プラユット政権の「立法議会」は、相続税導入を定めた相続税法案を承認しましたネ。
タイで実施される相続税、控除額を原案の2倍の資産1億バーツという税率に引き
上げられましたが、賛成多数で可決され承認されました。固定資産税もそうですが、
絶対に反対され、承認されないと思っていただけに、ちょっと驚きですねぇ~
国民の格差を 無くすには「富裕層の優遇」という、不公平感の排除が不可欠で、
固定資産税(土地家屋税)と相続税の導入が必要だと、長い間 言われてきました。
これまでも、この二つの税導入は、タクシン派、反タクシン派の双方の政権でも幾度も
浮上してきましたが、国会議員、軍部・警察の官僚、経営者の多くが、庶民とかけ離れた
富裕層であることから、いつも彼らの反対で実現しませんでした。
昨年5月のクーデターでタクシン元首相派の民選政権を倒し発足したプラユット軍事政権は、
「2006年から続くタクシン派、反タクシン派の抗争の一因は、個人の経済格差にある」として
昨年9月、貧富の差の是正に向け、相続税と固定資産税を導入すると宣言しました。
しかし、政権基盤である特権階級、軍・警察高官らの富裕層は、こうした税の導入に消極的で、
固定資産税の導入は、今年3月に見送りが決まってしまいした。 プラユット首相としては
相続税だけでも と ・・・ もし これが施行されたら大変な改革であり「プラユット首相は
歴史に残る政治家になるだろう」というのが、タイ国民の評価です。
導入が決まった相続税ですが、1億バーツを超えた部分に課税され、税率は親、子孫が
相続する場合は5%、それ以外は10%で、官報記載から180日後に施行されるようです。
ただ、導入は決まったものの、課税を逃れる抜け穴が多いことも指摘されており、
実効性は疑問視されていると耳にします。 また こんな声もあるのも事実です ・・・
世界の国々には、タックスヘイブン(租税回避地)の国ではなくても、相続税がない国も少なく
ないんですネ。アジアでも中国・香港・シンガポール・インドネシア・マレーシア・豪州・
ニュージーランドなどでは、相続税も贈与税もありません。しかも、香港・シンガポール・
オーストラリアはいずれも、この10年の間に相続税が廃止された国のようです。
その背景には、相続税を軽くして富裕層の国外移転を防いだり、よその国からの移転を促したりと
いった狙いがあるようです。相続税だけでなく所得税などの税率も下げて、富裕層や高所得者層を
自国に呼び込むための競争を繰り広げているのが、現在の世界のトレンだと言う有識者がいます。
そう言う意味では、日本も基礎控除の引き下げと税率の見直しにより、相続税は増税されますので、
タイと一緒で、世界のトレンドから逆行している形になりますねぇ~
でもタイは、実際に実施されてみないと、まだ分かりませんけどネ ・・・
オーストラリアはいずれも、この10年の間に相続税が廃止された国のようです。
中国やインドネシアと言った発展途上国・中進国と豪州・ニュージーランドと言った先進国を一括りにしてはいけません。
発展途上国や中進国では、国民間の格差是正(所得の再分配、社会的公平の確保)の観点から、相続税(贈与税)の導入は基本的には必要な政策です。
先進国となり、富裕層の他国への移住防止のために相続税を廃止するのです。
>そう言う意味では、日本も基礎控除の引き下げと税率の見直しにより、相続税は増税されますので、
タイと一緒で、世界のトレンドから逆行している形になりますねぇ~
前記のように、日本のような先進国と、タイでは事情が違います。
日本の場合は、相続税(贈与税を含む)の年間税収は1兆5000億円です。消費税率=1%の年間税収は2兆5000億円です。
税収だけで見れば、消費税率を0.6%上げれば、相続税は不要になる水準です。(相続税は税収が少ないのに、徴税の手間がかかるのが難点です)
しかし、日本には1000兆円超と言うギネス級の国家債務があるので、財務省が税収確保に血眼になっています。
最近は、日本の富裕層がシンガポールへ移住するケースが増加しています。
本来なら、世界のトレンドから言って、相続税の縮小に動くのが筋ですが、GDPの2倍を超える膨大な借金事情がネックになっています。
タイのような発展途上国から中進国へ移行しつつある社会では、国民所得格差是正の一環として相続税は必須な政策です。
但し、個人的には、タイの場合、相続税より、固定資産税(土地税)の導入を先行して欲しかったですね。
既得権益層の反対で、潰されましたが、軍事政権にももう少し頑張って欲しかったです。
但し、現在のタイ経済は不景気なので、「景気が好転したら導入する」という景気条項を付けてでも導入してもらいたかったです。
長々と