モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

2024年12月16日、講演記録/男鹿毛無山の花2

2024年12月26日 | 男鹿の花図鑑

(本頁は「2024年12月16日、講演記録/男鹿毛無山の花1」の続きである。)

五月中旬になると、毛無山の山頂部では男鹿の名花とされるオオサクラソウが咲きだす。
一年で最も登山者が多くなる季節だが、樹木は葉を展開するため、林は暗くなる。
そのためか新たに咲く花は地味な花ばかりになる。
一方、森林性のランが次々と咲きだすので、そちらを探して歩くのはすこぶる愉しい。

オオサクラソウは北海道道南から北陸白山あたりまでの主に日本海側に分布すると聞くが、
登山道から間近に見られる場所は少なく、毛無山はそのベストのひとつかもしれない。

2019/05/14 オオサクラソウ
 


(右上)2024/04/28 オドリコソウの白花。

オドリコソウは男鹿に多く、海岸近くの草原から山林内まで広く群生する。

イチヨウランは割と量が多いが、花が緑色なので見過ごしてしまうことが多い。

2020/05/11 イチヨウラン



2020/05/08 フッキソウ。厳密には「草」ではなく低木。

 


(右上)2020/05/15 ムラサキヤシオ。

ムラサキヤシオは毛無山には少ないが、本山にみごとな群生地がある。

タチカメバソウは真山の山頂部には多いが、他の山域では見かけない。

2024/05/10 タチカメバソウ



ウマノスズクサ科カンアオイ属の植物は男鹿ではオクエゾサイシンとトウゴクサイシンの二種がある。

前者は本山や毛無山の山頂部に多く、山麓では見ない。後者は山麓から山頂部まで広く生育している。

2020/05/15 オクエゾサイシン
 


(右上)2019/05/14 ミヤマカタバミ

シャクは男鹿の彼方此方で群生している。

2022/05/20 林の中のシャク群生。



意外かもしれないが、此処は前頁「男鹿毛無山の花1」のフクジュソウ群生地のひと月半後の姿だ。
この花はスプリングエフェメラル(春の妖精)のように花が終わるとすぐに枯れて消えてしまう。

2024/05/10 エビネ
 


(右上)2019/05/29 キンラン。バックはウゴツクバネウツギ。

2022/05/20 ヤマシクヤク



2020/06/09 ミヤマナルコユリ



2020/06/13 トケンラン
 


(右上)2020/06/01 チョウセンキバナアツモリソウ。

チョウセンキバナアツモリソウは海外では割と広く分布している(シベリアや朝鮮半島、カナダなど)が、
日本では何故か男鹿毛無山だけという不思議な分布パターンを持つ植物だ。

2019/05/23 チョウセンキバナアツモリソウ。真山神社向かいの特別栽培地にて。



2020/06/13 スズムシソウ



2022/06/15 サルメンエビネ
 


(右上)2020/06/21 サイハイラン

2020/06/21 アキタスズムシソウ


以前はセイタカスズムシソウと思われていたが、2019年に新種記載されたとのこと。

「秋田」と冠するが、北海道から九州まで広く分布するそうだ。

以上。

「・・・講演記録/男鹿毛無山の花3」へ続く。

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2024年12月16日、講演記録/男鹿毛無山の花1

2024年12月26日 | 男鹿の花図鑑

2024年12月16日、秋田のとある自然保護団体の研修会が
潟上市で開催され、
何故か (´π`;)私が講演をすることになった。
今回の講演のテーマは「男鹿毛無山の花」。
その折に映写した花の写真(の一部)を本ブログでも報告させて頂く。

会場に行く途中、潟上市出戸浜付近から、日本海の荒海越しに男鹿半島を眺めた。
積雪はほとんどないが、空は鉛色で風は強く、海は大荒れだ。

左側の雲を被った山が男鹿毛無山。右は寒風山。




研修会場となった潟上市市民センター。




男鹿半島は大昔、男鹿島として本土から切り離され、離島だった時期がある。




そのためか標高700m前後と低い山なのに、秋田県本土とは違う植物が生育し、固有種がいくつかある。
また海外では広く分布しているのに、日本では何故か男鹿毛無山だけというような不思議な分布パターンの植物もある。
数が多いので、三回に分け、まずは春(3、4、5月上旬)に咲く花から。

2022/04/02 フクジュソウの群生。




男鹿は秋田で一番早く春の来る場所だ。
最初に咲く花はフクジュソウとナニワズだ。
通常は三月からだが、早い年には二月末から咲きだすこともある。

最近は温暖化の進行か、年々早くなっているように感じる。

2019/03/03 フクジュソウ。五社堂にて。

 


(右上)2022/04/02 ナニワズ。フクジュソウと同時期に咲く


フクジュソウの次に咲くのはカタクリやイチゲ類。

2021/04/03 五社堂境内のカタクリ群生。




2018/03/27 アズマイチゲ
 


(右上)2019/04/18 キクザキイチゲ。花びら(厳密には萼)の枚数が多いタイプ。


2011/04/13 エゾエンゴサクの群生。ケシ科のスプリングエフェメラル(春の妖精)。




2024/04/05 キバナノアマナ。ユリ科のスプリングエフェメラル(春の妖精)。




ホソバノアマナはユリ科のスプリングエフェメラル(春の妖精)だが、
キバナノアマナよりもひと月くらい遅れて咲く。

秋田では珍しいようで私は毛無山でしか見たことがない。

2019/05/04 ホソバノアマナ。
 

(右上)2019/05/14 ラショウモンカズラ。
国内原産のシソ科としては最大級の花を咲かせる。

ウィキペディアによると、名前はこの花を、渡辺綱が羅生門で切り落としたとされる鬼女の腕に見立てたものとあった。
この花はスプリングエフェメラル(春の妖精)ではない。


ニリンソウはスプリングエフェメラル(春の妖精)のひとつだ。

2024/04/22 ニリンソウの群生。五社堂の参道わきの群生。




シラネアオイ以下はスプリングエフェメラル(春の妖精)ではない。
この花は毛無山では西山麓、五社堂付近に多い。

2018/04/28 シラネアオイ。
 


(右上)2019/05/14 シラネアオイの白花


2019/04/18 ナガハシスミレ




毛無山はスミレ類の豊富な山でナガハシスミレは二番目に早く咲くが、数は最も多いかもしれない。

花の後ろの矩が長く突き出した姿を天狗の鼻に見立て、テングスミレとも呼ばれる。


2020/05/08 ヒトリシズカ

 


(右上)2020/05/08 ナツトウダイ


2020/05/08 キバナイカリソウ




以上。

・・・講演記録/男鹿毛無山の花2」へ続く。

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