昨日2013年6月13日の続きです。
なぜ、エアコンスリーブを工事中に入れるのが面倒なのか?
また、完成後にエアコン用の穴を開けると、
構造強度以外に、どういう問題が生じる可能性があるのかをお話しします。
マニアックで難しいので、興味ある人だけ、読んでください。
まず、工事中に入れると面倒な理由は、
1 断熱材を、隙間無くきっちり入れにくい
2 防湿フィルムを正しく施工しにくい
3 外壁防水紙との切れ間を正しく防水処理しにくい
4 構造用合板等を使っている場合、その穴の補修が面倒
5 エアコンスリーブの固定が面倒
ということがあげられますが、上記以外でも
石膏ボードのくり抜き画面、外壁材とのシーリング処理が面倒
費用が余分に掛かる、などもあります。
さらに設計段階で、その位置を正確に決めておかないといけませんが
正確に指定するには、結構細かい部分を考慮して指定しないと
いろいろと面倒なことが起こってしまうことがあります。
それも、事前に行っていない大きな理由のひとつでしょう。
つまり、エアコンに合わせて、エアコン業者が後で穴を開ける方が、
本体業者も設計者も、トラブル責任の心配をしなくて良いからなのです。
昨日の例のように、事前に電気業者が聞いてくるのは、まだ良いほうで
昨日の写真のように、筋かいのことは考慮せず、黙って工事を行って、
誰も気付かないままというケースが、ほとんどでしょう。
では、面倒なら、後で穴を開ければ、それで良いのではないか?
筋かいさえ避ければ、良いのではないか?
と思ってしまう方のために、
完成後に穴を開けると、
どういう問題が生じる可能性があるのかをお知らせします。
一番問題なのは、外壁の防水紙が破れてしまうことです。
最近の住宅の外壁は、ほとんど通気層がある工法です。
風が強い雨の日、台風もそうですが、
どういうわけか外壁の通気層の中に雨が入ってきますので、
外壁の防水紙は、雨が家の中に入らないように守っているのです。
外壁の雨漏れの多くは、この外壁の中に入り込んだ水が、
通常は上から下へと防水紙の上を流れていくのですが、
それを防ぐはずの防水紙の破れや切れ目が途中にあると、
中に入り込んでくるために起こります。
サッシ廻りや、バルコニーの手摺の入り隅、配管や配線が貫通している部分
雨樋や物干し金物のビスなどなど…
そういう場所には、事前に防水処理をしっかりしないといけませんが
これが、正確にやってくれるかというと、なかなかできない、してくれないのです。
特に、エアコンスリーブの配管のように丸いと、
その廻りを防水テープで、正しく補修するのは手間なんです。
ところが、完成後に穴を開けると、その外壁内部の防水紙破れ部分の補修ができない。
やればできる場合もあるのですが、もっともっと大変手間が掛かり、
それを黙ってやってくれるエアコン屋さんは、存在しないでしょう。
やりたくでも、できない場合もあります。
運悪く、運が悪い場合だけですが、
そのエアコンスリーブか、その上部から外壁内部に雨が入ってしまい、
エアコンスリーブの修理していない防水紙の破れに水がくると、
中にじわじわ入ってきます。
困ったことに、断熱材があるので、長年、雨漏れに気付かずに、
構造体を腐らせていくこともあります。これが一番問題ですね。
次の問題は、
断熱材の問題です。
断熱材がグラスウールなどの繊維系の場合、穴を開けるときに
機械を回転させて穴を開けるので、グラスウールなどが刃に絡まり
グチャグチャになって、その部分の断熱材がちぎれたり、無くなったりします。
断熱性能が落ちるだけでなく、場合によっては表面結露が起こり、
カビが生えます。
また、室内側の防湿フィルムが破れる、
またはグラスウールなどの一体型の防湿フィルムの場合、
断熱材と一緒に無くなりますので
壁体内結露が起こって、特に北面などの日当たりの悪い場所ほど
外壁内部の構造体、柱や土台などが腐りやすくなります。
という問題が生じる可能性がありますので、
ミタス一級建築士事務所の場合は、施主の立場で考えて、
面倒でも、手間や費用が掛かってもエアコンスリーブを打合せの上
設計図書で、正確な位置を指示して、電気打合せでも確認し、
防水処理を含めて、工事チェックしています。
文字ばかりで、わかりにくかったですね。
写真は、そのうち、アップするかもしれませんが…
これは、期待せずにお待ち下さい。 (^^)ゞ
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