旅立つ前に元職場上司からいただいていたもの、
『新久千映のまんぷく広島』。
その本はつまり、広島の美味しいところガイドブックであった。
とある翌日休みの日、
『山人』を見つける。
平和大通りの一角にあるのか。
店名:山人(さんと)
住所:広島県広島市中区富士見町4-28
営業時間:18:00~24:00
定休日:日曜日
電話番号:082-249-0366
入店。
「一人なんですが大丈夫ですかー?」
大丈夫であった、カウンターにご案内いただく。
平日木曜日夜であるが、賑やか。
着席して、見やると料理人の方々はみなさん厳しめの高校球児みたいな髪型。
(マンガの通りだ・・・)
『新久千映のまんぷく広島』新久千映(株式会社KADOKAWA)のとおりだったのだ。
お値段は、ムシマルが普段いくところよりも少し張るか?
言っても手が出ないくらいではない。2割~3割くらい上という感じか。
お野菜系が多いかなメニュー群。そらまめとか。
えーと、「ビールを」
料理どうしようか。
マンガで見て美味しそうだった『山人の燻製盛り合せ』と、さらに本日のおすすめからカキフライを。
まずビール。
このビールが美味しかった。
あんまり飲めていないけれど(あんまり飲めなかった理由は後述)。
飲み口が淡くて、ふむふむといける。
あ、カキフライだ。
2個か。
3つか4つくらいあるかなーと思っていたけれど、でかいし確か良い産地とされるところのものであったのでそんなものかもしれない。
どれ、噛んでやろうそら。
がじゃり。
ああ、上品。
「味はついていますが、足りなければお塩をお付けください」という店員さんのアドバイスを受けての何もつけず食である。
オイスターソースとかタルタルソースはない。
普段ムシマルはタルタルソースを好んでつけて食べるのだが、今回のこのお味、
苦みに引き絞られるような旨みが感じられる。
実際この苦みはバリエーションがある。
やわらかい苦みにアツアツの苦みに、甘いようにも感じられる苦み。
ふむー。
その頃に。
カウンター、ムシマルは一番手前席なんですがその隣に外人さんが3名座られる。
(さすが広島・・・、国際色高いな)
どうやら外人さん用のメニュー表もあるみたい。
そしてお店の方(大将さん?)も外国語できるのか、外人さんとコミュニケーションの障害なくスムーズに話される。
すご。
ちょっと遅れて突き出しが届く。
山菜とふろふき大根みたいなものと春巻きのようなもの。
ちゃんと説明してくださったんですが、ムシマルは頭から抜けている。
惨劇までもう片足突っ込んでおるからだ。
(うーーんカキフライが少し量が控えめだったな、
なんか頼もうか、いや燻製盛り合わせが来た後からがいいかな、いや混んでいるから早めに追加メニューした方が安心かな。)
そんな思いでメニューをもてあそぶというか、広げて見たり置いたりしていたら。
ガシャーン!!
ギャーやってしまった!!
カウンターの縁というか厨房への仕切り的なところに冊子メニューを立てかけていたのですが、
立てかけ方が悪く、表紙がぺろりとめくれてきて、飲みかけのビールを上から叩き落す形!
ⅼ→/🍺
・・・そこでムシマルが濡れるのなら、問題はなかった。でも気づいて、ムシマルはそんなに濡れなかったの。
悲劇はそこにあったの!
こぼれたビールは隣の外人さんにバッシャリ。
ズボンに、ちょっとシャツまでビールが染めてしまっている。
(ムシマルはもう、酔いがいっぺんで冷めた)
(申し訳なさに。国際問題とか、ムシマルが日本人の評価を下げたとかそういうことも気になって)
ソーリーソーリー言いながらおしぼりで机やズボンをちょっと拭かせていただく。
あとはお店の方がよく対処してくださり。
ムシマルの大粗相に外人さんはオーケーオーケーみたいにあとほかにも何ごとか言ってらしたがヒアリングできず。
それほど気にされてない風で許してくださる。
うう、自己反省。
最初に気がついたことは、だれかにきびしい言葉で何かいわれたら泣き出すだろうということだった。
空になったビールが冷たく寂しい。
ちょっと落ち込んでいると、大将さんも大丈夫ですからみたいなことを言ってくださる。
ううむ、居酒屋さんで落ち込んでいるサラリーマンが傍らにいるのはお客さんやお店側にとってもマイナスか?
特に入り口近くに。
お酒、呑むことにする。『瑞冠』三次のお酒らしい。
コップで頼んだら、瓶を見せてくださり「少しの間こちらの瓶を置いておきましょうか?」との提案も。
普段ならありがたいが、今のムシマルは何を倒すかわかんない恐怖にかられておりお断りする。
あの、メニューとビールをドミノ倒しした時も別段ふらふらに酔いが回っていたわけではなくて(ビール半杯だ)、通常状態のつもりだったのだ。
つまり通常が胡乱な状態っぽいのだ。
さて。注いでいただく。
ひゃー・・・・・・。
やわらかめなお味がいたしますね。
喉から鼻に微香が返ってくるみたいな。
おつまみ少なめでも乾せるようなお酒。
あとから日本酒のチェイサーとして何とかいう良いお水を持ってきてくださる。
かたじけない。
突き出しでちびちびと呑んでいる。
そこに燻製盛り合わせ登場。
半熟玉子にイカにサーモンに胸肉。
ひゃーなんか色がいい。
あー・・・おいしそう。
と、外人さんが話しかけてくださる。
俺は気にしてないぜ友好的にいこうぜアピールをしてくださっているのかもしれない申し訳ない。
「サルモゥン??」
・・・・?・・・あ、この燻製がサーモンかって、聞かれているのか。
「いえす、さーもん」
で、あとこっちの肉はなんだろうみたいなジェスチャーとなんか言われて、
ムシマルは焦りながら「ぶれすと、ちきん」と言ってみると
オーゥ、みたいな感じになる。
ムシマル、ひょっとして国際交流成功?
良い方だ。
ムシマルは異国の方を怖い人と思う傾向があるので見誤っていたかもしれない。
生麦事件起こしかねないから当時生きていたら。
でも逆にこの親日ぽい良い外人さんにムシマルはなんてことをという反省ゲージが増量する。皮肉にも。
思いながらいただく。
サーモン旨い。
やわらかさは生のままくらいのレベルなのに、香りは置いておくだけで3時間長持ちする香炉のよう。
燻製をムシマルは一度作ったことがあるんですが、でもだからこのやわらかさで香り薫するのは大変だなー。
あと燻製の器も素敵。
食了。
お茶を出してくださる。
きび茶と言っておられたような。
2,800円くらい。
早めに切り上げたからだ。
そうだ。
何かプレゼントをしよう。あちらのお客様からってやつだ。
ビールとか天ぷらにしようと思ったが(フジヤマスシテンプラとか言うから、天ぷらは人気じゃないかという思い)、大将さんにそんなにしなくて大丈夫と言っていただき、
結果クッキー(350円の米ぬかクッキーがレジ前で売っている)をお渡しすることに。
なんかこうさりげなく帰った後に渡してくれるみたいな方が気恥ずかしくなかったが大将さんが自ら外人さんに何か言ってお渡ししてくださる。
外人さん「アリガト」
ムシマル「せんきゅー、そーりー」
そんな山人。
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