「そろそろ来る。」
面馬家の当主面馬遷は、時計を見た。
屋敷の外をみたら、車が一台止まった。
「来たか。日本列島からの客人だな。」
遷はにやりと笑った。
「日本列島からの客人だなんて誰なんですか。」
炎は聞いた。
「知らないのか。日本列島にある長崎市に本社のある外食Chainのceoだよ。
日本における面馬家のリーダー的存在だ。」
「はぁ。」
炎は気の抜けたサイダーのような声を出した。
そのときドアが開いた。
「遷様、面馬仲達まかりこしました・・。」
白髪は目立つが細面のNiceMiddleといった感じだろうか。
「ちゅうた・・。いや日本では面馬仙三郎という名前で通っているかな。」
と、客人に告げた。
「そうですね。仲達というのは和歌や漢詩をやるときの号みたいなものでしょうかな。」
と淡淡と告げた。
「ところで、仲達。」
遷は仙三郎をみた。
「先日日本列島にある秋田市での事件をどう思うかね。」
仙三郎は一瞬考えて、
「あれですね。出木杉英才殺人事件ですね。アジアの闇を司る出木杉一族の巨星が
落ちた・・・。私も好都合かと思いましたよ。秋田市は私の外食Chainも
展開していますからね。」
面馬一族の長である遷におかしな事をしゃべらされていると仙三郎は思いながら
「あの英才とか言う男、私らの店はよく利用していて、学生たちのゼミには
よく使っていました。ceoである私も褒めて貰ったのですが。しかし、
謙虚そうで、自らを過信しているきらいがありまして・・・。」
と表情を変えずに答えた。
「あの男、出木杉一族のなんたるかを忘れていたか・・・。おそらくだから、
殺されることを考えても居なかったというわけか。」
遷は状況がそこにあるかのように答える。
「私もビジネスの戦場にいる物。無能な息子よりも有能な部下にと考えている人間ですが、
部下も息子も何時牙を剥いてくるか分かりません。それを考えることがしばしばですが、
この出木杉の男慈愛でなにもかも解決すると考えていたのでしょう。
まさか、犯人の男に殺されるとは思っても居ないと思っていたのでしょうな。
もっともマスコミの報道から私の予測ですが・・・。」
仙三郎は遷の考えを彼なりに解釈をした。
「出木杉を殺した男、おそらくそれだけで終わるな。出木杉打倒のみ考えていたからな。」
つづく