自衛権は国際法で認められている権利である」とよく言われますが、国際連合憲章の第51条の規定を指しています。 ウイキペディアに記載されていた訳文を、以下に転記しておきます。

 第51条 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

【軍隊とは?】
 「自衛隊は、専守防衛が任務だから軍隊では無い」と言うのが歴代政府の見解です。揚げ足を取った見方をすると、「他国の軍隊は先制攻撃をして、他国を壊滅するのが使命だ」と言っている様に聞こえます。 そもそも・こんな議論をするのは世界広しと言えども日本だけです。

 自衛隊が軍隊で無いと他国に主張しても、全く通用しません。 アメリカの軍事分析会社『グローバル・ファイヤーパワー』の2021年の報告では、自衛隊の軍事力は世界第5位です。

 百歩譲って「自衛隊は軍隊では無い」と認めたら、国連から要請が有っても自衛隊を紛争地域に派遣してはいけない事になります。 捕虜の取り扱い(保護)については、ジュネーヴ条約の中の第3条約に規定されています。この規定が適用されるのは、軍人と・それに準ずる組織のメンバーに限定されています。 紛争地域に自衛隊を派遣する時、歴代の政府は派遣先の国で「自衛隊は軍隊で有るから、万一・捕虜になってもジュネーヴ条約に従って保護されるべきで有る」と主張しています。 国内では「自衛隊は軍隊では無い」、海外では「自衛隊は軍隊だ」と説明せざるを得ないのです。

・・・ グローバル・ファイヤーパワーの2021年軍事力ランキング ・・・
1位 :アメリカ・・・核保有国
2位 :ロシア ・・・核保有国
3位 :中国  ・・・核保有国
4位 :インド  ・・・核保有国
5位 :日本
6位 :韓国
7位 :フランス・・・核保有国

(余談 :捕虜に関する法律) 殆ど話題になりませんが、日本にも捕虜に関する法律が有ります。 『武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律』;2004年公布。 然し、「紛争地域で自衛隊が捕虜として捉えた人間をどう取り扱うのか?」、政府見解を聞いた事が有りません。

日本の軍事費 :イギリスの有力シンクタンクである国際戦略研究所(IISS)の年次報告書「ミリタリー・バランス」では、2020年の日本の軍事費(防衛費)は世界第8位でした。

【軍隊の要否を議論すべき!】
 今後・憲法第九条の改正を議論する場合は、従来の政府見解を全て無かった事にして、「軍隊が必要か?」、「軍隊は不要か?」を真正面から討議すべきだと私は考えます。

 共産党だけ明確な主張、「段階的に自衛隊を縮小して、将来は完全に廃止する」、「国連から国際連合平和維持軍(PKO)の派遣要請が有っても、応ずるべきでは無い」と言っています。 社民党は自衛隊は違憲だと主張しています。 れいわ新選組は、九条の改正には反対を表明していますが、自衛隊を廃止しろとは言っていない様です。

 「憲法九条で軍隊を持つことが禁じられているから、自衛隊は廃止すべきだ!」と言う方がおられたので、「憲法九条が無かったら、貴方は軍隊を持っても良いと思われるのですか?」と聞いて見ました。 彼は黙ってしまいました。

 日本の周辺には、❶核爆弾とミサイルの開発に全力で取り組んでいる北朝鮮、❷核爆弾を1,000発まで増やそうとしており、兵器の開発に目覚ましい成果を上げている中国、❸核爆弾を6,500発も保有するロシアが有ります。

【夢想の世界に生きるのか?】
 田島陽子先生は、「何でも、話し合って解決しよう!」と主張されます。堀江貴文氏は、「中国が欲しいと言うのなら、尖閣あげちゃえば!」と昔・言いました。 「他人は危害を与えない」と言う夢想の世界(夢とファンタジーの世界)に生きる方が良いと考えるのは個人としては立派な生き方です。 然し、国家の使命の一丁目一番地は、「他国の侵害から国民の生命と財産を守る事」ですから、為政者は現実の世界で考え/対処する必要が有ります。

 田島先生を日本国の特使として北朝鮮に派遣しても、成果が得られないのは明らかです。 自衛隊を解散させたら中国が尖閣諸島に上陸するのも明らかです。 堀江氏は、「沖縄も欲しいと言うのだったら、あげちゃえば!」と言うのでしょうか?

【軍隊を持たない国】
 現在・軍隊を持たない国が存在します。全て小国で、近隣の国に国防を委託しているケースが多いいです。 人口34万人のアイスランドは軍隊を保有していませんが、北大西洋条約機構(NATO)に参加しています。人口127万人のモーリシャスには、警察(≒8,000人)の他に治安部隊(≒1,500人)が有ります。 モーリシャスの人口は日本の1/100ですから、警察官がとんでもなく多い国だと言えます。(日本の警察官は30万人弱です。)

【軍隊を持たない国になったら!】
 憲法改正の国民投票で、「日本は軍隊を持たない」と決まったらドンナ事になるのか?」想像して見て下さい!

・・・ 自衛隊廃止のメリット ・・・
 自衛隊を廃止したら、国防費を科学技術分野や工業分野に回す事が出来ます。米軍基地は直ぐには返却されないと予想しますが、将来は米軍は撤退するでしょう。 米軍が撤退したら、北朝鮮が日本を攻撃する恐れは無くなるでしょう。

 自衛隊と米軍の基地を、有効に利用出来る様になります。元気溌溂な自衛隊員が経済活動に参加する事になります。 単純に考えれば、軍隊を廃止したら日本の経済は発展しそうです。

① 国防費(2020年≒、53,400億円)→他の用途に回せる。
② 思いやり予算(国防費の一部)(2020年≒、2,017億円)→他の用途に回せる。
③ 米軍基地が返却され→有効活用が出来る。
④ 自衛隊の基地を廃止する→有効活用が出来る。
⑤ 隊員(≒25万人)が経済活動に参加できる。

・・・ 自衛隊廃止のデメリット ・・・
 「他国が日本の領土を取りに来ない」、「武力を背景に日本に不利な要求を呑ませようとはしない」との考え方に立てば、自衛隊を廃止するデメリットは殆ど無いと思います。

 万一、尖閣諸島、太平洋の島や沖縄を要求してきても、「上げたら良い」との考え方も成り立ちます。 この考え方に賛同されますか?

 中国とロシアは紛争国に軍隊を派遣して、その国を取り込もうとしています。「遠いい国がどうなろうと」、「国際秩序がどうなろうと」どうでも良い。 自衛隊を廃止する事は、「兎に角、紛争には関わらないでいよう!」と言うスタンスを選択するのと同じです。

 自衛隊を廃止したら、米軍基地が日本に存続していても、アジア地域の軍事バランスは極めて大きく変化します。中国は好き放題に出来る様になり、台湾へ進攻すると思われます。 台湾から難民が沢山・日本に来る可能性が有ります。 難民に紛れて兵器を持った台湾兵が入って来る可能性が有ります。 警察と海上保安庁で対応出来るでしょうか?

 日米の貿易収支は、(2020年を除いて)日本が大幅な黒字が続いています。 アメリカから高価な兵器を国家予算で(言いなりの値段で)沢山輸入して、黒字幅を減らして来ました。自衛隊を廃止したら、兵器の輸入が無くなります。 日本の貿易黒字を減らす、別の手段を考え出す必要が有ります。 何も対策しなかったら、日米貿易戦争が始まります。

❶ 国家が国民の生命と財産を守れなくなる。
❷ 軍事同盟が破棄される。
❸ アジアの軍事バランスが大幅に変化して、中国の脅威が高まる。
❹ 国土の防衛が出来なくなる。
❺ 国連平和活動に参加出来なくなる?
❻ 武力革命を防止出来るか?
❼ 災害対策部隊の創設が必要になる。

【私の第九条改正案】
 第九条の3項として、「3 自衛権を行使するための軍隊は保有する。」と追加すべきか?否か?を国民投票に掛ければ良いと私は考えます。賛成多数だったら、『日本軍』と『国防省』に名称を変えるべきです。

 否決されたら、『自衛隊』と『防衛省』のままの現状維持が良いと考えます。軍隊を持つか?、無くすか?を国民投票に掛けるのはリスクが大き過ぎます。 軍隊を保有しない大国が、有史以来存在した例が有りません。 「日本で、軍隊を保有しない大国が存続出来るか?否か?」をテストする事には大反対です。


今回の衆議院選挙

2021-11-13 09:21:08 | 政治
【はじめに】
 10月31日に実施された衆議院選挙について書きます。我が家の有る神戸市では、市長選挙も有りました。

 大方のマスコミは野党勝利を予想していましたが、結局・大山鳴動して鼠一匹の様な結果で終わりました。 現在の『小選挙区比例代表制』は、ちょっとした風の変化で政権交代が可能になる制度です。 近年・自民党政権ではスキャンダルが多く、『強風』が吹きそうな状況でした。それでも立憲民主党は議席を減らしたのです。「何故なのか?」立憲民主党は猛省する必要が有ります。

【投票場の風景】
 31日・神戸は9時頃まで雨が降っていたので、10時頃に妻と投票場に行きました。待たされる事無く、短時間で終了しました。50人ほど見掛けましたが、二十歳前後の若者は全く見掛けませんでした。

 本人確認のために誕生月を聞かれたので、「忘れました」と言ったら→担当者が顔を上げて→無言で私の顔をジット見ていました。 「痴ほう症の人の本人確認はドンナニするのか?」興味が有ったのです。後で、妻に叱られました。

【選挙公報】
 私は大阪の小さな賃貸マンションを管理しています。住民の一人が郵便受けの下に、チラシを放り込む段ボール箱を勝手に置いていて、皆さん色んな不要物を捨てます。月に3回ほど私がゴミ袋に入れて、ゴミ置き場に置いています。 

 沢山・選挙公報を読んだ形跡無しに捨てていました。 「この賃貸マンションには底辺の生活を送ってきた方が多いいので、厚生福祉に関する政策に興味が有るのか?」と勝手に思っていました。「選挙に行っても、どうせ、私の生活は向上しない!」と諦めているのでは?

 私は、選挙公報を一通り読んで、最終決断しました。

【辻元清美氏の落選】
 辻元清美氏は大阪10区で、維新・池下卓氏&自民・大隅和英氏と戦って敗れました。 選挙戦終盤になって、よりにもよって自民党員の山崎拓氏(84歳)に応援演説をしてもらったのを見て、「こりゃ駄目だ!」と思いました。

 もう皆さんは覚えておられないかも知れませんが、山崎拓氏は10年間ほど山田かな子氏を愛人にしていました。彼女が告白したので、2002年に週刊文春が取り上げました。週刊文春によると、山崎氏は大のセックス狂でだった様です。辻元氏はこの事を知らなかったのか?忘れたのか?。「藁をもつかむ思い」だったのか? いずれにしても、ビックリ仰天しました。

 辻元氏は61歳ですから、少し早いですが、政治の世界から引退されて、「趣味を作って余生を楽しまれては」と思います。

【立憲民主党は勉強と改革が必要!】
 枝野幸男氏は大学の後輩で、考え方に共通する所があったので、長年注目して来ました。立憲民主党を立ち上げた時から、枝野氏は大幅に考え方を変えた様に思いました。

 今回の選挙を共産党や社民党と共闘すると発表した時、「そこまで考え方を変えてしまったのか!」と呆れてしまいました。

 立憲民主党に必要なのは、目先の票の追求では無くて、「立憲民主党に国の運営を任せても大丈夫だ!」と国民を説得する事です。蓮舫氏の様に言葉巧みに与党のスキャンダルを追及しっても、「国を任せられる」と国民の多くは考えないでしょう!

 21世紀になって、世界の『経済情勢/軍事情勢』、『科学技術/工業技術』、『エネルギー問題/CO2削減問題』、・・・等々・問題山積で、内容が急激に変化しています。10年前の知識が通用しない問題が沢山有ります。 与野党の政治家は勉強が必要な時代になっているのです。

 与党だと、副大臣と大臣政務官になれるので、官僚から種々教えて貰う事が出来ます。知識を広め/経験を積んで/官僚個人を知ったら、大臣になっても何とか仕事をこなせます。 野党議員は独学で勉強する必要が有ります。

 立憲民主党の議員達が経済情勢/軍事情勢などなどを猛勉強して、大臣や副大臣の勉強不足を追及出来る様になったら、党内の意見を集約出来る様になり、国民は立憲民主党に国を任せても良いと考える様になります。現状のままで、政権が取れても『鳩ポッポ内閣』や『空き缶内閣』の二の舞になってしまいます。

(余談 :私がブログを始めた理由) 私は、4年前に与野党の国会議員10名程に、「ボランティアでやりますから、工業技術、科学技術等々の要点を短く纏めた勉強資料を作らせて下さい」と申し入れて見ました。2回コンタクトを試みた方もいましたが、一人も連絡をくれませんでした。

 与野党の先生達が誰も相手にしてくれなかったので、ブログで自分の思想を公表しようと思い立ったのです。 技術屋の端くれなので、工業技術や科学技術についても今後は投稿したいと考えています。

 昔の民主党政権の時に防衛大臣になれる議員がいなかったので、民間人だった森本敏氏に依頼しました。 立憲民主党が現状のままでは、政権を取ったとしても、専門知識が必要な大臣は民間人を登用せざるを得なくなってしまいます。こんな状態で立憲民主党の支持率がアップするとは考えられません。

(余談 :野党合同官僚ヒアリング) 野党議員が官僚に教えて貰う『官僚ヒアリング』は昔から有りました。近年は『野党合同官僚ヒアリング』になり、NHKが何を考えたのか?カメラを持ち込んで放映する様になりました。 教えを乞う場では無くなって、官僚を吊るし上げる場に変質してしまいました。(生徒が先生を罵倒するシーンを全国放送して良いのか?)

 官僚は時の政権の考え方を忖度して、政策を提言したり、法案を作成するのが仕事です。 忖度し過ぎて文書を改竄したり、破棄する事は問題です。然し、そんな問題が発生しても、国会で追及すべきで有って、野党合同官僚ヒアリングで取り上げるべきでは有りません。

 立憲民主党が将来政権を任された時、官僚を上手くコントロールし無かったら、国家の運営は出来ません。アメリカの様に、政権が交代すると国家公務員のトップ(官僚)を入れ替える制度で有れば、野党議員が時の官僚を叩いても良いでしょう。 今までの様に官僚叩きを続けたら、立憲民主党が政権を握ると優秀な官僚達はサッサと辞めてしまいますよ!

(余談 :烏合の衆の野党) 与党の場合は烏合の衆でも何とか纏まります。与党は、大臣、副大臣そして大臣政務官と言う『甘い飴』を配る事で党内を纏められます。大臣と副大臣に任命されれば、皇居に参内して認証式に出られます。

 立憲民主党では、昔・自民党にいた小沢一郎氏(79歳)と中村喜四郎氏(72歳)が活躍されている様です。この両議員は、「考え方は問わない、兎に角選挙に勝って議席数さえ増やせば良い」、「政権を取って国をドンナニ変えたい等々は、政権を取った後で議論しよう!」、「財源の事など無視して、一票でも多く取れる公約を掲げて戦おう!」と考えている様に見えます。(私は、二人の事を『選挙屋』と読んでいます。)

 テレビの討論会に出た立憲民主党議員は、(党内で反対派に批判されない様に)論点をずらして、何を言いたいのか分からない様な発言をします。話題になっている問題について党内の意見が集約が出来ていないのが見え見えです。

 立憲民主党は、党内で政策議論を活発に行って、余りにも考え方が違う人達には出て行ってもらう必要が有ると考えます。共産党や社民党の考え方に近い人は排除すべきです。(私は共産党と社民党を否定はしていません。烏合の衆では駄目だと言っているだけです。)

【憲法改正】
 今回の総選挙の結果から、憲法第九条を除けば憲法改正が出来るのでは無いかと考えます。

 第九条の改正を含めると、反対者が多いいと思われますが、それ以外で有れば改正議論に参加する政党は沢山出て来るでしょう! 例えば、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党です。この四党の合計議席数は、憲法改正の発議が可能な衆参両院の2/3を超えています。

 GHQは1946年2月に英文の憲法草案を吉田茂内閣に提示しました。殆ど内容を変更しないで翻訳して、11月に日本国憲法を公布しました。それから75年経過していますが、一字一句改正しないで現在に至っています。(他国が作った憲法を、後生大事に75年間も守り続けている国は他には無いと思います。自分で憲法が作れず、改正も出来ない情けない国なんでしょうか?!)

 改正が必要だと私が考える点は種々有ります。例えば、『第二十四条』を改正して同性婚を認めるとか。

 2022年7月に参議院選挙が行われますが、それまでに前述の四党で改正案を纏めて参議院選挙と同時に国民投票をすべきです。 時間が無いので、四党で合意出来る事案に絞って国民の判断を仰ぐべきです。

 民主主義の根源は憲法です。民主主義思想を広める為には、多くの国民に憲法に興味を持って貰う必要が有ります。 憲法改正の国民投票を三、四回やれば国民の多くが憲法について関心を持つ様になると思います。その後で、第九条の改正を議論して、国民の判断を仰ぐべきだと考えます。

【最高裁・裁判官の審査】
 最高裁・裁判官の審査については沖縄県を除いて、全国的に興味が無い様です。「公報を読まれた方は少なかったのでは?」と推察します。私は時々ですが読みます。

 今回・11名の審査が行われましたが、9名は東大卒で8名は東大法学部卒でした。裁判官は融通の利か無い、カチンカチン人間に向いた仕事なんでしょう! (私の大学と高校の後輩が各1名いました。)

(余談 :最高裁の裁判官) 憲法と裁判所法の規定によって、最高裁の長官(1名)と裁判官(14名)に欠員が出来ると、時の内閣が任命し、天皇が認証します。 定年(70歳)は有りますが、任期は有りません。 政権が変わっても、前の政権が任命した裁判官を首には出来ません。重罪を犯したら罷免出来ます。

 任命された後の最初の衆議院選挙の時に国民の審査を受けます。その後、10年経過して定年になっていなかったら、再度審査を受けます。罷免の印『✕』が50%以上有ると罷免されます。

 法律では40歳以上で法律の知識/経験が豊富な人を選ぶ事になっていますが、実際は60歳以上が殆どの様です。

 法律の規定で無く慣例で(1970年代から)、裁判官出身6人、弁護士出身4人、検察官出身2人、行政官出身2人、法学者出身1人の15名になるように調整されています。 例えば、検察官出身の裁判官が辞めると、検察官出身者が任命されます。

 憲法第64条に『裁判官弾劾裁判所』が規定されています。衆議院議員7名と参議院議員7名で構成されます。最高裁を含めた裁判官の罷免を決めるのが役割です。戦後、7件で罷免の判定が出ました。現在1件審議中です。 最高裁の裁判官が訴追された例は有りません。

世襲議員を減らす特効薬

2021-10-16 12:08:56 | 政治
【はじめに】
 もう直ぐ衆議院選挙が始まります。今回も沢山の世襲の候補者が出る様です。 私は昔から「政治を家業とするのは良くない事だ!」と考えて来ました。 世襲政治家を侮蔑的な意味を込めて『家業政治家』と呼ぶ事にしています。

 「家業政治家が多くなると、こんな問題が発生する!」と認識して、投票して頂きたいです。少しずつでも、家業政治家が減って来る事を期待しています。

【イギリス】
 昔・読んだ記事に「イギリスでは、引退したり亡くなった議員の親族は同一の選挙区から立候補出来ないので、世襲議員が少ない」と有りました。ほんとか?と疑問に思ったので調べて見ました。全くの嘘でした。

 イギリスは貴族院(上院)が800年前に出来て、以来議会制度が綿々と続いて来ました。 イギリスでは世襲議員が少ないのは事実でした。 日本ではこのまま対策を講じ無かったら、100年後には世襲議員ばっかりになってしまいそうです。 何故?イギリスでは少ないのか? 日本の政治と何処が違うのか?  色々調査して、私なりの結論に達したので、本稿を書きました。

【日本の実情】
 マックス・ヴェーバーの『職業としての政治』には、世襲議員が増えるてくる可能性、問題点、対策については書いていません。 欧米諸国にも世襲政治家がいますが、日本の様に異常な増殖はしていない様に見えます。

 日本の世襲議員は1960年頃には3%程でしたが、現在は20%~30%程もいる様です。 次で検索すると、世襲政治家が実名で記載されています。 野党にも沢山の世襲政治家がいるので、多分ビックリされるでしょう!

★ ウイキペディア :親族関係にある政治家一覧

【世襲政治の何が問題なのか?】
 インターネットに色々な方が「世襲議員が増える事は良くない」と投稿しています。「政治家の世襲制は良い」と言う記事を見た事が有りませんから、多くの国民は『良し』と考えていないと思われます。然し、何故か?世襲の候補者に投票しています。

 良く引き合いに出されるのが、㋐中小企業の社長、㋑医者、㋒俳優/歌手/芸人です。 お金が沢山得られて、生活が安定していて、周囲から一目置かれる職業は世襲化し易いのです。医者の場合は世襲するには国家試験に合格する必要があり、努力が必要です。俳優などの場合は『親の七光り』でなっても才能が無ければ人気が出ないでしょう!

 世襲議員の場合は、ボンクラだとスキャンダルを起こしたり、問題発言をしない限りマスコミは取り上げないので、馬脚を露す事無く連続当選します。現在の自民党の慣例では、五、六回当選すると全く勉強しないボンクラが大臣になる事が出来ます。 「こんなボンクラがよく大臣になれたものだ!」と私は思いますが、大臣を経験するとマスコミは『大物の政治家』として取り扱います。

 プロの写真家が如何にも立派な人間に見える写真を撮って→ポスターを作り、ウグイス嬢が名前を連呼する現在の選挙のやり方では、有権者は「ボンクラかどうか?」判断出来ません。現状のままでは、政治家が魅力的な職業で無くなるまで、世襲議員が増え続く事になります。

【豆知識 :陳情と請願】
 日本に住んでいる人間は、国会と地方議会に「○○して欲しい!」と申し出る権利が有ります。 申し出る事を『陳情』と『請願』と呼びます。 (日本在住の外国人にもこの権利は有ります。)

❶ 陳情  :個人や民間企業の陳情権についての法律は無い様です。 地方自治法第99条の規定で、地方公共団体の議会は国会に陳情する事が出来ます。

❷ 請願 : 日本在住者の請願する権利は、憲法第16条で保障されています。 請願には議員の紹介が必要です。

日本国憲法・第16条 :何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

【陳情の実態】
  厳密な意味での陳情と請願は、国会と地方議会に対して行うものです。陳情や請願をしても議会で審議して貰える可能性は殆ど有りません。 一々真面目に全ての陳情や請願を取り上げていたら、国会や地方議会は麻痺してしまいます。

 地方公共団体や業界団体が「○○して欲しい!」と陳情する場合は、(国会では無く)その問題を所轄する『省庁』か大臣にお願いしています。これが実際に行われている(広義の)陳情です。

【陳情制度】
 地方公共団体が国会に陳情する場合は、国会議員の紹介は必要有りませんが、省庁や大臣に広義の陳情する場合は地元出身の与党の国会議員に、事前に電話してもらうか、陳情に同席してもらうのです。 この慣例は、イギリスを始めとした欧米先進国には無い、日本独特の物では?と私は考えています。

(豆知識 :ロビー活動) アメリカでは、上院、下院、政府、州政府、地方政府さらに裁判所に自分達の主張を聞いて貰う為に『ロビー活動』を行います。 請け負ってロビー活動する人を『ロビイスト』と呼びます。ロビストは登録が必要です。 (アメリカには現在、ロビイストは3万人ほどいる様です。)

 優秀なロビストは高給が得られる様で、在籍中に顔が広かった議員が退職後にロビストになって大金を稼ぐ例も多いい様です。 一匹狼では無くて事務所を設けているケースが多々有ります。

 日本の国民の多くが、ロビー活動を嫌悪する傾向が有ります。その為にロビストの登録制度は有りません。 従って、誰でもロビストになれます。 外国政府や企業が、自分たちに有利な政策/決断を引き出そうとしたら、日本の有力政治家を味方に引き入れる必要が有ります。ロッキード事件における小佐野賢治は、ロビストだったと言えます。 ダグラス・グラマン事件の海部八郎も一種のロビストです。今世紀では、韓国の通貨危機の時に活躍した(元駐日大使の)権哲賢はロビストでした。

【利益誘導型政治】
 政治家が、地元や支援業界(又は利益団体)の利益になる様に政治活動をする事を『利益誘導型政治』と呼びます。 議員は選挙で選ばれるのですから、何処の国でも地元の票をより多く獲得する必要があり、政治家が利益誘導に走るのは自然な事です。 然し、国民全体から徴収した国税を、地元や一部の利益団体の為に使うのは、一種の犯罪です。

 支援業界、利益団体及び企業の為に走り回るのが、『族議員』です。族議員は、一種のロビストだと言えます。 現職の議員が、ロビストの様な活動を許容している事が、日本の政治を駄目にしている要因の一つだと私は思っています。

 日本の政治は『度が過ぎた利益誘導型政治』だと私は考えています。

【旧民主党が検討した内規】
 旧民主党が政権を握っていた2009年に、世襲制を制限する内規を検討しました。 「以下の①②③の全てに該当する場合は、公認しない」と言う案でした。多分、党内で反対が多くて内規化出来なかった様です。 

 政党の内規では大した効果は期待出来ませんが、この内容で法律が制定出来たらら、世襲議員は激減すると思います。 然し、世襲議員が有利だと言われる『三バン(地盤、看板、鞄)』の内、『鞄(金)』の問題を解決する事が出来ません。資金管理団体の世襲を禁止することが重要だと考えます。

① 現職議員の配偶者及び三親等内の親族であること。
② 当該議員の引退、転出に伴って連続立候補をすること。
③ 同一選挙区から立候補すること。

【世襲議員を減らす特効薬】
 ❶~➍を骨子とする、重い罰則付きの『陳情規定法』を新たに制定したら、単に世襲議員を減らせる効果だけで無く、①~⑤の効果が有り、日本は政治の面で世界に誇れる国になれると思います。

★★★ 提案の骨子 ★★★
❶ 各省庁、地方公共団体に陳情の窓口になる部署を一つだけ設ける。この部署の電話には録音装置を取り付けて、記録を保管する。 裁判所や検察から要求が有ったら、改竄する事無く提出する。

❷ 各省庁、地方公共団体に陳情面談室を設ける。カメラを設置して音声と画像を記録して、保管を義務付ける。役人が紛失したり、改竄した場合は懲戒免職だけで無く、禁固刑を課す。

➌ 陳情部署に政治家が電話したり、陳情に同行した場合は、氏名を公表して議員資格を剥奪する。 この様な事実を役人が隠蔽した場合は、❷と同様の重刑を課す。

➍ 陳情内容を公開して、国会や議会に専門の委員会を設ける。(現在の様に無視を基本とする事無く、)陳情内容を真面目に検討する。

★★★ 期待出来る効果 ★★★
① 利益誘導型の政治では無くなるので、国会議員は「国家全体をどうするか?」と言う視点で考え/行動する様になるでしょう。 現在よりも、種々勉強せざるを得なくなると思います。

② 現在は地方公共団体の陳情活動に地元選出の自民党議員の協力が不可欠になっており、首長の大半は自民党の候補者を応援しています。 陳情活動に地元選出の議員が参加しなくて良くなったら、首長が国会議員選挙に積極的に関与する必要が無くなります。 私の案は、野党にとって大きなメリットが有ります。

③ 私の案が実現すると、族議員が現在の様に利益誘導で動くと、犯罪になります。 族議員達は専門知識をより深めて、積極的に発言/行動する様になるでしょう! 例えば、防衛族議員だったら、「日本の防衛装備をどう更新すべきか?」考えて、テレビなどで発言する様になると思います。 現在は、「特定のメーカの兵器を防衛省に買ってもらう!」等、秘密裏に活動しているのでは?と想像しています。従って、現在は「貴方は族議員だ!」と言うのはタブーです。 将来は、族議員では無くて『精通議員』と呼ばれる様になるでしょう。 胸を張って、「私は防衛精通議員です!」と言って、自分をアピールする時代になります。

④ 現在、国会議員には公費が支給される三人の秘書(政策担当秘書、第一秘書、第二秘書)が付いています。 与党議員には、地方公共団体や支援業界等々からの協力依頼だけで無く、個人からの依頼も沢山有って、私設秘書を抱える必要が有ります。有力議員は沢山私設秘書を抱えていますが、秘書達は多忙な日々を送っています。その為に沢山金が必要になり→族議員になってアルバイトする事になります。

 私の案が実現すると、裏の仕事は激減して秘書は本来の仕事が出来る様になると予想します。 (マスコミの諸君へのアドバイス :与野党の国会議員が個人から依頼される内容を調査したら、面白い記事が書けますよ! バカ息子の裏口入学、就職口依頼・・・)

⑤ 私の案が実現すると、世襲政治家は少しずつ減って来るでしょう! 国会答弁を満足に出来ないボンクラ政治家は消えていくでしょう! 国会議員は国政に専念出来る様になって、『国家百年の大計』を熱く議論する様になるでしょう! 日本の政治は、大きく変化して来ると私は思います。

アフガニスタンからの退避/救出

2021-09-04 12:48:16 | 政治
【はじめに】
 今回は、アフガニスタンの民主主義化について書く予定でしたが、退避/救出活動についての報道が多くなったので、私の考えを書きます。

 退避/救出活動は必要だったと思いますが、今回は明らかに自衛隊法に違反しています。私は、自衛隊法を改正して今回と同様の状況下でも邦人の救出が合法下で行える様に自衛隊法を改正すべきだと考えます。

 アフガニスタン人の救出は、外務大臣が要請し、防衛大臣と協議して最終的には総理大臣が決定する事になっています。日本に到着した後の処遇に関する法律は有りません。「問題が発生してから適当に検討しよう!」と言うスタンスです。今回、外務大臣が要請した人数は500人ほどだった様ですから、何とか対応出来たでしょう。 将来、数千人規模の受け入れが必要なケースもあり得ます。 受け入れ後に発生する問題点を洗い出し、検討して法整備して置くべきです。

(余談) 昨日、この原稿を書いていたら、「菅首相は次の総裁選挙には立候補しない」と報じられました。判断力/決断力/行動力/指導力の有る優秀な方が、次の首相になられるのを期待します。

【将来のために】
 今回の各国のアフガニスタンからの退避/救出活動を分析して、「将来発生すると予想される緊急事態にどう対応するか?」議論する必要が有ると考えます。

 日本政府には、紛争が激しくなって生命が脅かされる事態になったら日本人を救出/退避させる義務が有ります。 自衛隊法第八十四条の3の規定で、外務大臣が要請した外国人を保護して良い事になっています。

 絶対に政府が救出しなければならない人達は以下の①~⑨です。 『結婚などで外国籍を取得した元日本人とその家族?』を含めるか?今から議論しておくべきです。

① 国連平和維持活動(PKO) :選挙の監視など
② 国際連合平和維持軍(PKF)
③ 国際協力機構(JICA)
④ 非営利団体(NPO) :海外で活躍しているNPOは沢山有ります。
⑤ 非政府組織(NGO) :海外で活躍しているNGOは沢山有ります。例えば、国境なき医師団(MSF)
⑥ 日本の諜報機関の現地派遣者とその協力者
⑦ 企業の社員 :ジャーナリストを含む。
⑧ 旅行者、滞在者
⑨ 大使館員、その他の政府派遣者

【日本の救出作戦】
 「韓国の救出作戦は成功したが、日本は大失態をしてしまった」と言う報道が有りますが、結果的には正しいです。然し、紙一重で結果が違っただけです。『目糞鼻糞を笑う』のたとえだと思います。 フランスなどは、今年の春頃から救出作戦を開始していました。国際情勢の認識が、日本も韓国も甘すぎます。

 今回の事態を検討する参考にして頂くために、8月15日以降の出来事を、列記しておきます。

大問題になる可能性! :日本が救出しようとしたアフガニスタン人500名の名簿を、空港入口を検問していたタリバンに渡した様です。残ったら殺害される恐れが有ると日本政府が判断した人達の名簿です! もし、この人達が殺害されたら日本政府は責任を問われる事になります。

★ 8月15日以前 :岡田隆駐アフガニスタン大使が退去した。
★ 15日 :アフガニスタン政府が降伏宣言・・・この日、ガニ大統領が国外逃亡した?
★ 15日 :空港周辺に救出希望者が集まり始めた。
  ◎ この時点では、空港の中はアメリカ軍が掌握しており、周辺ではタリバンが検問を開始していた。
★ 16日 :タリバンがカブールに入る。
★ 17日 :韓国人の大使館員が全員カタールに撤収した。
★ 17日 :日本人の大使館員12名がアラブ首長国連邦(UAE)に撤収した。
★ 20日 :韓国は現地スタッフに「24日に救出作戦を行う」と連絡した。
  ◎ 20日、日本政府が自衛隊の派遣を決定した。
★ 22日 :韓国の駐アフガニスタン大使館の4人がカブール空港に戻った。
★ 22日夜 :自衛隊の先遣隊が出発した。(外務省の役人が搭乗していた。)
★ 23日 :韓国から救出用の輸送機3機が出発した。
★ 23日夕方 :自衛隊機が出発した。→25日にカブール空港に到着した。
★ 24日 :韓国は、救出希望者が徒歩で、この日に空港に集まる計画だった。26名しか集まらなかった。
★ 25日 :韓国は急遽バス6台手配した。バスに、米軍兵を乗せて、彼らに空港入口で検問していたタリバンと交渉してもらった。
 ◎ 日本はバスで救出希望者を運ぶ事に急遽変更した。
★ 26日 :空港テロが発生
 ◎ 韓国が救出した人達はテロ発生前に空港に入っていた。
 ◎ 日本が救出しようとした人達はテロ後にバスで空港周辺に到着したので、空港内に入れなかった。
★ 26日~27日 :韓国は2便に分けて390名救出した。
 ◎ 日本はアメリカから依頼されたアフガニスタン人14名をパキスタンに搬送した。
★ 27日 :日本の救出活動終了・・・邦人1人だけ救出した。
 ◎ 救出出来た唯一の邦人である、共同通信社の安井浩美氏はカタール政府が手配したバスで空港に入った様です。
★ 28日 :アメリカ軍が空港からの撤退を開始した。
★ 31日 :アメリカ軍の撤退完了

【アフガニスタン人を退避させる義務が有るか?】
 「民主主義や自由主義に接したり、学んだアフガニスタン人はタリバンに殺害される恐れが有るから、本人が希望したら日本政府は救出する義務がある!」と主張する人達がいます。 大使館と国際協力機構(JICA)が雇っていたアフガニスタン人とその家族が該当します。日本の大学で学んでいる学生/卒業生と家族も含めるべきだと言う方もいます。

 欧米諸国と韓国は上記の考え方で退避させた様です。 然し、日本人の民主主義思想は、この考え方に賛同する程進んでいるとは考えられません。 退避させたアフガニスタン人が「日本に住みたい」と希望したら、最低限・就業ビザの発行、住居の支給、当面の生活保護、日本で暮らせる教育、そして就職先の斡旋が必要です。 仕事が無く、生活に困窮する様な事態になったら、テロ組織が出来る恐れが有ります。

 日本人と結婚したソマリア人の男性を知っています。 彼は日本に来て10年以上になり、イスラム人が経営する会社で働いています。彼は英語は堪能ですが、日本語を勉強しようとはしません。勿論、イスラム教徒ですから豚肉は食べませんが、ビールは大好きです。娘さんは公立の学校で勉強させています。イスラム原理主義者で無ければ、アフガニスタン人が日本で普通に生活する事は可能だと思います。

(余談 :韓国の対応) 韓国政府は、「今回入国したアフガニスタン人は短期滞在者である」と国民に説明しています。韓国に永住したいと希望したら、どうするのでしょうか? 韓国政府が受け入れ国を探すのでしょうか? 薄っぺらい人道主義で救済してはいけません! 「彼と彼女の、これからの人生を手助けする!」と言う覚悟を持って救出すべきです!

【自衛隊法】
 1954年に『自衛隊法』が出来ました。結構分量の有る法律ですが、自衛隊の外国での救出行動に関する規定はA4一枚程しか有りません。 ポイントと思われる個所を以下に示します。

 今回は、自衛隊を派遣して良い条件をクリアしているとは思えません。私は、「法律を改定して今回同様の事案が発生した時は、合法的に自衛隊を派遣出来る様にすべきだ」と考えています。 皆さんのご意見を、コメント欄に書いて下さい。

在外邦人等の保護措置 :第八十四条の三 ;防衛大臣は、外務大臣から外国における緊急事態に際して生命又は身体に危害が加えられるおそれがある邦人の警護、救出その他の当該邦人の生命又は身体の保護のための措置(輸送を含む。以下「保護措置」という。)を行うことの依頼があつた場合において、外務大臣と協議し、次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、部隊等に当該保護措置を行わせることができる。

 次の全ての条件を満たす場合のみ自衛隊の派遣/活動が出来る事になっています。

① その国が治安を維持しており、戦闘行為が行われていないこと。
② その国か、国が存在しない場合は国連が認める準政府が、日本の自衛隊の派遣/活動を認める場合に限定されています。
③ 派遣される部隊と、その国の当局との間で、連携及び協力が確保されると見込めること。

在外邦人等の輸送 :第八十四条の四 ;・・・当該輸送を安全に実施することができると認めるときは、当該邦人の輸送を行うことができる。この場合において、防衛大臣は、外務大臣から当該緊急事態に際して生命若しくは身体の保護を要する外国人として同乗させることを依頼された者、当該外国との連絡調整その他の当該輸送の実施に伴い必要となる措置をとらせるため当該輸送の職務に従事する自衛官に同行させる必要があると認められる者又は当該邦人若しくは当該外国人の家族その他の関係者で当該邦人若しくは当該外国人に早期に面会させ、若しくは同行させることが適当であると認められる者を同乗させることができる。

(余談) 今回、アメリカからの依頼で、アフガニスタン人14名を救出しました。自衛隊法には、第三国からの依頼で救出活動をしても良いと言う規定は有りません。今回は、菅首相が超法規的な判断をされたのだと推察します。然し、その手続きは、以下の様に非常に煩雑です。 この点からも、法律の見直しが必要です。

 ❶アメリカ政府が外務省に依頼→❷外務大臣が防衛省に救出を要請→➌防衛大臣と外務大臣が総理大臣に報告→➍総理大臣が決定→❺防衛省が現地部隊に命令→❻救出活動を行う。

【憲法九条と自衛隊の活動制限】
 自衛隊は軍隊では無いので、他国内での活動には厳しい制限が設けられています。 自衛隊法84条の規定により、他国の政府の承認が無ければ、自衛隊を派遣出来ない事になっています。今回の様に政府が崩壊した国に自衛隊が入るのは、違法行為です。

 治安が悪化した国から、日本人を救出する事は自衛隊法で認められていますが、(救出作戦を)「安全に実施することができると認めるとき」と規定されています。「安全かどうか?」は総理大臣が最終決定する事になります。然し、安全な国で無くなったので、救出作戦が必要になるのです。この点からも、今回の救出活動は違法の疑いが有ります。

 2003年にイランに自衛隊を派遣した時、小泉純一郎首相は「どこが非戦闘地域で、どこが戦闘地域か、私に聞かれたってわかるわけがない」、「自衛隊が活動する所が『非戦闘地域』だ」との詭弁を言う以外に有りませんでした。この時、一人でも自衛隊員が亡くなっていたら、小泉首相は辞職に追い込まれていたと想像します。

 責任を取りたくない、気の小さい人が首相になったら、「安全だと言えないから、救出作戦は行わない!」と言っても、野党は追及出来ません。それで良いと思われますか?

【日本の諜報機関】
 憲法には諜報機関の設置を禁止する条項は有りません。 諜報機関では無く情報機関と称する組織が日本にも(以下に列記する様に)沢山有ります。全ての組織に共通する点は、❶組織が非常に小さい、❷検察庁の関係者が出向するなど検察庁との関係が深い、➌スパイ養成機関が無い。 国力に見合ったスパイ組織は存在していません。

 1985年に『スパイ防止法案』が上程されましたが審議未了で廃案になりました。2013年に『特定秘密の保護に関する法律(秘密保護法)』が成立しましたが、『秘密』と指定した情報を外部に漏らすのを禁止しただけです。スパイを死刑にする国が有りますが、日本には外国のスパイを罰する法律が有りません。それで、『スパイ天国』と外国から揶揄されているのです。

 以上の状況から外国の諜報機関が、友好国で有る日本を支援する目的で、「有益な情報を日本に渡したくても」出来ないのです。 

 英語を母国語とする5ヶ国(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)の諜報機関が情報を共有するための組織『ファイブアイズ』から重要な情報を入手するのは難しいのです。

① 内閣情報調査室(内調) :最大の情報機関の様です。
② 警察庁警備局(公安警察)
③ 国際情報統括官組織
④ 外務省国際情報統括官組織
⑤ 防衛省情報本部
⑥ 法務省公安調査庁
⑦ 海上保安庁警備救難部

(何故、小さな組織が乱立しているのか?) 野党が反対するから小さな組織にして分散させている分けでは有りません。関係省庁の力関係で、一つの組織に集中投資出来ないのが原因の様です。 微力な小さな組織を作っても、成果が期待出来ませんから、金をドブに捨てている様なものです。

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余談 :アフガニスタンからのアメリカの撤退

 戦場から退却する時は、秘密裏に準備して行動しないと敵の攻撃を受けて甚大な被害を被る事は私でも知っています。 アメリカがアフガニスタンから撤退する事はトランプ氏が決定し、公表しました。バイデン大統領は、「撤退は、非常に難しい軍事行動だ」と言うことを忘れていた様です。日程を公表しておいて、計画通り粛々と進めたたのです。

 1570年に信長が朝倉義景を攻めていた時、浅井長政が寝返ったので信長軍は撤退しました。「わが軍は〇月✕日に撤退する、殿(しんがり)は兵4,500名の木下藤吉郎である」と信長が朝倉に情報を流していたら、藤吉郎軍は全滅したでしょう!