タイ政府と民主化運動デモの対立、なかなか 落としどころ が無く迷走したままです。
民主化派が求めるものは首相退陣、憲法改正、王室改革と三つありますが、先週、国会にて
2017年憲法の改憲については審議がありました。が、与党・野党、そして独立した民間組織、
それぞれ提案した緊急動議の審議は予想通り、民主化派が満足するには至りませんでした。
その間、デモは定期的に行なわれており、国会議事堂に向かっていたデモ隊が警官隊と衝突。
警官隊が放水や催涙弾の発射を行ない、デモ隊は警察本部にペンキをまいたり、一時騒然と …
また、デモ隊と王室支持派とも小競り合いが生じ、一連の騒動で55人が負傷しています。
審議に納得しない民主化派は、21日の土曜はバンコク都の中心部、翌日はバンコク都の郊外でも
集会を実施しています。 明日には、なんとバンコク都内の王室財産管理局前にて大規模集会が
計画されており、民主化を訴える反政府派は王室改革も求めているだけに緊張感が高まります。
こうして続く反政府運動について、プラユット首相も堪忍袋の緒が切れたのでしょう。
デモ隊の取り締まりを強化する考えを表明しました。“政府が真剣に平和解決を模索して
きたが収まらない。国家と王室を傷つけ、デモ隊の暴動の恐れもある” とデモ行動を
強める反政府デモ隊を厳しく批判しています。 そして、“法を犯した者にあらゆる
関連法を適用する必要がある” と不敬罪の適用を示唆しながら警告もしました。
<アノン氏>
こうしたプラユット首相の声明と警告に、デモ隊リーダーの一人であるアノン弁護士は、
“国民に対する宣戦布告だ” と非難しています。それならば と、抗議行動を更に強化する
考えを示しました。反政府勢力は、より反発を強めており、相変わらず平行線のままです。
6月でしたかネ、確か プラユット首相、“ワチラロンコン国王から不敬罪の適用を控えるよう
指示されている” と語っていたことがあります。ここ数年、適用を控えさせていた不敬罪が、
もし再度 行なわれれば、それこそ 王室改革派と王室支持派との国の分断に成りかねません。
すでに不敬罪の容疑により事情聴取を受けた青年リーダーもいるようですからネ。気になります。
明日の民主化運動デモは、王室財産管理局前での抗議集会です。 なぜこの場所なのか?
先週 ワチラロンコーン国王は、王室護持派で知られるアピラット前陸軍司令官を同局の副局長に
任命しているんですネ。この場所でのデモで「王室財産の擁護を図っている」と抗議するようです。
“なんで この時期に任命するの?” と思うのは、私だけではないはず、ちょっと心配ですねぇ~
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当初から学生運動家たちの狙いは「王室改革」であり、反政府運動が王室批判に発展したのではない。
1970年代に冷戦体制下で国王があらゆる領域で強大な権力を握る「タイ式民主主義」が形成されていったが、国王個人のカリスマ性や能力に依存する脆弱(ぜいじゃく)な制度であり、プミポン前国王の時代の末期から限界が見えていた。そしてワチラロンコン現国王の治世下では機能不全に陥った。
軍政時代から民政復帰後も政権を維持している陸軍司令官出身のプラユット首相に対する不満も高まっているが、学生たちは、プラユット首相を「犬」や「下僕」と軽蔑し、真の敵として扱っていない。
たとえ現政権を打倒したとしても、現行憲法を事実上超える存在である王室の権力を制限する根本的改革を実施しない限り、国民の多数の声に耳を傾けようとせず、王室の利益維持を優先する政権が再び誕生してしまうだろうし、軍事クーデターが繰り返されるかもしれないからである。
民主化運動は広くさまざまな年齢層や社会階層から支持を得られるようになったが、学生たちは、「国民への脅迫の中止」「新憲法起草」「解散総選挙」の三つの要求を掲げ、10月に至るまでプラユット首相の退陣要求を口にしなかった。
狙いは目の前の政権ではなく、より根本の「タイ式民主主義」にメスを入れることだからである。
8月10日にタマサート大学で実施された集会では、王室批判を真正面からテーマに掲げて、不敬罪の廃止や王室関連予算削減、王室財産制度の見直しなどを内容とする「10項目の王室改革要求」を提示した。
現国王は即位以来、国民投票で承認された憲法案を修正させたり、内閣の就任式で宣誓文から「憲法擁護」の部分を抜かせ国王への忠誠だけを誓わせたり、さまざまな権限を強化し、立憲君主制から絶対王政への復帰を着々と進めていたことが、国民の危機感をより募らせた。
学生たちは、1932年の「立憲革命」を再び起こすことで国民主権を取り戻そうと決意した。
タイ国は国王のモノではなくタイ国民のモノである。
それが今回のタイ民主化運動の本質である。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020111300648&g=int