我が国でもキャンセルカルチャーはすんなり受け入れられた様である。米国に追い付き追い越せが国是なのだから、誠に喜ばしい。十数年前の発言が現在の価値観からすれば到底許し難い、と云う主張は証拠が十分に挙がっているだけに何の苦労も無く責め立てられるのが強みである。昭和以前の有名人であれば、現代感覚の差別問題に抵触しない人を探すのが難しい位である。ただインターネット普及前の話であれば、余程目立った発言をして当時のマスコミに取り上げられていない限り標的にするのはまず無理だろう。そもそも戦争と云う修羅場を潜り抜けた人は大抵肝が据わっているので、生半可な誹謗中傷では痛痒を感じない気がする。結局の所、20世紀に芽生えた「個の人権」を私達はまだ十分消化し切ってはおらず、その極限が何処なのかを試行している段階であり、主義主張が異なれば殺し殺されるのが当たり前の価値観にならない限りは、模索が続く様に思えるのである。
で、7号は何処に?記録的遅さの台風6号、変則軌道の台風8号に注目が集まっているが、日本付近の天気図では台風7号が見当たらない。調べてみたら19日に海南島東部で発生し22日に熱帯低気圧に変わったそうで、発生地点、移動距離の短さも含めてこいつも変わった台風である。これまでよりも高緯度で発生発達するのが流行りなのかも知れない。従来であれば日本に接近するにつれて海水温からのエネルギー供給が弱まるので勢力が衰えるものであったが、6号の挙動を見る限り補給が続いている様に感じられる。発生から1週間経って殆ど動かなくても強い勢力を維持しているのだから恐ろしい。今後発生するであろう低緯度での台風が狂暴化するのは想像に難くなく、関東平野の低地部は何処が水没してもおかしくは無いと云う危機感は持っておきたい。ただ備えるにしても結局はお天道様次第なのであり、7号みたいなせっかちな連中が多からん事を祈るばかりなのである。
折角の五輪開催である。それに因んだ脱力ネタでも無いかと探し回ってみたが、どのメディアもそれ所じゃなさそうである。個人的にはドイツ代表選手団のユニフォームの背中に「ドイツ」と縦書きしてあるのを見ただけで満足してしまったのだが、それだけでは流石に勿体ない。かと言ってネタを探す為だけに観戦すると云うのも選手に失礼な様に思えるので、なるべくアラ探し的視点は封印する方向で視聴したい。しかしそうなるとテレビの生中継は何ともまだるっこしい。その時点でやっている競技を映してくれれば良いものを、日本が出場しているものだけピックアップしているから、どうしても合間が出来る。それを何とか繋ごうと頑張るアナウンサーには申し訳ないのだが、中途半端な解説や応援で穴埋めするのは止めてみてはどうか。何処の国のどの競技でも構わないからザッピング出来る様にしてもらえれば、思わず拾ってしまうネタに巡り合えるかも知れないのである。
これは私のウッカリである。海外渡航者向けのワクチンパスポートが来週から発行されるが、国内はどうするのかと疑問を呈し続けていた。しかし手元の接種券を見たら右側に「接種済証(臨時)」とちゃんと印刷されおり、国内ではこれを使えと云う事らしい。空欄2か所に接種情報をペタッと貼り付ければ出来上がりであるが、残念ながら予約が大盛況で有効になるのは暫く先になりそうである。職域接種等で済ませ接種券が手元に無い場合には「接種記録書」なるものが別途発行されるそうで、こと書面での運用に限って言えば日本の行政は優秀であると見識を改めている。FAXが手放せないのも頷ける。そう云うのを打破するのがデジタル庁のお仕事なのであろうが、良く出来ているだけに骨の折れる仕事となろう。まずブチ破るべきは、枠線と罫線を駆使した美しいレイアウトである。それらを廃止出来たら、紙での運用であろうと、デジタル化は半分達成したも同然なのである。
熱帯擾乱。長編歴史小説みたいな響きだが、れっきとした気象用語だそうである。熱帯域の大気がかき乱された状態を指し、これが渦状に発達すると熱帯低気圧や台風になるとの事である。台風6号の影響も有るのか、それが小笠原諸島の近海で発生する予測が出ているらしく、最悪メイドインジャパンの台風が五輪開催中の関東を直撃するかも知れない。災害大国の何とも荒っぽいおもてなしである。そうならない事を文字通り天に祈るしか出来ないが、そうなった時の備えを怠って良い理由にはならない。分かっているのならば先手の対策を、と思ったのだが、そう云う凶事は想定する事すら忌むべきとすると云うのが我が国の基本姿勢である。一個人で出来る事は限られるが、取り敢えずは必死に祈る事にしたい。ただでさえややこしい状況下であり、これ以上かき乱すのはご遠慮願いたいのであるが、メイドインジャパンであっても大自然が忖度してくれるとは限らないのである。