「ふぅ。」
日下部浩一郎はせっかく入った、スイミングスクールが飽気味だった。
やはり、スイミング指定の水着と学校のスクール海パンが苦手だったのだ。
これが苦手だったのだ。
大人は、これが現代的だと言う。
黴くさい昔を通り越して、今はこれがいいんだ。そう言われている感じがした。
大人の言うことを信じろ。そんなふうに考えてしまうのだ。
そんな、やる気のない態度はこーちにめがとまった。
「浩一郎、ひょっとしたら、水着に不満があるんじゃないのか。」
図星だった。
「今度俺が、面白いところに連れてってやる。」
コーチは、浩一郎に目配せをした。
「えっ。」
浩一郎はキョトンとした。
そこは、呉服屋で和装小物などが売っている店だった。
和服の他に、晒なども置かれていた。
「おやじ、この子に赤い晒をきってくれないかな。」
コーチは言う。
オヤジはそう言うと、晒を浩一郎を見ながら切っていく。
「何をするんですか。コーチ。」
浩一郎はコーチを不安そうな顔で覗き込んだ。
「ああ、浩一郎がやる気を出す、特性の水着だ。これを着ると、力を増す。」
コーチはただそう言うだけだった。
つづく
日下部浩一郎はせっかく入った、スイミングスクールが飽気味だった。
やはり、スイミング指定の水着と学校のスクール海パンが苦手だったのだ。
これが苦手だったのだ。
大人は、これが現代的だと言う。
黴くさい昔を通り越して、今はこれがいいんだ。そう言われている感じがした。
大人の言うことを信じろ。そんなふうに考えてしまうのだ。
そんな、やる気のない態度はこーちにめがとまった。
「浩一郎、ひょっとしたら、水着に不満があるんじゃないのか。」
図星だった。
「今度俺が、面白いところに連れてってやる。」
コーチは、浩一郎に目配せをした。
「えっ。」
浩一郎はキョトンとした。
そこは、呉服屋で和装小物などが売っている店だった。
和服の他に、晒なども置かれていた。
「おやじ、この子に赤い晒をきってくれないかな。」
コーチは言う。
オヤジはそう言うと、晒を浩一郎を見ながら切っていく。
「何をするんですか。コーチ。」
浩一郎はコーチを不安そうな顔で覗き込んだ。
「ああ、浩一郎がやる気を出す、特性の水着だ。これを着ると、力を増す。」
コーチはただそう言うだけだった。
つづく