ちぐはぐさ加減が実に味わい深い。首相感染を受けて記者会見はリモートになったが、公邸と官邸を専用線で繋げた会議専用システムだった為に、官邸の一室に密集した記者がモニターを取り囲むと云う珍妙な光景が爆誕した。外形上の要件を満たしていながら、本来の目的には殆ど貢献していない所が我が国らしい。これだったらいつもの会見会場にアクリルで密封した首相を搬入した方が良かったんじゃないかとも思うのだが、人権的に問題が有るかも知れない。セキュリティ面を考慮すればオープンネットワークに接続してはならないとは私も思うが、せめて座席とPC位は用意してあげられなかったものか。若しくは公邸から5G回線を利用し、内部とは分離した環境でZoomなりSlackなりを使うと云う手も有ったと思う(Slackは曖昧さを重んじる答弁には向かないかも知れないが)。これを機に政府のIT化を進めて欲しいし、その試行錯誤を笑う心算は無いのである(失笑は許して欲しい)。
知る人ぞ知るe-Sports大会、MEWC2022のエントリーが始まった。などと訳知り顔で紹介しているが、私も最近知った「Excelで戦うe-Sports」である。Excelを駆使して財務モデルを構築し、課題クリアのスピードを競うものなので別にExcelじゃなくても良い様に思うが、レギュレーションを揃える手間が省けるのは確かである。総額1万ドルの賞金が授与されるそうだが、参加費用50ドル(今ならアーリーアクセスで35ドル)で賄う予定だそうで、流石財務面ではちゃっかりしている。ともあれExcelでもe-Sportsは出来るのである。Youtubeでの実況も盛り上がったらしいので、その筋の人にしか刺さらないコンテンツは掘り起こせばまだ有ると思う。請求慮と領収書と伝票の山からどれだけ速く総勘定元帳を構築出来るかとか楽しそうだが、一部地域の方にとっては悪夢でしかないだろう。人間同士が競い合い、観戦して楽しめる勝負の舞台がコンピュータ上であるものをe-Sportsだとザックリ意識変革するのも悪くないと思うのである。
歴史的一歩であるが、消費者にはどうでもいい話である。資金移動業者が全銀システムに直接接続出来る様になるそうである。乱暴に言ってしまえばPaypayや楽天Payが銀行口座と「機能上」同列になると云うだけの事である。決済や送金の度に発生する手数料を引き下げられるメリットは有っても、日銀に当座預金口座を作ったりシステム維持費を分担したりと云うデメリットも当然有る。大抵の資金移動業者は系列に銀行が既に有る場合が多く、敢えて直結する旨味は然程大きいとは思えない。ソフトバンクなら「従業員の給与を全額Paypayにする」事で手数料を劇的に削減出来る(しかも現預金を引き当てておく必要が無い)が、それはレアケースだろう。ともあれ昨今のコード決済は投資や無担保ローンやリボ払い等が充実しており、下手な銀行口座よりも使い勝手が良いのは確かである。金融リテラシーを高めないとケツの毛まで毟られるのであり、気を許せない歴史的転換点なのである。
デジタルネイティブ世代の不幸は、若くして世間を知り過ぎた事である。クソデカ主語で断定するのは悪い癖だが、あくまで仮説である、と云う逃げ道は確保しておきたい。SNSが浸透したお陰で多くの人と繋がれる利点も有るが、自分よりちょっと恵まれた暮らしをしている一般人がゴマンと居る現実も同時に知る事となる。実際はSNSに投稿しないだけで人それぞれの不幸を抱えているのが常なのだが、それが府落ちするのはある程度社会に揉まれてからである。全国で自身の序列がどこら辺なのかを知る術が無かった頃に比べ、がむしゃらな上昇志向を抱く前に諦めてしまいがちな環境だと言える。自分が持っていないものを誰かが持っている劣等感や羨望に駆られやすいのでは、元気も出ないだろう。じゃあネットで繋がるのを止められるかと云えばそれも無理な話である。結局は気の持ち様を模索するしかないのであるが、そう簡単に割り切れるものでも無いだけに不憫なのである。
何と言うか、間の悪さには同情するしかない。4回目を接種して夏休みに入り、公務復帰のタイミングで感染発覚である。信用を失う典型的パターンに思えてならないが、感染力を考慮すれば酌量の余地は有ろう。どう頑張ろうと罹る時は罹ると云う印象を国民に与えたのは失点ではあるが、転んでただ起きるのは政治家の名折れである。ニューノーマルの社会人の療養は斯くあるべしとの規範を示し、「お前が言うな」とツッコまれる所にまでネタを昇華させる手腕を見せて欲しい。ともあれ対策の軸足は接種率の向上から医療機関の稼働率の正常化に移すのが望ましい。ワクチンはもう曝露リスクと重症化リスクが有る人が打てれば良しとして、東京都が開設している酸素・医療提供ステーションの様な施設の受け入れ間口を広げ、発熱外来の負担を下げるのが急務であろう。夏休みが終われば学校が震源地になるのは確実であり、医療従事者が一息つける間を作って欲しいのである。