庭で檜扇が咲き始めました。
檜扇は万葉では<ぬばたま>と詠まれています。
咲き終わった檜扇には黒い実(種)がつき、その実をぬばたまという。
(ぬばたま=黒髪、夜、闇などにかかる枕詞)
居明かして君をば待たむぬばたまの我が黒髪に霜は降るとも (巻二・89)
来ぬ人を待つ女性の気持ちが出ていると思います。
古代は妻問婚でした。
(じっとここであの方を待ちましょう。たとえ私の黒髪に霜が降りようとも)
二句切れでまず先に結論を言い、倒置しています。
ぬばたまの夜の更けゆけば久木生ふる清き川原に千鳥しば鳴く (巻六・925)
(久木=アカメガシワ )