駕籠屋がふたり、芝の高輪で客待ちをしておりますと、そこに侍が通りかかります。
「えー、旦那様、お供つかまつりましょうか」
「お、駕籠屋か。ちょうどよい、身共はこれより品川の遊郭に参ろうと思う。土蔵相模(有名な妓楼)まで急いでくれるか」
「へえ、ありがとうございます」
「酒代はやらんが、駕籠賃は充分にとらせるぞ」
「どれくらいいただけますでしょうか」
「拙者の『前のもの』の長さだけとらせるが、どうだ?」
駕籠屋がおそるおそる握ってみて驚いた。相当な長さのものがすでに硬くなっている。
喜んで客にして目的地まで運んで、貰った銭が四文銭で百と五十。六百文だからこりゃいい稼ぎでございます。
さて翌日、今度は土蔵相模の前で駕籠屋が待っておりますと、きのうの侍が出てまいります。
「旦那様、きのうはありがとうございました。きょうもお供を願いたいもので……」
「そうか、芝高輪まで参る。駕籠賃はきのうの通りでよいか」
「へえ、結構でございます」
「そうか、急げよ」
駕籠屋は喜んで、えっさほいさの韋駄天走り。
「へい、旦那、着きましてございます」
「いやご苦労じゃった。さ、遣わすぞ」
と、パラッと投げ出した銭が、四文銭で五十枚。
「あれっ、旦那、きょうはずいぶん少のうございますが?」
「使った後は、短くなるものじゃ」
「えー、旦那様、お供つかまつりましょうか」
「お、駕籠屋か。ちょうどよい、身共はこれより品川の遊郭に参ろうと思う。土蔵相模(有名な妓楼)まで急いでくれるか」
「へえ、ありがとうございます」
「酒代はやらんが、駕籠賃は充分にとらせるぞ」
「どれくらいいただけますでしょうか」
「拙者の『前のもの』の長さだけとらせるが、どうだ?」
駕籠屋がおそるおそる握ってみて驚いた。相当な長さのものがすでに硬くなっている。
喜んで客にして目的地まで運んで、貰った銭が四文銭で百と五十。六百文だからこりゃいい稼ぎでございます。
さて翌日、今度は土蔵相模の前で駕籠屋が待っておりますと、きのうの侍が出てまいります。
「旦那様、きのうはありがとうございました。きょうもお供を願いたいもので……」
「そうか、芝高輪まで参る。駕籠賃はきのうの通りでよいか」
「へえ、結構でございます」
「そうか、急げよ」
駕籠屋は喜んで、えっさほいさの韋駄天走り。
「へい、旦那、着きましてございます」
「いやご苦労じゃった。さ、遣わすぞ」
と、パラッと投げ出した銭が、四文銭で五十枚。
「あれっ、旦那、きょうはずいぶん少のうございますが?」
「使った後は、短くなるものじゃ」