これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

木材として利用される樹木 (その2)

2021-08-07 11:31:21 | 山林の問題
【はじめに】
 今回は、樹木の種類と、その木材の特性についての第二稿目です。今回・取り挙げる樹木は、榧(かや)以外は全て広葉樹です。日本に生育する広葉樹の種類は非常に多いいですが、私が知っているのは極一部です。 記憶を搔き集めて書きます。

  現在でも天然林(自然林)は、全森林面積の50%以上有り、その多くは広葉樹林です。

【関連記事】
 森林や木材に関して、過去に投稿した記事を御参考までに列記しておきます。

★ 木材として利用される樹木 (その1):2021年7月24日投稿
★ 植林から製材まで (その1)~(その2) :2021年7月3日~10日投稿
★ 森林破壊と再生        :2021年6月12日
★ 木材価格が高騰している様です! :2021年5月29日
★ 過疎地の新しい産業は!  :2018年6月23日

【広葉樹を植林しましょう!】
 住居は洋式化してきているので、庶民の家では檜や杉の正目の板や柱が必要では無くなっています。 洋風の部屋では、檜や杉の正目は不似合いになっています。

 近年に建てられた一戸建てやマンションでは、ウォークインクローゼット、靴収納棚、種々の収納棚が作り付けになっているので、家具の需要が減少しています。

 木材は、建材、家具材、器具材として重要です。薪や炭としての需要は殆ど無くなっていますが、バイオ発電の燃料として今後沢山使用される可能性が有ります。 脱プラスチック運動が既に始まっていますから、紙や段ボールは増加すると予想します。

 木材の長期的な需要予測をする事は極めて難しいと思われますが、「今後・木材は多様な用途で使用される様になる」事は断言できます。杉や檜の植林一辺倒の政策は早急に止めるべきです。 需要が少しでも見込めそうな広葉樹を調査/検討して、選定した樹木に適した土地を探して、植林を奨励すべきです。高級木材を欧米諸国に輸出する気概を持って、取り組みましょう!

(余談 :プラスチックの規制) 2019年、ヨーロッパ諸国では『使い捨てプラスチック禁止法』が成立しています。プラスチックは種種雑多な分野で使用されていますが、可能な物からプラスチック製品を禁止しようと言う規制です。海洋汚染問題の一つに『マイクロプラスチックゴミ問題』が有りますが、その対策としての規制です。プラスチックの規制は世界的に広がると私は期待しています。 代替品の多くは、木製品か紙製品になると思われます。どちらも、木材が原料です。

(余談 :里山) 昔は集落の近くの山は、生活に欠かせない薪を得る為の雑木林でした。現在は過疎地でもプロパンガスが普及し、高齢化が進んだので薪を使用する家は殆ど有りません。野生動物(熊、猪、鹿、猿)対策として、民家の近くには(動物が好む木の実の出来ない)針葉樹を植林すべきだと考えます。人間の住む地域の周囲を針葉樹で囲って、その外側を広葉樹林にしたら野生動物との共存が出来るのでは?!

【胡桃(くるみ)】
 チーク、マホガニー及びウォルナットを、欧米では三大銘木と呼んでいます。チークとマホガニーは熱帯地方で植林されている様です。 ウォルナットは胡桃(くるみ)の事です。 日本は、ウォルナットをアメリカやカナダから輸入して来ましたが、アメリカでは伐採が進んで、現在は輸出禁止になっています。

 日本に自生している鬼胡桃(おにぐるみ)を木材を得る目的で植林する案を推奨します。 湿気の多いい山間の川沿いの地を好む様なので、候補地は全国に沢山有りそうです。

(余談 :モンキーポッド) ウォルナットが高価になったので、日本ではテーブルの天板等にモンキーポッドが使用されています。(モンキーポッドは日立のコマーシャル・ソング「この木なんの木」で、日本では有名になりました。) 次男が大金をはたいてモンキーポッドの無垢板を買いました。 周囲が白く、芯部はチョコレート色で洋間にピッタリのテーブルになっています。

(余談 :クルミ) 鬼胡桃(おにぐるみ)は、縄文時代から食糧にしていた様です。 私は、胡桃の実(クルミ)が好きです。学生時代、下宿からの散歩コースの道端に胡桃が数本生えていました。師走の頃にクルミが落ちていたので、何個か拾って、何とかして殻を破ろうとしましたが、駄目でした。

 クルミは年間2万トン弱・輸入されていますが、国産は150トン程しかありません。クルミは和菓子、洋菓子、パン等に使用されているので、何気なく食べていますが、その大半はアメリカから輸入した物です。

(余談 :スタッドレスタイヤ) 雪道走行で使用されるスタッドレスタイヤの一部には、鬼胡桃の殻が混合されています。

【栃の木(とちのき)】
 栃の木(とちのき)は全国各地に自生している様ですが、特に東北地方に多いいと言われてます。実が食用になり、『栃の実』と呼ばれます。東北地方では常食していた地域もあり、飢饉の時の食糧として使用していた地域も有ります。 その為に江戸時代には、(私有地でも)栃の木を勝手に伐採するのを禁じていた藩も有りました。

 栃の木は、大木になります。 大木になると、波状杢(はじょうもく)、縮杢 (ちぢみもく)と呼ばれる杢目(もくめ)が出る事が有り、高値で取引されます。 (杢目については、次回・書きます。)

 栃の木の材は、軽く、柔らかで加工し易く、綺麗な表面になると言う長所が有りますが、耐久性が低い、狂いやすいと言う短所が有ります。

【樺の木(かばのき)】
 樺の木(かばのき)には沢山の種類があり、日本には約十種類(真樺、ミズメ、岳樺、白樺など)が生えている様です。 『〇✕カンバー』と呼ばれている木は樺の木の仲間です。

 真樺(まかんば)とミズメ(水目)は高級材として取引されています。岳樺(だけかんば)は真樺やミズメの代用品として使用されている様です。 多くの体育館の床に使用されています。

余談 ;樺桜(かばざくら) :木材商は樺を樺桜と呼ぶそうです。 カバでは馬鹿を連想するので、『樺桜』なのだとか! ミズメは中国に生えていないのか?漢字が有りません。

【白樺(しらかば)】
 本州の東部の高地、北海道では平地でも、白樺の林が見られます。 最初に見た時に「白樺は高級材では無いのに、何故?植林しているのか?」不思議に思いました。白樺林の有る地域では、雑木林を伐採すると白樺が最初に成長して、白樺だけの林になるそうです。

 材質は堅く、木目も美しいですが、耐久性が非常に低いと言う欠点が有ります。太い木は少ない様です。 家具、器具、茸栽培などに利用されていますが、高級材では有りません。

【水木(みずき)】
 宮城県の鳴子温泉に家族旅行した時、『こけし』の製造/販売をしている小さな店が有りました。 不愛想な主人で、小一時間ほど轆轤挽きを見せてもらいましたが、文句を言いませんでした。 鳴子こけしの原料は水木(みずき)です。 材は色白でとても綺麗でした。

  水木は落葉樹で、公園に時々植えられているので、見られた方は多いいと思います。水木は全国各地に自生している様ですが、数は少ないために、『こけし』等の需要が賄えなくなり、近年は植林している様です。

【椣(しで)】
 椣/四手(しで)は樺の木の仲間です。日本木材総合情報センターの資料によると、日本には4種類が生えているそうです。

 材は重くて硬く、比較的加工しにくい様ですが、家具、床柱、茸栽培、炭の原料・・・様々な用途で使用されています。 材の価格は安い様です。

【榧(かや)】
 榧(かや)は成長の遅い針葉樹です。 将棋ファンや囲碁ファンにとっては垂涎の的の木材です。 国産の榧は殆ど入手出来なくなっており、新品の将棋盤や囲碁盤は中国から輸入された木材から作られた物です。

 榧の実は美味しいそうです。 私は、残念ながら食べたことが有りません。 インターネット通販で入手できます。

(余談 :盤のサイズ) 囲碁盤は45.5cm✕42.5cm、将棋盤は36cm✕33cmです。 厚さは『寸』で表しています。 1寸≒3.03cmです。 最も厚い盤は9寸(27.3cm)の様です。 四方柾で厚さ9寸の囲碁盤を得るためには、途方も無く太い丸太が必要になります。

(余談 :四方柾の囲碁盤) 1980年代の初めのころ何年間か、ある地方都市に年に三、四回出張して、駅の近くのビジネスホテルに宿泊していました。ホテルの近くに、夜遅くまでやっている古美術商が有ったので覗いてみました。 目立つ所に値段を書いたシールを貼った、榧の四方柾で厚さが8寸か9寸ほど有る囲碁盤を置いていました。 何回か覗きに行きましたが、この囲碁盤は売れていませんでした。

 2005年に別の仕事で、その地方都市に出張して、例のビジネスホテルに泊まり、古美術商に行くと囲碁盤は店の奥に移されていて、値段は40%引き程になっていました。悩みに悩んで、買おうと決心し次の出張時に大金を持って店に入りました。 結局、「囲碁の仲間を見つけるのは面倒だ!」と思って断念しました。 リタイアした後・私は、囲碁のPCソフトを相手に日に一局は楽しんでいます。

【楠(くすのき)】
 楠の材は腐り難いと言う長所があり、昔は木造船の材料として使用されていました。昔・読んだ本に、「5世紀~6世紀頃に棺(ひつぎ)の材料として楠を朝鮮半島に輸出した」と書いていました。 当時は、日本の貴重な特産品だったのだと思います。 従って、かってはは沢山植林されていました。

 楠から樟脳が得られます。かっては多量に生産され、日本の重要な輸出品でした。現在でも生産されています。 貴重な木を残すために、現在は枝を切り落として、枝から樟脳が生産されています。

【楢(なら)】
 楢(なら)は、椚(くぬぎ)、水楢(みずなら)、柏(かしわ)、小楢(こなら)、楢柏(ならがしわ)、棈(あべまき)等の総称です。 英語ではオーク(oak)です。

【水楢(みずなら)】
 ウイスキーやワインの樽には日本でも、北米産のホワイトオークやヨーロッパ産のスパニッシュオークが使用されて来ました。 サントリーが1989年に北海道産の水楢の樽を使用した『響17年』を発売しました。 私は、サントリーよりもニッカウヰスキーの方が好きだったのですが、さっそく、『響17年』を買ってみました。 上品な味で魅了されてしまいました!2014年には、シングルモルトの『山崎』でも、水楢樽製が発売されました。

 サントリーは水楢の樽で作ったウイスキーで世界の賞を何回も獲得しました。 私の味覚が世界で認められた様で、嬉しかったです。 私の好きなシーバスリーガルが、水楢の樽を使いだしています。

 水楢は世界各地に分布しています。 日本でも九州から北海道まで全国各地に生えていますが、特に北海道に多いい様です。 ヨーロッパでは家具材として昔から使用されて来ました。日本でも近年・家具に使用される様になって来ています。 (昔は炭の材料として利用していた様です。)

 私は、「今後は広葉樹の植林に力を入れるべきだ!」と考えています。 日本では植林と言えば針葉樹ですが、ヨーロッパ諸国では広葉樹が沢山植林されています。石川県農林総合研究センター・林業試験場が『ミズナラ林の育成技術』と言う資料をインターネットに公表しています。長文で少し難しいですが、暇を作って読んで下さい。

 北海道の水楢は、昔から(現在も)ヨーロッパに輸出されています。 近年はウイスキーの樽用としても輸出され、日本では不足ぎみになっている様です。 「杉や檜の正目と香りを愛するのは日本人のガラパゴス文化の一つだ」と思います。 「欧米人の趣向に合う木は水楢以外にも有るのでは?」、「雨の恵みが多くて、広い森林の有る利点を生かして、高級木材を生産して世界に輸出する!」くらいの意気込みで、森林政策を立案して欲しいと考えています。

(余談) 水楢は楢の一種です。 伐採すると、切り株から多量の水が出てくるので、水楢と呼ばれます。

【椚木(くぬぎ)】
 団栗(どんぐり)がなる木が椚木(くぬぎ)です。日本各地の雑木林に沢山生えています。

 私の故郷で、待望の男の孫が生まれて直ぐに、椚木(くぬぎ)を一本植えたお爺さんがいました。 孫が小学生になった頃、幹に傷を付けました。お爺さんの狙い通りに、クワガタとカブトムシが日に数匹樹液を吸いに来るのですが、スズメバチがもっと沢山やって来ました。スズメバチを上手く追い払わないと、クワガタやカブトムシを捕る事は出来ませんでした。

 小学生ではとても無理でしたから、私はお爺さんの許可をもらって、息子の為にクワガタとカブトムシを沢山捕りました。スズメバチだけ追い払う方法を工夫出来たら、過疎地の観光の目玉になると思います。 良い方法が有ったら教えて下さい。

 椚木は成長が早く、材は堅く、建材、家具、器具等に利用されてきました。椎茸などの茸の栽培にも利用されています。 伐採しても株から芽が出て、10年ほどすると結構な太さに成長します。