これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

韓国への報復?

2019-07-06 11:45:13 | 日韓関係
 今週は憲法についての最終稿を書く予定でしたが、韓国をホワイト国から外す問題で誤った報道が多々見られるので、急遽予定を変更しました。

【正しい報道=ホワイト国から韓国を外す】
 政府が、「7月4日より韓国へのフッ化水素ガス等の輸出についての規制を強化し、8月1日に韓国をホワイト国から外す」と衝撃的に発表しました。勉強不足の一部のジャーナリスト達が、『フッ化水素ガス等の輸出を禁止する』かの様な誤った報道をしたのです。韓国の報道は、日本以上に酷いものでした。(それが、政府の狙いだったのでは?と私は思います。)

 正しい報道を期待するので有れば、「7月4日より韓国へのフッ化水素ガス等の輸出については安全保障貿易管理の審査を再開して、8月1日に韓国をホワイト国から外す」とすべきでした。政府は、輸出を禁止するとは言っていません。

【韓国の反応】
 韓国の市民の一部は、「日本に報復すべきだ!」、「日本に観光に行くな!」、「日本製品の不買運動を起こそう!」などと叫んでいる様です

 韓国政府は、少し頓珍漢な対応策を発表しました。輸出禁止では無い事を承知の上で、今回の日本政府の決定を、反日運動に利用しようとしている様に思われます。そう考えたのは、7月5日に、韓国政府が「慰安婦財団を正式に解散した」と一方的に発表したためです。

 文大統領は、日本が明らかに国際ルールに反する報復をすると期待していた様に、私は見ていました。国際ルール違反の報復をしたら、民主労総などを総動員して「日本製品の不買運動」を盛り上げて、文大統領の支持率を、政権発足時(80%強)以上に高め、盤石なものにして、右派勢力を徹底的に叩いて壊滅状態しよう!左派の大統領が永遠に続くようにしたい!(7月4日の世論調査では、支持率は52.4%まで回復しました。)

【日本政府への希望】
 四面楚歌の文政権が、今後ますます反日運動を盛り上げたとしても、日本が国際ルールに反する報復をするのは得策では有りません。万一、日韓関係が更に悪化した時のために、国際ルール内で韓国の弱点を突く報復策を検討しておくべきです。

 現在、韓国は国の内外で多くの問題を抱えていますから、”お灸をすえる”のは簡単だと思います。百足に噛まれた程度の痛手を与えるのには賛成ですが、日米が協力してガラガラヘビの苦痛を与えるのには反対です。

 素人の私にも韓国の弱点は幾つか思い浮かべられます。韓国ウォンと株価の下落傾向、若者の就職難/高失業率、韓国の銀行の信用が低い問題、外国投資の引き上げと韓国資本の流出問題、サムスン電子の外国工場での人権侵害問題。

(ヨーロッパ諸国) 近年、ヨーロッパ諸国では、「人権侵害問題を起こした企業の製品を販売させない」と言う考え方が広まっており、フランスでは法律が制定されています。一方、韓国の財閥が外国に設けた工場では労働組合を作らせない為に不当な事をしている様です。賃金未払いの問題も報じられています。フランスは、2019年7月3日にサムスン電子を提訴しました。

【韓国企業の準備】
 徴用工(応募工)に慰謝料を支払えと言う判決が確定したあと、日本政府は2018年の秋頃から「日本の企業に被害が発生したら、報復する」と言って来ました。その後、文国会議長の天皇謝罪要求があり、レーダー照射問題が発生しました。事も有ろうに、文国会議長が鳩山由紀夫氏に謝罪したのは、日本人にとっては重大な問題です。日本人の多くが、鳩山氏をどう見ているのか全く調査して無い事が明確になりました。例えば、日本の政治家が韓国に無礼な事を言いて、朴槿恵氏に謝罪したら、韓国の人達はどう思うでしょうか?文国会議長は、唯我独尊/独善的/厚顔無恥な人物だと私は思いました。

 天皇まで持ち出されては、日本の総理大臣が誰で有っても、黙っていては政権が持たないでしょう。日本政府の発言が、単なる”脅し”で無いと韓国の政治家と経営者達は考えるべきでした。

 貴方が、韓国の会社の社長だったらどうされましたか?当然、日本が報復に出た場合に、被害が最小限になる様に対策されたでしょう。例えば、在庫を増やすとか! 賢明な各社の社長は、既に、何らかの対策をしていると私は思います。


【キャッチオール規制 (Catch-All Controls)】
 大量破壊兵器(核兵器、放射能兵器、化学兵器、生物兵器)及び通常兵器の開発に利用される物質、機械/装置/計測器/センサーや技術が”あぶない国”に渡らない様にするために設けられた、国際的な規制を、『キャッチオール規制』と呼びます。

 安全保障貿易管理 :日本もこの規制に従って、外国為替及び外国貿易法、基準、政令で”あぶない国”への輸出を規制しています。該当する物は『安全保障貿易情報センター』のホームページで調べる事が出来ます。(ガイドブックが沢山出版されており、amazonからも入手出来ます。)

 安全保障貿易管理に関する纏まった法律は有りません。細部は、国会の承認が不要な基準や政令、省令で規定されています。ホワイト国も内閣が決める”政令”で指定されるのです。従って、ホワイト国から韓国を外すのは、政令の改正で行われます。

 ”あぶない国”に兵器の開発/製造につながる物を輸出させない管理体制を設け、厳格に実施する事は国家の信用を高めるために重要です。単に、金もうけをしたいのであれば、 ”あぶない国”に”あぶない物”をどんどん輸出すれば良いのです。

 貴方の会社(A社)がBと言う物質をC国のD社に輸出するとします。A社は、物質Bが安全保障貿易管理の定めるリストに該当する/該当しない、C国がホワイト国で有る/無いを明記した書類を作成して、→通関業者(E社)に渡します→通関業者は荷姿等の書類と一緒に→税関に提出します。税関は財務省の管轄で、安全保障貿易管理は経済産業省の所管ですから、税関から提出された書類の一部が経済産業省送にられ、経済産業省で審査されます。その審査結果(書類)は逆のルートでE社に送付されます。 ホワイト国への輸出の場合は、同じ企業間(A社とD社)の取引であれば、一回申請して審査にパスすると、3年間は経済産業省の審査が省略されるのです。

 C国がホワイト国に指定されていないケースですが、A社がC国のD社から1契約で多量に物質Bを受注し、複数回に分けて輸出するとします。最初の輸出時に安全保障貿易管理の審査を受ければ、この契約の残りの輸出分については、審査は省略されます。残りの分については、ホワイト国への輸出と同じになります。(但し、同じ企業同士の取引でも、次の新たな契約については、審査を受ける必要があります。)

 従って、審査に必要な日数を加味して契約を早くしたり、一回の契約数量を多くする等したら、D社にそんなに大きな支障は発生しないと思われます。但し、D社が過去に、”あぶない国”に不正に物質Bを横流ししていたことが判明すると、審査は不合格になります。今回、日本政府が、わざわざ3品目だけ特別に安全保障貿易管理の審査をすると発表した裏には、韓国の企業が不正をした証拠を握っている可能性が有ります。

【ホワイト国とは?】
 輸出先がホワイト国に指定されていたら、兵器の開発/製造に使用される恐れが有る物でも安全保障貿易管理の審査を省略して貰えるのです。

 日本が、ホワイト国に指定している国は世界で27か国ですが、アジアでは韓国だけです。韓国をホワイト国に含めたのは2004年ですから、今回の処置は15年前に戻しただけです。2004年以前にも、現在問題になっている物質は韓国に輸出していましたから、ホワイト国から外しても、輸出を禁止する分けでは有りません。

 安全保障貿易管理の審査が必要なものは、今回問題になっている3品目以外にも沢山あります。従って、韓国をホワイト国から外すと、韓国への輸出は多いいですから、経済産業省の審査官を増員しない限り、審査に掛かる時間が従来より長くなるでしょう。

 私と同じ様な考え方の記事を、中部大学の細川昌彦教授が日経ビジネス・2019年7月3日付けで『誤解だらけの「韓国に対する輸出規制発動」』を書いてくれました。

(お願い) EUは韓国をホワイト国に指定していない様ですが。逆に、アメリカ以外で韓国をホワイト国に指定している国が有れば教えて下さい!

【私の輸出の経験】
 1997年の話しですが、当時、私は社員30名ほどの機械設計/製造の会社に出向していました。ベトナムから引き合いが入り、すんなりと受注出来ました。この会社にとっては、輸出は初めてで、社長も国内向けと同じ感覚でした。「図面、取扱説明書、検査書類等々を英語にすれば良い」と安易に考えていたのです。(もち論、これらの英訳は私がやりました。)

 当時、まだベトナムで商売している日本の企業は少なかったです。IHIさんに、留意点を種々教えて頂きました。埠頭と桟橋の違いをご存知ですか?陸揚げ予定地を社長に調査してもらったのですが、”竹製”の桟橋でした。荷物の重量と寸法に制約が有る事が判明しました。一旦組み立てて試験した後、機械を適当に分解して梱包する必要が有ったのです。

 安全保障貿易管理に関する書類の作成が必要でしたが、輸出梱包業者に渡すポンチ絵付きの書類作成に膨大な時間が掛かりました。現場社員は現地で機械を組み立て→試運転/引き渡しに予想以上の時間と苦労が有った様でした。何よりも、食べられる物が無かった様でした。帰国後、異口同音に「二度と行きたくない!」と言っていました。(町の食堂で、現地の人はゴキブリの料理を食べていたそうです。)

(余談) 故・海部八郎氏を覚えていますか?ダグラス・グラマン事件に関する国会の証人喚問で手が震えてサイン出来なかったシーンが、TVで何回も放映されました。1973年頃に一度海部氏にお会いしたことが有ります。海部氏が育てた航空機を輸入販売する部署は、皆さん非常に優秀で『海部軍団』と呼ばれていました。私は海部軍団に依頼して、海外から部品を輸入していたのですが、私の仕事の担当者は入社したばかりの若い社員でした。彼と時々会って打合せをしたのですが、輸出入の手続きや書類について勉強中でした。彼と雑談していると、ホッカホカの通関関係の知識を色々と話してくれました。この時に得た知識が、ベトナムに機械を輸出する時に非常に役立ちました。