時事解説「ディストピア」

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台湾、南シナ海における米中の対立に苦言

2015-10-31 23:20:03 | 中国(反共批判)
最近、南シナ海における領土紛争に関して、「みんなの海を私物化する中国」を
「世界の警察アメリカ」が諌めるという説明をする人間をチラホラと見かける。

冷静に考えれば、自国の領土と主張する国は中国以外にも多くあるわけで、
別に中国だけが異常というわけでもない。

例えば、台湾は南沙(スプラトリー)諸島、西沙(パラセル)諸島、
長沙(マクレスフィールド)諸島および東沙(プラタス)諸島を自国の領土だと主張している。


欲張りすぎじゃない?


この台湾が最近、中国とアメリカの衝突に対して自制を促してきた。
非常に良い判断&提言だったと思う。

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今日、米国は南シナ海で日本と合同海上演習を開始した

これには原子力空母「セオドラ・ルーズベルト」と駆逐艦「冬月(ふゆつき)」が参加している。
これより前、日中には米ミサイル駆逐艦「ラッセン」が南シナ海の
スプラトリー諸島にある暗礁のひとつの12海里水域にこれ見よがしに侵入した。
この暗礁の上に中国は滑走路を備えた人工島を建設している。

中国はこれに厳しい態度で応じた。中国共産党中央委員会の機関紙「環球時報」は、
「米国のあつかましさを前にして中国は作戦的に反応し、最悪の事態に備えねばならない」、
「中国は米国との戦争を恐れない」という文言が踊った。

モスクワ国際関係大学、国際調査研究所の上級研究員、
アンドレイ・イヴァノフ氏はその戦争を今、台湾が食い止めようとしているとして
次のように語っている。


「中華民国(台湾)外務省はプレスリリースを普及させた。
 その第2項、第3項には領土論争の全ての当事者に対し、
 最終的に南シナ海を『平和と協力の海』に変えるため賢明さと
 自制心を発揮するよう呼びかけが書かれている
。だが少なからず重要なのは第1項だ。

そこには台湾は
『歴史、地理または国際法の観点から
 南沙(スプラトリー)諸島、西沙(パラセル)諸島、
 長沙(マクレスフィールド)諸島および東沙(プラタス)諸島は
 その周辺の水域も同様、中華民国の固有の領土および領海の一部である。

 中華民国は国際法に準じてこれらの島およびその領海に対する
 あらゆる規則を保持しているいる以上、中華民国政府は
 これらの主権に対するいかなる要求も、それらが他の国によって占領されることも、
 その理由や領土要求ないしは占領の際に用いられるやり方の如何によらず認めない』
とある。

南シナ海の係争領域に対する中国の権利を確証する
歴史、地理上の理由を語るにあたって、台湾はいわゆる九段線を指している。
これは1947年、蒋介石政府がこの地域の地図にひいた線だ。

蒋介石と彼の率いる中国は抗日戦争で米国の同盟国であったため、
米国は感謝の印に蒋介石に19世紀末から1945年まで
日本の掌握下にあった領土の一部を渡す構えだった。


たとえば釣魚諸島(尖閣諸島)もその一部だ。


ところが1949年、中国の領域で共産党政権が樹立してしまうと、
中華民国は台湾のサイズまで縮められてしまう。

その台湾に蒋介石行政府は毛沢東の軍を逃れて移ってきた。米国は釣魚諸島を、
アジアにおける共産主義を抑制する忠実な連合国となってくれた日本人に渡した。

その後蒋介石に続いて中国共産党も釣魚諸島、
沖縄、南シナ海における無数の島々、群島の領有権を主張し始めたが、
米国は当然のことながらそうした要求を支持しようとはしなかった。

それは米国が国際法を遵守していたからでは全くなく、
中国は米国では敵視されていたからだった。


1970年代の初め、ソ連抑止を土台に米中が接近した時でさえ、
米国人が政治的に中国に最大限行ったことは、中国の共産党政権を中国で唯一の合法政府と認め、
台湾に国連から「出るようお願い」し、中国をそこへ通したことだった。

だが今、米中間のライバル関係が緊張化する中、
米国が中国に与えようとする贈り物はない。その代りに台湾が贈り物を運び、
全世界に係争諸島に対する中華民族からの要求を思い起こさせたのだ。

ところで台湾がこの状況に介入してきたのは不思議に思われるかもしれないが、
この状況の熱を冷まそうとしてのことだ。

なぜなら今、ここは中国だけの問題ではないからだ。
それにもし、仮に中国があいまいではない米国の脅威におののき、
人工島の建設作業をたたんでしまったとしても、
南シナ海の係争領土問題はどこにも消えてはなくならない。

この問題は南シナ海に接する、あらゆる国が台湾のいうように
「平和と協力の海」とするため尽力し、解決せざるを得ない。


このため米国の原子力空母も日本の駆逐艦もこのプロセスを阻害するだけになってしまう。


続きを読む http://jp.sputniknews.com/opinion/20151030/1095890.html#ixzz3q9ZzhDwI

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勝手に島を作ったという意識が半ば常識となっているが、
中国は各国政府に二国間で対話して問題を解決しましょうと訴えている。

つまり、少なくとも中国には対話の意思がある(これは日本に対してもそう)のだが、
アメリカは問答無用で軍艦を運航させて威嚇しており、かなり強硬的な姿勢を見せている。

今回の日米合同軍事演習も北朝鮮に対するそれと同様に、
中国に対する挑発行為だろう。それゆえに中国も抗議している。




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外交部の陸慷報道官は28日の定例記者会見で
「われわれはすでに一度ならず述べているが、
 中国は南沙(英語名スプラトリー)諸島及びその周辺海域に対して
 争う余地のない主権を有する。米軍艦が関係島・礁周辺海域に勝手に進入したことは、
 中国の主権と安全を深刻に脅かし、島・礁の人員と施設の安全に危害を及ぼすものであり、
 中国に対する重大な政治的挑発だ」と表明した。

――米国の軍艦が27日、南沙諸島渚碧(スービ)礁の12カイリに進入した。
  中国側はそれでも対話による中米間の問題解決を堅持するか。

中国側は一貫して、米国を含む他国との溝を対話を通じて解決することを主張している。
中米間について言えば、中米両国首脳は先月ワシントンで行った会談で、
両国間の問題を建設的な対話と協議によって適切に解決するという
重要な共通認識に達したばかりだ。
だが率直に言って、
これは中国側のみにかかっているのではなく、米側も同じ方向に向かう必要がある。

http://j.people.com.cn/n/2015/1029/c94474-8968613.html


南中国海海域には広大な国際航路があり、世界各国の商船多数が
 毎日南中国海を往来しており、航行の自由はいかなる妨害も受けていない。


 米側が広大な国際航路ではなく、わざわざ回り道をして
 中国側の駐屯する島・礁沿岸海域に進入して武力を誇示するのは、
 国際法における『航行の自由』の濫用だ。

 国家の主権と安全を守る中国軍の意志は揺るぎないものだ。
 われわれは必要なあらゆる措置を講じて自らの安全を守る」

http://j.people.com.cn/n/2015/1028/c94474-8968076.html
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係争中の土地に人工島なんて作るなよという話だが、
それでも中国や台湾が述べるように軍事的威圧は逆効果に終わるだけだ。

私は日本が本格的に軍拡に着手すれば、いずれアメリカ同様の
ミサイルと札束で他国を脅すヤクザのような国になると考えているが、
そういう態度は相手国をイラつかせるだけで何の意味もない。

オバマ政権は自国の海軍を早々に撤退させ、
習・馬政権をはじめとする関係諸国と対話するべきだ。


・追記

ただし、中国の主張(南シナ海の諸島が自国領だという主張)に賛同しているわけではない。
抗議している国がある以上、中国は中国で関係諸国の首脳らと早々に対談し、
その結果が出るまで島の開発は自粛すべきだろう。


中国、一人っ子政策の「全面」撤廃政策について

2015-10-31 22:40:40 | 中国(反共批判)
何を今更という話だったりする。


テレビのニュース番組をいくつか見る限り、
一人っ子政策の「全面」撤廃と正しく表現する局はなかった。


実のところ、中国では二年前から
単独二孩(夫婦のいずれか一人っ子の場合、2人目の出産を認める)
という政策が導入されている。

人民網によれば、2人目を産もうとする家庭は全体の25(24.9)%を占める。意外と少ない。


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中国青年報社会調査センターは先週、世論調査の民意中国網と
マーケティングリサーチの北京益派市場咨詢有限公司(益派諮訊)を通じて、
全国の住民2052人を対象とした調査を行った。

調査から、「単独二孩」の申請条件を満たす調査対象者のうち、
実際に申請を行った人は24.9%にとどまったことが明らかになった。中国青年報が伝えた。

「申請しなかった理由」のトップは、「養育費が高すぎる(58.1%)」で、
「育てるのに膨大な時間がかかる(36.5%)」がこれに続いた。

第3位以下には、「子供は一人で十分(32.3%)」、
「育児観が変わり、多くの子供を望む人が減った(29.0%)」
「急ぐ必要はない。十分に考える時間をとるべき(28.8%)」
「申請手続きが煩雑(23.4%)」「住宅が狭い(23.0%)」
「仕事による制約がある(22.4%)」「女性側の負担が大きすぎる(15.1%)」などが挙がった。


北京市人口研究所の馬小紅署長は、
「『単独二孩』の申請者が少ない状況は、それほど不思議でもない。
  というのも、数年続けて北京で行われたサンプリング調査によると、
 『2人目が欲しい』と希望する人の割合は、ずっと25%前後だったからだ。

 多くの人が二人目を生みたがらない理由は、
 経済的コスト、教育コスト、時間的コストなど、数え上げればきりがない」と指摘した。

http://j.people.com.cn/n/2015/1030/c94475-8969298.html
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結果の詳細は明らかではないが、恐らく開発が進んでいない内陸部では
低所得者を中心に、今後、多産が増えていくのではないかと思う。


一般的な傾向として、もともと教育に出費する余裕がない家庭は、
子どもを多く産み、義務教育を修了してまもなく労働に従事させる。

特に農家の場合、子どもが多ければ多いほど家の手伝いをさせることが出来る。
結果的に児童労働者や退学者が増えるデメリットが出来るが、
多産は工夫次第で農業労働者に大きな利益を与えることが可能になる。


2012年時点で中国の農業就業人口は約2億6000万人。
大体、中国人の6人に1人は農家だということになる。

今回の一人っ子政策の全面解禁は、彼ら農業従事者を主な受益者と想定してはいないか?
と邪推してみたりする。

韓国の歴史教科書問題

2015-10-31 22:01:31 | 国際政治
随分前から韓国ではニューライトという運動が起きていて、
「日本の植民地支配は正しかった」とか「独裁政権時代は良い時代だった」
とか言う妄言を吐く連中が跋扈していたりする。

これは別に日本が好きなわけではなく、植民地時代、
日本に協力した政財界の人間が戦後も独裁政権下で権力を握り続けた
ことに起因する。

つまり、日本の植民地支配を否定的に描くと、当時、親日派として
同族を苦しめていた自分たちの責任も問われることになるので、必至に
もみ消そうとしているというわけだ(独裁次代の美化は言うまでもない)。

このような動きに対して当然、国内では反対運動が起きている。


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朴槿恵政権の歴史教科書国定化に反対するたちの教科書執筆拒否宣言が各地に広がったのに続き、
市民団体や野党から「民主主義に反し、時代に逆行している」と批判が噴出。

有名大学の教授たちも相次いで「教科書の執筆を依頼されても拒否する」と宣言する騒ぎになっている。

一方、米国の歴史学者ブルース・カミングス教授ら154人も
朴政権を非難する声明を発表するなど反発が広がっている。

~中略~

中学・高校の歴史教科書の検定制度をやめて国定化すると決めたことに関し朴槿恵大統領は
10月22日、反発する野党・新政治民主連合の文在寅代表と激しいやり取りを展開した。

国定化は朴大統領の意向で進められたが、世論の厳しい反発にさらされている。

歴史学者たちの反発が強まっている背景に、
金武星セヌリ党代表の「国史学者の90%が左派だ」という妄言に見られるように、
歴史学者らを「左翼」と決めつけた一方的な思想攻撃がある。

22日の朴槿恵大統領の発言も同様で、与野党党首らとの会談で
「検定教科書の執筆陣の80%が偏向した歴史観を持つ人脈につながり、
 どの教科書も書いている。結局、一つの左派の教科書にしか見えない」
と難癖をつけたという。

これに対し、文氏は
「親日と独裁を美化する試みは、中断しなければならない」と国定化中止を要求した。

ハンギョレ新聞が10月13日の延世大史学科教授たちの執筆拒否宣言以後
23日まで集計した結果、70大学454人の歴史学教授が執筆拒否宣言に参加したことが分かった。

ソウル大、延世大、高麗大など、いわゆる主要大学の教授がほとんど参加し、
地域的に与党指向が強い大邱・慶尚北道、釜山・慶尚南道地域の大学教授も大挙して参加した。

http://chosonsinbo.com/jp/2015/10/sinbo-j_151102-3/
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ここで言う「親日」とは、朝鮮総督府の手先になったことを意味する。
単純に日本のことが好きな外国人のことを指すものではない。

この点、日本では「親日」という意味を勘違いして使っている
ジャーナリストや知識人がそれなりにいる。きちんと学んだのだろうか?


猛反対がされていること自体は結構だが、その一方で、
ここ数年の北朝鮮に対する強烈な反共政策を見る限り、
反対者たちが特定のグループ(つまり北朝鮮との対話を望む人間)を
排除した歴史観を構成しているかもしれない。油断はできないだろう。