児童(問題)に関する名著を出してきた洛陽堂だったが・・・・・、なんと恩地孝編のこういう単行本を出すなど・・・
科学と人生叢書中の一冊だが、河本亀之助による恩地の生活支援策の一環かな?
その道の第一人者を編者や著者に立てず、まったくの素人(但し、恩地は当時28歳で既婚)を新登用して何かを行わせるといったことは、おそらく新人画家竹久夢二での成功体験が根底にあったのだろか、しばしば洛陽堂刊の書籍の中では繰り返された。
恩地孝(恩地孝四郎のペンネーム)は学研的な人だったが、ま、まさか児童研究書の編者として登場していたとは・・・・。後年彼は児童文庫などの挿し絵をたくさん描いており、当然、ここでの経験は生かされていたことだろ。
児童問題史研究会監修『日本児童問題文献選集』全36巻と『現代日本児童問題文献選集』全42巻(1983.6~88.9・日本図書センター)の各巻解説・解題を集成・復刻(第1・2巻)し、新たに総解説、文献解説年表、補遺、索引を第3巻としたもの。
【目次】
第1巻
『「日本児童問題文献」解説』序
「日本児童問題文献選集」解説
1 留岡幸助 『家庭学校』『家庭学校第二編』………津曲裕次
阿達憲忠 『乞児悪化の状況』………古林世士子
2 富田象吉 『育児事業の実際的研究』
『児童保護問題に就いての私見』他………加瀬裕子
小河滋次郎 『児童保護概説』『児童保護問題』他………松原康雄
3 生江孝之 『児童と社会』………一番瀬康子
4 増田抱村 『児童社会史』………川瀬善美
5 高田慎吾 『児童問題研究』………寺脇隆夫
6 本庄陸男 『資本主義下の小学校』
小川実也 『地域中心としての学校施設』………柿沼肇
7 菊池俊諦 『児童保護論』………松矢勝宏
8 倉橋惣三 『社会的児童保護概論』『児童保護の教育原理』
『児童保護問題』………庄司洋子
9 城戸幡太郎 『生活技術と教育文化』………湯本貞子
10 野口樹々 『児童問題』………泉順
11 伊藤清 『児童保護事業』………古川孝順
12 日本青少年教育研究所編 『児童生活の状態』………窪田暁子
13 森知幾 『貧民教育策』『貧児寮無限の熱血』
………加登田恵子・塘林虎五郎
14 私立二葉幼稚園 『私立二葉幼稚園報告書』………村岡末広
15 大村仁太郎編述 『児童矯弊論』………津曲裕次
16 ローザ・M・バレット著 田中太郎訳
『開明諸国に於ける感化事業………窪田暁子
17 石川重幸 文部省
『盲人教育』『日本訓盲點字説明』………安藤房治
18 石井亮一 石井筆子他
『白痴児其研究及教育』『石井亮一伝』………一番ヶ瀬康子
19 乙竹岩造講 『低能児教育法』………山田明
20 瀬川頼太郎 『教育資料子供の聲』………庄司洋子
21 富士川游 呉秀三 三宅鋼一講述 『教育病理学』………北沢清司
22・23 榊保三郎 『異常児ノ病理及教育法 教育病理及治療学』上・下巻
………松矢勝宏
24 (感化院長協議会)(育児事業協議会)
『第一回感化院長協議会速記録』『第一回育児事業協議会速記録』
………古川孝順
25 川越児童保護学校 『保護児童ノ研究』………泉順
26 高島平三郎 乙竹岩造 渋沢栄一
『児童関係感化救済事業講演』………土井洋一
27 エレン・ケイ著 大村仁太郎解説 『二十世紀は児童の世界』
エレン・ケイ著 原田実訳 『児童の世紀』………一番ヶ瀬康子
28 大川善行 『児童個性の研究』………岡田英巳子
29 高島平三郎 『教育に応用したる児童研究』………加登田恵子
30 伊澤修二編 『吃音矯正の原理及実際』………上野益雄
31 脇田良吉 『低能児教育の実際的研究』………山田明
32 稲葉幹一 『体質改良の上より観たる教育期児童之健康法』
33 三宅鉱一 『白痴及低能児』………北沢清司
34 岡村準一 『児童保護の新研究』………古川孝順
35 小林佐源治 『劣等児教育の実際』………津曲裕次
36 (第1回)成澤金兵衛(第2回)児童研究所『児童教養講習録』………松本園子
太文字は洛陽堂刊
藤森賢三 訳 ; 恩地孝 編『幼児の世界及育児』、洛陽堂
[目次]
標題
目次
序
小引
上編
幼童の世界 / 1
発生の神秘 / 11
嬰児の生活 / 34
心の扉 / 55
新らしき世界へ / 85
自己と他と / 108
父母とその子 / 134
さみしき薄暮 / 181
下編 育児の実際
最初の一週間 / 213
母の一日 / 224
発育と健康 / 236
食料と営養 / 255
運動と衣服 / 297
心の扶育 / 317
小児の病気
一般にかかり易い病気その他 / 333
皮膚の病気 / 342
発疹する病気 / 348
口腔病 / 366
呼吸器病 / 380
ひきつけ / 385
脳膜炎 / 386
疫痢 / 388
下痢 / 389
膓虫 / 393
毒 / 395
体質 / 398
坊間薬 / 405
附幼童及その補育に関する諸表
奥付の編者: 恩地孝四郎
この程度の育児書なので恩地で十分間に合ったかな