これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

日本の活性化❺ :デジタル化(その3)

2022-09-24 08:33:24 | 役所の問題
【はじめに】
 2021年にヤット、デジタル庁が出来ました。今回は、❶デジタル化を進めると賄賂が横行する恐れが有る、❷有能な人材が必要ですが高給を出す必要が有る、❸電通が『負んぶに抱っこ』する状態になる恐れが有ると言う問題に絞って書きました。

【デジタル化と黒い金】
 パソコン(PC)の多量発注、CAD等の汎用ソフトの多量発注、専用プログラムの作成等を外部委託する時、私の経験では賄賂が横行しました。国や地方公共団体がデジタル化を進めると、黒い魔の手が伸びて来ます。 発注時に不正が無かったか?チェックする体制が必要です。

ケース❶ :設計部が10部ほど有る大企業(K社)の話しです。全社でCADを統一する為に、各設計部から若手の優秀な社員を1名出して、「CAD選定委員会」を立ち上げました。暫くして、中間報告書を作成して、各設計部に配布しました。 私が所属していた設計部は、工場長がCAD選定委員会の最終報告書を待たずに、有る日突然メーカーを決定して、注文してしまいました。

 中間報告書で最も評価の低かったメーカーだったのです。「何でそんな決定をしたのか?」CAD選定委員会が調べたら、『3,000万円』工場長に渡っていた様です。 (数か月後に、私が所属していた設計部の委員は、退職してしまいました。)

 CADソフトは何年か毎に使用料を支払う必要が有ります。 そして、大企業の場合は沢山設計協力会社が付いています。協力会社は親会社が採用したCADソフトを購入せざるを得ないのです。 高額の賄賂を出しても、十分採算がとれるのです。

ケース❷ :設計担当者が10名程の小企業の話しです。社長はPCの知識が殆ど無かったので、設計部長にCADメーカーの選定を一任しました。国産で殆ど売れていない某社のソフトを採用しました。 社長は薄々気付いていた様ですが、設計部長が賄賂を貰っていた様でした。 別の会社に出向した時、もっと売れていないCADソフトを採用していました。賄賂が流れた可能性が有ると思いました。

 昔は、機械を納入時に組立図や取扱説明書をファイルして、数部提出していましたが、「ファイルは1部で良いが、CDにデーターを入れて提出しろ」と言う顧客が増えて来ていました。CADのダーターは顧客が要求する『AutoCAD』に変換して提出しました。 上記2社が採用したCADは、AutoCADに変換すると『化ける』個所が多く、修正が大変でした。

【デジタル化と特別給与】
 技術革新が起こって新しい仕事が誕生すると、その仕事が出来る人間の数が少ないですから、高給を出さないと優秀な人材は集まりません。 日本は今でも終身雇用/年功序列の給与方式が主流ですが、民間企業の一部では、能力/業績評価によって高給を出す様になっています。

 国や地方公共団体は、本格的にデジタル化に取り組み始め様としていますが、サイバー対策などには超優秀な人材が今直ぐ必要です。今から教育するなどと悠長な事を言っておれません。特別給与制度を設けて、民間企業から人材を引き抜く必要があります。 然し、公務員は相変わらず終身雇用/年功序列制ですから、特別職に関する法律の制定が必要です。

(余談 :医師の給与) 後述の様にCADが導入され始めた1960年代には、CADオペレーターの給与は旅客機のパイロット並みでした。シーケンサーが中小企業でも採用され始めた1998年頃には、年収1,200万円出しても、大企業から引き抜き出来ませんでした。 然し、現在は両分野とも沢山人材が育って、特に高給が得られる技術とは言えなくなっています。

 現在でも医師の給与が高いのは、日本医師会が政治家に強力に働きかけて、大学の医学部の定員をコントロールしている(増やさない)ためです。

(提案 :大学にサイバー科) 突飛な提案ですが、大学にサイバー攻撃が出来る技術者を養成する学科を設けてはどうでしょうか? サイバー攻撃を防ぐ為には、サイバー攻撃が出来る人材が必要です。 泥棒を取り締まる為に、「泥棒の技術/ノウハウを教える」様な事ですから、賛同頂くのは難しいと思いますが。

給与の事例❶ :2000年頃、不景気の為に某大手重電(M社)では設計派遣社員を全て雇止めしました。 その頃、私はM社の協力会社に出向していました。8畳程の小さな部屋に、私と同年代の男性(T氏)が1人で仕事をしていました。 T氏は非常に優秀な設計派遣社員だったので、M社の某設計部が、協力会社に設計室を作らせて、雇い続けていたのです。

 3年間ほどT氏と机を並べて仕事をしました。T氏は1965年頃に高校を卒業し、CADを勉強して大手企業で、CADオペレーターになったそうです。「給料は、旅客機のパイロットと同じだった!」と言っていました。 当時、CADはIBMの『キャダム(CADAM)』しか無く、操作が難しかったと想像します。 「CADが普及するに連れて、給料がドンドン低下した」と嘆いていました。

給与の事例❷ :1990年頃、私が勤務していたビルに、プログラマーを集めた子会社が有りました。その会社の一角だけ厳しいセキュリティが施されていました。会社へのドアと各居室へのドアの開閉には『カード』が必要でした。 会社の規定の給料では、優秀なプログラマーは来てくれないので、高給が出せる様に別会社にしたのだそうです。

給与の事例❸ :1998年頃に出向していた会社(N社)では、機械の制御にシーケンサーを採用する様になっていました。機械設計担当者の一人(A氏)が独学でシーケンサーを勉強して、工業大学で機械工学を勉強してきた新入社員にシーケンサーを教えていました。

 シーケンサーが扱える優秀な人材を増やす必要が有ったので、社長とA氏で手分けして探した様ですが、成功しませんでした。 それで、私が探す事になりました。 ハローワークと人材派遣会社・数社に求人を出しました。 最初は年収700万円→→800万円→→・・・→→1,100万円とアップしていきましたが、応募者は皆無でした。 親しくしていた人材派遣会社の社員が、冗談半分で「応募者が有ったら、100万円渡すから、内緒で連絡して欲しい」と言いました。

 社長が、「金は幾らでも出すから、君の会社(K社)から引き抜けないか?!」と言い出しました。 K社は10年程前にシーケンサーを扱える人を、途中入社で何人か採用していました。その内の2人を知っていました。彼らの入社時、「二、三年後に管理職に昇格させて、給与を大幅にアップさせる」とK社は約束していました。二人とも有能で、バリバリ仕事をしていましたが、K社は約束を守っていませんでした。

 それで、2人にコンタクトしました。一人は、独身で若い社員達に慕われて、日々楽しく仕事をしていたので、K社を辞める気は全く有りませんでした。もう一人(S氏)に、年収1,200万円を呈示しました。「暫く考えさせて欲しい!」との回答でした。

 社長が、「1,500万円出しても良い」と言ったのですが、それでは(当時N社の大黒柱の様な存在になっていた)A氏よりも高給になってしまいます。S氏を引き抜けたとしても、A氏とS氏が対立しそうに思ったので、私は手を引きました。

【(株)電通が『負んぶに抱っこ』】
 東京オリンピックの大会組織委員会元理事だった高橋治之氏が巷を賑わせています。高橋氏が(株)電通のOBだったので、今では電通を知らない人はいないと思われます。 大昔・通信会社だった頃に電通と改名し、その後・広告代理店になりましたが社名は変更しませんでした。 現在は、年間売り上げが5兆円を超え、広告代理店業の分野でシェア50%以上の巨大企業になっています。

 広告代理店の商品は、物では無くて『アイディア』です。新聞広告、映像広告、キャンペーン、デジタル化、金の有る政治家の選挙運動・・・アイディアが重要な仕事は何でもやってのける会社です。 クライアント(顧客)から依頼された仕事に、『物』が必要だったら、電通には幅広い情報網と『顔』が有るので、「○○社の✕✕商品を使いましょう」と提案出来ます。

 電通の給与は高いですから、やる気満々の優秀な人材が集まっています。一方、四代目社長だった故・吉田秀雄氏が定めた『鬼十則』と『責任三カ条』が社内で公式に廃止されたのは、女子社員が過労死した2015年以降です。吉田氏の考え方を持った社員が今でも沢山いると想像されます。この考え方を持った猛者と、軟な役人が対応したら丸め込まれるのは確実です。

 国や地方公共団体の役人にとっては、電通は頼りになる会社です。頼んだ仕事はキッチリとやってくれます。一度依頼した役人は、勉強しないグウタラ役人になってしまうと予想します。特に、役所のデジタル化に関連する特殊なソフトの開発には電通は頼りになります。全国に電通の息のかかったソフト作成企業が沢山有るので、地方の役所の仕事も沢山受注していると思われます。

(大会組織委員会に対する疑問) 民間企業で業者を選定する場合は、担当者が情報を集め→→比較検討して→→報告書を作成し→→上司がチェックして→→トップが決定します。東京オリンピックの大会組織委員会では、逆にトップが独断で決定した様です。 大会組織委員会には沢山職員がいました。「彼らはドンナ仕事をしたのか?」私は不思議に思います。

(私の懸念) 国や地方公共団体は、国民に情報を流したり、説得する為に広告代理店に依頼するケースが益々増えて来ると予想します。 広告代理店は顧客の意向を忖度して仕事をしますから、「首相や首長(くびちょう)の考え方で、いつの間にか上手に『世論操作』している様な事にならなければ良いが」と私は危惧しています。

・・・ 鬼十則 ・・・ 1951年
❶ 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
❷ 仕事とは、先手々と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
❸ 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
❹ 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
❺ 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
❻ 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
❼ 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
❽ 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚みすらない。
❾ 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
❿ 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

・・・ 責任三カ条 ・・・
❶ 命令・復命・連絡・報告は、その結果を確認しその効果を把握するまではこれをなした者の責任である。その限度内に於ける責任は断じて回避出来ない。
❷ 一を聞いて十を知り、これを行う叡智と才能がないならば、一を聞いて一を完全に行う注意力と責任感を持たねばならぬ。一を聞いて十を誤る如き者は百害あって一利ない。正に組織活動の癌である。削除せらるべきである。
❸ 我々にとっては、形式的な責任論はもはや一片の価値もない。我々の仕事は突けば血を噴くのだ。我々はその日その日に生命をかけている。

・・・ 電通の基礎データ ・・・
★ 業種 :広告代理店 ・・・競合企業;博報堂、サイバーエージェント、ADK、大広、・・・
★ 創業 :1901年(日本広告)→→1955年に(株)電通
★ 本社 :東京都港区東新橋1丁目8番1;汐留本社ビル(超高層ビル)
★ 資本金 :746億円
★ 従業員 :6,578人 (2021年12月現在)
★ 売上 :5兆2,564億円(21年12月)・・・2位の博報堂≒1兆5,189億円(22年3月)
★ 平均年収 :1,169万円(2020年3月公開・・・2位の博報堂≒1,090万円
★ 平均勤続年数 :13.8年
★ 平均年齢 :40.9歳

【私と電通社員】
 私は、1980年~84年頃東京勤務でした。当時、電通の本社は銀座の三越から南東方向に直線距離で500m程の所に有りました。

 週に2回は飲み友達二、三人で飲み歩いていました。銀座のカウンター席しか無い小奇麗なスナックに月に二、三回は行っていました。 その店を電通の社員達も利用していて、雑談する様になりました。冗談が通じる、話題の豊富な愉快な方が多かったです。 一切、仕事の話しはせず、会社の愚痴も言いませんでした。

 私は、電通には『鬼十則』が有るのを知っていたので、聞いて見ましたが、皆さん無視して、『鬼十則』については何も喋りませんでした。

 当時、電通が国や地方公共団体の仕事をする様になると予想していませんでした。 彼らの様に話上手な連中が→→役人の相手をする様になったら→→→役人達は持ち上げられて→→気持ちが良くなり→→彼らの言いなりになりそうに思います。