どんぐりの木の下で

日々の出来事を書き留めています。

博士の愛した数式

2006年01月07日 | 
◆ 博士の愛した数式  小川洋子著  新潮文庫 460円 第1回本屋大賞受賞。


前から読みたいと思っていた本が文庫本になったので、早速ネットで買いました。
午後から読み始めたのですが・・・一気に4時間で読み終えました。



  博士の愛した数式
彼のことを、私と息子は博士と呼んだ。そして博士は息子を、ルートと呼んだ。息子の頭のてっぺんが、ルート記号のように平らだったからだ。・・・(途中略)・・・「これを使えば、無限の数字にも、目に見えない数字にも、ちゃんとした身分を与える事ができる」 彼は埃の積もった仕事机の隅に、人差し指でその形を書いた。
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柊舎(店長名:むつぞー)より】

『ぼくの記憶は80分しかもたない』そんな博士と、家政婦、その10才になる子供の物語。

◆静かで淡々とした文章で綴られるのは、大きな起伏はないけれど、なんとも美しい物語でした。
事故により80分の記憶しか持つことの出来ない博士に対し、家政婦とその子供ルートのやさしい想い、博士が子供にむける愛情。
その中に数字と数式、そして野球・江夏豊が文様のように綺麗に織り込まれています。
読んでいる内にとても切なくなったのだけど、それは設定の持つものではなくて、ほんのちょっとした場面の積み重ねからきたように思います。
そう、たとえ80分しか記憶がもたないとしても、博士も私もそしてルートもその時間の中でとても幸せな生活を過しているのです。
博士の見つける一番星、語られる数学、料理をする様子などなんとも無いよう事が、ものすごく綺麗で切ないのです。
きっとそれは語り手である私の、失われてしまったものへの想いでなのかもしれませんね。




静かで淡々と・・・本当にその通りの本でした。
読み終わった後、心の中を軽く暖かい空気がふわ~とするような感じ。
ルート、素数、友愛数、完全数、そして阪神の江夏投手の存在・・・

「博士の愛した数式」 お薦めの一冊です。
  o(*^▽^*)o



追記:
近々映画として公開されるらしい。
文庫本の帯に映画のシーンが入っているが、こういうのは出来ることなら止めて欲しい。
読む前から、博士は○○さん、家政婦は△△さんと俳優さんの顔が出ていると、どうしても固定観念で読んでしまって、楽しみが半減してしまう。
  
まぁ、映画化される前に原作本を読めばいいって事なんですが・・・
  (´Д`) =3 ハゥー