時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

その後の鳩山氏について

2015-03-15 00:42:19 | リビア・ウクライナ・南米・中東
その後、鳩山氏はクリミアを視察し、欧米列強の情報が偏光されたものだと看破した。


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クリミアを訪問中の鳩山元首相は、
西側のマスコミが公言するような戦車も飢えた市民も市街地には見られないと語った。


鳩山氏は、クリミアに来てたった2日目ではあるものの、
クリミア市民が十分に幸せであり、平和な生活を送っている様子を
この眼で見ることができたとかたっている。


鳩山氏は、ロシア編入を問う選挙がなんらかの武装した作用を受けて行なわれたのではなく、
自らの期待に結びついてのものだったことはあまりに明白
と、語っている。

また市街地には戦車はなく、
西側のマスコミの情報が一方的に偏ったものである
ことも指摘されている。


鳩山氏は、クリミア半島での平和で幸せな生活を確認でき、喜ばしく思うと語り、
自分たちのマスコミがクリミア情勢について偏った報道を行なうことを
非常に恥ずかしく思うとともに、事実全てを伝える勇気を持たねばならない
と付け加えた。


鳩山氏はヤルタ訪問で、ロシアに新たに加わったクリミア共和国と日本との間の文化、
人道交流の発展につくす覚悟だと述べ、文化交流、人的交流のおかけで
政治問題解決をも含む条件を生み出すことができると信じたいと祈念した。

続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2015_03_11/283285343/


クリミア訪問中の鳩山元首相は記者団からの質問に答え、
現在日本は外交政策を欧米諸国の影響のもとに形成している事実を認めた。


鳩山氏は、クリミア問題で日本政府は自国の立場を西側諸国と刷り合わせているため、
これが原因で対露制裁を発動した
と語り、制裁条件下での日本代表団のクリミア訪問実施を
日本外務省は許し難い行為と受け止めていると述べた。


鳩山氏は、ロシアへの制裁を解くためには日本は米国行政に一定の立場を示さねばならないとし、
この方向性で日本サイドから一定の尽力を図る必要性を指摘した。

続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2015_03_11/283285982/


11日、日本の元首相で日ロ協会の指導者である鳩山由紀夫氏は、
ウクライナ南部・東部の紛争を解決する際には、地元住民の意思が考慮されるべきである
との考えを表した。



鳩山氏は、訪問中のシンフェローポリで記者団に対し、
「私は、特定の地域に住む住民の意思が一番重要とされる状況を構築する必要があると考えている。
 このような条件の構築は、国際社会の一員である国家にとって課題であり義務である」と述べた。

鳩山氏は、多くの日本人がウクライナ東部の出来事と、
1年前にクリミアで起こった出来事の違いを理解していないことは残念であるとし、
社会に真実を伝えると約束した。


鳩山氏は、
「私は、あらゆる問題を、武力衝突の道ではなく、
双方向の対話と接点の模索を基盤に解決することが重要であると考えている」と述べた。

鳩山氏は10日、3日間の日程でクリミアへ到着した。
なお、日本政府側からは批判があがっている。

鳩山氏によると、クリミアの住民がロシアへの再統合を求めたことを個人的に確認したかったという。
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2015_03_12/283293195/

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その通りだとしか言いようがないコメント。

実際、彼の発言は私が1年をかけて紹介し続けてきた反欧米メディアの報道内容と合致するものだ。


加えて言えば、クリミア編入は
投票率83%、編入支持96%の投票結果によって行われた。

参照:http://www.themoscowtimes.com/news/article/crimea-votes-to-join-russia-and-secede-from-ukraine/496249.html


日本の選挙より投票率が高い。



そもそも、クリミアは歴史的にはロマノフ王朝下のロシア帝国の領土だった。
文豪トルストイの作品には『セバストーポリ』というのがあるが、その舞台はまさにクリミアだ。


クリミア半島の住人の過半数以上はスラブ人であり、日常語はロシア語だ。

この地はクリミア自治共和国という国内小国として存在していたが、
去年のクーデターによるネオナチ政権樹立に伴い、中央政府に反旗を翻した。


つまり、選挙で選ばれた大統領を武力により国外追放したことを発端に、
以前から存在した独立の気運が白熱化した
。これが真相である。


キエフに逆らう人間を「親ロシア派」とテロリストの一派であるかのように語るほうがおかしい。


おかしいのだが、日本では、そのおかしい報道のほうが闊歩している。
その背景は、自民党親米政権にすり寄る新聞社やテレビ局、出版社の存在が挙げられるだろう。


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ロシアがウクライナから一方的に編入した
クリミア半島を訪問中の鳩山由紀夫元首相は11日、
中心都市シンフェロポリで記者会見し、編入の是非を問うとして
昨年3月に実施された住民投票について
「ウクライナの憲法にのっとって平和裏に、民主的に行われた」と述べた。


日本や欧米の政府は、住民投票はロシア軍の侵攻下で行われ、
ウクライナの国内法や国際法に反しているとして認めていない。

鳩山氏の発言は編入が合法との見解を示したと受け取れるため、さらなる批判を呼びそうだ。

http://www.47news.jp/CN/201503/CN2015031101001860.html




米国務省当局者は12日、鳩山由紀夫元首相がウクライナ南部のクリミア半島を訪問し、
昨年3月のロシア併合に向けた住民投票に理解を示すような発言をしたことについて、
「日本政府と同様に、鳩山氏の訪問と発言に深く失望している」との立場を示した。
朝日新聞の取材に答えた。

http://www.asahi.com/articles/ASH3F35C6H3FUHBI00F.html
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東京新聞が顕著だが、アメリカにすり寄った記事が多い。

逆を言えば、鳩山氏がここまでバッシングされる背景としては、
北朝鮮、キューバ、シリア、中国と同様に反米的であることが予想される。



鳩山氏自身は保守派であり、本人もそれを認めているのだが、
彼の場合、中国やイランのような反米国家に対しても対話の姿勢を見せている。


普天間基地問題にしてもそうだが、鳩山氏は基地移転に失敗して辞職したというよりも、
国外・県外移転を妨害しようとする親米政党・メディアによって降ろされたように見える。


TPP問題にせよ原爆投下に関するアメリカの戦争責任追及の問題にせよ、
この国の政府やメディアはアメリカに対して弱腰だ。


本来なら、極右やネトウヨどもは日本の誇りがどーたらこーたら小うるさくほざくならば、
宗主国に尻尾を振るサンシタ政府と決別し、鳩山氏を擁護すべきなのだが、実際は逆だ。


ご主人様に守られていないと偉そうな面すら見せられない。
まこと右翼とはかような情けない存在なのである。

鳩山元首相のロシア訪問について

2015-03-11 00:18:05 | リビア・ウクライナ・南米・中東
鳩山氏は自らも保守を名乗るように、元々は自民党の中道右派の政治家だった。
過去の著作には天皇制の維持や国防軍の創設を主張するものも存在する。


その鳩山氏が左翼だと言われるようになったのが、
民主党が「消えた年金」をはじめとする安倍政権の不正を暴きだした2000年代後半からで、
彼自身も周囲の評判を上手く利用して、平和外交路線を前面に押し出すようになった。

以来、鳩山氏はイランや中国、ロシアなどNATOの敵国を訪問し、親交を深めている。


イランを訪問し、IAEAが列強の利益中心に動いていること、
途上国に不利なものになっていることを素直に吐露したことは記憶に新しい。


中国を訪問した際には、南京事件の記念館を訪れ、謝意を表明した。


このような相手に理解を示す外交は日本では反日的として徹底的に非難される。
その一方で、人質がいるにも関わらず、露骨にテロ組織を名指しし敵視する行為は擁護一辺倒だ。



独裁は民主主義国家で成立する。
全体主義は反動的な民衆の自発的な協力によって維持される
というのは私の持論だが、
間違いなく今の日本の安倍独裁政権は大衆の支持によって成り立っている。

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鳩山由紀夫元首相は9日、モスクワを訪問、
一部記者団にロシアが一方的に編入したウクライナ南部クリミア半島を訪問すると明言した。
住民の意思を確かめ、編入の是非について考えたいとの意向を示した。

同行筋によると、クリミア訪問は10~12日の日程。


日本政府は編入を認めていない。
首相経験者がロシアの査証(ビザ)でクリミア入りすることで
日本の立場に誤解を与える可能性があり、日本政府は訪問を断念するよう働き掛けていた。



鳩山氏は編入を正しいと考えるか見解を問われ「それをこれから見に行きたい」と答えた。


同時に「日本には正確な事実が伝わっていない。
 住民がどういう気持ちでいるかこの目で見たい」
と強調。

「世論調査では、住民は編入を希望した」
など編入に一定の理解を示しているとも受け取れる発言もした

http://www.sankei.com/world/news/150310/wor1503100027-n1.html
(引用もとは産経だが、共同通信の記事が使い回しされたもの)
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鳩山氏の言うとおり、日本では正確な事実が伝わっていない。

その辺は、当サイトの過去記事を読んでくれればよくわかると思う。


さて、この鳩山氏の訪問の直前に外務省から妨害工作が仕掛けられた。
このことについて、元駐日ロシア大使のアレクサンドル・パノフ氏は次のように述べた。



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6日、日本外務省は著名な政治家で元首相の鳩山由紀夫氏に対して、
ロシア訪問でクリミア視察を控えるよう助言した。


有名なロシア人日本専門家で元駐日ロシア大使のアレクサンドル・パノフ氏は、
日本外務省の行為は鳩山氏の市民であり政治家としての権利を侵しただけなく、
ロシアとの平和条約および南クリル問題についての対話を複雑化したとの見解を表し、
次のように語っている。



「1年ほど前、鳩山氏はテヘラン訪問を予定していた。
 ところがそこへ、行くなという電話がかかってきた。
 しかも電話してきたのは駐日米大使ではなく、なんと公使参事官だったというのだ。



 これには鳩山氏も憤慨し、何の権利があって、外交官が独立国の著名な政治活動家に
 これをしろ、あれはするなという権利があるのかと言った。



 そして鳩山氏はテヘラン訪問を行った。
 なぜなら、これを行なわなかった場合、政治活動家としての面子を失いかねないからだ。


 そして今度は日本政府が鳩山氏にクリミアには行くなという。

 
 日本政府はだいたいにおいて、ウクライナに関するロシア批判に迎合したり、
 またロシアがあたかも反体制派に圧力を講じているかのような非難に歩調をあわせるなど、
 そのやっていることは全く理性を欠いている。


ロシアの反体制者らは世界中どこへでも出かけて行くし、
それを誰かがあそこへいけあっちはだめだとは言わない。

このため、鳩山氏への態度についてはロシアとしては
かなり深刻な人権侵害だと受け止めている。



しかも鳩山氏は非常に著名な政治活動家ではないか。
確かに日本はクリミアのロシア編入を認めていない。これを認めないのも日本の権利だ。

だが、だからといって日本人は個人として、
または別の理由でそこへ行ってはならないというわけではない。







これはもう、はっきり、
米国に気に入られるように
行動しているとしか思えない。







日本は一貫性のない行動をしていることになる。


一方ではロシアとの関係構築を望むという、
片方ではロシアとのコンタクトが再開されず、
複雑化するためにあらゆることをやっていることになる。





―日本は、クリミアのロシア編入を認めないのは、
これによって中国に尖閣編入の口実を与えることを危惧してだというが、
この危惧感は正当化できるだろうか?




「クリミアを尖閣諸島(釣魚諸島)などのような
 他の領土問題と比較することがどうしてできようか? 
 
 クリミアには200万人が住んでおり、
 その圧倒的大多数が昨年春、自発的にロシアへの編入に賛成票を投じたのだ。

 これに対して尖閣諸島は絶壁であり、誰もそこには住んでいない。
 いったい誰に日本になりたいか、それとも中国かと尋ねる事が出来るのか? 
 鳥にでも聞けというのか?




日本がこうした似通わない問題を混同するとき、
日本は自ら領土問題の解決を複雑にしているのだ。



今、日本人は自分の抱える古い論拠のほかに、
さらに新しい論拠も白熱化させようとしている。



『北方領土』をクリミアと結びつけることもそうであり、
5月の戦勝記念日に安倍首相がモスクワへ行けば、
南クリルをソ連に渡すことを決めたヤルタ会談の結果を認めたと
受け取られかねないとしてこれに反対していることもそうだ。



これはあまりにも馬鹿げた話だ。



なぜなら小泉首相も2005年のモスクワの戦勝記念式典に列席したが、
そのときは誰も、この訪問で日本の首相が南クリルが
公平にソ連の支配に渡ったことを認めることになったとは言わなかった
ではないか。


こうした行為からは、
日本は領土問題の解決を単に望んでいないことがはっきりとうかがえる。」
続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2015_03_06/283225417/

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つまり、安倍首相を始めとする極右の面々は、
一方では北方領土をトリモロス!と大口を叩いておきながら、
もう他方ではロシアをいたずらに貶め、返還への道を自ら閉ざしているのである。


パノフ氏の意見に加えるならば、
安倍政権は村山談話を継承すると言いながら、
談話の内容を否定する政治家が閣僚として君臨しており、
中には靖国神社へ参拝した者もいるが、このような人物に対して政府は
「誤解を与えるから」と言って、参拝を自粛するよう言ってこなかった。



誤解を与える云々は方便で、
要するにロシアを封じ込めたいだけにすぎないのである。





合同軍事演習の中止と引き換えに核実験を自粛すると提言した北朝鮮を無視し、
結果、短距離ミサイルの実験をされたアメリカ・韓国のそれに匹敵する愚行だ。



おまけに今、安倍政権はロシアのG8からの除外も正当な判断だと評価している。

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日本の安倍首相は、ウクライナ情勢に鑑みると
ロシアのG8への復帰は時期尚早だと考えている。



月曜東京で行われたドイツのメルケル首相との共同会見で述べた。共同通信が伝えた。


「G8」はG7が2014年にソチにおける先進諸国クラブ非公式サミットへリーダーたちを
送らない決定を下し、ブリュッセルでロシア抜きで集まったことにより、「G7」になった。


背景にはクリミア問題があった。

現在「G7」にはドイツ、米国、カナダ、日本、フランス、英国、イタリアが名を連ねている。



ロシアのラヴロフ外相はこれに関して声明を出した。
いわく、ロシアはG8から誰のことも排除しなかった。


なぜなら「G8」はただのクラブであり、
相互に関心をもつ問題について各国首脳が集まって討議する枠組みであって、
「誰かをそこから締め出すことが出来るような構造体ではな」く、
メンバー排除のための手続き規定は何も無いからである、と外相。


「ウクライナ情勢に鑑みると、今はG8の枠組みで議論する雰囲気は醸成されていない」
とロシアのG8復帰に関して、安倍首相。

安倍首相によれば、日本はドイツとともに、
「ロシアが紛争の外交的解決に建設的な役割を演じるよう求める」とのこと。


続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2015_03_09/283256453/
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こういう態度はロシアの日本離れ=中国への接近を許すものではないだろうか?


少なくとも、私がロシア政府の役人なら、ここまで露骨に敵視してくる国に対して
領土問題で譲歩してやろうという気にはならない。


今のところ、ロシアは2島返還には応じる構えだが、
もしかすると将来的に、この2島返還すら危うくなってくるかもしれない。





さて、このように現自民党のロシア外交は間違いなくバッテンがついているのだが、
日頃から「北方領土かえせぇええええ!!!」と発狂している面々は、
返還を難航させる与党の批判ではなく、鳩山氏の批判をしている。



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「ちょうど今ここまで無駄なことしかしない人も珍しいんじゃないかな?」


「もう身柄拘束するべきなのでは?」

「ん?吉本芸人も大変だな。ロシアまでいくのか。」

「このおっさんどんだけ甘やかされて育ってきたんだよ。騙されたこととかないんじゃないか?」

「余計な事しかしない」

「売国奴」

「理想される前提wwwwwww さすがぽっぽww信用されてますな」

「利用されるとか最初から信用されてなくて吹いたわwwww」

「頭はいいのに馬鹿の典型例」

「ロシアで失言しまくって反感買ってこいつだけ〇されれば皆解決じゃね?」

「無駄に行動力がある無能は言動を相手に都合よく利用されるから、単なる無能より始末が悪い。
 しかも本人は自分を有能だと思い込んでるから、余計に面倒で厄介な存在。」

「ある意味、戦後生まれで平和しか知らない日本人の象徴的なキャラなのかもしれない。
 行き着くとこまで行くとこうなりますよという。」

「日本に害を成す、テロリスト。外国で行方不明になれば皆がバンザイするのにw」

「何この疫病神まだ生きてたの?」

「相変わらず迷惑な伝書鳩だな」

「誰かこいつ暗殺しねーかな、割とマジで」

「国籍返還してくれ」

「ここまで 外交音痴だったとは。。。」

http://news.nicovideo.jp/watch/nw1485985?ver=video_q
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以上、ツイッターからのコメントだが、
この連中は鳩山氏への日本政府の妨害行動が
結果的に北方領土返還の可能性を閉ざしていることに全く気付いていない。



「ロ、ロシアに利用されるぅ~~~!!!」
「ここまで馬鹿だったとは(キリッ)」
「誰かこいつ殺してくれ」


とまぁ、騒ぎまくっている一方で、現在進行形でロシアの日本へ対する信用を失わせている
安倍や日本会議の面々の極右政策については全面的に支持する素敵思考の方々。


どんだけおめでたいんだよ
信者かお前ら



このような外交センスに長けた頼もしい国民の支持によって
日本は今、ロシアとの関係を再構築し、領土問題解決を目指そうとしている。



彼らの熱い支持の下、見事、日本政府が失敗するであろうことは必至だろうが、
その場合、いつものように他国のせいにして、鼻をフンガフンガさせて抗議するのだろう。

こういう連中が誇り高き日本人のあるべき姿らしい。
見習いたいものだ。

最近のアイヌ本について

2015-03-10 00:28:28 | 浅学なる道(コラム)
去年の8月に札幌市議会議員が「アイヌ民族はもういない」と発言して以来、

瀬川拓郎『アイヌ学入門』(講談社)、
テッサ・モーリス・スズキ編著『アイヌ民族否定論に抗する』(河出書房新社)、
崔 銀姫『テレビドキュメンタリーにおけるアイヌの言説と表象』(明石書店、近刊)など、

アイヌ民族の書籍が多く刊行されている。


ただ、読んだ限りではどうもパンチが弱い気がする。
これで果たして効き目があるのだろうかと。


私の蔵書にはアイヌ人である野村義一氏の著作『アイヌ民族を生きる』がある。
ブックオフで200円で売っていたものだが、この本には被差別民族にしか書けない凄味がある。

100年以上にも渡って差別を受けている民族の苦しみの声とでも言おうか。

この本は旧土人保護法が撤廃される前に書かれたもので、
この差別的な法律が廃止されることを望む必死な思いがこめれている。


これと比べると、最近の本は日本人の学者が他者の視点で書いたもので、
どうにも迫力というか、読み手を引きこませるものがない。


そもそも、被害者であるアイヌ民族ではなく、
その代理人を自称する識者の本が発刊されるのも考えてみれば変な話だ。


北海道ウタリ協会をはじめとするアイヌ民族の団体があるにも関わらず、
彼らではなく日本人が話す。これはおかしなことだ。


黒人解放運動がデュボイスやガーヴェイ、マルコムXなどの黒人活動家によって
展開されたように、本来ならアイヌ民族の問題はアイヌ民族の手によって牽引されるべきものだ。

出版社もまた、アイヌ民族の声を届けさせるのが本来の役目だろう。


ところが、河出書房の『アイヌ民族否定論に抗する』をはじめとして、
最近の本は、アイヌ民族の大和民族に対する怒りの声を前面に押し出すものになっていない。


つまり、アイヌ民族VS日本政府ではなく、左翼VS右翼になってしまっている。
これでは、いつまで経っても、日本人同士のけんかのレベルを超えないのではないだろうか?


加えて、これらの本は
右翼のヘイト発言に反撃するだけで日本の植民地主義を問うものになっていない。
こういう申し訳程度の反撃が果たして差別撤廃の武器になるか、非常に疑問である。


他の日本のマイノリティ、琉球人や在日コリアンも自分たちの声を届けている。
にも関わらず、なぜかアイヌ民族だけは、中間者を介して話が進んでいる。


こういう当事者を締め出した話し合いが、民族問題解決の転機になるとは思えないのである。

古本を読む楽しみ

2015-03-09 22:58:53 | 浅学なる道(コラム)
古本市に行ってきた。狙いは1950年代の古本。
前から欲しかった掘り出し物をたくさん買うことができた。

古本市というのは、通常数日をかけて開かれるものだが、
この間、毎日微妙に出品物が変化するため、何だかんだで数日は入り浸ってしまう。

Super源氏やAmazonの古本サービスが充実しているため、そこまで絶版本の入手に苦労はしないが、
それでも50年代以前の本は別格で、こればっかりは直接、自分の足で探さないといけない。


例えば、今回200円で入手できたブハーリンの『社会主義への道』(改造文庫、昭和7年)だが、
これはAmazonで「ブハーリン」と検索してもリストアップされない本だ。


なかには5千円以上の値が張る本もある。
そういう本を廉価で手に入れるのが古本ショッピングの魅力だろう。


一番うれしかったのは、有島武雄の『生まれいずる悩み』の大正版を買えたこと。

岩波文庫や新潮文庫、あるいはネットなら青空文庫で簡単に読める作品だが、
オリジナルにしかないオーラというものが、昔の本にはある。

特に興味がないので見送ったが、与謝野晶子の『みだれ髪』も装丁が凝っていることで
有名な作品で、これを文庫本でチョロッと読むのと原書を読むのとでは話が違う。


つまり、文字の大きさやレイアウト、挿絵、表紙のデザインもまた作品の一部であり、
文庫では、どうしても文章以外で表現している作品のメッセージが読み取れないのである。



文字がどんどんデジタル化され、ほとんどの情報がネットで読めるようになった。
新聞記事やネット記事が各サイトが引用し、回し読みされる時代だ。


そういう時代に生まれた人にはピンと来ないかもしれないが、
本当の本というのは(特に小説では)、紙の手触りや大きさをもって表現しているものがあるのだ。


そういうアナログでしか伝わらないものを大事にしなければいけないと思う。

アジアの平和を乱す米韓軍事演習(その2)

2015-03-06 00:47:41 | 北朝鮮
私は、今年の1月には北朝鮮の方から対話を投げかけてきたこと、
合同軍事演習の臨時中止と引き換えに核の実験も控えると呼び掛けたこと、
それにも関らず、米韓は軍事演習に踏み切ったことについて、先日指摘した。



北朝鮮の軍備は脆弱であることはよく知られている。
いまだにソ連製の兵器をいくつか用いており、最新鋭の通常兵器の前では歯が立たない。


それゆえに、一撃で壊滅的なダメージを与える核兵器に依存するしかないのである。


これは裏返せば、自国の安全が保障
(これは日本のようなどこからも攻撃される気配のない国とは違い、
 正真正銘の安全保障だ)されれば、核放棄の可能性もあるということを意味する。


実際、北朝鮮は過去、何年にもわたって、軍事演習の中止を非核化の条件にしてきた。

にも関わらず、このことは特に重要視されることもなく、
代わりに、軍事演習の反発として北朝鮮が威嚇をすると、
待ってましたとばかりに連日、朝も昼も夜もニュースとして報道される。


ここ10年の日本の言論・報道は、こういう状況なのである。

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今年8月、朝鮮半島は解放と分断70年を迎える。

第2次世界大戦の終結とともに朝鮮人民は祖国の解放を成し遂げたが、
それと同時にもたらされた分断の責任はすべて米国にある。


米国は、ソ連に分割統治を主張し、南に一方的に軍政を敷き、自治組織を暴力的に破壊し、
南だけの単独選挙を強行し、朝鮮全土の資本主義化を狙って朝鮮戦争を起こした。


3月2日に開始された米韓合同軍事演習は、そうした米国の本性をあらわにしている。

「キー・リゾルブ」演習と「フォール・イーグル」演習では、
昨年も核戦略爆撃機が爆弾投下訓練を行い、
韓国・浦項では沖縄米軍のオスプレイも参加して、上陸作戦を実施している。


一体どこに核爆弾を投下しようとしているのか、
どこに上陸しようとしているのか、一目瞭然である。

平壌に爆弾を落とし、
元山に上陸しようとする侵略戦争の予行演習に他ならない。
こんな不当で危険極まりない軍事演習はただちに中止すべきである。




米軍とともに侵略演習を展開している韓国軍の指揮権は、
いまなお在韓米軍司令官の手にあり、朴槿恵大統領には何の権限もない。



その朴大統領は3月1日の独立運動記念日に、朝鮮に対し
「核が自身を守るという期待から抜け出し、
 平和と体制の保証を受けられる開放と変化の道を歩むべきだ」と主張している。

これは米国の朝鮮に対する強要をオウム返しに言っているにすぎない。

独立運動記念日にもかかわらず、
韓国が米国に従属していて独立・自主ではないことを自らが認めたに等しい発言である。



そして、その暴言は、
先に核攻撃という脅威を及ぼしているのが実は米韓側であることを示している

朴大統領の暴言は軍事演習と軌を一にした朝鮮に対する脅しであり、
核侵略戦争を強行するとの前触れと言っても過言ではない。



朝鮮半島の平和と自主統一を願う私たちは、米韓両国がただちに軍事演習を中止し、
関係改善のへの条件と環境を整え、朝鮮が繰り返し呼び掛けている対話に真摯に臨むよう強く要求する。

(http://chosonsinbo.com/jp/2015/03/0305yh/)
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沖縄のオスプレイが北朝鮮侵攻演習に利用されている。

このことを指摘したメディアや学者、知識人がどれだけいるのだろうか?


沖縄には、ピーター・カズニアック氏などの良心的アメリカ人と協力して
基地撤廃運動に参加している人間もいるが、本当に手を取り合うべき相手は別にいるのではないか?


結局、これもまた反共政策の賜物で、冷静に考えれば世界中でテロリストを支援し、
軍隊を派遣し、国内では世界でもトップレベルの経済格差と貧困をもたらしている
かの国もまた、北朝鮮と大差ないはずなのに、一方の国は免罪され、他方の国は悪魔化される。


アメリカの核兵器は一切削減されないのに、北朝鮮の核兵器だけは削減するよう求める。
善意で言っていることかもしれないが、これは結果的にアメリカのアジア戦争に加担するものだ。



世界史の教科書では、アフリカ史と中東史、東南アジア、南米史の記述が少ない。
この地域の現代史を書くと、アメリカやフランス、イギリスが悪役になるからである。


私は北朝鮮は完全無欠の天国だと言っているのではない。
客観的に見て、アメリカのアジアへの脅威こそ、非核化へと踏み切れない原因なのに、
なぜ、どのジャーナリストも学者もメディアも強く訴えないのかということを問いたい。

(もちろん、ごく少数、この件について述べる人間もいるが、本当に少数な上、影響力がない)


本当にアジアの非核化を目指すならばすべきことをしない。そのことを言っているのである。

アパルトヘイトは、なぜ栄えたのか

2015-03-06 00:42:17 | リビア・ウクライナ・南米・中東
1.

前回、冷戦期にアパルトヘイトを全面的に支持する不届き者が
日本で大学教授をやっていたことに触れたが、彼の著書を改めて読み直すと、
ネルソン・マンデラを共産党ゲリラの親玉とみなし、彼の入獄を当然視する記述がみられた。


今でこそ黒人差別運動の英雄として世界中から愛されているマンデラだが、
この時期はテロリストのボス、監獄にぶち込むのは当然の報いと言う人間もいたわけだ。


反共とは、ここまで人を堕落させるのかと、学問の威厳を傷つけるのかと改めて思い知らされるが、
これは梅津教授個人の問題ではなく、まさにこの反共主義こそアパルトヘイトを存続させてきたのである。



あまり知られていないが、南アフリカ共和国は人種主義と反共主義を国是とした国家だった。


韓国のパク・チョンヒ、インドネシアのスハルトが有名だが、
アメリカが支援する国家は、いずれも強烈な反共主義のもと民衆弾圧を行ってきた。

南アフリカ共和国も例外ではなく、反共の砦として国内の弾圧と近隣国への侵攻を行ってきた。


世界史の教科書や入門書には、いかにも世界各国が南アフリカの人種隔離政策を非難し、
制裁を加えたかのように書かれているが、実際にはその後もビジネス上の付き合いは続いており、
また先のアンゴラ内戦でもアンゴラに軍を侵攻させたのは、南アフリカとアメリカなのである。


要するに、南アフリカ共和国は、アフリカを共産主義化させないために生かされた。

アフリカで社会主義国が誕生させないこと、
万が一誕生した場合、その国を攻撃し、速やかに政権を転覆させること。

これを条件に国内で行われているあらゆる弾圧にアメリカ発の免罪符が与えられたのである。



2.

一般的に「アパルトヘイト」は「引き離す」という意味のアフリカーンス語だと説明される。

ヘイトは接尾語で、英語のnessのようなものである。

しかしながら、偶然にして、この言葉はアパートヘイト、
すなわち「apart(別々に)」「hate(憎む)」と解釈することもできる。


アパルトヘイトとは、単に白人と黒人を分離させることではない。
より正確に言えば、部族ごとに居住区を定め、引き離す政策であり、
これは部族主義を助長させ、各部族の団結を防ぎ、また黒人同士を衝突させるものである。


南アフリカ国内では、ズールー地区が白人政権の傀儡役を背負った。
アパルトヘイトの撤廃なしの市民権の付与。これを要求したのである。


梅津教授は、これを得意げに利用して
「ANC(マンデラが率いた組織)に反対している部族もいる!
 黒人に市民権を与えれば、自ずとアパルトヘイトは形骸化するだろう。
 そのようなゆるやかな変革を望む人間が対話の相手としてふさわしい」と主張する。



梅津和郎教授が『新現代アフリカ史』で述べていることは、
白人政権にとってコントロールしやすい部族を祭りたてることが望ましいということだ。


これは言ってみれば、鳩山由紀夫ではなく安倍晋三と対話せよ、
基地は撤廃しなくても、沖縄の開発援助をすれば、長い目で見れば、
県への負担はなくなっていくだろうという言説と全く同じものだ。



そして、こういう言説がさも正しいかのように宗主国や属国、
すなわち民主主義国の学者やジャーナリストを動員して……というよりも、
その国の保守派に共鳴する人間たちが自発的に協力してプロパガンダを作っていく。


3.

民主主義国の恐ろしいところは、
プロパガンダが政府の強制ではなく、
個人の協力によって成り立っているということだ。


そのため、その工作活動には、一定の正当性がある。

アメリカやフランス、イギリスで未だに人種差別や宗教差別があるのも、
民主的に、保守的な思想や言説がばら撒かれているということが背景にある。


それどころか、一国の元首が、そのようなカルト集団のメンバーだったり、
あるいは彼らに支援されていたりするところも少なくない。

この場合、首相や大統領は自発的にプロパガンダを流すように呼びかけるのだが、
仮に共産主義国がそれをすると、「自由の侵害だ!」と騒ぎ立てるわけだが、
これが民主主義国になると、「我々に意見するのは言論の自由の侵害だ!」となるわけである。


このように、強制なら悪で協力なら善だという強烈な思い込みは左翼もまた共有するものだ。

強制だろうと非強制だろうと、肝心かなめの言説の内容に則って考えるべきなのに……だ。



4.

梅津和郎教授を見て思うのは、
日本の学者が現在進行形で政治や経済に悪い意味でコミットしているということだ。


実際、この手の悪党は北岡伸一(政治学者)や浜田 宏一(経済学者)のような
政府お抱えの学者だけでなく、民間の大学にもいくらでも存在する。


何だかんだでドイツ近現代史や日本近現代史の研究者が、
この70年間で目覚ましい活躍と発展を遂げたのも、保守派とは一歩おいたためだと思われる。
(そのために、マルクス的だと、容共的だと同業の反共左翼から攻撃されたわけだが……)


私は何も、学者は皆共産化しろーと言っているのではない。

コミュニストならすべて悪だという偏見に則った学者は、
その思想的差別主義のために、悪政に関与する疑いがあるし、実際にそうなっている
と言いたいのだ。


容共はあくまで共産主義者の言うことにも耳を貸す程度のもので、主義者になることではない。

私が言いたいのは、学者である以上、その人物の思想的立場ではなく、
その主張の内容を客観的に判断した上で、批判してみせろということなのである。

手紙を読む前に差出人がコミュニストだと知って、封すら開けずにゴミ箱に捨てる。
そういう行為は事実の守り手であるはずの学者がすることではないと言いたいのである。

かつて、日本人経済学者はアパルトヘイトを支持していた!

2015-03-05 01:00:50 | リビア・ウクライナ・南米・中東
もちろん、一部の経済学者なのだが、1980年代、アパルトヘイトの真っ最中の時期に
南アフリカ共和国を支持していた学者が日本にいた。これは驚がくに値するのではないか?


梅津和郎『新現代アフリカ史』書評より
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1987年と言えば、南アフリカ共和国は人種隔離の真っ最中、
アフリカ人居住区で警察や軍隊が住民を弾圧し17万の小中学生が連行されていた時期です。

ANC(アフリカ民族会議)のネルソン・マンデラ議長も獄中にいました。

さて、この梅津教授(当時、大阪外国語大学勤務)によりますと、
この本が書かれた年に南アで「ANCの工作による南ア国内暴動事件」があり、
白人農場主に対する「テロ行為」を激化させ、革命組織の全国化を目指していたのだとか。



「以上のように、ANCは南ア政府のアパルト政策に反対するというよりも、
 南ア全土に共産主義革命を実現しようというのである」
(本書、19ページより)

「ANCがアパルトヘイト反対の「錦の御旗」をかかげていくら革命を呼号しても、
 また、それが増幅されて国際世論にアピールしたとしても、
 南ア国内にはANCに反対する部族が存在しているのである。
 ボータ政権や同国内の産業界指導者、それにアメリカのレーガン政権が対話する相手はANCではない。
 それは、時間をかけて南ア黒人の地位向上を
 促進しようとしているズールー族の指導者ブツレズィなのである」

(本書、21ページ。なお、ズールー族はANCと異なり
 アパルトヘイト撤廃を求めず、市民権のみを要求していた)

その後の歴史を知っている者からすると、ここまでマンデラ側をテロリスト呼ばわりし、
白人政権にすり寄った文章を読んでしまうと、唖然としてしまいます。

こんな差別主義者でも大学教授になれるのだなと。

アンゴラ内戦についても、独立後に南ア軍と共に反乱を起こした
UNITA軍が勝利することが望ましいと述べていますが、
その根拠もUNITAを支持するオヴィンブンド人が人口の40%を占めるからだという稚拙なものです。

当時のアンゴラ政府の支持基盤であるキンブンド人は全体の25%、
少数民族であるコンゴ人も13%です。
おまけに、彼らを支持していた首都のルアンダは全国民の約30%が住んでいます。


何も部族が全員つるんで戦争をしているわけではありません。
その証拠に停戦後の選挙ではUNITAは惨敗しました。


これに納得しないUNITAは再び戦争を開始、
その資金となるダイヤモンドを南アのデビアス社に無断で売却したのです。


このデビアス社はイギリス人の侵略者セシル・ローズが立ち上げた会社です。
いかにUNITAが白人政権の傀儡ゲリラであったのか、
南ア軍がアンゴラの石油とダイヤモンドを狙っていたかがわかるでしょう。

アンゴラ内戦はアフリカのベトナム戦争とも呼ばれる戦争です。


アメリカはベトナムが共産主義化すれば、
近隣国も共産化するというドミノ理論を掲げて10年以上もこの戦争を続けました。

梅津教授の主張は、まさにこのドミノ理論で、
アメリカ軍と南ベトナム軍が南ア軍とUNITAに変わっただけで、理屈そのものは全く同じなのです。

こういう方が2011年まで開発経済学者として専門書の編者となり、
若手・中堅研究者と本を書いていたというのは驚きに値します。

開発経済学というのは、いったいどこの国のために研究されているのか。
私には、さっぱりわかりません。
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アンゴラ内戦でキューバ軍がアンゴラ政府軍と協力し、
独立後に侵攻してきた南アフリカ軍を撃退したことが、
その後のアパルトヘイト崩壊、マンデラ政権につながった。

そのため、マンデラはキューバのカストロに感謝し、
その後、アフリカの解放の地となったソウェトに招き、講演を依頼した。


アンゴラでもキューバは住民に英雄として歓迎されている。

それにしても、反共というのは、どれほど卑劣な思想なのだろうと、
人種差別政権を絶賛してまでアンゴラやANCを潰したがる梅津教授をみると思う。


もっとも、彼も1929年生まれ、今年で86歳。もしかしてもう墓場にいるのかもしれない。
とはいえ、実のところ、第二、第三の梅津はやっぱりいるわけで、
あのイラク戦争の折にも、アメリカを支持する政治学者はわんさかいたのである。



1980年代、日本の商社は南アでビジネスにいそしんでいた。
梅津教授は、この辺の空気を読んで、こんなアホな本を書いたのだと思う。


親米と反共は目的のためなら何でもするのだなと少し感心してしまった。
まさに、ある意味歴史的な名著だ。クソ本として捨てずに置きたい。

アジアの平和を乱す米韓軍事演習

2015-03-04 00:02:39 | 北朝鮮
北朝鮮政府は今年の1月初旬、米韓が合同軍事演習を臨時中止するならば、
米国が憂慮する核実験を取りやめる措置を講じる
と訴えていた。

日本の左翼・右翼合同北朝鮮悪魔化言論によって、
このことは伏せられたし、実際、ニュースにすらならなかった。

北朝鮮が核実験を停止する兆しが見えていたというのに。

繰り返すが、対話の扉は開かれていた。軍縮の可能性はあった。


オバマがキューバと対話を持ち込むと、それはニュースになる。
たとえ、テロ支援国家リストからキューバを削除することが義務でないとしてもだ。



他方、北朝鮮が非核化の動きを米韓の軍事演習の中止を条件に求めても、
それはニュースにならない。その後、米韓が提言を無視し演習を実行したことに対抗し、
北朝鮮が弾道ミサイルを発射すると、途端に大騒ぎする。いったい、これは何なのか?





他方、外国は米韓軍事演習をどう伝えているのだろうか?

北朝鮮同様、米欧およびその属国のメディア・学者・ジャーナリストによって
悪魔化されているロシアとイランの識者の意見を紹介しよう。まずはロシアから。



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ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮調査センターのアレクサンドル・ジェビン所長が、対朝鮮政策に関する米・日・南間の懇談(1月28日、東京)が開かれたことに言及し、朝鮮の核保有は米国の不当な対朝鮮政策の産物であると指摘した。ロシア国営メディアである「ロシアの声」が発言の詳しい内容を伝えた。朝鮮中央通信も一部の内容を紹介した。

朝鮮の核実験期待する米国


朝鮮はかなり真剣に交渉する気でいる。
朝鮮から最近出されている声明をみればそれが分かる。


特に、核実験、ミサイル発射の一時的モラトリアムに同意するという部分だが、
それは米国および韓国が軍事演習を行わない場合に限る。

演習を朝鮮は自国の安全保障への脅威とみなしている。

韓国のマスコミも、
この演習で平壌をはじめとする
朝鮮の行政中心地を占領する戦術を立てている
あからさまな発言を行っているからだ。



このため、米国が演習は防衛的性格を持つものと
いくら強弁したところで、これは批判に耐えられるものではない。





ここ最近、米国は朝鮮が新たなミサイル発射または核実験を行うのではないかと期待していた。
これが起きれば米国は一方的な追加制裁を合法化できるからだ。

こうした制裁は一部はすでに発動されており、新たな制裁は国連安保理のラインで発動されている。
これらは朝鮮を国際金融システムや国際取引から孤立化させかねないものだ。
これは本質的には金融制度を朝鮮に対抗する武器に用いることになる。



こうした措置の最終的な目的は、朝鮮の経済状況を最大限困難にし
国民の、もしかすると一部のエリート官僚の大規模な不満を呼び覚ますことで、
国内情勢を不安定化させることだ。



ところが、朝鮮の強硬なリアクションを待ちきれず、米国とその同盟国らは困難な状況に陥った。
朝鮮は米韓に対し、新たな平和的発案をどんどんと推し進めているからだ。
こうした発案は6カ国協議の参加国をはじめとする多くの国には建設的なものに思われる。


新華社通信は、
「米国が、合同軍事演習の一時停止を引き換え条件に核実験を延期するという
 朝鮮の提案を完全に拒否したことは、朝鮮半島における信頼関係を促すものではない」
と指摘している。


中国は、米国が朝鮮に対してみせる「盲目的な自信過剰と不変の侮辱」は
状況をさらに大きく悪化させかねないとの見方を示している。



これは20世紀半ばにウィリアム・フルブライト
米議会上院外交委員会委員長が規定した「力の自己欺瞞」による政治だ。




まさにこの力の自己欺瞞、朝鮮の抱く自国の安全保障の憂慮を米政権が考慮したがらないことが、
今、朝鮮を核兵器を持ち、人工衛星を打ち上げる国に仕立ててしまったのである。




米国は以前と変わらず朝鮮とは合意を結びたがらないだけではない。
話をするのも嫌がっている。これは先日、米国務長官が、朝鮮が、
合同軍事演習を止めたら朝鮮も核実験を一時停止するという提案を行ったことに対し、
これを「隠された脅迫」かのように受け止め、退けたことにも現れている。


それどころか、オバマ米大統領は
最近の声明のなかで朝鮮の不可避的崩壊について予言を行った。



このため、私は米・日・南3国の懇談は一方では、
米国が平和愛好的に邁進しているのだという裏づけを国際社会に「売りつける」ような
何らかのプロパガンダ的アプローチに同意するためのものであった可能性も除外しない。


別の見方をすれば、同盟国を「ひざまずかせ」、
米国の出す新たな対朝鮮制裁への支持を強要するものだったのだろう。



この制裁は朝鮮に向けられるばかりではなく、韓国他、米国連合国に対し、
朝鮮となんらかのコンタクトや接近を図るなという警告の役割も果たす。



前提となる「北朝鮮の脅威」



2015年初頭、朝鮮は南北間サミットの実施も辞さないとの声明を発表した。
これに対し、韓国の朴大統領も同意を示している。


南北朝鮮の首脳らは、日本の植民地支配からの解放70周年を目前に控え、
南北分断の状況を克服し、多くは米国のせいで南北朝鮮関係が陥っている
この袋小路から抜け出るため、両国の首脳が尽力しているところを両国民が目にするように、
何らかのことを行わねばならない。



こうした南北朝鮮のアプローチは米国に激しいアレルギーを呼び起こす。
1990年代に、南北朝鮮が首脳レベルで和平と不可侵、交流、協力についての
合意を結んだときもそうだった。2000年、初の南北朝鮮サミットが実施されたときもしかり。


両方のケースで米国のアナリストらはすぐに憂慮の念を表し、
南北が平和的に協力し始めたら、米軍はどうなるんだと書きたてた。



米軍は「北朝鮮の脅威」があるという前提のもとに
朝鮮半島に配備されているのであり、
そうなると配備の意味が失われてしまうからだ。




ここ数年、朝鮮半島に有事の際は、韓国軍の指揮権は自動的に米国のジェネラル、
つまり韓国駐留米軍司令官に移行するという状況ができあがっている。



韓国の将軍らへの指揮権の移譲は2012年とされていたが、その後2015年に変更された。
そしていま、これは「条件が整わない限り」期限を区切らず延長されようとしている。



だが私たちは、アフガニスタン、イラクで、そのほか米国が介入した国々での条件が
「どう整ったか」を目の当たりにした。つまりこの「時」は無限に待たねばならない。


ところでまさにこの理由で朝鮮は韓国とではなく、米国との和平締結を主張し続けているのだ。
朝鮮は、ソウルでのパレードを実際「指揮している」のが誰なのかを良く知っているからだ。

(http://chosonsinbo.com/jp/2015/02/20150206riyo-5/

 この米韓軍事演習は北朝鮮にとっては正真正銘の脅威であり、
 過去、何度にもわたって批判されてきた。例えば、次のような文書がある。
        ↓
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-52d9.html)
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ロシアほどではないが、イランもなかなか、どうして手厳しい。



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アメリカと韓国の大規模軍事演習




ホセイニー解説員

アメリカと韓国の合同軍事演習が2日月曜、始まりました。

この演習は「フォール・イーグル」と「キー・リゾルブ」と呼ばれ、
二段階に渡って4月24日まで実施されます。

この演習では韓国軍およそ1万人、アメリカ軍8600人が参加し、
沿海域戦闘艦フォート・ワースも加わります。

北朝鮮はこれ以前、何度となくこの演習に関して警告を発し、
それを北朝鮮への攻撃に向けた準備と見なしていました。



北朝鮮はこの演習の実施を前に、弾道ミサイル2発を発射し、
「あらゆる脅威に対抗する用意がある」と表明しました。




アメリカと韓国の合同軍の司令部は、定例合同軍事演習の目的は
北朝鮮の脅威に対抗するための両国の合同軍の作戦能力を強化することだとしていますが、
北朝鮮はこうした主張を否定し、アメリカの目的は朝鮮半島を無意識に戦争に向かわせることだ
として非難しています。



北朝鮮政府は、常にこうした演習に反対を表明し、
その実施は朝鮮半島の緊張拡大の直接の要因であり、
北朝鮮への攻撃に向けたこの2カ国の用意を示すものだとして、
その停止を求めています。



北朝鮮はさらに、合同軍事演習は北朝鮮の主権に対する深刻な軍事的挑発にあたるとし、
朝鮮半島の平和と安定の維持に向けた明らかな脅威であると考えています。



北朝鮮の警告が無視されたことにより、
北朝鮮のキムジョンウン第1書記は、アメリカと韓国の合同軍事演習の実施を前に、
北朝鮮のすべての部隊に戦闘待機態勢に入るよう命令を下しました。




政治問題の専門家は、アメリカと韓国の今回の軍事演習の実施を、
朝鮮半島でのアメリカの覇権主義的な目的の方向で分析しています。



アメリカは朝鮮戦争の後、
韓国と安全保障条約を締結することで、
同国に大規模な軍事駐留を展開し、
南北朝鮮の関係の改善を妨げただけでなく、
この地域の危機の継続により、
実際、韓国に軍を常駐化させました。


アメリカは実際、韓国を軍事化し、
朝鮮半島で戦争状態を作り出すことで、
韓国におけるアメリカ軍の駐留に対する
住民の反対を抑えようとしています。




専門家の中には、アメリカは韓国を「裏庭」に変え、
再三にわたる軍事演習実施のための場所として東アジア諸国の問題に介入していると見る人々もいます。



アメリカは、アジア太平洋地域への復帰という軍事戦略の方向で、
領土問題を煽ったり、地域諸国と合同軍事演習を実施するなど、様々なシナリオを推し進めています。



この政策は北朝鮮の反対に加えて、中国など、東アジアの多くの国の抗議も引き起こしているのです。


(http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/
52594-%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81
%A8%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%A4%A7%E8%A6%8F
%E6%A8%A1%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E6%BC%94%E7%BF%92)


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沖縄の基地問題も韓国の基地問題も同じである。
北朝鮮消滅計画部隊の発進基地として利用される。


北朝鮮問題=米軍基地問題
=アメリカによるアジア侵略の問題なのだ。




よって、少なくとも護憲や軍縮を語る人間は
この北朝鮮に対するプロパガンダ攻撃に対してノーをたたきつけ、
北朝鮮を含んだアジア平和を掲げるはずだろう。



ところが、実際には日本の左翼は
右翼とつるんで北朝鮮を悪魔化させているのである。

誰に頼まれたわけでもなく。
彼ら自身の意思で。




もしかすると、後の記事で詳しく取り上げるかもしれないが、
次の記事を読んでみてほしい。

北朝鮮の「こけおどし」に慌てるな -神格化と体制引き締めのプロパガンダ -
やはり「こけおどし」だった北朝鮮の戦争宣伝 - 当面は中国に重い責任-
究極には全世界の核廃絶を -



試しに、上の記事における北朝鮮に対する評価をザッと拾い上げるとこうなる。


連日のように戦争ムードを掻き立てている。

これこそ、飢餓人口270万人(WFP=世界食糧計画=の推定)を抱えながら、
核兵器に血道を上げる金正恩体制の姿である。


(北朝鮮は年々、食料問題が改善されつつある。
 加えて国連機関により、食料も援助されており、飢餓とは程遠い状況まで回復している。
 上の記事を書いた人間は、90年代の北朝鮮の事情しか知らないのだろう)


あまりにも稚拙

こんな「稚拙」な宣伝文句は、外部の人々からは冷笑されるだろうが、
外界の事情を知らされていない北朝鮮内部の人々には、
正義の戦いに立ち上がった偉大な指導者としての「元帥様」のイメージが刷り込まれる。


このプロパガンダの主眼は、若い3代目(金正恩)が
初代(金日成)や2代目(金正日)に劣らぬ有能な指導者であることを売り込むことである。


内実はれっきとした君主制なのに「民主主義」や
「人民共和国」といったオブラートで包み、内実を隠したつもりでいるところがいやらしい。


一方オバマのアメリカは、恒例の春期米韓合同軍事演習
「キー・リゾルブ」に今年初めて核攻撃可能なステルス爆撃機B2と
最新鋭のステルス戦闘機を派遣した。また高性能レーダーと迎撃ミサイルを
装備した最新式イージス艦フィッツジェラルドを黄海側の韓国沖に配置して、
北朝鮮を牽制した。

しかしオバマは北朝鮮の挑発を北朝鮮独特の瀬戸際作戦だと見抜き、
冷静に対応する構えだ。



……以上だ。

要するに、北朝鮮はとてつもない地獄であり、
正義の番人アメリカが冷静に対応しているということらしい。



ここでは、アジア地域を揺らがす第二次朝鮮戦争予行演習である
米韓合同軍事演習は「恒例」の一言で済まされるどころか、
その目的が北朝鮮へのけん制という
あたかも防衛的なものであるかのように語られている。


事実が逆転しているのである。


それどころか、上の青文字で着色した文章、
安倍晋三の取り巻きが書いたものだと説明されても違和感がない。


これほど事実が歪曲(米韓軍事合同演習への抗議のための威嚇行為が
独裁政権強化のためのプロパガンダとして歪められる。結果として、
アメリカの帝国主義的軍事行動は正義に属するものと逆さまに評価される)したものはない。


愚劣。卑劣。下劣。
これが護憲と軍縮と共生を掲げる
日本の平和団体の文章なのである。

(http://lib21.blog96.fc2.com/)




共生?いったい誰と?

結局のところ、彼らにとっての平和や共生とは
自国(正確にはアメリカ)の敵国が滅んだ先にあるのだ。



北朝鮮を消滅させることを「併合」というのは、
かつての朝鮮国を消滅させ、大日本帝国に「併合」させた際の
帝国人たちの言葉とそっくりそのまま、詭弁の極みである。


そんな有様だから
積極的平和主義にとって代われようとしているのである。

(この記事が書かれたのが2年前だということを考慮しても、
 大体、日本の左翼が書いている内容は、これと大差ない。)



このブログで私は再三、日本の主流左翼は反共に固執するあまり、
右翼と大差ない意見を言うまでに堕してしまっており、そのために
右翼に対する強い抵抗運動になっていないことこそが右傾化の真相(左翼の右傾化)だと主張してきた。



最近の北朝鮮の報道や市民活動家の記事を見ると、
いよいよもって自民党化してきたなと、大変危機的な状況にあるなと思わずにはいられない。



もちろん、多数の市民は自分の意見を文章化してはいないわけで、
おまけに私はツイッターやフェイスブックもやらないので、
これは狭い視野からの感想かもしれない。むしろそうあってほしい。


アメリカの世界戦略に則った形での平和など、何も生み出さない。
それはイラク・アフガン戦争しかり、アラブの春しかりだ。


本当に平和を願っているのならば、少なくとも私たちは自民党化してはいけない。
これを肝に銘じなければ、とてもじゃないがジャーナリズムなど存在できないのである。

元反プーチン派の塩原俊彦氏、共産党をアホの塊という

2015-03-03 00:19:26 | 反共左翼
久々に強烈な反共左翼が登場した。

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高知大学の教授で、昨年末に刊行された「ウクライナ・ゲート」の著者、
塩原俊彦氏は、ラジオ「スプートニク」の独占インタビューで、
なぜ近い将来に状況の改善を望むのは無意味なのかについて、次のように語ってくださった。


「今、日本では悪い時代に入っていて、安倍晋三っていうのが首相をやっていて、
 国が力をつけていて、自由民主党が支配をしていて、なかなか変わりそうもない。

 民主党もだめだから、自民党がこれから日本の政治を10年、20年と
 支配していくだろうと思っている人がたくさんいると、国家のことを批判できないでしょう。

 日本国を批判できないということは、イコール米国も批判できない。
 でも10年前には自民党もたいしたことなくて、社会党、民主党が
 一応力をもちつつあって、米国を批判したって、別にどってことなかったんですよ。」


SPUTNIK:ところで、いま日本の共産党はどうですか?何かを行う力を持っていますか?


「是非知ってほしいのは、日本共産党なんてアホの塊なんですよ。
 その本の中に名前を入れて書いておきましたけど、
 日本共産党のトップは志位 和夫(しいかずお)は日本の国会で安倍首相にむかって、
『日本はもっと厳しいロシアへの制裁を加えなければいけない』と質問しているわけですね。
 わかります? 志位などという共産党のトップがですよ。
 ロシアが悪いからもっと厳しい制裁をしろって、言うんですよ。
 国会で首相に。日本共産党って、もっとロシアについて詳しく
 研究するブレーンがついていなければならないと思いますけど、
 これではいかに馬鹿か、本当に何も知らないか、これでわかるでしょう。」

続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/2015_03_02/283156574/
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『ウクライナゲート』立ち読みしたが、買うまでには至らなかった。
 本当に買わなくて良かったと思う。


さて、ここで考えてほしいのだが、
今から10年前の2004年や2005年の小泉政権時代、
自民党は大したことがなかったのだろうか?





むしろ、この頃は小泉旋風まっさかりで、自民党の天下だったのではないだろうか?
2005年の衆議院議員選挙では、自民党の圧勝、小泉劇場という言葉まで作られていたのである。

(民主党が台頭してきたのは、その後の第1次安倍政権、福田政権、麻生政権からであり、
 この頃は62議席も落としていた。共産党も今よりも少ない議席数だった。

 唯一、社民党がまだ7議席獲得しており、現在の2議席とは大きく違っていた。
 もしかして社民党の議席数を基準に考えているのだろうか?)

小泉政権といえば、思いっきりわかりやすい親米政権で、
イラク・アフガン戦争を支持し、米軍を支援する法律まで作った。

つまり、10年前と言えば、アメリカに続けとばかりに対米従属政策をとっていた頃であり、
なにをもって塩原氏がこの頃を懐かしんでいるのかさっぱり理解できないのである。


第二に、共産党を含めた左派野党は10年前から米国を批判していたし、今でもしている
というよりも、共産党のお家芸はアメリカ批判である。アイデンティティのようなもの。



塩原氏はアメリカを批判しない=ロシアを批判する
という妄想に陥ってはいないだろうか?




共産党がロシアに敵対するのは、60年代前半からソ連共産党と絶交し、
対立してきた歴史があるからだ。

それは、一応関係を改善した冷戦終結以降も変わらない。



そして、私が塩原氏について思うことは、
自分だってロシアの悪口を書いてただろ
ということである。


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二〇〇八年のグルジア侵攻、九九年から一〇年間続いたチェチェン戦争など、
プーチン以降のロシアは再び「軍事大国」への道を猛進しているかのように見える。

しかし深刻な経済危機の中で、難航する軍改革、ハイテク化の進まぬ非効率な巨大企業を多数抱え、
国際競争に遅れをとる武器輸出など、その抱える課題は深刻だ。

現在、急速に再統合化が図られ、国家管理の下に置かれつつある
ロシア軍需産業の実態と問題点を、豊富なデータから読み解く。

~「軍事大国」ロシアの虚実(岩波書店、2009年)紹介文より~



最後に本書の表題になった「プーチン2・0」についてであるが、
これはもちろん、今年3月に実施されるロシア大統領選挙でプーチンが
勝利するであろうことを既定事実として表現しているのである。

著者によれば、権力者自らが腐敗している場合、一方では反腐敗の旗振り役にもなりうる。
腐敗との闘争を看過すれば、権力者自身が国民から見放されるからだ。



プーチンそのものが腐敗していると断定する著者には、
プーチン自身が自らを厳しく律する姿勢を求めることに留まって、
本質的に反腐敗政策に期待を寄せてはいない



つまりロシアの、プーチンの腐敗の問題解決は
外部からの、
外国からの監視や批判を不可欠とする
というのだ。

~プーチン2.0―岐路に立つ権力と腐敗(東洋書店、2012年)書評より~
(http://chikyuza.net/archives/18850)

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なんのことはない、つい3年前まで
いかにプーチンが悪党であるのか、プーチンが大統領になればお先真っ暗になるのか、
外国による監視が必要であるのかを力説し、そういう本ばかり乱発していたのは
他ならぬ塩原氏だったのである。

現在のウクライナ情勢に関する欧米メディアのプロパガンダは、
まさに彼の言説と全く同じものである(プーチンの悪魔化とロシアの監視の主張


注目すべきはグルジアへのロシア軍進軍についての説明であり、
これはグルジアが南オセチアを軍事進攻したのに対して反撃した事件なのだが、
いかにも悪の帝国ロシアが正義の国グルジアを痛めつけたかのように書いている。
(これも当時の欧米メディアと同じ見解だ!)


塩原俊彦教授は
ガチガチのロシアバッシング大好き人間だったのだ。



それが、どういう経緯か知らないが去年から急に親ロ派に転向し、
「ロシアをいじめるなんて許せない~」とブチ切れている次第である。


私も共産党のウクライナ問題に対する姿勢は散々批判してきたが、
こういう下劣なコメントをした覚えは少なくともない。


というか、この相手を見てコロコロ態度を変えるところ、人間として非常に見習いたくない。

こういう状況次第で自分の手のひらをクルクル返せる方の言うことに
どれだけ信憑性があるのか、非常に疑わしいものである。


ウクライナ問題についてはロシア・トゥデイを初めとして、
情報はいくらでも収集できるし、ポール・クレイグ・ロバーツ氏をはじめとする
優秀な分析者がいくらでも海外にはいる。大変失礼だが、塩原氏はいなくても困らない。

むしろ、足を引っ張るだけなので、出てこないでもらいたいのだが…(無理なんだろうなぁ)

やはり懐柔策だったキューバ国交正常化交渉

2015-03-02 00:45:55 | リビア・ウクライナ・南米・中東
アメリカの外交戦略はブッシュ政権時から変わっていないどころか、
冷静に振り返ってみると、アラブの春以降、その強硬姿勢はむしろ強まってすらいる。


たとえば、北朝鮮に対しては、何度も北朝鮮国境付近での軍事演習を止めるよう
要請している(しかも北朝鮮は、それと引き換えに自国の核実験の自粛を提示した
にも関わらず、今年も米韓合同軍事演習は実行された。

この演習は先制攻撃を想定したものであり、核搭載が可能な戦闘機も用いられている。
仮に日本が東京湾の領海付近でこれをやられたらどう思うか…想像してほしい。


東ウクライナに関しても、現地住民による住民投票の結果、独立政府が樹立されたのに、
テロリストが占拠しているということにして、空爆を繰り返し自国民を虐殺している
キエフ政権を支援し、それどころか自国のエージェントを同政権の閣僚に任命させている。


あまりにも帝国主義的な政策を行っているアメリカ。
キューバにだけ態度が変化するということはない。そのことを私は以前から指摘している。


さて、赤旗を読むと、案の定、交渉が難航していることが書かれていた。


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米国とキューバの国交正常化交渉の2回目が2月27日、米国務省で行われました。
米政府のキューバに対するテロ支援国家の指定をめぐり両国間に見解の相違が依然としてあり、
国交回復に向けた大使館の相互設置の合意には至りませんでしたが、
両国とも引き続き前向きに協議を続ける姿勢です。


キューバ外務省のビダル米国担当局長ら代表団は今回の交渉を「進展があった」と評価。
キューバ側はテロ支援国家指定の解除を強く求めています。

ビダル局長は交渉後の記者会見で、指定の解除は国交正常化の前提条件ではないが、
キューバにとって優先事項で「重要な問題だ」と強調しました。



次回の交渉日は決まっていませんが、両国は引き続き連絡を取り合うとしています。
ビダル局長は指定の解除について、数週間以内に前進があるとの見方を示しました。



テロ支援国家の指定の解除について米国側は、
国交正常化の交渉とは別問題との従来の姿勢を示しました。

一方で、米側の代表、ジェイコブソン国務次官補(西半球担当)は、
今回の交渉は「生産的で励みになるものだ」としました。



米政府は、オバマ米大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長が
出席する予定の4月の米州首脳会議までに、大使館の相互設置などで合意する意向です。
ジェイコブソン国務次官補は交渉後の記者会見で、同首脳会議までの合意は「できると思う」と述べました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-03-01/2015030106_01_1.html

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赤旗は半分好意的に解釈しているが、ロシアトゥデイは批判的に述べている。

Progress made as US, Cuba meet for round two of diplomatic normalization talks

She added to Reuters that
彼女(ビダル局長)はルーター通信に
it would be "very difficult to say that we have re-established relations
「我が国の名がテロ支援国家のリストに残っている限り、関係が再構築されたとは言い難い。
with our country still on a list that
 キューバはこれまでも、そしてこれからもそのリストに該当しない。」
we believe very, very firmly that we have never belonged to and we do not belong to."


つまり、テロ支援国家の指定解除が前提条件だと述べているのである。
これは当然だろう。アメリカはこれを口実に経済制裁を正当化してきたのだから。



アメリカの考えは、テロ支援国家というレッテルを剝がさないまま、
キューバとの外交改善を目指すことにある。識者は今回の和平案はトロイの馬だとコメントした。

US-Cuba thaw opens door to 'American Trojan horse'

時間があれば、翻訳したいと思う(いつも通りの意訳&要約だが)。

いずれにせよ、フィデル・カストロが述べたように、
アメリカという国を信用せずに平和的に話し合うこと。それが肝要だ。