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【世界標準のテクノロジーの教養】人の心に灯をともす 4547より 写真はMさんいただいたプレゼント...

2021年03月06日 | 
【世界標準のテクノロジーの教養】4547



山本康正(やすまさ)氏の心に響く言葉より…


現代がデジタル時代であることに疑問を持つ人はいないでしょう。

あらゆる企業にITの知識が求められ、IT企業と呼ばれる企業とその他の企業の間に、もはや垣根はありません。

こうした背景もあって日本でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が、ようやく進み始めました。


日本でDXの概念が急速に普及したのは新型コロナの影響でした。

ビジネスを水泳にたとえると、より遠くまで早く泳ぐことが成功だといえます。

そして、最先端のデジタル技術とは酸素ボンベ、コロナウィルスはそれを阻む障害です。


日本だけでなくアメリカでも多くのスーパーが、酸素ボンベを持っていなかったので息も絶え絶えになっていました。

しかし小売りの老舗であるウォールマートは15年以上前から最新のデジタル技術を取り込み続けていたので逆に売り上げが伸びました。

それを多くの会社が見ていたものだから、いやが応でもDXを加速せざるを得ない、となったわけです。


本来なら2年くらいかけて起きることが、一気に進みました。

数年前からネット通販などが少しずつ増えていましたが、それがコロナ禍で急加速したのです。

今後1年以内にコロナがどこまで収束するかにもよりますが、ビジネスは、ますますデジタル中心になることでしょう。

今までは、リアルが主でデジタルが補完していたのが逆になります。

デジタルが主でリアルが補完するのです。


今でもすでに、リアル店舗で実物をチェックしてからネット通販で買う人がたくさんいます。

デジタル店舗が主で、リアル店舗は実物をチェックする場所に過ぎません。

このようなことが今後、もっとあたりまえになっていきます。


たとえば、新聞は、アメリカでは配達にコストがかかりすぎるのでとっくに廃れています。

ニューヨーク・タイムズなどがいち早くデジタル化した結果、オンラインの収入が紙からの収入を上回りました。

デジタル化に取り組めた背景にあるのは、ITエンジニアの分布です。

海外の企業が日本とまったく違うのは、社内にITエンジニアを抱えていることです。

約7割のデジタル化を社内で担当し、残りの約3割がアウトソーシングだといわれています。

アウトソーシング先は、インドなど海外です。


日本は逆で、ITエンジニアのほとんどを社外に頼っているので、なかなかDXが進みません。

ここまでITを外注している国は日本ぐらいでしょう。

日本のデジタル化がこのまま遅れれば、外資企業が成功パターンとともに押し寄せてきます。

まさに黒船の来襲です。

彼らはシンガポールやマレーシアなどアジアの別の地域でノウハウや成功パターンをため込んでから日本にやってきます。

維新でも起こさない限り、日本企業の勝ち目は薄いといえます。


ウェブサイトやスマホアプリの使い勝手が相当きめ細やかになった時点で日本にやってきますので、ユーザーを総取りされてしまいます。

これは音楽配信や動画ストリーミングですでに起こっていることですね。

日本人がJポップを聴いているのに、土台は彼らが提供しているので、利益の大半をSpotifyやアップルが持っていってします。

スマホのOSも同じです。

Appleとグーグルが作ったプラットフォームでシェアはほぼ100%です。

そのプラットフォームにアプリを登録すれば、決済の約3割(1部は15%)が場所代として持っていかれます。

日本企業がどれだけ良いアプリを作っても、利益はどんどんアメリカ企業に吸いとられるという状態が続くわけです。


また、デバイスはだいたい20年周期で主流が移り変わってきた経緯があります。

スマホの次のデバイスは何なのか、これはまだ誰にもわかりません。

その20年を見据えて、次の盤面における「角」を取りにいくことが極めて重要です。


重要なのはデータです。

「データは21世紀の石油である」といわれます。

データ活用をさらに加速させるのが5Gです。

現在の4Gと比較して速度が約10倍、データ遅延は約10分の1、そして同じ面積での同時接続台数が約10倍になります。

データの流通量が圧倒的に増えますから、蓄積されるデータも加速度的に増えていきます。

そうなると、従来は10年かかっていたような変化が、1年ぐらいで起こってもおかしくないわけです。


また、デジタル時代における3本の柱といわれているのが、5G、クラウド、AIです。

3本の柱を理解しなければ、この先のビジネスは語れないでしょう。

3本の柱すべてで日本は後れを取ってしまいました。

特にAI分野が致命的に弱い。

たとえば日本のトップ層の教育機関にはプログラミングを活用する統計学部が近年までありませんでした。

AIを活用してデータ解析する人材を育成する専門機関がないのです。


さらに日本ではありがちなことに、「人工知能というのだからコンピュータだろう。だったらIT企業に任せればいい」と考えている人が多い。

しかし、IT企業はプログラミングができても、データから知見を引き出すことについては素人です。

AIを扱うにはプログラミングと統計の両方を知らないといけないのですが、そういう人材が日本にはほとんどいません。

だから専門の会社もほとんどない。

その貴重な人材が、シリコンバレーに行けば、新卒でも年収2千万ぐらいで雇ってもらえます。

しかし日本のIT企業だと新卒ならせいぜい年収500万円程度です。

そうなると能力の高い人は、日本企業ではなく外資系企業に行くのが普通でしょう。


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本書の中に「本業」についてこんな文章がありました。


『日本企業は、「本業だけやっていればいいという意識がいまだに根強い。

しかし、いつまでも本業が同じということはあり得ません。

本業が一つということは、それで負けたら終わりということ。

今の時代はリスキーでしかないのです。

馬車から自動車に移行した時代には、まだまだ馬車でいけると思っていた人はたくさんいました。

ところが10年ぐらいで交通手段としての馬車は駆逐され、今では趣味として乗るものになっています。

ものづくりにこだわる人、誰よりもいいものを作りたいと考える人を私はすばらしいと思います。

しかし日本のメーカーにとって、良いものを安く売るというビジネスモデルはもはや崩壊しています。

中国や台湾がもっと安く、しかも品質の悪くないものを作ってしまうので、それに固執しても取り残されるだけです。

それどころか中国や台湾のメーカーは、スマホアプリで製品に付加価値をつけるということにもとっくに取り組んでいます。

日本のメーカーは安さでも品質でも付加価値でも負け始めているのです。

世界の中で日本の影響力は年々落ちてきています。

テクノロジー・ビジネスのレベルでは世界で見ても20位以下になりつつあります。

先進国に加えてもらえても、最先進国とはいいがたいレベルです。

これは大学のランキングも関係していると思います。

2020年の世界大学ランキングでは、東大が36位、京大が65位でした。

あとは250位以下です。

慶応・早稲田といった私学のトップレベルでも600位以下です。

日本の大学はほとんど上位に入っていません。

大学がテクノロジーの最先端を担っているのだから、日本がテクノロジーでアメリカやヨーロッパはもちろん、中国、シンガポール、韓国などに比べて見劣りし始めているのは仕方のないことだという気がします。

日本の大学は、研究をビジネスに応用するというところがどうも弱いのです。

大学で商売に使う研究をするのはけしからん、邪道だと考える先生もいらっしゃるぐらいです。

その点アメリカは昔から産学が連携しています。

たとえばシリコンバレーでは、ヒューレット・パッカードの創業者であるビル・ヒューレットとデビット・パッカードは、スタンフォード大学の恩師であるフレデリック・ターマン教授の支援を受けて起業を決意しました。

結果二人は成功し、スタンフォード大学はヒューレット・パッカードの寄付金でさらに発展することとなります。

ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンのグーグルも同じで、グーグルが成功したことで、その出資がまた大学に返ってくる…このような積み重ねが今のスタンフォードの地位につながっているのです。

ボストンでいえば、ハーバード大学のキャンパスの隣に、ファイザーの研究所があります。

教授がスリッパ履きで行き来できる距離に研究所が存在するのです。

日本ではそのようなことをしようとすれば、すぐに大学と企業の癒着だと非難されます。

癒着が起こる可能性もありますが、そこはしっかりウオッチしていけば本来なら良い関係を築けるはずなのです。

しかし、日本の現状ではこれが難しい。

日本の大学が弱体化の一途をたどる原因かもしれません。』



ITやAIの本を読むと、どこにも一様に、日本のデジタルテクノロジーの劣化や惨敗のことが書いてある。

しかしながら、年配者のほとんどが、いまだに日本は上位の方だと思っている人が多い。

そんな日本の黄金の時代は、とうの昔に過ぎてしまった。


日本は、元々資源のない国だ。

だからこそ、明治維新も、戦後もみな祖先が頑張って、日本を一流にしてくれた。

しかし、豊かになれすぎてしまった日本人は、この30年間過去の栄光に酔っているうにち、あれよあれよという間に、トップチームから陥落してしまったのだ。


今年から、小中学校では遅まきながら、GIGAスクール構想も始まった。

いよいよ、日本の再生を後からくる若きエースたちにバトンタッチするときがきた。

デジタル一択の今、老いも若きも、もう一度奮い立つ必要がある。


世界標準のテクノロジーの教養を身につけたい。






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