イギリスも一筋縄ではいかない。議会に提出された法案に対し、「極めて限定された形で国際法に違反する」と堂々答弁してしまうのである。EU離脱協定自体が無理な建て付けだから仕方ない面もあるが、一度決まった国同士の約束を「合意無き離脱よりはいいでしょ」と覆そうとするのであるから、実務担当者各位には衷心より哀悼の意を表したい。法案の内容は詳しくは分からなかった（そもそも法案は読んですぐ分かるものであってはダメなものらしい）が、北アイルランドとブリテン島との物品の移動は国内と変わらない様に扱うよ、と理解した。国境を復活させない為に北アイルランドだけEUルールに従うと云った決め事自体、その曖昧さから実効性が危ぶまれていたが、それを挙国一致で正面突破していくのが如何にも大英帝国である。約束を反故にしても現状を認めさせたら勝ちと云う国際社会の教訓は、道徳の教科書に載せておいてもいいんじゃないかなと思うのである。