スプートニク紙の記事より。
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水曜日朝、北朝鮮は、またも中距離弾道ミサイル発射実験を行った。
韓国軍のデータでは、ミサイルのうち1発は、
150キロ飛行し空中で爆発、もう1発は、400キロ飛行後、日本海に落下した。
あらゆることから判断して、
6回目となる今回の発射実験は、多かれ少なかれ成功したと言ってよい。
中谷防衛相は、東京で記者団に対し
「中距離ミサイルにとって必要な一定の特徴を示すものだった」とし、次のように述べた―
「わが国の安全保障に影響を及ぼす事態は発生していない。
弾道ミサイルの発射は、わが国を含む国際社会の安全保障上の重大な挑発行為で、
断じて容認できない。」
中谷防衛相はまた
「ミサイルは、原則的に、日本に達することができるかどうか?」という質問に対して、これを認めた。
米国および韓国軍は、聯合ニュースの報道では、
今回の実験がどれほど成功裏になされたかを理解するため、現在ミサイル発射のデータを分析中だ。
報道によれば、今回飛行した400キロという距離は、
北朝鮮の中距離弾道ミサイルが到達できたものとしては、これまで最長である。
なお今回を含め北朝鮮は、全部で6回、中距離弾道ミサイル発射実験を行ってきたが、
これは、国連安全保障理事会決議に反するものだ。
http://jp.sputniknews.com/japan/20160622/2349852.html
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何をいまさら以外の言葉が見つからない。
北朝鮮が韓国や日本を攻撃できる中距離弾道ミサイルを所有しているのは前から知られていたことだ。
日本の安全保障を思えば真っ先に開発を中止してほしいのは
核兵器よりもこのムスダンを初めとした中距離弾道ミサイルであるはずなのに、
なぜかアメリカを攻撃するための長距離弾道ミサイルばかりが大騒ぎされている。
アメリカ本土の基地を攻撃するためにある長距離弾道ミサイルに対して
主流の右翼も左翼も「北朝鮮のミサイル開発はアジアの平和を乱す!」と吠える一方で、
実際に日本や韓国の米軍基地およびそれが所在する都市を攻撃するための
中距離弾道ミサイルに関しては、これといった批判を行わずポカーンとしてきたわけである。
こういう的外れの北朝鮮批判に対して私は結構、文句を言ってきたつもりだ。
今頃になってムスダンが取り上げられたのは、参院選を前にして自民党が
お得意の「北朝鮮の脅威」を武器にして支持を仰ごうとしているからだろう。
現に、今夜のNHKの各政党党首による放送演説では、
安倍が今日の実験を取り上げ、日米同盟の強化を力説していた。
脅威うんぬんを言えば、海外に軍を派遣し、
兵器を売りつけているアメリカやロシアのほうがよっぽど脅威である。
特にロシアは現在、北方領土に軍事施設を建設しようとしているし、
一部の島では軍事演習まで行われているのだが、これに対して政府も右翼もブチ切れない。
むしろ、今の政府はロシアとの親交を深めようとしている。
(ちなみにロシア政府は一貫して北方領土4島の返還は考えていないとの姿勢を見せている)
こういう点からも中国や北朝鮮が日本を攻めてくるというのは
単に軍拡を正当化するための口実であることがわかってくるのではないだろうか?
(現実的に最も軍事侵攻をする可能性が高いロシアに対しては全くといって良いほど危機感を有していない)
仮に日本が攻撃されるとすれば、それは前述したように
横田基地などの米軍基地に対する攻撃であり、とばっちりで周辺の都市も被害を被るかもしれない。
とするならば、アメリカとの軍事同盟の強化は逆に恒久的に日本国内に
ミサイルを当てるためのマトを作るようなものであり、とても建設的な意見とは思えない。
では、
そこまで北朝鮮は日本に対して敵対的なのかと言えば、先に述べたようにそのようなことはない。
米韓両政権に対する非難は毎日のように行っているが、日本に対しては特に何も言っていない。
むしろ、北朝鮮政府は幾度も日本や韓国、アメリカとの関係改善を求めてきた。
それを「脅迫外交」と名付けて無視してきたのはどこの誰だという話だ。