前回は、発酵食品が人類の歴史にとって長い付き合いのものであることをご紹介しました。
次に、発酵の元である酵母、酵素の働きについて、そして内部被曝からいかにして身を守るかについてまとめていきます。
酵母とは?
酵母とは、小さな単細胞を持つ菌類(微生物)の総称で、その種類は350種類ほどと言われています。
光合成は行わず、他からの栄養を分解、吸収して生きています。
樹液や花蜜、果実など、自然界のあらゆるところに生息しています。盛んに自身の細胞を分裂させて増えていくため、細胞の生まれ変わりに必要なDNA,RNAといった核酸成分を多く 含んでいます。
酵母は、有機物に含まれる糖をアルコールと炭酸ガスに分解する働きを持っています。酵母が分解に伴ってどんどん分裂・成長していく過程を『発酵』と呼びます。有機物を発酵させるとき、酵母のもつ酵素が活躍します。酵素は消化・代謝を促進するので体には必要な成分です。また、酵母には蛋白質、ビタミンB群、葉酸、ビタミンD、アミノ酸、ミネラル、更には核酸などの栄養素がたっぷり含まれています。
(若さの秘密参照)
広義の酵母に含まれるものとしては例えば以下の種があげられます。
- 出芽酵母 Saccharomyces cerevisiae
- 分裂酵母 Schizosaccharomyces pombe
- カンジダ Candida albicans
- アルカン資化酵母 Yarrowia lipolytica
- メタノール資化酵母 Pichia pastoris
- メタノール資化酵母 Hansenula polymorpha
- キラー酵母 Kluyveromyces lactis
酵素とは?
では、酵素とはなんでしょうか?発酵生活さんから引用します。
酵素とは
生物が生きていく上で行う、消化、吸収、代謝、排泄や、お肌や血を古いものから新しいものに替えていく新陳代謝など、ほぼ全ての「生命活動」において使われる非常に重要な「分子、物質」です。
酵素は酵母と違って生き物ではないですが、上記のような働きを担っています。
酵素は3種類
大きくは、体内で分泌される「体内酵素」と、食物として取り入れる「植物酵素」に分けられます。そして、「体内酵素」は「消化酵素」と「代謝酵素」に分けられますが、大元は一つで、その都度必要な方の働きをします。
「消化酵素」
その名の通り食べ物を消化するのに使われます。唾液や、胃液、腸液などに多く含まれます。ご飯などに含まれるデンプンを分解するのはアミラーゼ、肉などのたんぱく質の分解はプロテアーゼ、脂肪の分解にはリパーゼという酵素が働きます。そして、分解された栄養素は小腸で吸収され、身体中に行き渡るのです。
「代謝酵素」
我々生物の、動き、呼吸、脳の活動、老廃物の排出、肌の新陳代謝、自然治癒力など、全ての生命活動に代謝酵素が働いているのです。この代謝がしっかりと行われていれば、身体には老廃物は溜まらず、新陳代謝も活性で、見た目も、中身も若々しくいられるのです。
そこで!!
酵母を摂り、積極的に酵素に働いてもらって新陳代謝を良くしたいものです。
発酵食品をたくさん食べましょう
発酵食品とは、先述の通り、酵母や麹、カビや納豆菌などいろいろな微生物によって分解され、新たに体にとって良い成分が作り出されています。そして、ある意味、食べる前から微生物がある程度まで消化を進めてくれているとも言えます。そして、その豊富で生きている酵母や酵素が身体の中でも元気に働いてくれるのです。
飲物:日本酒、焼酎、ワイン、ビール
調味料:醤油、味噌、味醂、酢、
魚加工品:鰹節、塩辛、くさや、アンチョビ
漬物:糠漬けなど、キムチ、ピクルス
その他:ヨーグルト、チーズ、納豆
※但し、本来1年や長い年月かけて「発酵」させて作るはずのこれら発酵食品も、現代では「速醸法」といって、人工的に温度調整したり、添加物を入れたりして、数週間で作り上げてしまう商品がほとんどです。なるべく本物を選ぶようにしましょう。
発酵食品を摂るだけで消化や代謝が良くなるということは、デトックス、免疫力向上が期待できます。
ここまで延々と紹介してきましたが、酵母、酵素、発酵についてご理解頂けたでしょうか?
では、次の記事では内部被曝に効く発酵食品というテーマで送ります。
ここでSPA!から
内部被曝に効く発酵食品
原発事故で、大量の放射性物質がばらまかれた。気をつけても、知らず知らずのうちに体内に取り込んでしまう。そんな“1億総被曝時代”を生きるには、どんな食生活を送ればよいのだろうか?
◆自然栽培の先駆者が語る伝統食・発酵食のススメ
人間は一日に農薬や添加物などの数百種の化学物質を口から摂り入れているといわれる。この化学物質漬けの食生活に新たに放射性物質が加わり、体を痛めつけて細胞をがん化するリスクはさらに増えた。
「内部被曝時代を生き抜くポイントは、体の修復能力(免疫力)と排出能力(浄化力)を本来持っているレベルに戻すことにつきる」と語るのは、無農薬・無肥料で作物を育てる「自然栽培」の先駆者・河名秀郎氏。
「生命力の強い、自ら発酵能力を持った食材をいかに食べられるかがカギとなります。おなかの中で腸内細菌の働きを活発にして整腸作用を高める役割を果たすからです。人間の腸内には500種類以上100兆個を超える菌類が棲息しています。善玉菌が優性であれば免疫力が向上するんです。日本人が食べて来た和食が、世界的にも体に良い食事として注目されています。発酵食品は、その和食の中心になっています。」
とはいえ「発酵食品のすべてが体にいいというわけではない。素材の質が重要」と言う。河名氏は2つの瓶を取り出した。
「これは自然栽培のキュウリなんです。このように瓶に入れて3年たちましたが、腐らずにピクルスになりました。一方、肥料・農薬を使用した一般のキュウリ。こちらは腐ってものすごい悪臭がします。同じように、炊いたご飯を瓶に入れて放置しておくと、ほかのお米は腐ってしまうのに、自然栽培のお米は甘酒になるんです。この違いは、肥料を使っているかいないか。それが品質に大きく影響するようです。この違いは、自然に沿っているか、反しているかということではないかと思っています。自らの力で発酵する性質を持った食材を摂取できるかどうかがポイントなんです。生命力が弱く腐敗しやすい食材を一生懸命口にしても、腸内細菌はうまく働かないでしょう。
腐敗しやすい薬漬けの作物は、農薬や肥料に依存しないと生きていけない生命体とも言えます。このような食材を摂り続けた私たちの体が弱くなってもおかしくない。発酵食品といっても、どんな食材をもとにしているかも重要です」
【河名秀郎氏】
’58年、東京都生まれ。無農薬無肥料の「自然栽培」作物などを宅配する「ナチュラル・ハーモニー」代表。著書に『ほんとの野菜は緑が薄い』(日本経済新聞出版社)など
次に、麹について、発酵と腐敗についてお届けしたいと思います。
今日もお読み頂きありがとうございました。