先日年が明けたばかりだと思った2006年も最初の2ヶ月が終わろうとしています。そういえば今年の元旦にも「この前正月を迎えたばかりだったのに」と1年があっという間に過ぎ去ることに驚いた気がします。現代人は徒然なるままに日暮らしとはいかず、1ヶ月あるいは1年を猛スピードで繰り返さなければならないのかも知れません。
しかし繰り返す周期が1ヶ月や1年ではなく80分だったとしたらどうなるのでしょう。最近映画化もされた『博士の愛した数式』
は80分しか記憶が持続しない博士と、彼を取り巻く人たちの物語です。主人公の博士はとても興味深い人物で、可哀想なことに記憶は80分しか持ちませんが、整数論に詳しい学者で数学とはまったく無縁な家政婦とその息子に美しい数学の世界を優しく説いてくれます。その上野球に詳しかったり、言葉遊びに長けていたりと(小説として設定がややずるい感もありますが)話の展開を追っていくだけでもどんどん読み進めることができます。
ただ、この本が単なる「楽しいお話」にとどまらないのは、生き生きとした登場人物たちが実は各々どこかに欠けた部分を持っているからでしょう。記憶障害の老人、シングルマザー、鍵っ子、未亡人といずれもネガティブなカテゴリーに分類される人たちが心を通わせることでステレオタイプの埒を超えた幸せを手にするストーリーは心地良い読後感を与えてくれます。ちょっと行き詰まったときにでもソファーに寝そべりながら読みたい本ですね。
しかし繰り返す周期が1ヶ月や1年ではなく80分だったとしたらどうなるのでしょう。最近映画化もされた『博士の愛した数式』
ただ、この本が単なる「楽しいお話」にとどまらないのは、生き生きとした登場人物たちが実は各々どこかに欠けた部分を持っているからでしょう。記憶障害の老人、シングルマザー、鍵っ子、未亡人といずれもネガティブなカテゴリーに分類される人たちが心を通わせることでステレオタイプの埒を超えた幸せを手にするストーリーは心地良い読後感を与えてくれます。ちょっと行き詰まったときにでもソファーに寝そべりながら読みたい本ですね。
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