モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

スミレ紀行1(ナガハシ、タチツボ、アオイ、ミヤマ)

2023年04月15日 | 野草/春

春の野山ではスミレの仲間をよく見かける。
スミレは可愛らしいその姿から愛好者も多い花だ。
本来ならもっと早く取り上げるべきだったが、
遅くなったのは、
私自身、この仲間の分類が苦手で、名前がわからなかったから。
2010年代から始めたfacebookの友人の中に、スミレに詳しい方が何人か居られた。
そのうちのお一人がいがりまさし氏(山渓ハンディ図鑑6 日本のスミレの著者)。
そういった皆さんに教えて頂き、なんとか同定が出来た。
種類数も20を超えたので、スミレ紀行と題して報告してみようと思う。

紹介する順番は本来ならば、
スミレ類の分類学的な位置づけに基づくのがベストかと思われるが、

今回は私自身がフィールドで出会う順番の早いもの、
ようするに早く咲くものから始めることをお許しいただきたい。
なお夏場、高山で見られる幾つかの種類については、
「高山植物」のカテゴリー、「高嶺のすみれは黄色がお好き。」で既に取り上げている
(タカネスミレ、キバナノコマノツメ、オオバキスミレ、ミヤマツボスミレ、
 ツルタチツボスミレ、ウスバスミレなど)。

前置きが長くなって失礼。
私が春になって野草を観に行く最初のフィールドは、

このところいつも秋田の男鹿半島か庄内鶴岡の高館山と決まっている。
どちらも最初に目に付くスミレ類はナガハシスミレだ。

2019/03/28 男鹿毛無山にて。



2019/04/18 男鹿毛無山にて。



2019/04/18 男鹿毛無山にて。カタクリと混生。
 
                                         2017/04/06 高館山にて。


このスミレは地上茎のあるタチツボスミレ類に属している。
この仲間はよく似ていて識別に苦労するが、
ナガハシスミレは、テングスミレの別名があるように、
花の後ろに長い距が天狗の鼻のように突き出しているので
比較的わかりやすい。
しかし後出のタチツボスミレなど近縁種と交雑して中間種も作りやすく、
どちらとも判別できないような株もよく見かける。
例えば・・・

2014/05/03 秋田市太平山にて。



この株はナガハシスミレとタチツボスミレの雑種ではないかとの指摘を頂いた。

以下、三枚はピュアなタチツボスミレと思われる。

2019/04/18 男鹿毛無山にて。



2019/05/10 岩手県・姫神山にて。



2019/04/28 八峰町にて。



タチツボスミレはご覧の通り、みごとな群生、花筵を作り、素晴らしい。
ただしこの花筵の上には蛇が日光浴していることが多く、蛇の苦手な私はいつも悲鳴を上げてしまう。 

男鹿のスミレで一番早く咲くものはずっとナガハシスミレだと思っていたが、
2021年三月下旬に訪ねた折り、別のスミレを見つけた。
それはとても小さく、葉も花弁も薄く柔らかな感じだった。
こんなか弱いスミレが遅雪の季節に咲き出すとは驚きだった。
ところで名前は何だろう。
アオイスミレの名は昔から知っていた。

しかし花はもっと大きいものだと勝手に思い込んでいた。
花色はうす紫色だが、中には青みを帯びた個体もあった。

アオイスミレ
2021/03/24 男鹿毛無山にて。
 

                                         2021/03/24 男鹿毛無山にて。


2022/04/02 男鹿毛無山にて。



男鹿毛無山では、五社堂を過ぎて少し登ると、

ピンクがかった花を咲かせるスミレが現れる。
最初は何だろうと思っていたが、上に行くと数が増えて、群生するようになった。
facebook仲間からミヤマスミレだと教えて頂く。
高山に生えるミヤマスミレの開花は六月と遅いが、
東北地方では低山にも多く、開花は四月中下旬とけっこう早い。

2019/04/18 男鹿毛無山にて。
 

                                         2022/04/28 男鹿毛無山にて。


五月に奥羽山系白木峠を歩いていたら、肉厚でかすかに白い斑の入った立派な葉をもつスミレに出会った。
みごとなスミレだと思ったが、これもミヤマスミレだった。

2018/05/16 白木峠にて。



同様に斑入り葉のミヤマスミレは姫神山でも見かけた。


2019/05/10 姫神山にて。



朝日連峰の大鳥池では紅味の強い大きな花を咲かせるミヤマスミレに出会った。

写真にすると、普通の紫色になってしまうが、私の肉眼ではドッキリするほどの紅紫色だった。

2019/06/25 大鳥池にて。



最後に昔、北上山地北部で見たピンク色の大型スミレ(花の径は約3センチ)を。


2011/05/14 
北上山地北部にて。



facebookで問うたところ、いろいろな意見が出た。
「ミヤマスミレの色変わりのように見える。
鋸歯が粗いことや、花が大きいことから、
倍数化した個体や交雑による雑種強勢も考えられる。」
「アケボノスミレとスミレサイシンの雑種だろうか。」


以上。


スミレ紀行2」へ続く。


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2 コメント

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お花のお顔だけでなく (flowerconnection)
2023-04-15 08:13:50
スミレは、あまり触らないようにしています。どれがどれだかさっぱりわからないので。
ひとつお願いがあります。仕事を増やすことなので恐縮なのですが、お花のお顔だけでなく、横側からや後ろ側からも見せてくださいませんか。
わたし自身は、なるべく別の角度からも撮影するようにしているのですが、必ずしもそういう画像をブログに載せるわけではありません。
また、いろいろ教えてください。
返信する
flowerconnectionさんへ。 (モウズイカ)
2023-04-15 09:23:36
コメントありがとうございます。
スミレに限らず、花は正面から写すことが多く、横顔は少ないです
(ユリのように筒型、あるいは下向きに咲く花は別として)。
花の後ろ姿を写すことはほとんど無いのですが、
いがりまさし氏の日本のスミレを見ても、スミレの後ろ姿は皆無でした(横顔はありました)。
横顔は心がけたいと思いますが、後ろ姿はどうでしょうか。
あと何シーズン、山に行けるかどうかわかりません。ご期待に添えるかどうか。
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