【はじめに】
先週、『アメリカは白人国家では無くなります!』を投稿しました。今までは、白人が多く、プロテスタントが主流でした。 「今世紀になって、ヒスパニック系の国民が増加して→→カトリック教徒が主流になりそうでだ」と言う私の予想を書きました。
アメリカは国内が大きく変化しようとしているのに、連邦と州の制度は、建国以来240年間、殆ど変えていません。現在、ヒスパニック系の国民は団結しておらず、選挙で投票する人が少ない様です。 一方では、ヒスパニック系の国民の多くは、「建国の経緯はドウデモ良いことだ」と考えている様に思えます。
ヒスパニック系国会議員が増えて来たら、『アメリカ・ファースト』→→国益優先→→軍事予算の削減→→駐留軍の縮小→→NATO脱退 ・・・の方向に進みそうに思います!
【アメリカの歴史】
現在のアメリカ本国の土地は、オランダ、スウェーデン、スペイン、ポルトガル、フランス及びイギリスが植民地化しました。1754年~63年に、イギリス が フランスとカナダの植民地と戦争(フレンチ・インディアン戦争)して→→イギリス が 勝利して→→現在のルイジアナ州からカナダに至る(帯状の)広大な土地をイギリスが獲得しました。
1775年~83年に、イギリスの植民地だった『13州』が宗主国・イギリスと戦争(独立戦争)をして→→13州が勝利して→→アメリカ合衆国が誕生しました。
18世紀は、まだ覇権主義が否定されていませんでしたので、アメリカ合衆国は周辺の他国の植民地を取り込んで行きました。(領土を拡張して行ったのです。)
建国約80年後(1861年)、(南北戦争が始まった時、)州の数は34州になっていました。
・・・ 合衆国の歴史 ・・・
★ 16世紀~ :ヨーロッパ諸国が、現在アメリカの領土になっている地域を植民地化しました。
★ 1652年~84年(断続的) :英蘭戦争(イングランド vs オランダ) →→コネチカットがイングランドの植民地になりました。
★ 1754年~63年 :フレンチ・インディアン戦争 ・・・イギリス vs フランス、カナダの植民地、 (イギリスが勝利して、カナダの植民地とルイジアナ州等を得ました。)
★ 1774年~81年 :大陸会議 ・・・イギリスの植民地(13州)
★ 1775年~83年 :独立戦争 ・・・イギリスの植民地(13州)がイギリスと戦争
★ 1783年 :独立 ・・・13州(下記参照!)
★ 1787年 :憲法制定会議 ・・・首都はフィラデルフィアなど→→1985年からニューヨーク
★ 1789年 :第1回国政選挙 ・・・プレジデント(大統領;President)、下院議員、上院議員を選出しました。
★ 1801年 :ワシントンD.C(コロンビア特別区) ・・・ニューヨークから首都を移しました。
★ 1803年 :アメリカがフランスから1,500万ドルでルイジアナ州を買収しました。
★ 1846年~48年 :米墨戦争(アメリカ vs メキシコの戦争)→→アメリカが1,500万ドル支払ってカリフォルニア州とニューメキシコ州を得て、更にテキサス州もアメリカ領土としました。
★ 1861年~65年 :南北戦争 ・・・北部23州 vs 南部11州 ・・・この時点で、州は21州増えて→→34州になっていました。
★ 1867年 :ロシア帝国からアラスカを買い取りました。 ・・・1959年にアラスカとハワイが州になり、その結果→→50州になりました。
★ 1898年 :米西戦争(アメリカ vs スペインの戦争) ・・・アメリカが勝利して→→フィリピン、プエルトリコ、グアムを獲得しました。
(御参考 :13州) 独立戦争を戦った13州とは、❶ニューハンプシャー、❷マサチューセッツ、❸ロードアイランド、❹コネティカット、❺ニューヨーク、❻ニュージャージー、❼ペンシルベニア、❽デラウェア、❾メリーランド、❿ヴァージニア、⓫ノースカロライナ、⓬サウスカロライナ、⓭ジョージア・・・です。
❹のコネティカット州は、最初はオランダの植民地で→→後に、イングランドの植民地になりました。
❻のニュージャージー州、❼のペンシルベニア州、❽のデラウェア州、❾のメリーランド州は、最初はスウェーデンの植民地で→→後に、イングランドの植民地になりました。
【アメリカの州について】
日本では、50州を全て『州』と呼びますが、マサチューセッツなど4州は『コモンウェルス(Commonwelth)』、即ち『Commonwealth of Massachusetts』が正式名称です。 その他の州は『ステート(State)』です。『コモンウェルス』と『ステート』は、国家を指す言葉です。
合衆国が建国された時、13州は対等の立場に有ったので、アメリカの憲法と連邦法に抵触しない範囲で、州憲法や州の法律を制定する事が出来ます。そして軍隊(州兵)も持つ事が出来ます。 アメリカの州は、(日本人の私には理解できない様な)大きな自治権を保有しています。
ワシントンD.C. :首都を政治的に中立にするために、1801年にワシントンD.C.が建設されました。 大統領選挙の選挙人は3名、下院には議決権を持たない代表者・1名、上院の選挙権は認められていません。
プエルトリコ :プエルトリコはスペインの植民地でした。1898年にアメリカが所有する事になり、その後・紆余曲折がありましたが、近年は州への格上げを希望する国民が多くなっています。プエルトリコ人にはアメリカの国籍が認められていますが、❶大統領選挙の投票権が無く、❷上院の投票権も無く、❸下院に議決権を持たない代表者・1名を送る事が出来ます。 なお、州兵を持っています。
2022年の時点では、プエルトリコの住人は『275万人』程の様ですが、合衆国(本国)に住むプエルトリコ人は『580万人』もいるそうです。プエルトリコの住人の『94%』はスペイン語を使用しています。
★ 州の数 :50州
★ ワシントンD.C.(コロンビア特別区) ・・・大統領選挙では選挙人3名選出、下院に議決権の無い代表1名
・・・ アメリカの準州 ・・・
❶ プエルトリコ :人口≒275万人 ・・・自治権を有する。下院に議決権の無い代表1名
❷ グアム :人口≒16.4万人 ・・・下院に議決権の無い代表1名
❸ アメリカ領ヴァージン諸島 :12.5万人
❹ 北マリアナ諸島 :人口≒8.0万人 ・・・自治権を持っています。
❺ アメリカ領サモア :人口≒7.0万人
【大統領と国会】
1979年に第1回国政選挙が行われ、プレジデント(大統領;President)、副大統領、下院議員と上院議員を選出しました。
プレジデント(President)は代表とか議長のことで、会社では社長です。 初代のプレジデントはジョージ・ワシントン(任期≒1789年~1797年)ですが、当時のプレジデントは「議会の長」の様な権限しか与えられていませんでした。
大統領選挙は間接選挙です。各州の上下両院の議席数によって『選挙人』が配分されます。 各州で、各陣営が任命した『選挙人』を選び、勝利した陣営が州に割り当てられた選挙人の数を『総取り』する方式です。 この制度の問題は、獲得した票数が国全体でトップでも、必ずしも大統領にはなれない事です。アメリカが建国した1783年には電話は発明されておらず、間接選挙で大統領を選ぶ方式を採用したのは、理にかなっていたと思います。
然し、デジタル化が進み、種々の通信網が確立された現在、間接選挙に拘る理由が有るとは思えません。多数決が民主主義の根本ですから、直接選挙に変えるべきです!
独自の行政機関を持った13州が集まって→→1783年に合衆国が建国されたので→→連邦政府の行政機関で働く人は極めて少なかった様です。従って、大統領の権限も少なかったのです。 連邦議会が決議した法律に対する『拒否権』は建国当初から大統領に与えられていた様です。、
その後、連邦政府の行政機関の職員数は次第に増加して、大統領の権限が強化されました。然し、現在でも地方自治を重視する国ですから、アメリカの地方公務員の数は、連邦公務員の『7.8倍』程も有る様です。
・・・ アメリカの大統領選挙 ・・・
★ 大統領 :任期は4年、大統領と副大統領をセットにして選ばれます。同じ人は2回までしか大統領にはなれません。
★ 間接選挙 :ほぼ上下両院の議席数で州に割り当てられた選挙人を選ぶ選挙 ・・・総取り方式
★ 2大政党に有利な選挙制度 :多くの州では2大政党以外の大統領候補者は、住民の(一定数の)署名を集める事が要求されています。
【下院】
下院の正式名称は『United States House of Representatives』なので、『House』とも呼ばれている様です。
現在、下院の定員は『435人』ですが、原則として住民の数に比例して各州にに配分されます。単純小選挙区制が採用されています。(比例代表制ではない為、少数政党を立ち上げるのが極めて難しいのです。)
大統領には、下院と上院の『解散権』が有りません。 (日本の場合は、衆議院に対してのみ総理大臣に解散権が認められていますが、「内閣不信任決議が通った時のみ解散して良い」と解散権を制約すべきです。与党が都合の良い時に解散しますから、民主主義に反します。1回の衆議院選挙で、国費を『600億円』も使っているのです!)
アメリカの下院の最大の問題は、「任期が2年しか無い」ことです。小選挙区制ですから、熾烈な選挙運動を2年毎に行っています。下院議員がジックリ腰を据えて、国政を考えるのは難しい様に思えます。
《議員立法と公設秘書》 合衆国憲法で、「法案の提出権は下院と上院の議員だけが持っている」事になっているので、法案を検討/作成する為に、下院議員には22人まで公設秘書を雇う権利が与えられています。(上院議員の場合は無制限です。) 議員達が法案を作成して→→両院で審議し→→両院で可決されると→→大統領が検討して→→サインすると→→法律が施行されます。 大統領には『法案に対する拒否権』が与えられています。
日本と根本的に違うのは、大統領には議会への出席権と発言権が無い事です。議会が開催されている期間でも、大統領はホワイトハウスで仕事が出来るのです。 (日本の場合は、委員会の審議にも参加要請が有れば、総理大臣だけでなく大臣達も出席して発言しなければなりません。)
《アメリカの予算審議》 アメリカの会計年度は「10月1日~翌年の9月30日」です。会計年度は翌年の西暦が使用されます。例えば、今は『2024年度』です。アメリカの議会では、膨大な時間を掛けて予算を審議します。政府が毎年2月の第1月曜日に『予算教書』を提出し→→議会で審議が始まります。
アメリカでは膨大な予算関連法案が提出されます。その内、歳出予算に関連する13の法案(歳出予算法案)の審議に関しは下院に先議権が有ります。バイデン大統領は民主党で、下院は共和党が多数派ですから、現時点(11月11日)でも、2024年度の予算が決まっていないのです。
バイデン大統領には、来年の2月の第1月曜日に2025年度の『予算教書』を提出する義務が有ります。24年度の予算がまだ決まっていないのに、次の『予算教書』を作成するのは難しいでしょうね! あと3ヶ月弱しか無いので、最悪の場合は議会で24年度と25年度の予算を同時に審議する事になりそうです! 私は『ウクライナへの支援』がドウナルのか?心配しています。
(注記 :国家予算に関する日本のガラパゴス文化) 明治政府は皇室に優良企業の莫大な株式と徳川幕府から取り上げた膨大な不動産を『皇室の資産』にしました。それらから得られる『金』で(国費から援助する事無く)皇族が生活し、余剰金で公園を作ったりしました。 欧米諸国では、国王に勝手に国費を乱用させない様に、監視/制限するのが議会の最大の役割でした。従って、欧米諸国の議会では今でも予算の審議が重要です。 (日本では殆ど審議しないで、予算案が国会を通過しています!)
(注記 :日本の予算に関する衆議院の優越権) 日本の場合、内閣は予算案を衆議院に提示します。衆議院が予算の先議権を持っているのです。衆議院が議決して→→参議院に送り→→参議院が否決しても→→衆議院の議決が採用されます。(衆議院が優越権を持っているのです。)
・・・ アメリカの下院 ・・・
★ 議員 :任期は2年 ・・・大統領選挙と同時に下院議員選挙が行われ、その2年後に下院議員と上院議員(1/3)の選挙(中間選挙)が実施されます。
★ 議員の定員 :435人 (他に、議決権の無い代表が6?人います。)
★ 予算の先議権 :政府が沢山の予算案を作成して→→両院に提出します。歳出予算法案だけは、下院に先議権が有ります。
★ 大統領には下院の解散権が有りません。
★ 下院議員の公設秘書 :22人まで許容されています。
(豆知識 :上院と下院の語源) 1789年頃、短期間・首都はフィラデルフィアに有り、議会は二階建てでした。上院が二階に、下院は1階に有ったので、上院を『Upper house』、下院を『Lower house』と呼ぶようになりました。 現在の国会議事堂では、正面から見て、右側に下院が、左側に上院の議場が有ります。
【上院】
上院の正式名称は『United States Senate』です。『Senate』は議会の意味で、ローマの時代には議会を元老院と呼んだので、下院を元老院と訳す人もいます。
住民の数に関係なく、上院は各州に二人の議席が与えられます。「対等な13州が集まって合衆国を建国した」と言う精神を、今でも尊重しているのです。
『歳出予算法案』には下院に先議権が有りますが、その他の法案についての審議は両院対等です。 条約の締結や大使などの任命については、上院だけが大統領に制限を掛ける権限を持っています。
・・・ アメリカの上院 ・・・
★ 議員 :任期は6年 ・・・2年間隔で、1/3の議員が改選されます。
★ 議員の定員 :100名(各州2名) ・・・ワシントンD.C.及び準州には上院議員は割り当てられていません。
★ 選挙制度 :単純小選挙区制 (比例選挙が無い)
★ 大統領には上院の解散権が有りません。
★ 上院の特別の権限 :❶条約の締結、❷大使などの人事権
★ 弾劾裁判 :上院が、弾劾裁判で判事の役割をします。
★ 上院議員の公設秘書 :人数に制限が有りません。
(豆知識 :アメリカの弾劾裁判) 合衆国憲法に定める規定により、大統領、副大統領と文官を反逆罪、収賄罪等の犯罪や非行を裁く裁判を『弾劾裁判』と呼びます。 下院が審議して→→上院に訴追し→→上院が裁判所の働きをして→→定員の『2/3』以上が罷免相当と判断したら→→下院が罷免します。
アンドール・ジョンソン大統領とビル・クリントン大統領(不倫問題)を下院が訴追しましたが、上院が否決しました。リチャード・ニクソン大統領は上院が結論を出す前に辞任しました。2019年にトランプ大統領が訴追されましたが、上院が否決しました。従って、まだ弾劾された大統領はいません。
合衆国憲法では、「過去に犯罪歴が有っても、現在・刑事裁判中でも大統領選挙に立候補出来る」事になっています。現在、トランプ氏は種々の罪で訴追されていますが、立候補出来るのです。 『ジョージア州の大統領選挙の結果を覆(くつがえ)そうとした」』と、ジョージア州で係争中の裁判だけはトランプ氏にとっては厄介です。来年の大統領選挙までにジョージアで有罪判決が下されて、監獄に収監される可能性が有ります。 トランプ氏が大統領に当選しても、ジョージア州では大統領の『恩赦権』を認めていませんから、自分を恩赦する事が出来ません。
アメリカでは、監獄に入っている人でも、大統領選挙に立候補出来、当選したら大統領になれます。 監獄に入ったトランプ氏が当選したら、多分、自分で自分を恩赦して→→ホワイトホースで仕事をする事になるのでしょう?! 然し、ジョージア州の監獄に入っていたら、監獄で執務するのでしょうか?
先週、『アメリカは白人国家では無くなります!』を投稿しました。今までは、白人が多く、プロテスタントが主流でした。 「今世紀になって、ヒスパニック系の国民が増加して→→カトリック教徒が主流になりそうでだ」と言う私の予想を書きました。
アメリカは国内が大きく変化しようとしているのに、連邦と州の制度は、建国以来240年間、殆ど変えていません。現在、ヒスパニック系の国民は団結しておらず、選挙で投票する人が少ない様です。 一方では、ヒスパニック系の国民の多くは、「建国の経緯はドウデモ良いことだ」と考えている様に思えます。
ヒスパニック系国会議員が増えて来たら、『アメリカ・ファースト』→→国益優先→→軍事予算の削減→→駐留軍の縮小→→NATO脱退 ・・・の方向に進みそうに思います!
【アメリカの歴史】
現在のアメリカ本国の土地は、オランダ、スウェーデン、スペイン、ポルトガル、フランス及びイギリスが植民地化しました。1754年~63年に、イギリス が フランスとカナダの植民地と戦争(フレンチ・インディアン戦争)して→→イギリス が 勝利して→→現在のルイジアナ州からカナダに至る(帯状の)広大な土地をイギリスが獲得しました。
1775年~83年に、イギリスの植民地だった『13州』が宗主国・イギリスと戦争(独立戦争)をして→→13州が勝利して→→アメリカ合衆国が誕生しました。
18世紀は、まだ覇権主義が否定されていませんでしたので、アメリカ合衆国は周辺の他国の植民地を取り込んで行きました。(領土を拡張して行ったのです。)
建国約80年後(1861年)、(南北戦争が始まった時、)州の数は34州になっていました。
・・・ 合衆国の歴史 ・・・
★ 16世紀~ :ヨーロッパ諸国が、現在アメリカの領土になっている地域を植民地化しました。
★ 1652年~84年(断続的) :英蘭戦争(イングランド vs オランダ) →→コネチカットがイングランドの植民地になりました。
★ 1754年~63年 :フレンチ・インディアン戦争 ・・・イギリス vs フランス、カナダの植民地、 (イギリスが勝利して、カナダの植民地とルイジアナ州等を得ました。)
★ 1774年~81年 :大陸会議 ・・・イギリスの植民地(13州)
★ 1775年~83年 :独立戦争 ・・・イギリスの植民地(13州)がイギリスと戦争
★ 1783年 :独立 ・・・13州(下記参照!)
★ 1787年 :憲法制定会議 ・・・首都はフィラデルフィアなど→→1985年からニューヨーク
★ 1789年 :第1回国政選挙 ・・・プレジデント(大統領;President)、下院議員、上院議員を選出しました。
★ 1801年 :ワシントンD.C(コロンビア特別区) ・・・ニューヨークから首都を移しました。
★ 1803年 :アメリカがフランスから1,500万ドルでルイジアナ州を買収しました。
★ 1846年~48年 :米墨戦争(アメリカ vs メキシコの戦争)→→アメリカが1,500万ドル支払ってカリフォルニア州とニューメキシコ州を得て、更にテキサス州もアメリカ領土としました。
★ 1861年~65年 :南北戦争 ・・・北部23州 vs 南部11州 ・・・この時点で、州は21州増えて→→34州になっていました。
★ 1867年 :ロシア帝国からアラスカを買い取りました。 ・・・1959年にアラスカとハワイが州になり、その結果→→50州になりました。
★ 1898年 :米西戦争(アメリカ vs スペインの戦争) ・・・アメリカが勝利して→→フィリピン、プエルトリコ、グアムを獲得しました。
(御参考 :13州) 独立戦争を戦った13州とは、❶ニューハンプシャー、❷マサチューセッツ、❸ロードアイランド、❹コネティカット、❺ニューヨーク、❻ニュージャージー、❼ペンシルベニア、❽デラウェア、❾メリーランド、❿ヴァージニア、⓫ノースカロライナ、⓬サウスカロライナ、⓭ジョージア・・・です。
❹のコネティカット州は、最初はオランダの植民地で→→後に、イングランドの植民地になりました。
❻のニュージャージー州、❼のペンシルベニア州、❽のデラウェア州、❾のメリーランド州は、最初はスウェーデンの植民地で→→後に、イングランドの植民地になりました。
【アメリカの州について】
日本では、50州を全て『州』と呼びますが、マサチューセッツなど4州は『コモンウェルス(Commonwelth)』、即ち『Commonwealth of Massachusetts』が正式名称です。 その他の州は『ステート(State)』です。『コモンウェルス』と『ステート』は、国家を指す言葉です。
合衆国が建国された時、13州は対等の立場に有ったので、アメリカの憲法と連邦法に抵触しない範囲で、州憲法や州の法律を制定する事が出来ます。そして軍隊(州兵)も持つ事が出来ます。 アメリカの州は、(日本人の私には理解できない様な)大きな自治権を保有しています。
ワシントンD.C. :首都を政治的に中立にするために、1801年にワシントンD.C.が建設されました。 大統領選挙の選挙人は3名、下院には議決権を持たない代表者・1名、上院の選挙権は認められていません。
プエルトリコ :プエルトリコはスペインの植民地でした。1898年にアメリカが所有する事になり、その後・紆余曲折がありましたが、近年は州への格上げを希望する国民が多くなっています。プエルトリコ人にはアメリカの国籍が認められていますが、❶大統領選挙の投票権が無く、❷上院の投票権も無く、❸下院に議決権を持たない代表者・1名を送る事が出来ます。 なお、州兵を持っています。
2022年の時点では、プエルトリコの住人は『275万人』程の様ですが、合衆国(本国)に住むプエルトリコ人は『580万人』もいるそうです。プエルトリコの住人の『94%』はスペイン語を使用しています。
★ 州の数 :50州
★ ワシントンD.C.(コロンビア特別区) ・・・大統領選挙では選挙人3名選出、下院に議決権の無い代表1名
・・・ アメリカの準州 ・・・
❶ プエルトリコ :人口≒275万人 ・・・自治権を有する。下院に議決権の無い代表1名
❷ グアム :人口≒16.4万人 ・・・下院に議決権の無い代表1名
❸ アメリカ領ヴァージン諸島 :12.5万人
❹ 北マリアナ諸島 :人口≒8.0万人 ・・・自治権を持っています。
❺ アメリカ領サモア :人口≒7.0万人
【大統領と国会】
1979年に第1回国政選挙が行われ、プレジデント(大統領;President)、副大統領、下院議員と上院議員を選出しました。
プレジデント(President)は代表とか議長のことで、会社では社長です。 初代のプレジデントはジョージ・ワシントン(任期≒1789年~1797年)ですが、当時のプレジデントは「議会の長」の様な権限しか与えられていませんでした。
大統領選挙は間接選挙です。各州の上下両院の議席数によって『選挙人』が配分されます。 各州で、各陣営が任命した『選挙人』を選び、勝利した陣営が州に割り当てられた選挙人の数を『総取り』する方式です。 この制度の問題は、獲得した票数が国全体でトップでも、必ずしも大統領にはなれない事です。アメリカが建国した1783年には電話は発明されておらず、間接選挙で大統領を選ぶ方式を採用したのは、理にかなっていたと思います。
然し、デジタル化が進み、種々の通信網が確立された現在、間接選挙に拘る理由が有るとは思えません。多数決が民主主義の根本ですから、直接選挙に変えるべきです!
独自の行政機関を持った13州が集まって→→1783年に合衆国が建国されたので→→連邦政府の行政機関で働く人は極めて少なかった様です。従って、大統領の権限も少なかったのです。 連邦議会が決議した法律に対する『拒否権』は建国当初から大統領に与えられていた様です。、
その後、連邦政府の行政機関の職員数は次第に増加して、大統領の権限が強化されました。然し、現在でも地方自治を重視する国ですから、アメリカの地方公務員の数は、連邦公務員の『7.8倍』程も有る様です。
・・・ アメリカの大統領選挙 ・・・
★ 大統領 :任期は4年、大統領と副大統領をセットにして選ばれます。同じ人は2回までしか大統領にはなれません。
★ 間接選挙 :ほぼ上下両院の議席数で州に割り当てられた選挙人を選ぶ選挙 ・・・総取り方式
★ 2大政党に有利な選挙制度 :多くの州では2大政党以外の大統領候補者は、住民の(一定数の)署名を集める事が要求されています。
【下院】
下院の正式名称は『United States House of Representatives』なので、『House』とも呼ばれている様です。
現在、下院の定員は『435人』ですが、原則として住民の数に比例して各州にに配分されます。単純小選挙区制が採用されています。(比例代表制ではない為、少数政党を立ち上げるのが極めて難しいのです。)
大統領には、下院と上院の『解散権』が有りません。 (日本の場合は、衆議院に対してのみ総理大臣に解散権が認められていますが、「内閣不信任決議が通った時のみ解散して良い」と解散権を制約すべきです。与党が都合の良い時に解散しますから、民主主義に反します。1回の衆議院選挙で、国費を『600億円』も使っているのです!)
アメリカの下院の最大の問題は、「任期が2年しか無い」ことです。小選挙区制ですから、熾烈な選挙運動を2年毎に行っています。下院議員がジックリ腰を据えて、国政を考えるのは難しい様に思えます。
《議員立法と公設秘書》 合衆国憲法で、「法案の提出権は下院と上院の議員だけが持っている」事になっているので、法案を検討/作成する為に、下院議員には22人まで公設秘書を雇う権利が与えられています。(上院議員の場合は無制限です。) 議員達が法案を作成して→→両院で審議し→→両院で可決されると→→大統領が検討して→→サインすると→→法律が施行されます。 大統領には『法案に対する拒否権』が与えられています。
日本と根本的に違うのは、大統領には議会への出席権と発言権が無い事です。議会が開催されている期間でも、大統領はホワイトハウスで仕事が出来るのです。 (日本の場合は、委員会の審議にも参加要請が有れば、総理大臣だけでなく大臣達も出席して発言しなければなりません。)
《アメリカの予算審議》 アメリカの会計年度は「10月1日~翌年の9月30日」です。会計年度は翌年の西暦が使用されます。例えば、今は『2024年度』です。アメリカの議会では、膨大な時間を掛けて予算を審議します。政府が毎年2月の第1月曜日に『予算教書』を提出し→→議会で審議が始まります。
アメリカでは膨大な予算関連法案が提出されます。その内、歳出予算に関連する13の法案(歳出予算法案)の審議に関しは下院に先議権が有ります。バイデン大統領は民主党で、下院は共和党が多数派ですから、現時点(11月11日)でも、2024年度の予算が決まっていないのです。
バイデン大統領には、来年の2月の第1月曜日に2025年度の『予算教書』を提出する義務が有ります。24年度の予算がまだ決まっていないのに、次の『予算教書』を作成するのは難しいでしょうね! あと3ヶ月弱しか無いので、最悪の場合は議会で24年度と25年度の予算を同時に審議する事になりそうです! 私は『ウクライナへの支援』がドウナルのか?心配しています。
(注記 :国家予算に関する日本のガラパゴス文化) 明治政府は皇室に優良企業の莫大な株式と徳川幕府から取り上げた膨大な不動産を『皇室の資産』にしました。それらから得られる『金』で(国費から援助する事無く)皇族が生活し、余剰金で公園を作ったりしました。 欧米諸国では、国王に勝手に国費を乱用させない様に、監視/制限するのが議会の最大の役割でした。従って、欧米諸国の議会では今でも予算の審議が重要です。 (日本では殆ど審議しないで、予算案が国会を通過しています!)
(注記 :日本の予算に関する衆議院の優越権) 日本の場合、内閣は予算案を衆議院に提示します。衆議院が予算の先議権を持っているのです。衆議院が議決して→→参議院に送り→→参議院が否決しても→→衆議院の議決が採用されます。(衆議院が優越権を持っているのです。)
・・・ アメリカの下院 ・・・
★ 議員 :任期は2年 ・・・大統領選挙と同時に下院議員選挙が行われ、その2年後に下院議員と上院議員(1/3)の選挙(中間選挙)が実施されます。
★ 議員の定員 :435人 (他に、議決権の無い代表が6?人います。)
★ 予算の先議権 :政府が沢山の予算案を作成して→→両院に提出します。歳出予算法案だけは、下院に先議権が有ります。
★ 大統領には下院の解散権が有りません。
★ 下院議員の公設秘書 :22人まで許容されています。
(豆知識 :上院と下院の語源) 1789年頃、短期間・首都はフィラデルフィアに有り、議会は二階建てでした。上院が二階に、下院は1階に有ったので、上院を『Upper house』、下院を『Lower house』と呼ぶようになりました。 現在の国会議事堂では、正面から見て、右側に下院が、左側に上院の議場が有ります。
【上院】
上院の正式名称は『United States Senate』です。『Senate』は議会の意味で、ローマの時代には議会を元老院と呼んだので、下院を元老院と訳す人もいます。
住民の数に関係なく、上院は各州に二人の議席が与えられます。「対等な13州が集まって合衆国を建国した」と言う精神を、今でも尊重しているのです。
『歳出予算法案』には下院に先議権が有りますが、その他の法案についての審議は両院対等です。 条約の締結や大使などの任命については、上院だけが大統領に制限を掛ける権限を持っています。
・・・ アメリカの上院 ・・・
★ 議員 :任期は6年 ・・・2年間隔で、1/3の議員が改選されます。
★ 議員の定員 :100名(各州2名) ・・・ワシントンD.C.及び準州には上院議員は割り当てられていません。
★ 選挙制度 :単純小選挙区制 (比例選挙が無い)
★ 大統領には上院の解散権が有りません。
★ 上院の特別の権限 :❶条約の締結、❷大使などの人事権
★ 弾劾裁判 :上院が、弾劾裁判で判事の役割をします。
★ 上院議員の公設秘書 :人数に制限が有りません。
(豆知識 :アメリカの弾劾裁判) 合衆国憲法に定める規定により、大統領、副大統領と文官を反逆罪、収賄罪等の犯罪や非行を裁く裁判を『弾劾裁判』と呼びます。 下院が審議して→→上院に訴追し→→上院が裁判所の働きをして→→定員の『2/3』以上が罷免相当と判断したら→→下院が罷免します。
アンドール・ジョンソン大統領とビル・クリントン大統領(不倫問題)を下院が訴追しましたが、上院が否決しました。リチャード・ニクソン大統領は上院が結論を出す前に辞任しました。2019年にトランプ大統領が訴追されましたが、上院が否決しました。従って、まだ弾劾された大統領はいません。
合衆国憲法では、「過去に犯罪歴が有っても、現在・刑事裁判中でも大統領選挙に立候補出来る」事になっています。現在、トランプ氏は種々の罪で訴追されていますが、立候補出来るのです。 『ジョージア州の大統領選挙の結果を覆(くつがえ)そうとした」』と、ジョージア州で係争中の裁判だけはトランプ氏にとっては厄介です。来年の大統領選挙までにジョージアで有罪判決が下されて、監獄に収監される可能性が有ります。 トランプ氏が大統領に当選しても、ジョージア州では大統領の『恩赦権』を認めていませんから、自分を恩赦する事が出来ません。
アメリカでは、監獄に入っている人でも、大統領選挙に立候補出来、当選したら大統領になれます。 監獄に入ったトランプ氏が当選したら、多分、自分で自分を恩赦して→→ホワイトホースで仕事をする事になるのでしょう?! 然し、ジョージア州の監獄に入っていたら、監獄で執務するのでしょうか?