これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

燃料と税金 (その1)

2022-11-12 11:14:07 | 政治
【はじめに】
 ハイブリッド車(HV)が普及する様になったら、電気自動車(EV)、自動運転車、燃料電池自動車(FCV)、クリーンディーゼル車(CDV)の開発競争が始まりました。私は技術屋の端くれなので、次世代自動車について色々考えています。

 自動車について投稿する前に、電気と燃料について皆さんに知って頂きたく、『電気料金の問題』ついて3回投稿しました。今回と次回は『燃料と税金』について書きます。

【燃料の種類】
 多種多様な燃料が使用されています。思いついた燃料を下に列記しました。

 液体燃料(ガソリンや軽油など)と液化石油ガス(プロパンやブタンなど)が原油から製造されるのは誰でも知っていますが、合成樹脂や合成繊維の原料も原油です。 将来、原子力発電や核融合発電で電気を作って、液体燃料と液化石油ガスが必要で無い時代が来ても、合成樹脂や合成繊維の製造には原油が必要です。

・・・ 燃料の種類 ・・・
❶ 電気
❷ ガソリン :レギュラーガソリン,ハイオクガソリン、ホワイトガソリン
❸ 軽油 :A重油と殆ど同じ。
❹ 灯油
❺ ジェット燃料 :灯油と殆ど同じ。
❻ 重油 :A重油、B重油、C重油
❼ 天然ガス :主成分=メタン・・・都市ガス
❽ 液化石油ガス(プロパンガス) :主成分=プロパン、ブタン
❾ 石炭
❿ 練炭、豆炭
⓫ 木炭
⓬ 薪(まき)、柴(しば) ・・・桃太郎に登場する”おじいさん”が刈りに行ったのは『柴』です。
⓭ アセチレン :溶接用のガス・・・火炎が3,330 ℃にもなる。
⓮ 固形燃料 :アルコール等を固形化・・・調理用、ロケットやミサイル
⓯ バイオ燃料 :穀物等から作ったエタノールなど
⓰ 水素
⓱ アンモニア :燃料として検討されている。
⓲ 木質ペレット
⓳ 廃棄物固形燃料(ごみ固形燃料)
⓴ ジメチルエーテル  : 用途=スプレー噴射剤、燃料

(余談 :私が子供だった頃の燃料) 1950年頃まで、私の故郷(田辺市龍神)では、木炭バスが走っていた様です。炊事と風呂の燃料は薪(まき)でした。(今でも、風呂に薪を使用している家が有ります。) 故郷には戦前に作った水力発電所が2か所ありましたが、役場、学校、農協、商店などにしか電気は供給されていませんでした。 照明は灯油ランプでした。 1955年頃に(私が9歳の頃)、ヤット、家庭に電気が供給される様になりました。

 子供の頃、冬には数回雪が降って、積雪が30cm程になる事が有りました。家には掘り炬燵が有り『練炭』を使っていました。父が座る場所の横に火鉢を置いていて、五徳(ごとく)の下で『豆炭』か炭が燃えていました。

 小学校には無かったのですが、中学校には、各教室に石炭ストーブ(ダルマストーブ)が一台有りました。焚き付け用の小枝(柴)は生徒が持ち寄りました。 小学校と中学校に給食を作る小屋(給食室)が有りましたが、生徒が持ち寄った『薪』を『おくどさん(竃)』で燃やして料理を作っていました。

 田辺市の高校に入学したのですが、旧制中学校時代の古い!古い!木造の校舎でした。隙間風がビュンビュン入ってきましたが、ストーブは有りませんでした。勿論、冷房なんて有りませんでした。

 1950年代の後半に、故郷でプロパンガスの販売が始まりました。(隣の御主人が、販売員になったので、覚えています。) 我が家では、10年ほど経って、台所をリホームしてプロパンガスで料理を作る様になりました。『おくどさん』は残していました。 1965年頃に、灯油の給湯器を据えて、台所と風呂にお湯が出る様になりました。

《豆知識 :圧力と沸点》
 高気圧とか低気圧と言うのは、標準大気圧より高いか/低いかを表す言葉です。標準大気圧は日本では『atm(アトム)』と言う単位を使っても良い事になっています。 1atm=1013.25hPa=1.01325bar=1013.25 mbar

 厳密な定義の『沸点』とは、液体が気化する(ガス化する)温度です。液体の周囲の圧力が高くなると沸点は上昇します。 普通使用される沸点は標準大気圧で液体が気化する温度が使用されます。 水の沸点は『100℃』ですが、圧力鍋では蒸気を閉じ込めて圧力を高く保ち、内部を115℃~126℃にして短時間に煮える様にしています。

 私たちの身近に有る、圧力容器に入ったガス燃料には、以下に示す炭化水素が使用されています。 使い捨てライターにはブタンとイソブタンが入っています。安いライターにはブタンが、冬の寒い時期でも点火し易いライターにはイソブタンが入っています。(Bic社製ライターにはイソブタンが使用されている様です。)

 ガスコンロ用のボンベにはCB缶とOD缶の2種類が有ります。室内で使用するのは『ノーマル』タイプで、(CB缶で、)ブタンが入っています。キャンプなどで使用するOD缶には、『ハイパワー(寒冷地仕様)』タイプが有り、イソブタンやプロパンが入っています。使用する場所の温度(外気温度)を予想して選ぶ必要が有ります。

★ イソブタン :C4H10 ;沸点≒−11.7℃ ・・・20℃では3atm
★ ブタン    :C4H10 ;沸点≒−0.5 ℃ ・・・20℃では2atm
★ プロパン  :C3H8 ;沸点≒−42.09℃ ・・・20℃では7atm
★ ジメチルエーテル :C2H6O ;沸点≒−23.6℃ ・・・スプレー缶に使用

【スッポン税制】
 スッポン(鼈)は嚙みついたら離さないと言いますが、悪名高い財務省は、有る目的で取り始めた税金は、その目的が無くなっても取り続けます。日本のそんな税金制度を『スッポン税制』と私は呼ぶことにしています。

 自動車の燃料に掛ける税金は、スッポン税制の典型です。特にガソリン税は酷いですね! 最初は、道路整備用の資金を得る目的で自動車に使用する燃料に税金を掛けました。すなわち、道路整備の為の『特定財源』だったのです。 道路網がほぼ全国に張り巡らされた時点(2010年)で、本来は燃料税は廃止するか、低減すべきでした。 国家に『金』が必要であるのなら、(姑息な手段を使うのでは無く)新しい名目の税制で、国民が公平に負担する様にすべきだったと思います。 (現在・燃料税は、一般財源として使われています。)

 私の故郷は過疎地です。子供の頃はバスが一時間に一本ほど走っていましたが、人口が減少して、今では日に二、三本しか有りません。自家用車が必需品になっているのです。 一方、電車や地下鉄網が整備された都会では、自家用車は必需品では有りませんから、(多くの方が乗用車を持たないので)燃料税を払っていないのです。過疎地の所得は一般に低いですから、燃料税は「不公平な税金」の典型と言えます。

【自動車用燃料の税収】
 自動車用燃料による税収は、ドンドン減収傾向になっています。その主な原因は、下記の❶と❷です。

税収減の原因❶ ;燃費の向上
 近年、効率の高いハイブリッド車が普及し、エンジンの性能向上、タイヤの改善などで乗用車の燃費が向上しています。(一時期、車体の軽量化による燃費向上が図られましたが、安全性対策で車体重量は昔に戻っている様です。) 燃費が向上した為に→→ガソリンスタンドの経営が難しくなって→→店仕舞が出て来ています。税収も減って来ているのです!

税収減の原因❷ ;電気自動車(EV)の増加
 自動車に電気を使用すると車用燃料税は掛かりません。それが、EVの最大の魅力になっています。EVが更に普及すると、自動車用燃料による税収は減少してきます。政府は最近、イエスマンを集めた諮問委員会で、「自動車の走行距離を調べて、税金を徴収すべきだ!」と発言させています。

・・・ 自動車用燃料の税収の推移 ・・・
★ 2001年度≒4.7兆円
★ 2011年度≒4.4兆円
★ 2021年度≒4.1兆円
出典 :一般社団法人・日本自動車会議所の2022年5月24日付け「燃料税収、21年度は過去20年で最少 先細り確実で課税懸念も」

【車に使用される燃料】
 ガソリンスタンドで販売している燃料は、下記の3種類(❶~❸)です。一部のガソリンスタンドでは、電気自動車(EV)の充電もしている様です。A重油と軽油はほぼ同じ物なので、ディーゼル車にA重油を使用出来ますが、違法です。

 最近話題になっている水素ガスを車の燃料に使用する研究が行われています。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンを少し改良したら水素ガスが使用出来ると思われますが、水素ガスの製造体制と税金制度の検討が必要ですから、私は水素自動車の普及は難しいと考えています。

❶ ガソリン
❷ 軽油
❸ プロパンガス(LPガス)
❹ 電気

【ガソリンの税金】
 ガソリンに掛かる税金は、次式に示す様にガソリン税等に消費税が掛かる『二重税制』です。
 ガソリンの販売価格=(本体価格✛ガソリン税✛石油石炭税✛環境税)✕消費税

 ガソリン税の中には『特別税=25.1円/リットル』が含まれています。特別税は、1974年(三木武夫内閣)に、「当分の間だけ徴収する」として設けられました。『当分の間』だったのに、すでに48年も経過しているのに徴収し続けています! ⇐⇐『スッポン税制』

 2010年(民主党政権時代)に、「ガソリンの3か月の平均小売価格が1リットル当たり160円を超える」事態になったら、特別税は停止する事にしました。これを『トリガー条項』と呼びます。

 2011年(民主党政権時代)に、「(2011年の)東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し、別に法律で定める日までの間、その適用(トリガー条項)を停止する」と決めました。

 東日本大震災から11年を経過し、最近、ガソリンの価格は『160円』を超えていますが、トリガー条項はそのままにして、ガソリンに補助金を出して乗り切ろうとしています。「一旦、ガソリン税を下げたら増額が難しいから、トリガー条項は無かった事にしたい!」・・・姑息な財務省の官僚達が考えたのです!

 大震災の復興資金は『財政投融資特別会計国債(財投債)』を発行して→→法人と個人の所得税率を一時的に増やして国債を償還し→→償還が完了したら→→税率を元に戻すべきです。 東日本大震災の時の様に、自動車を持っている人だけに負担させるべきでは有りません。

(余談 :税金を払うのは嫌いだ!) 親戚に税務署勤務の方(M1氏)がおられました。最後は某税務署の署長になり、退職後に税理士になりました。M1氏は家屋敷と畑を相続して、現金を貯めて→→相続税を節税して→→一人っ子の息子(M2氏)に残して70歳前後で亡くなりました。(M1氏の奥さんは若くして亡くなっていました。)

 M2氏は、税金を払うのが嫌いで、酒もタバコもやらず、車も持っていませんでした。セッセと金を貯めて→→貸家や賃貸アパートを建てました。M2氏が60歳頃、私と会うと相続税を節税する方法の話をする様になりました。 「僕には相続税を心配しなければならいい程の財産が無い」、「三途の川を渡る為には、『六文』しかいらないよ!」、「金は生きている内に使うべきだ!」・・・等と言ったのですが、M2氏は退職後も金を貯めている様です。 面白くないので、M2氏とはもう10年以上会っていません。

❶ ガソリン税 :53.8円/リットル=揮発油税(48.6円/リットル)+地方揮発油税(5.2円/リットル)
❷ 石油石炭税 :2.8円/リットル
❸ 地球温暖化対策のための税(環境税):0.25円/リットル
❹ 消費税 :10%
(注記 :関税) 原油、プロパン、天然ガス、水素ガスの関税は撤廃されています。

《豆知識 :ガソリンの種類》
 3種類のガソリンが販売されています。車に使用されるのは、レギュラーガソリンとハイオクガソリンです。 キャンプ等では、ストーブやランタンにホワイトガソリン(白ガス)が使用されます。ホワイトガソリンは着色されていないので、無色透明な液体です。

 レギュラーガソリンとハイオクガソリンには燃料税が掛かりますが、ホワイトガソリンには掛かりません。ホワイトガソリンのオクタン価が50~55前後しかないのでガソリンエンジンには使用出来ません。 ちなみに、レギュラーのオクタン価は89以上、ハイオクは96以上とJISに規定されています。

 ホワイトガソリンは流通量が少ない為か?非常に高価です。ガソリンスタンドの一部で取り扱っていますが、缶入り販売が主で、量り売りは少なくなっていると想像します。 (私が学生だった時、下宿に大学院がいて、彼は熱心なワンダーフォーゲル部員で、何回か私をキャンプに連れて行ってくれました。時々、「ホワイトガソリンを買っておいてくれ」と言って、専用の小さなタンクを渡しました。量り売りをするガソリンスタンドで買いました。)

《豆知識 :燃料の着色》
 元々のガソリン、軽油、A重油は無色ですが、入れ間違い防止のために、ガソリンはオレンジ色に、軽油は淡黄色に着色しています。ホワイトガソリンは着色していません。 更に、給油ノズルにはレギュラーガソリンは赤、ハイオクは黄色、軽油は緑と決められています。