虹の向こうに

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あいまい96

2007年05月14日 | ひとりごと
まずはこちらを。

日本国憲法96条、憲法の改正について書かれた条文です。

「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」

日本国憲法改正のために必要な用件が書かれている重要な条文。

であるにもかかわらず、曖昧というか、不足な点も多いと何かで聞いたことがあります。


「国民に提案」とはいかなる方法をとるのか。

「特別の国民投票」とは具体的になんなのか。

「国会の定める選挙の際行われる投票」とは、国政選挙のことをさすのか。

「その過半数」が指す「その」はどれなのか。

そもそも、これは憲法の一部改正を規定しているのか、それとも全文改正なのか、どちらもなのか・・・




特に大事なのは4点目。

国民であることはまちがいなさそうな「その」の指すもの。

では、それは①総国民なのか、②有権者なのか、③投票者なのか、④有効投票数なのか。

改正発議の根拠となる国会の議員数は「総議員」と具体的に示してあるのと比べても曖昧さが際だちます。


そういった曖昧さを払拭し、憲法改正に弾みをつけようと提出されたのがいわゆる「国民投票法案」であり、今日参議院で可決、成立したそうですね。


しかし、案の定ですが、成立した与党案には問題がたくさんあるのです。

教員を含めた公務員の口封じがされていたり、事実上投票前15日まではメディアでの宣伝が解禁されていたり(実際には、投票14日以降は禁止)・・・

でも、やっぱり問題なのは、「その」の解釈。

与党案では④有効投票数になりました。

これは危険な事なんですよ。

有効投票数とは、全投票の内、白票(白紙)と無効票(誤記など)を除いた票の数のこと。

何が危険か?シュミレーションしてみましょう。

①の総国民を基準にすると投票行為に表れない数を含むという複雑な構図になるため、便宜的に有権者数を100とします。

以下100に対して投票率が50、有効投票数が25だとします。

②の時必要な賛成票の数は51、以下同じく③は25、④は13になります。

要は、この与党案だと総国民の13%が賛成するだけで憲法という、国の枠組みを決める事が出来てしまうことになります。

これだと、投票率が低くなれば低くなるほど少数の意見が反映されることになるし、「投票自体に反対」といった意思表示の方法でもある「白票」を反故にしていることにもなる。突き詰めれば、操作することだって可能ということにもなってしまう。

基準を有効投票数にするなら、最低投票率や最低有効投票率の規程がセットになるべきなのにそれがないからよけいにまずい。

これを進めたのは、「郵政民営化」で支持された現与党です。

郵政民営化を争点にして与党の座を手にし、その勢力を利用して色々な無茶な法案を通してきた最たるものがこの法案なのです。

だから、こんな与党にしてしまった有権者にも責任はある。

だから、決まったからしょうがないではなく、きちんと考えて次の投票には活かしていきましょう。お互いに。