Colors of Breath

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エピソード2『底なし沼』(1)

2008-06-26 18:22:55 | 22.思い出物語


エピソード2

『底なし沼』(1)



いちいは幼い頃から、野山の探検が大好きだった。小学校に上がるまで、主に祖父母と生活していたせいで、自然に身に付いた習慣でもあったと思う。自然や植物に親しみ多く、そういうものを使った手仕事に長けていた祖父と共に、材料探しに山に入ったりするのが日常だった。
小学校に入ってからも、事情あって日中は祖父と生活を共にしていたこともあり、山に対する怖いもの知らずな行動はさらに磨きがかかった。たかだか7、8歳の子どものくせに、獣道さえあればさほどの恐怖も持たず踏み入って行くくらい、山歩きが平気な子どもだった。

集落の周りには人の手付かずの自然があちらこちらにあった。小さいのは1キロ四方から、広くなれば5~10キロ四方に及ぶ湧き水の湧くような山地もあった。学校から帰ってくるとランドセルを放り出し、弟や近所の幼馴染みの男の子や女の子2人3人と示し合わせ、村はずれの密林探検に繰り出して行った。

ある時、いちいは一人でふらふらと気の向くままに探検に出た。この先には何があるのだろうと、いつも気になっていた道があったからだ。その道は、高台にある自分の村から南へ坂を下り、大きな木がトンネルのように覆いかぶさって日光を遮断するように続いていた。暗いが、車が通れるほど広いみちで、ちっぽけないちいは、吸い込まれるようにその坂を下っていった。

間もなく、左手側に地形が明るく開け、数件の民家がある、隠れ里のような村落が現れた。あまり人気のない東西に長いその村の道を東へ歩いて行くと、北へ(左手側へ)向けて少し薄暗い山の中へと続く上り坂に出くわした。そろそろ陽も落ちる頃の帰巣本能ともいうべきか、この道を上って行けばきっと、以前自分の村で新しく見つけた細い道(その道は、村から明らかにどこかへ続いていたが、どこへ辿り着くかは、まだ未確認のままだった。)に繋がって、近道になっているに違いないと思った。根拠のない確信に導かれて、薄暗い山道を上り始めた。

(次回につづく…)





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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんわ (眞冬)
2008-06-25 21:27:51
コメントみました。
有難うございます。あんなところでよかったのでしょうか?
方向性が定まらないので、出鱈目ですえ(笑)
ちまちま更新、ときどき放置ですが、よろしくお願いします。
返信する
眞冬さんへ (ichii)
2008-06-25 23:34:21
ありがとうございます。
言葉の選び方や綴り方に不思議な魅力があって、
とても興味を持って目を通しました。
早速早速加えよう。
眞冬さんを混乱させそう、なごった煮のようなブログですが、
又遊びに来て下さい。
返信する

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