時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

ムスダンが発射されたわけではあるが

2016-06-22 22:59:17 | 北朝鮮

スプートニク紙の記事より。

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水曜日朝、北朝鮮は、またも中距離弾道ミサイル発射実験を行った。

韓国軍のデータでは、ミサイルのうち1発は、
150キロ飛行し空中で爆発、もう1発は、400キロ飛行後、日本海に落下した。


あらゆることから判断して、
6回目となる今回の発射実験は、多かれ少なかれ成功したと言ってよい。

中谷防衛相は、東京で記者団に対し
「中距離ミサイルにとって必要な一定の特徴を示すものだった」とし、次のように述べた―

「わが国の安全保障に影響を及ぼす事態は発生していない。
 弾道ミサイルの発射は、わが国を含む国際社会の安全保障上の重大な挑発行為で、
 断じて容認できない。」

中谷防衛相はまた
「ミサイルは、原則的に、日本に達することができるかどうか?」という質問に対して、これを認めた。

米国および韓国軍は、聯合ニュースの報道では、
今回の実験がどれほど成功裏になされたかを理解するため、現在ミサイル発射のデータを分析中だ。

報道によれば、今回飛行した400キロという距離は、
北朝鮮の中距離弾道ミサイルが到達できたものとしては、これまで最長である。

なお今回を含め北朝鮮は、全部で6回、中距離弾道ミサイル発射実験を行ってきたが、
これは、国連安全保障理事会決議に反するものだ。

http://jp.sputniknews.com/japan/20160622/2349852.html
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何をいまさら以外の言葉が見つからない。


北朝鮮が韓国や日本を攻撃できる中距離弾道ミサイルを所有しているのは前から知られていたことだ。

日本の安全保障を思えば真っ先に開発を中止してほしいのは
核兵器よりもこのムスダンを初めとした中距離弾道ミサイルであるはずなのに、
なぜかアメリカを攻撃するための長距離弾道ミサイルばかりが大騒ぎされている。



アメリカ本土の基地を攻撃するためにある長距離弾道ミサイルに対して
主流の右翼も左翼も「北朝鮮のミサイル開発はアジアの平和を乱す!」と吠える一方で、






実際に日本や韓国の米軍基地およびそれが所在する都市を攻撃するための
中距離弾道ミサイルに関しては、これといった批判を行わずポカーンとしてきたわけである。


こういう的外れの北朝鮮批判に対して私は結構、文句を言ってきたつもりだ。

今頃になってムスダンが取り上げられたのは、参院選を前にして自民党が
お得意の「北朝鮮の脅威」を武器にして支持を仰ごうとしているからだろう。

現に、今夜のNHKの各政党党首による放送演説では、
安倍が今日の実験を取り上げ、日米同盟の強化を力説していた。


脅威うんぬんを言えば、海外に軍を派遣し、
兵器を売りつけているアメリカやロシアのほうがよっぽど脅威である。


特にロシアは現在、北方領土に軍事施設を建設しようとしているし、
一部の島では軍事演習まで行われているのだが、これに対して政府も右翼もブチ切れない。

むしろ、今の政府はロシアとの親交を深めようとしている。
(ちなみにロシア政府は一貫して北方領土4島の返還は考えていないとの姿勢を見せている)


こういう点からも中国や北朝鮮が日本を攻めてくるというのは
単に軍拡を正当化するための口実であることがわかってくるのではないだろうか?
(現実的に最も軍事侵攻をする可能性が高いロシアに対しては全くといって良いほど危機感を有していない)



仮に日本が攻撃されるとすれば、それは前述したように
横田基地などの米軍基地に対する攻撃であり、とばっちりで周辺の都市も被害を被るかもしれない。

とするならば、アメリカとの軍事同盟の強化は逆に恒久的に日本国内に
ミサイルを当てるためのマトを作るようなものであり、とても建設的な意見とは思えない。


では、
そこまで北朝鮮は日本に対して敵対的なのかと言えば、先に述べたようにそのようなことはない。
米韓両政権に対する非難は毎日のように行っているが、日本に対しては特に何も言っていない。

むしろ、北朝鮮政府は幾度も日本や韓国、アメリカとの関係改善を求めてきた。
それを「脅迫外交」と名付けて無視してきたのはどこの誰だという話だ。

まーた古市憲寿が政府に尻尾を振りだした

2016-06-22 21:09:24 | マスコミ批判
古市憲寿は研究者ではない(&日本学術振興会は死んだ)

上の記事がなぜか多く読まれているようなので、
改めて自称若者の30代男性、古市憲寿氏について言及しようと思う。


彼に関しては

①修士論文を除いては、これといった実績を挙げておらず、
②その論文にしても皇族が設立した政治色の強い賞を受けており、
 はたして本当に公正な立場から評価されたのか非常に怪しくなるものであるのだが、

③なぜかメディアや政府に引っ張りだこにされており、
④しかも博士課程に在籍している学生であるにも関わらず、
⑤社会学者と紹介されている(一種の経歴詐称じゃないの?)


⑥田原総一朗が司会を務める朝ナマは小林よしのりや山野車輪といった
 元祖ネトウヨに発言権を与え、メディアへの露出の機会を与えてきたろくでもない番組だが、

⑦古市が目立つようになったきっかけもまさにこの朝ナマへの出演であり、

⑧加えて最近は自民党の稲田朋美のような極右政治家と親交を深め、

⑨「右翼も左翼も僕には響かない」とたそがれながら

⑩思いっきり反自民党の人間を攻撃している。

⑪今はギリギリ20代だから若者という記号を武器にできるけれど
⑫そのうちネタが尽きてきたら本格的に御用学者への道を歩みだすんじゃないだろうか?


ということを当サイトで述べてきた。

その予感は悲しいことに的中したようだ。
以下はリテラに掲載された水井多賀子氏の文章から引用したものである。

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党首討論の司会で露骨な安倍首相贔屓をした古市憲寿と読売・橋本五郎に非難殺到!
小沢、岡田攻撃もヒドすぎ


党首討論という公の場で、
橋本氏のような御用ジャーナリストが安倍総裁に代わって
野党を政策とはまったく関係のない話題で口撃し、肝心の政権の失策には目をつむる……。


こんな状態でまともな議論が行われるわけがない。

それは今週日曜日にニコニコ生放送で行われた党首討論も同じだ。
この党首討論では司会を社会学者の古市憲寿氏が務めたが、
そこでも古市氏は橋本氏と同様、くだらない野党攻撃を行っていた。


討論の真っ最中、古市氏は口を開くや否や、小沢代表にこんなことを言い出したのだ。

「僕、できれば小沢さんが再婚相手が見つかったかどうかちょっと訊いてみたいんですけど」

唐突なこの質問に、小沢氏も「え?」と絶句してフリーズ。
「それはきょうのテーマですか?」と冷静に古市氏に問うと、
古市氏は「興味があって。小沢さんが最近どうしているのかなあと思って」と返答した。


政策を問うでもなく、俎上に載せたのが再婚。
さすがにこれには批判が殺到したのか、
討論の最中に古市氏はスタッフに手渡されたお詫びの文面を
「これ俺、読んだほうがいいんですか? この通りに読んだほうがいいの?」などと言って渋々読み上げた。


しかし、古市氏は小沢代表にだけ無用な攻撃を行ったわけではない。
たとえば古市氏は、おおさか維新の会の松井一郎代表や新党改革の荒井広幸代表が
民進党批判を行うと、岡田代表に対して「自民党が攻められるかと思ったら、
岡田さんがさっきからずっと攻められていますよねえ」と発言。


共産党も社民党も同じように与党の政策の問題点を追及していたにもかかわらず、
まるで“与党よりも野党のほうが問題が多い”とミスリードするかのようだった。

その一方で、“質問・回答は30秒で行う”というルールのもとで行われているのに、
安倍首相が「おふたりから質問があったので30秒30秒に」と言い出すと、
古市氏は「じゃあ40秒くらいで」と甘い返答。


だいたい、街頭演説では一切、憲法改正に一言もふれていない安倍首相が、
自分の応援部隊であるネトサポ(自民党ネットサポーターズクラブ)をバックにつけた
ニコニコ生放送であるため大船に乗った気分だったのか、この日は改憲についても言及。


「どの条文が(改正すべきか)っていうことが決まってないんですから、
この選挙においてはどの条文を変えていこうということは議論できないと申し上げている」
などと選挙戦での争点隠しを開き直ったが、こうしたせっかくの議論も、
前述した「小沢再婚発言」のお詫びのせいで腰を折られてしまった。


だが、こうした事態になることは、最初からわかっていたようなものだ。
本サイトでは指摘しつづけているが、古市氏は2014年4月に
「第2期クールジャパン推進会議」の委員に選ばれたことを機に、
当時担当大臣の稲田朋美と急接近、昨年秋には稲田政調会長が仕切る自民党の勉強会
「歴史を学び未来を考える本部」にもオブザーバーとして起用されるなど、自民党と距離を縮めているのだ。


さらには、安倍政権と接近して以降、古市氏は著作『だから日本はズレている』(新潮社)で、
初出時にあった稲田氏を皮肉った記述を褒め言葉に改ざんしたり、
『誰も戦争を教えてくれなかった』(講談社)という著作の文庫化に際して、
タイトルを変更した上、歴史修正主義に寛容な言葉を付け加えたりと、
明らかに政権に気を使って自分の言論を後退させている。


そのような政権寄りの人物が党首討論の司会を務める。
政権に忖度するNHKが仕切る『日曜討論』も同様だが、その時点でまったくフェアではないのだ。

しかも嘆かわしいことに、
橋本氏のような御用ジャーナリスト、古市氏のような御用学者はごまんといる。

こうした人物がコメンテーターと称して政権を“補佐”し、
安倍政権の欺瞞に満ちた政策の問題点がメディアに取り上げられないまま、
参院選に突入しようとしているのだ。

http://lite-ra.com/2016/06/post-2358.html

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まぁ、予想通りの道を進んでいるかなと思う。


正直、私は古市氏自身はどこにでもいる右翼タレントで、さして興味はない。

関心があるのは、そういう人物を上野千鶴子や加藤典洋のような
恐らく左翼を自称しているであろう連中がやたらと持ち上げてスターにしてしまったことだ。


SEALDsの奥田氏も最近、自分の顔写真を表紙にした本を
河出書房というちょい左寄りの出版社から出していて、
どこの芸能人だよ」と呆れてしまったのだが、
何というか、左翼がしばしば20代の人間をアイドル化して
市民運動を活性化しようとする行為は、どこか商売くさくて好きになれないし、
赤木智弘氏のようにアイドル活動に失敗して消えた人間も少なくない。


田原総一朗のような人物が右翼の卵を応援するのは当たり前の行為であるが、
一応、左翼を自認しているはずの人間たちまで支援してしまったのは、
現在の日本のリベラル勢力の思想の浅はかさが露見されたように感じてしまうのだ。

実際、ロシア・トゥデイやリビア360やパルス・トゥデイやスプートニクなどの
海外メディアに登場する知識人たちの発言と我が国の主流左翼のそれとを比べると、
ウクライナ問題しかり、中東問題しかり、アジア問題しかり、レベルの差が歴然としている。


つまり、海外の学者や活動家の意見と比べると日本の主流左翼はほぼ右に見えてしまう。



よく選挙に行かない人の言い分として「支持政党がない」というのが挙げられるが、
日本の主流左翼もまた右翼と大差ない姿勢を見せてしまうために
大衆に信用されないという一面はどこかにあるのではないだろうか?


もちろん、そういう連中とは距離をおいて、
別の側面からアプローチをかけている傍流左翼は腐るほどいるのだが、
一般の人間が目にする左翼とは雑誌や新聞やテレビに露出している連中であり、
そうである以上、もう少ししっかりしてくれないと困ってしまう。


奥田氏は、あれだけのデモを敢行したのだから右傾化することはないと信じたいが、
あの古谷経衝氏と対談を設けたりとだんだんタレントくさくなっていて、少々不安になる。


今の論壇は完全にビジネス化しており、
それが日本の主流左翼の右傾化を引き起こす原因の一つだと思うが、
こういった既存のグループと手を切って独自に活動する青年活動家たちが
自然に(第三者に利用される形で宣伝されるのではなく)評価された時、
ようやく日本の右傾化に歯止めがかかるのではないかと思う。