無事、ランダム化比較試験(RCT)を通過した様である。アビガンの製造販売申請が正式に出された。これで安心と思いたい所であるが、「新薬は3年寝かせろ」と医者の間では言い伝えられているらしいので、副作用の知見が集まるのはこれからなのであろう。危険性をもっと見極めてから申請すべきだと云う意見もあろうが、RCTで効果が有ると認められたならまずは使ってみようじゃないかと云うのが私の意見である。体質的に服用したら死ぬ可能性もゼロではないが、そこら辺は統計的に諦めるしかないだろう。とは言えRCTも万能ではない。2003年に発表された医学論文では、「パラシュート着用の効果をRCTでは証明出来ない」と云う、至極真っ当な報告もされている。真顔で冗談を繰り出してくるのが英国流であるが、試験の限界を的確に表現もしていると思う。アビガンだろうとイワシの頭だろうと自分に効くかどうかは、どんな精緻な試験を重ねても使うまで分からないのである。