知るは一時の恥である。イーロン・マスク氏もお勧めのGrokが、幾つかの州では米国大統領選挙の投票期日が過ぎていると云う間違った答えをユーザに返したとの報道である。何でそんな質問しようとしたのかも気になるが、それっぽい回答をしてしまうGrokもGrokである。知らない事は知らない、と断言出来る潔さを実装出来ないものかと思う。と言うより、それが今のGAIの限界なのであろう。ごく普通にやり取り出来るから忘れそうになるが、向こうは「与えられた単語の並びに対して発生頻度が高いと統計的に弾き出された単語の並びを生成している」だけである。言葉の意味を理解していないのだから真偽の判別など出来よう筈も無い。調教を重ねて不適切な単語を排除する様には出来るが、「分かりません」と答えさせるには文意を解釈させる必要が有る。それだけの知性を獲得するのは暫く先の様に思えるのであるが、空気を読んではぐらかされる所まで進化されても困るのである。
色んな事を調べる人が居るものである。商品名に「AI」を入れると購買意欲が下がる、との調査結果をワシントン大学が公表した。大抵のモノやサービスにAIが加わったとしても爆発的に使い易くなると云うものでも無い。そう考えれば妥当な結果であろう。猫も杓子もAI搭載を謳っているせいで、胡散臭さを感じていると云うのも有るかも知れない。MicrosoftがプッシュしているAI PCもマーケティング的には失敗しそうなのだが、技術的な裏付けが有るだけまだマシな方であろう。本当に必要とされる機能は、何も宣伝しなくても静かに浸透していくものである。普通の人はスマホを弄っていても「うおお今俺は5G SAでインターネットに繋がっている」と興奮しないであろう。要素技術とは得てしてそう云うものであり、何を使っているかでは無く何が出来るのかで評価されるのが一般的である。AIもそれと意識しないで日常に溶け込む事が出来れば、初めて普及したと言えると思うのである。
もしかするとフェードアウトを狙っているのかな。Suicaの販売停止から1年が経過したが、今の所再開する様子は見られない。独自規格FeliCaのICチップの生産はそれなりに回復してはいるものの、作っても主な市場は日本だけである。一定の在庫が確保出来なければ再度販売を休止しなくてはならず、JR東としてもそれは避けたい所だろう。また旅客数の増加が見込めない中、物理カードへの積極投資はやりにくいと云った面も有る。総合的に勘案して「モバイルSuica使ってもらえるならそれに越した事は無い」と云うのが本音であると見ている。個人的にはそれでも構わないのであるが、いざという時の為に物理カードは一枚手元に有ると安心するのも確かである。ここは発想を切り替えて、「有償の記念カード」として定期的に販売してみるのはどうか。在庫が無くなれば「完売御礼」でありメンツも立つだろう。ただそう云う小回りが利く組織では無さそうな事も薄々感じているのである。
止めた方がいいんじゃないかな。暑さで頭をやられたからでは無さそうだが、成層圏に汚染物質をばら撒いて太陽光を遮り、地球温暖化を緩和すると云う壮大なプランを真面目に考えている人が居るそうである。有力候補として硫酸エアロゾルが挙げられており、かつて規制が無かった時期に工場等がバンバン排出していた二酸化硫黄によって生成されていたものである。火山噴火でも大量に発生し、世界の平均気温が下がったと云う事例も確かに有ったが、それを人為的に散布しようというのだから暑さが余程腹に据えかねているらしい。確かに太陽熱を遮蔽してくれるが、同時に地表の放射熱を遮る温室効果も有している。何より地球全体の成層圏にそんなもんばら撒くとなれば、莫大な手間とコストが掛かるだろうし、いずれは対流圏に降着して酸性雨となって降り注ぐ。自然を強引にねじ伏せたい気持ちは分からなくも無いが、もう少し穏便な方法にした方が良いと思うのである。
漢のロマン、続々と現実化である。楽天モバイルは人工衛星を基地局とした通話・データ通信サービスを2026年に開始するそうである。KDDIはSMSに用途を絞り込んでいるのに大丈夫かとも思うが、実験では上手くいっているらしい。実際に数万人が一斉に通話したらどうなるのかは分からないが、基地局が無い・使えないエリアでの運用を優先しており、そんなに殺到する事は無いとの目論見なのだろう。そんな事よりも折角割り当ててもらったプラチナバンドを活用して地下鉄でも繋がり易くする方が先に思えるのだが、それはどうでもいい。iPhoneも14以降であれば圏外での緊急通報に限って衛星通信が出来る様になったし、今後他社も追随すると予想している。実際に使える機会がそうそう有るとも思えないが、山登りする人とかにとっては安心材料となろう。楽天モバイルの場合あと2年会社が持つのかと云う別のリスクも存在するが、漢のロマンを貫徹してくれると信じているのである。