
「スキーが滑らなかったので心が折れた!」というのがレース後のコメントです。

(二日戻ります)全日本一日目15キロフリー競技。その日は予想より気温が下がりコースはアイスバーンのようになっていたようです、それが徐々に緩み始める頃、先に女子のレースが始まりました。音威子府村、全日本のコース、最後の下りはスピードも出てトップスピードで90度カーブを曲がります。男子のレースが始まる頃は、固いバーンを女子選手が制動をかけた時にできる溝でガタガタだったようです。結果、その下りで何人かの男子選手は、細いコーナーを曲がりきれずにコースアウトして滑落し、怪我人も出ると言うタイトなレースになったようです。
滑落したメンバーの中に拓も入っていました。幸い、レース後に行った病院の検査では臀部打撲という診断で、次の日の1.2キロスプリントには参加することができましたが、当日のレース結果は64位という過去に記憶のないほどの大きな数字を付けたレースとなりました。
「転んでから心折れた!」これがその日のコメントです。

心が折れると言えば少しかっこよく聞こえますが、つまり『諦めた』と言うことです。
50キロのレース、最後の一周はまさにレースを投げ出したような滑りでした。長距離選手で身体に酸素がいかず酸欠になることがありますが「もしや?」と疑う程、動きが緩慢だったように思います。すべてのレースで結果を残すのは難しい競技です。増して、マテリアルでの失速。2時間を超えるレース。撮影したビデオも見直しても、必死にポールを突いて下る姿を多く確認することができました。それにしても、あの走りや表情は褒められるものではありません。今の拓に諦めるレースなんてひとつもないはずなのです。
「思い」―――下りで転ぶのは焦りです。もちろん制動をかけてゆっくり滑れば大概の選手は転ぶことはありません。ただ、ゆっくり滑ることはレースとは反した行動ですからギリギリまで攻めるわけです。その思いが強ければ強いほど未熟を露呈することになります。早く走りたいと思えば思うほど転ぶ危険性があるのです。
「思い」―――スポーツ選手に置いて紛れる事こそ怖いものはありません。つまり程度の問題なのですが「このくらいでいいや」と思った時点でチャンスは減るのです。明確な目標がアスリートを育てると言っても過言ではない。今回の拓はかなり中に秘めた思いがあったに違いありません。世界ジュニアで感じた悔しさ、インカレで感じた満たされない思い、それを50キロにかけていたに違いありません。

拓を弁護するつもりは、さらさらありません。親として言わせてもらえば50キロのレースは最悪で、板を作ってくれたスタッフや応援してくれた人に申し訳ない思いで一杯。当然そのことは彼にも伝えました。そして、精神的な弱さ、力のなさを見せたレースだったと感じています。
ただ、今シーズン最終レースでの結果は、ふたつの思いが生んだ彼の胸の中にある失敗だったと思います。受けた心の傷は、なかなか癒えることはないかも知れませんが、その傷が深ければ深いほど超えるものも高くなるのです。来年からはシニア先代。シニアの一年生として、ジュニアで築いた位置と弱さを、この後、克服してくれる事を信じて、また来年も応援したいと思います。
長々と書いたわりには言葉足らずで、レース状況をお伝えするものとは程遠くなりましたが、この記事をもって全日本スキー選手権の観戦報告は終わります。残雪トレーニングや夏のトレーニングのの重要性はいうまでもありません。拓もさらにパワーアップを目指して頑張るものと思いますので、この後もご声援を宜しくお願いします。