今から行動制限してもなあ。部屋でのコロナ感染が相次ぐ大相撲である。本日時点で134人、力士の2割が休場の上に、三役行事や呼び出しまでも陽性が判明と云う惨憺たる有様である。そのせいで本日は「両者不戦敗」と云う珍取組が2番も発生しており、割り返し続きの編成部も頭が痛いだろう。一人でも陽性者が出たら場所は中止、と云う悲壮な覚悟で開催していた2年前から見ると随分と緩くなったもので、慣れと云うのは何とも恐ろしい。沖縄県では既に一般診療に支障が出ているそうだが、この傾向が続けば他の自治体も危うい。今は医療機関のお手を煩わせない事と、政府をこき下ろす事に注力したいと思う。これ以上休場する力士が増えない事を祈っているが、血気盛んな若者達の共同生活である。無理な自粛を強いるのも限度が有るだろうし、いざとなれば伝家の宝刀「見なかったふり」を発動する手も有る。リスク管理も大相撲終盤の見所になるかも知れないのである。
何が障害要因になるか分かったもんではない。高温に見舞われたロンドンであるが、アマゾンとオラクルのデータセンタの冷却設備が故障し、機器を保護する為にシャットダウンしなくてはならなくなったそうである。寒冷な地域に建設される事が多いデータセンタであるが、今回の異常気象は想定外だっただろう。緯度で見ればロンドンは樺太の北部に相当する。気温が40度を超えるとは誰も想像しないと思う。停止させる余裕が有ったのは不幸中の幸いだったが、それでも社会活動に与える影響は小さくなかった様である。今後データセンタの立地を選定する際には、電力供給の他にも安定的な気候も要素に入るだろう。海中に建てると云う案も一気に現実味を帯びるが、通勤するのは大変そうである。データセンタに限らずビルの構内スイッチングハブもかなり危ういのであり、「いざとなったら水ぶっかけて冷やせる」機器と云うのも、存外ニーズが高いのかも知れないのである。
名付け親は良い感性をお持ちである。2025大阪万博のマスコットキャラクターの名前が「ミャクミャク」に決まったそうである。既に一部地域では「ミャクミャク様」と崇め奉る動きを見せている様で、ゆるキャラと土着信仰の結節点が図らずも具現化した格好である。この国は昔から異形の神がごく当たり前に跋扈しており、イザナギとイザナミが国産みの一発目で失敗し、骨の無い蛭子ができちゃったから海に流したけど何時の間にか戻ってきてえべっさんになった、と創世神話の時代からそんな感じである。怪異を神聖視するストライクゾーンの広さは私の知る限り世界でも珍しいが、災害も多いが恵みも大きい日本の自然に対する畏敬の念が影響を与えているのかも知れない。故に神と奉られるゆるキャラやポケモンが出てきたとしても、この国では意外な出来事では無い。その文脈で考えれば、ヲタクが推しを「神」扱いするのは、脈々と続く伝統に基づく自然な行為なのである。
所用で郵便局に立ち寄った。腰掛けて順番を待っていた所、窓口に文句を付けるおばはんの話が耳に入ってくる。保険か何かの満期の通知が届いたからやって来たが、期日前だった様である。嚙み合わない会話から察するに、文面は「間も無く保険の満期ですので、早めにお越し下さい」の様なものだったのだろう。通常「満期日以降に」と補完するものだが、急いで受け取ると云う箇所だけを拾い読みしてしまったのだろう。長文読解が苦手な人は多いらしく、5行以上だと半数が正しく要約出来なかったと云う説を聞いた事がある。事実かどうかは知らないが、要点は簡潔に箇条書きにするのがビジネス文書では求められるので、案外そんなものかも知れない。言葉尻を捕らえて揚げ足を取っている様に見えるやり取りをSNS上でたまに見掛けるが、本当にそこしか理解していなかった可能性も有る。それを問題視しても良いのだが、拙稿の様な文章が能率を下げるのも事実なのである。
何が役に立つか分かったもんじゃない。アルパカの抗体が新型コロナの増殖抑止に極めて有効であると、京都大の研究チームが発表した。ヒトの抗体と比べてサイズが小さく、どの変異株であっても効果が期待出来るそうで、治療薬として2年後の実用化を目指すそうである。アルパカの抗体に対する拒絶反応とか大丈夫なのかと思ってしまうが、そこら辺を上手くやるのが研究の醍醐味でもあろう。吸入薬としての使用を想定しているそうで、牛の肉を食っても牛にならないのと同様、アルパカ化する危険性は考慮する必要はなさそうである。ヨノナカには犬や猫のモフモフに顔を埋めて匂いをかぐのを至上の喜びとしている人も多いが、そちらも詳しく研究したら何か薬効が見つかるかも知れない。仮説は立てるが全方位無差別予断無しで実験しデータを採取するのが基礎研究である。迂闊に「集中と選択」と云った経済の論理を持ち込むのがどれだけ危ういか、自戒したいのである。