時事解説「ディストピア」

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サンダース氏、クリントンの手下になることを決意

2016-06-18 00:28:16 | 欧米
ここ数日、私はヒラリー・クリントンはオバマ政権下で非常に
帝国主義的かつ植民地主義的な外交政策を行ってきた女性であることを論じてきた。


サンダース氏、ヒラリーとサウジアラビアの関係を暴露

トランプとヒラリー、どちらがマシか


仮にこの老婆が大統領になったら、
オバマと同等かそれ以上に中東やアジアの平和が脅かされるに違いない。


それゆえに、私はヒラリーとトランプ、どちらかが大統領になるとすれば、
トランプのほうになってもらいたいと思っている。まぁ彼が大統領になることはないが。


トランプを推しているのはもう一つ理由がある。
それは彼が人種主義者であるがゆえに、非常に叩きやすい男であるということだ。


仮にヒラリーが大統領になったとすると、それはまぁ、確実に

「アメリカ史上初の女性大統領!」
「女性の権利獲得のために奔走した政治家!」
「アメリカの女性差別が改善されている証!」

と新聞もテレビも終始べた褒め、批判の「ひ」すらされないだろう。


逆にトランプが大統領になったとすると、
ブッシュ同様、叩きやすい男であるため、アメリカの外交政策に対しても
批判的な見解を述べる本や雑誌が多く出版されることが想像される。


今となっては信じがたいが、イラク戦争からしばらくの間、
日本の本屋にはブッシュやネオコン、イラク戦争を徹底的に非難する本が多く並んでいたのだ。


ところがこれがオバマが大統領になった途端、
依然、反米を掲げる本は売られているもののオバマ本人やオバマ外交、
特にウクライナやイエメン、シリア、アフガンにおける帝国主義的行為には何ら非難がされなくなった。

ブッシュを名指しで攻撃する本はいくらでも見つかるが、オバマとなるとこれは少ない。
それは彼が「黒人」というマイノリティを前面に押し出しているからだと思われる。




さて、話は変わるが、
私は今までトランプとヒラリーの話だけをして、サンダースのことには触れてこなかった。


それは彼がヒラリーに勝つのは絶望的だったこともあるが、
何よりも私はこのサンダースという男が信用できなかったのである。


その不信感は見事、的中した。次の記事をご覧いただきたい。


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サンダース氏が、クリントン氏との協力を表明、オバマ氏も支持

アメリカ民主党の大統領選挙候補者選びでクリントン氏と争っていたサンダース氏が、
共和党のトランプ氏に勝利するために、クリントン氏と協力する意志を強調しました。

フランス通信によりますと、サンダース氏は、
9日木曜、ホワイトハウスでオバマ大統領と会談した後、
トランプ氏に勝利するためにクリントン氏に協力すると表明しました。

サンダース氏は、
「トランプ氏が大統領になれば、アメリカ社会は惨事に見舞われることになるだろう」としました。

さらに、
「近い将来、クリントン氏と会談し、どうすればトランプ氏をに勝つことができるかを考えたい」
と述べました。

サンダース氏は動向を左右する可能性のある若者の支持者を有しています。

オバマ大統領は、民主党党内の分裂を避け、
クリントン氏の一本化を呼びかけるため、クリントン氏のライバルであるサンダース氏と会談しました。

オバマ大統領は9日、クリントン氏を支持し、
「クリントン氏ほどホワイトハウス入りにふさわしい候補者はいない」と述べました。


オバマ大統領は、クリントン氏の選挙事務所が発表したビデオメッセージで、
クリントン氏のこれまでの業績を賞賛し、
「私はクリントン氏を支持する。彼女の宣伝を行うために選挙活動するのが待ちきれない」
と語りました。

http://parstoday.com/ja/news/world-i10144
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つい最近、自分でヒラリーがサウジから金銭的な支援を受けていることを暴露したばかりなのに、
こうも簡単にヒラリーを支持してしまうというその精神構造が理解できない。


「協力」とは言うものの、民主党内の権力構図を思えば、
 これは民主党で権勢を振るっているクリントン一家にサンダースが降参し、
 ヒラリーを大統領にするために奔走することを決意したということだろう。

 つまり、彼はヒラリーの「良い面」をせっせと宣伝する手下に成り下がったということだ。


私は中国や北朝鮮、日本共産党が憎いがために簡単に右翼とつるんでしまう左翼を
反共左翼と呼び、徹底的に唾棄し非難しているわけだが、サンダースもトランプを
大統領にさせないためなら簡単にヒラリー・クリントンの手下となって働いてしまうようだ。


トランプは人種主義者であるが、ヒラリーもまた負けず劣らず人種主義者である。
サンダースに良心があるのならば、潔く協力の要請を断るべきだ。

断ることが出来ないのであれば、はじめからヒラリーと戦うべきではなかった。


米大統領選でサンダースが健闘、英でもコービンが労働党党首に!
欧米では反格差、社会主義者が評価されているのに日本は…


サンダースのような共産主義者ではない社会主義者は日本の左翼の間では妙に人気がある。

正直、やっていることだけを見れば、
長らく中国政治で跋扈していた汚職政治家や役人を徹底的に糾弾し、
鄧小平以降、顕著となった中国国内の経済格差を埋めることに執心している
習近平のほうが結果を出しているのだが、彼は共産主義者なのでこれといって評価されない。

むしろ中国に対しては右翼よりも左翼のほうが
露骨にマイナスイメージを植え付ける作業をせっせと行っているような印象さえ受ける。


で、こういう人たちが支持している連中に総じて言えるのは
非常に中途半端な政治信条を持っているために簡単に政敵に屈してしまうということ。


本来ならヒラリー倒せぬなら我もまた政治家をやめるまでというぐらいの
意気込みを見せなければならないのに、負けた途端に簡単に寝返ってしまう。


サンダースが考えているのはホワイトハウスを人種主義者の住まいにさせないということではない。
もし、それを考えているのであれば、ヒラリーもトランプも凄まじい人種主義者であることを述べ、
いくらトランプが非道いからといって、代わりにヒトラーを大統領にするような真似に協力できない
と語り、協力しない姿勢を見せるはずである。


結局、この男の頭にあるのは大統領候補選に負けた人間はその後、候補を応援するという
アメリカ政治の掟を守ることと、民主党が共和党に勝つことしかなかったのだ。





アメリカやイギリス、フランスには一応、政党がいくつか存在するのだが、
実際には長らく二党独裁体制が築かれており、これに対抗する手段を民衆が持ち合わせていない。


むしろ形式的かつ表面的には民主主義的に見えるこの二党独裁体制のほうが
共産主義国家やイスラム国家にある一党独裁あるいは君主体制よりも性質が悪いと私は思う。

なぜなら、中国や北朝鮮の政治システムは「一党独裁」と呼ばれ
非常に「非民主的」で撤廃しなければいけないものだと言われる一方で、
アメリカやイギリス、フランスの二党独裁制は「二大政党制」と呼ばれ、
「民主的」なシステムであり、特に撤廃しなくても良いものだと評価されているからである。

(左派雑誌『世界』にもよく登場するリベラル系政治学者山口二郎氏は、
 この「二大政党制」を大変高く評価し、日本もまた
 自民党と民主党(現・民進党)の二大政党制を築くべきだと力説していた)

21世紀初頭、アメリカは共和党から民主党へと与党が交代したが、
中東やアジア、東欧に対する軍事的経済的干渉行為は全く変わらないどころか余計に非道くなった。

二大政党制は確実にアメリカの好戦的な政策を維持することに一役買っている。

本質的には何も変わらない二つの政党が
あたかも別々の集団であるかのように振る舞い、あたかも民主的な政争が行われているかのように演じる。


こういう茶番に興じなければいけないことが今のアメリカ市民の最大の不幸だと私は思う。